「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

女性はコミュニケーション能力が高い? 順天堂大学の見解について

2018-12-16 | 2018年イベント
金曜日からずっと身体が痛いです。スカッシュという室内テニスみたいな競技を初めてやったんですが、童心に戻って遊んでいたら、かなり疲れてしまいました。でも、面白かったです。その後、水泳をやって、サウナにも入ったのですが、もう完全に身体がボロボロです。運動にはそれなりに自信もあったのですが、そんなちっぽけなプライドはあっさり粉微塵になりましたね。

さて、順天堂大学の入試得点操作に関する報道を、英国から拝見していました。「女子のコミュニケーション能力が高いため、面接で不利になる男子の点数を補正した」と説明し、医学的な検証の資料として順天堂大学が論文を提示してみせたとのことで、ちょっと興味深く思いました。もちろん笑止であります。
まさか三流私大が医学部入試でアンフェアなことをした理由として自分の論文を挙げられるとは、米国の研究者もまったく予想だにしなかったでしょうね。論文を提示してみせただけでアホなマスゴミを煙に巻こうとしたのかもしれませんが、曲がりなりにも大学というアカデミックな機関が行った対応としては、はっきり三流でしょう。

医学部医学科は、本来は自然科学の一分野である医学が学べる場所であると共に、臨床のプロフェッショナルである医師が養成される場所でもあります。
臨床はペーパーテストとは違います。必ずしも正解が用意されているとは限らない。どの答えを選んでも間違いということもあるでしょう。そんな場合に医師が果たすべき責任とは、よりマシな間違いを犯すことであり、マシであったとしても、間違いは間違いに過ぎないとちゃんと認めることです。われわれ医療従事者にとって、無責任とは、分からないことを分からないと告白することではありません。間違いに過ぎないものを正解だと正当化してしまうことです。
つまり、今回、順天堂大学はアンフェアなことをしていたのですから、アンフェアだったとちゃんと認めて、結果的に騙していた受験生諸君にお詫びをすべきだったでしょう。間違いを間違いとちゃんと認めることができなかったような大学に、教授たちに、果たしてちゃんとした臨床のプロフェッショナルを養成できるのかどうか、私は疑問です。

最近、日本の私立大学の医学部入試において、次々とアンフェアがまかり通っていたことが明らかになっています。私も、医師の端くれとして、非常に残念に思っています。


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