QAZのつれづれ日記

  思いついたことを気ままにブログで

高齢受給者と後期高齢者の違い

2018年04月06日 | 日記


高齢受給者と後期高齢者、まったく紛らわしい用語です。

高齢受給者とは国民健康保険被保険者のうち70~74歳の人が該当し、後期高齢者とは国民健康保険から抜けて新たに後期高齢者医療制度に仲間入りした75歳以上の人が該当します。

国民健康保険は市区町村単位の組織で(今年から財政運営の責任主体が市区町村から都道府県に変わります)保険料は所帯単位ですが、後期高齢者医療は都道府県単位の組織で保険料は個人単位です。
確定申告をしていれば個人の所得は丸裸ですから高齢受給者、後期高齢者への移行に被保険者からの手続きは不要でみんな役所が自動的にやってくれます。
当然両者で保険料、窓口負担、保険証が異なります。

これらと並行して全く別制度として介護保険が存在します。
従って該当者によっては国民健康保険被保険者証、国民健康保険高齢受給者証、介護保険被保険者証と、保険証を3枚も所持することになります。

被保険者としての関心事は
・国民健康保険被保険者が高齢受給者になったとき
・高齢受給者から後期高齢者に移ったとき
保険料と窓口負担がどう変わるかということだと思います。
居住地域によって異なりますし特例措置も多く全ての場合については書き切れませんので私の居住地において代表的なケースについて調べてみたいと思います。

[1] 保険料について

(1-1) 高齢受給者になったとき

高齢受給者になったからと言って保険料に特段の変更はありません。
当市平成29年度の国民健康保険料は平成29年7月頃郵送通知された国民健康保険税納付通知書により次のように通知されています。

保険料は医療給付費分と後期高齢者支援金分の合計になり(このほかに介護納付金分がありますが64歳までの人が該当ですのでここでは除外します)税額は世帯単位となりますので加入者ごとの保険料を合算します。

医療給付費分
・所得割額=(平成28年中の総所得金額-基礎控除33万円)×5.3%
・均等割額=28,000円
後期高齢者支援金分
・所得割額=(平成28年中の総所得金額-基礎控除33万円)×1.8%
・均等割額=11,000円

総所得金額は給与収入から給与所得控除分を差し引いた給与所得、公的年金等(厚生年金、企業年金等)の収入から公的年金等控除分を差し引いた雑所得、積立年金等(財形年金は非課税のため含めない)から必要経費等を差し引いたその他の雑所得、配当所得(源泉徴収される前の額)等の合計額となります。

国民健康保険料は毎年更新されます。
本年平成30年度は国民健康保険の財政運営の責任主体が市区町村から都道府県に変わる大きな変換期を迎えます。
運営主体が広域化されることで保険料が平準化されると予想されますがこれが吉と出るか凶と出るかです。
東京都は平成30年度の各市区町村の標準保険料率を算定、公表しています。
公表された当市の標準保険料率は次のとおりです。

医療給付費分
・所得割額=(平成29年中の総所得金額-基礎控除33万円)×7.25%
・均等割額=41,204円
後期高齢者支援金分
・所得割額=(平成29年中の総所得金額-基礎控除33万円)×2.41%
・均等割額=13,668円

都の算定では平成29年度の保険料に比べ驚異的なアップとなっています。
代表的な例として夫と国民年金収入のみの妻の場合の所帯全体の保険料は(平成29年中の総所得金額-基礎控除33万円)×9.66%+109,744円となる計算です。

各市区町村はこの標準保険料率を参考に実際の保険料を決定します。
当市平成30年度の国民健康保険料は平成30年7月頃郵送される国民健康保険税納付通知書により通知されるものと思われます。

(1-2) 後期高齢者になったとき

平成29年度の後期高齢者の保険料は
・所得割額=(平成28年中の総所得金額-基礎控除33万円)×9.07%
・均等割額=42,400円

後期高齢者医療制度の保険料は隔年ごとに見直され、見直し年度に当たる平成30年度の後期高齢者の保険料は下記のように改訂されました。
・所得割額=(平成29年中の総所得金額-基礎控除33万円)×8.80%
・均等割額=43,300円

[2] 窓口負担について

(2-1) 高齢受給者になったとき

高齢受給者非該当の国民健康保険一般被保険者(69歳まで)の窓口負担は3割です。
高齢受給者の窓口負担の割合は毎年8月1日に判定されます。
高齢受給者の平成29年8月1日から平成30年7月31日までの窓口負担は平成29年度住民税課税標準額(平成28年中の所得から算出)によって判定され、住民税課税標準額が145万円未満の場合は窓口負担率は2割、ただし昭和19年4月1日までに生まれた人は特例措置により1割となります。

課税標準額は国民健康保険料算定のベースとなった総所得金額から社会保険料控除、生命保険料控除・配偶者控除・基礎控除(この3つは所得税の場合と控除額が異なります)等の諸控除分を差し引いた額となります。
このように保険料は総所得金額をベースに算定されますが窓口負担は総所得金額から諸控除分を差し引いた課税標準額で判定されます。

平成29年度住民税課税標準額は平成29年6月頃届いた平成29年度市民税・都民税納税決定通知書に明記されています。
平成30年8月1日からの窓口負担は平成30年度住民税課税標準額によりますので平成30年6月頃届く平成30年度市民税・都民税納税決定通知書で課税標準額を確認することになります。
早く知りたい場合は今年の確定申告から自分で計算することもできます。

(2-2) 後期高齢者になったとき

後期高齢者の窓口負担は住民税課税標準額が145万円未満の場合1割で、今のところ高齢受給者より有利になっています。
しかし厚生労働省社会保障審議会医療保険部会では後期高齢者の窓口負担を巡って現行の1割から2割に引き上げるべきとの意見が出て検討が続けられています。

夫および数歳年下の国民年金収入のみの妻というごく一般的な場合の保険料と窓口負担の推移をまとめますと、


上表は現時点の算定基準による私の居住地域での代表的なケースであり詳細は個々に調べる必要があります。
保険財政ひっ迫の折から更新年ごと今後も保険料、窓口負担の高騰が予想されます。

最後に名称についてですが、後期高齢者という名称は何とかならないものでしょうか。
後期高齢者医療制度を長寿医療制度に名称変更する動きもなかなか浸透しないようです。

関連ブログ:
国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療のまとめ(2014.08.05)