「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

さよなら、カッシーニ

2017-09-15 | 2017年イベント
今日も今日とて世界は騒乱に満ちていますが、地上の醜い争いはすこし忘れて、遠い宇宙に想いを馳せたいと思います。今日はカッシーニの最期の日ですから。

土星探査機「カッシーニ」が打ち上げられたのは1997年(今から20年前! Windows95の時代ですね)とのことですが、恥ずかしながら私がカッシーニのことを知ったのは最近の2014年のことであり、「土星の衛星に海がある」という衝撃的なニュースがScience誌に掲載された時でした(下記の記事ですね)。衛星の地下に海があるならば生命も存在するかもしれないと、ちょっとした騒ぎになりました。

Kerr, RA. Planetary science. Cassini plumbs the depths of the Enceladus sea. Science 2014;344:17.

つまり、「この宇宙に私たち以外の生命が存在するのかもしれない」という証拠を初めて届けてくれたのがカッシーニだったのでした。20年もの永い間、孤独に宇宙を旅したカッシーニは、土星に関する情報を地球にせっせと送り続けてくれました。そして、長い長い旅を終えて、今日、土星大気圏に突入し、ひっそりと燃え尽きる予定とのことです。ちょっと切ない最期ですね。

私は「天文学の分野に進んでも飯は食えんだろうなあ~」という即物的すぎる考えもあり、宇宙・天文学の分野を進路に選ぶことはありませんでしたが、今でも母校の中高一貫校入試の理科の試験で天体に関する問題が出ていたことを覚えています。たぶんその大問は満点だったはずです。幼いころからそれなりに宇宙にロマンを感じてきましたし、宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999なども好きでした。
夜空を見上げて、遥かなる宇宙に想いを馳せるのがたしかに好きだったのです。

おそらく私が生きている間に外宇宙に行く機会はないでしょうけれども、いつか人類が宇宙に進出することはあるのではないかと、そんな夢を今は見ています。久しぶりに宇宙のことを想い起させてくれたカッシーニに感謝します。