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熱利用、下水、浸水、河川、水道、…ただのメモ。

下水廃熱生かし切る

2012年12月11日 09時45分12秒 | 下水熱利用
■プール・空調 官民で


 下水道は熱エネルギーの宝庫だ。家庭の風呂や調理に使ったお湯の温度を考えると、下水の温かさが分かるだろう。ドイツ・ベルリン市の下水道局はそこに着目し、「熱ビジネス」を始めていた。

 市内の下水道の水温は、年間を通じて12度前後だと聞いた。この熱エネルギーを利用できる地点「ホットスポット」をホームページで公表し、廃熱利用者を募っていた。市内約200カ所で廃熱が使える。

 具体的な活用例はまず、市の温水プールだ。口径約1メートルの下水本管に、熱を吸収する「ヒートポンプ」を取り付けて、廃熱を150メートル離れた温水プールに運ぶ仕組みだ。プールでもヒートポンプを4台設置し、廃熱を循環させて無駄なく活用していた。


 その投資費用は46万ユーロ(約4600万円)。欧州連合(EU)からの補助金で60%を賄ったという。EUは再生可能エネルギーの普及に熱心で、補助金を出すなどして各国の取り組みを後押ししている。

 民間でも下水道の廃熱利用が始まっていた。スウェーデン系の家具量販店、イケアの新店舗を訪れた。

 店から約100メートル離れた下水道管の内側に熱を吸収する装置を付け、廃熱を店へと運び、冷暖房に利用していた。廃熱を有効利用するため、店には2次循環装置を取り付けていた。

 設備には約70万ユーロ(約7千万円)を投資したが、値上がり傾向の石油や天然ガスなどと比較すると、7年で投資費用が回収できる計算だと説明された。

 イケアの店舗では、冬の暖房用などの熱源は70%を下水の廃熱で賄い、不足する分はガスを使っている。夏の冷房は廃熱だけで十分だという。

 このほかにも、店舗の屋根に太陽光パネルを設置し、屋根から雨水を回収してトイレの排水に使っている。イケアは2015年までに、ドイツのすべての店舗と家具工場で、再生可能エネルギーの利用率を100%にする計画という。

 札幌市の下水道局も、廃熱利用の可能性を調べ始めた。新たに市内に出店する大型商業施設に、廃熱利用を働きかける検討をしている。

朝日新聞デジタル 2012年11月29日