唐史話三眛

唐初功臣傳を掲載中、約80人の予定。全掲載後PDFで一覧を作る。
その後隋末・唐初群雄傳に移行するつもりです。

自主帰郷

2006-08-13 08:09:43 | Weblog
「三年で交代っていう約束だったじゃないか」

「もう六年にもなるぞ」

「こんな暑苦しいところにはあきあきした」

「はやく帰ってかあちゃんにあいたいよ・・」

「俺の顔が子供にわからなくなっているだろうぜ」

雲南蠻に備えて桂州に駐屯する徐州兵の兵舎

六月の炎暑とともに不満が渦巻いていた。

もとより食い詰めて兵隊になった連中であり、根は盗賊とかわらない。

徐州に帰ったとて職があるわけでもないが

やはり家族や知り合いには会いたい。

ところがいっこうに交代にならない。

最初のうちは給与はでるのだから失業よりはましと思っていたが

「おい趙佶聞いたか、また一年延びるんだとさ」と龐

「なに!、俺はもうがまんならんぜ」

「観察使の崔の野郎、交代の経費をけちってため込んでいやがるんだ」

「俺たちは一生戻れないかもしれんぞ」

「なんと言われてももう帰るぞ」

八百人の徐州兵は一斉に離脱して徐州へ戻り始めた。

制止した都將はたちまち殺された。

桂州観察使は転任で不在であり、他の駐屯軍はなにもせず見送った。

咸通九年、唐を揺るがした龐の乱が始まった。
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