QAZのつれづれ日記

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膵頭十二指腸切除手術を前にして

2021年01月25日 | 健康


昨年10月超音波(エコー)検査で偶然膵臓に腫瘍が見つかり、その後数々の精密検査で膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)とわかり、この腫瘍を外科手術で除去するか手術をしないで経過観察とするか難しい選択を迫られていました。
(昨年10/21のブログでこの腫瘍は当初膵臓にできたものではないとの診断でしたがその後のMRI検査でやはり膵臓の腫瘍であることがわかりました)

長く難しい病名ですが決して珍しい病気ではないようです。
腫瘍(しゅよう、=できもの)は腫瘤(しゅりゅう、=しこり)と言ったり腺腫(せんしゅ、=良性の腫瘍)と言ったり嚢胞(のうほう、=分泌物を蓄えた袋状のもの)と言ったり、医学はどうしてこのようにいろんな紛らわしく難しい言葉を使うのでしょう。
消化器内科の女医先生はわかりやすく水風船のようなものと表現されていました。

IPMNは
・多くの場合原因がはっきりせず症状がないまま非常に長い時間をかけて成長し良性か
 ら悪性(=がん)へと徐々に変化する
・分枝型腫瘍は主膵管型に比べてがん化していない良性の場合が多いが突然がん化する
 可能性もあり油断できない
 (分枝型腫瘍:主膵管への進展がなく膵管の枝の部分に発生する腫瘍)
・細胞レベルでのがんは画像では診断が困難ですが画像診断可能な浸潤がんになってし
 まってからでは手術しても手遅れの場合がある
・IPMNの進行を食い止めるような治療薬はなく手術が唯一の治療手段

エコー、MRI、EUS(超音波内視鏡検査)、造影CTなど一連の検査結果から
・腫瘍は膵臓の頭の部分(膵頭部)にできた分枝型腫瘍と判明
・腫瘍の大きさは2cmくらい、壁在結節は1cmくらい
 (壁在結節:嚢胞の壁に連続した腫瘍)
・嚢胞壁が厚くなっている(悪性へのサインの可能性)との内科医の指摘
・今のところ画像からは浸潤がんや他臓器への転移は認められない
・最近血液検査で腫瘍マーカー値CA19-9が急激に高くなってきている
・最近血糖値が高い値で推移し、しかも値が不安定

壁在結節が大きいので下記の国際膵臓学会作成の2017年度版IPMN国際診療ガイドラインに照らせば手術適応に該当します。



分枝型IPMNの診療アルゴリズム2017

(HRS:悪性を強く示唆する初見)
(WF:悪性の疑いを示す初見)

症状を見極め手術適応かどうかを判断するための諸検査は消化器内科で、実際の手術は肝胆膵外科、糖尿病への対策は内分泌内科と、3科連携しての治療となっています。

消化器内科での検査のあと外科にまわされました。
・画像を見るかぎりがんとの確定診断はできない
・嚢胞壁が厚く壁在結節も大きいことからがん化が始まっている可能性もある
・手術を勧めるが最終判断は患者自身
・手術は開腹または腹腔鏡(今は膵頭部でも可、保険適用)を選択できる
・お腹の手術の中では最も高難度の手術で、術後の死亡率は1.2%というデータがある

このまま症状が進むことなく手術をしないでずっと経過観察(3ヶ月~1年ごとの検査)だけで済む可能性もまったくゼロではありませんが、経過観察をしている間に症状が一挙に進み手遅れになる可能性もないとは言えません。
非常に難しい判断ですが、経過観察として手術を先延ばしにしてもそんなに長くない時期に結局手術となる可能性が大きい状況なら症状の進んでいない今のうちにと考えました。

腹腔鏡手術は開腹手術に比べて傷が小さく出血量も少なく入院期間も短くて済みます。
手術時間は開腹で7時間、腹腔鏡で9時間程度、入院期間は3週間前後、合併症発生率や死亡率に両手術の差はないとされます。

手術は膵がんの手術とまったく同じでリンパ節郭清を含めた膵頭十二指腸切除術となるようです。
膵臓の膵頭部、十二指腸、胆管の一部、胆嚢を切除します。
十二指腸を切除しますので今まで十二指腸とつながっていた胃、胆管、膵臓を十二指腸から空腸(小腸の入り口部分)につなぎかえる再建をします。
まるで土管工事のようです。


切除部分(斜線部)          切除後の再建
          
手術は全身麻酔で行います。
何十年と生きてきて一泊の検査入院は二度ほどありますが、こんな長期入院は人生初めての経験で全身麻酔も初めてです。
麻酔とは口と鼻を覆う麻酔用マスクを装着しガスを吸入するイメージでいましたらどうやら少し違うようです。
確かにマスクはしますがこれは酸素マスクで、麻酔は点滴注射で行います。

次に人工呼吸器とつなぐため口から気管にチューブ(内径8mmほど)を挿入する気管挿管を行います。
誤って食道のほうに挿管すると致死的事故となります。
気管挿管では気道を確保するために口の中に入れる喉頭鏡という金属の器具を用います。
喉頭鏡は鎌のような恐ろしい形をしていて、こんな固く鋭いものが眠っている間とは言え喉の奥に突っ込まれるのです。


   喉頭鏡

下手すると喉頭鏡による圧迫や衝撃から前歯を折ってしまうこともあるそうです。
げ~~。
気道確保後は撤去されますが。
さらに全身麻酔の前に背中に太い注射をする(いやだ、いやだ)硬膜外麻酔を併用するようです。

新型コロナ患者を受け入れている都の基幹病院であり、病院での罹患やクラスター発生、医療崩壊が心配ですし入院中の家族面会もできず心細く、まったく時期が悪いです。
手術の前準備として採血、心電図、胸部X線、腹部X線、胸部CTを撮り口腔外科を受診しました。
次回外科受診日にこれらの検査結果に問題なければいよいよ入院の日取りが決まるかと思います。
糖尿病の経過を見るため手術に先立って余裕をもって入院するようです。

すべて先生を信頼してお任せするしかありません。
膵がんは無症状のまま分かった時には手術でも治せない手遅れ状態が多く家内の弟もこれで一昨年亡くなりました。
前がん状態で早く見つかり手術で完治の可能性が大きいことは有難いことです。
これからも長く家内と旅行ができるように、マンドリンが弾けるよう手術を頑張りたいと思います。
どうか手術による死亡率1.2%に当選しませんように。
入院になるとできないふるさと納税の申し込みと確定申告(還付申請)をやっておきました。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お大事に!! (もりもり)
2021-01-25 17:48:40
こんにちは!手術をされるということで、ご心配なことと思います。私も昨年からいろいろな手術、施術を受けてきましたが、現在の医療の進歩などに感心しています。手術の無事終了を心から祈念しております。
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膵頭十二指腸切除手術を前にして (QAZ)
2021-01-25 21:50:45
もりもりさん、有難うございます。
その後ご体調いかがですか?
歳を重ねると思いがけずいろんな病魔が襲ってきます。
子供の頃から体は丈夫なほうではありませんでしたので今まで大病しなかったのが不思議なくらいです。
コロナ禍が収まりませんね。
どうかくれぐれもご自愛のほどお過ごしください。
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