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下水道管渠重要幹線の8割強が未耐震/費用半額補助も整備進まず

2009年02月19日 12時23分04秒 | 下水道
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◆下水道管渠重要幹線の8割強が未耐震/費用半額補助も整備進まず

 市町村など地方自治体が管理する下水道管渠の耐震化が全国的に遅れている。阪神大震災後に強化された耐震設計以前に施工された下水道管で、避難地と下水道処理施設を結んでいるなど、重要な幹線に位置付けられている下水道管約2万5000kmのうち、耐震化が完了しているのは約1割にとどまっている。国土交通省が耐震化促進に向けて自治体への補助を進めているものの、地方負担分の予算が耐震化まで回らないことが大きな要因の一つに挙げられている。こうした住民の安全を確保する事業の前倒しでの推進が求められそうだ。


 下水道管渠は、全国に約40万kmのネットワークが張り巡らされている。流域下水道は都道府県の管理で、基本的には市区町村が管理している。国土交通省は、1995年の阪神大震災で、下水道管が大きな被害を受けたことから、97年に耐震基準を強化。ただ、特に都市部を中心として97年以前に敷設された管渠も多く、新潟県中越地震や岩手・宮城内陸地震といった近年の大規模地震でも被害が報告されている。

 下水道が地震で被災した場合、トイレが使用できなくなったり、水道の水源が汚染したりするなど社会経済活動に大きな影響を与える。

 こうしたことから、国交省は、「避難地や防災拠点と下水処理場を結ぶ管渠」「緊急輸送路、避難路、軌道の下に埋設されている管渠」といった重要な幹線で、97年以前に敷設された下水道管渠を対象に、耐震化工事に必要な費用の約半分を補助する「下水道地震対策緊急整備事業」を2006年度に創設した。同事業を活用したのは41地区で、07年度末までに約4000kmの耐震化が進んだ。

 ただ、まだ重要な幹線約2万5000kmのうちの2割弱にとどまっており、約2万1000kmは大規模地震が起きた際に被災する可能性が比較的高いまま使用されている。

 こうした状況を受け、国交省は08年度末で期間が終了する同事業を拡充して、09年度から「下水道総合地震対策事業」を創設する。重要な幹線のほか、雨水管渠や老人ホームなど要援護者関連施設と下水処理施設を結ぶ下水道管渠などを対象に加え、耐震化工事に必要な費用の半分を補助する制度で、地方自治体への補助を継続することで、耐震化を促進したい考えだ。

 地方自治体にとっては、新規整備などの優先順位が高く、政府の補助を受けたとしても耐震化にまで予算を回せないことが、耐震化が進まない要因の一つとされている。さらに、重要な幹線につながっている枝線は補助対象となっていないことも地方自治体が工事に踏み出せない原因の一つとみられる。

 景気悪化を受け、公共事業の前倒しを求める声が自民党議員などから挙がる中で、下水道管渠の耐震化といった進捗率の低い安全・安心対策を実施することも必要になりそうだ。