1967年
静岡県三島高時代は「投手で四番」文字どおりのワン・マンだった。王者はいつでも巨人狂が多い。この大隅も少年のころから野球イコール巨人と思っていたほどの、巨人気違いだったそうだ。それに拍車をかけたのは、一昨年のサッポロビール入社。世田谷区玉川奥沢町の寮から、巨人・多摩川グラウンドまでは、ランニングで行くならわずか十五分足らず。超がつく巨人狂になるのは、時間の問題だった。だから八日の入団発表の席上では「一生懸命やらなければいけないと思った。そして涙が出るほどうれしかった」という。下半身が弱い、カーブが甘いという声が多い。これでは高校ではわがもの顔でかっ歩してきたこと。サッポロ入社わずか二年目という経験不足などからきているものなのだろう。しかしスリークォーター気味から、左腕特有の右打者のヒザ元に食い込む速球に魅せられたスカウトも多い。未完成ながら将来性にあふれた投手ーこれが巨人スカウトの一致した大隅評だった。過去、サッポロビールからは好投手が巣立っている。北川(国鉄ー巨人コーチ)、高橋栄(巨人ー南海)、城之内(巨人)、佐藤(東京)ら。しかし「大隅とはケースが違う」というのはサッポロビール高橋監督。前者がいずれも、すでにノンプロの完成品としてプロ入りしたのに比べ、この大隅だけは未完成のままプロ入りすることを指摘しているのだ。五球のうち一球は目を見張らすようなすばらしいタマを投げるが、これを大隅がいかに早く二球、三球、そして五球にするかが、課題となるだろう。サッポロでは先輩角谷がいたため控え投手。登板はそれほど多い方ではなかった。それがこんなに早くプロにマークされるようになったのは、強いチームに臨むと、めっぽう力を発揮したからだ。練習試合では2点台の防御率が三大大会では実に1.32。オープン戦ではあったが、日本石油、熊谷組を完封したこともある。「プロの世界は甘くないと思いますが、どんなに練習でたたかれ、下積み生活が長くてもヘコタレぬ自信だけはある」という大隅。北川、城之内の先輩に見守られて努力すれば、案外早く一線級にのし上がってくるかもしれない。181㌢、70㌔、左投げ、左打ち、20歳。
巨人・内堀スカウト 即戦力というわけにはいかないが、実にいい素質を持っている。からだがまだまだひよわな感じがするが、うんと走らせて下半身を鍛えれば一人前だ。いまでもときたまハッとさせるようなすごい速球を投げるが、それがつづかない。貴重な左腕の本格派だけに大事に育てたい。本人が努力すれば、一流投手に成長すると思う。ともかく楽しみな選手ですよ。
静岡県三島高時代は「投手で四番」文字どおりのワン・マンだった。王者はいつでも巨人狂が多い。この大隅も少年のころから野球イコール巨人と思っていたほどの、巨人気違いだったそうだ。それに拍車をかけたのは、一昨年のサッポロビール入社。世田谷区玉川奥沢町の寮から、巨人・多摩川グラウンドまでは、ランニングで行くならわずか十五分足らず。超がつく巨人狂になるのは、時間の問題だった。だから八日の入団発表の席上では「一生懸命やらなければいけないと思った。そして涙が出るほどうれしかった」という。下半身が弱い、カーブが甘いという声が多い。これでは高校ではわがもの顔でかっ歩してきたこと。サッポロ入社わずか二年目という経験不足などからきているものなのだろう。しかしスリークォーター気味から、左腕特有の右打者のヒザ元に食い込む速球に魅せられたスカウトも多い。未完成ながら将来性にあふれた投手ーこれが巨人スカウトの一致した大隅評だった。過去、サッポロビールからは好投手が巣立っている。北川(国鉄ー巨人コーチ)、高橋栄(巨人ー南海)、城之内(巨人)、佐藤(東京)ら。しかし「大隅とはケースが違う」というのはサッポロビール高橋監督。前者がいずれも、すでにノンプロの完成品としてプロ入りしたのに比べ、この大隅だけは未完成のままプロ入りすることを指摘しているのだ。五球のうち一球は目を見張らすようなすばらしいタマを投げるが、これを大隅がいかに早く二球、三球、そして五球にするかが、課題となるだろう。サッポロでは先輩角谷がいたため控え投手。登板はそれほど多い方ではなかった。それがこんなに早くプロにマークされるようになったのは、強いチームに臨むと、めっぽう力を発揮したからだ。練習試合では2点台の防御率が三大大会では実に1.32。オープン戦ではあったが、日本石油、熊谷組を完封したこともある。「プロの世界は甘くないと思いますが、どんなに練習でたたかれ、下積み生活が長くてもヘコタレぬ自信だけはある」という大隅。北川、城之内の先輩に見守られて努力すれば、案外早く一線級にのし上がってくるかもしれない。181㌢、70㌔、左投げ、左打ち、20歳。
巨人・内堀スカウト 即戦力というわけにはいかないが、実にいい素質を持っている。からだがまだまだひよわな感じがするが、うんと走らせて下半身を鍛えれば一人前だ。いまでもときたまハッとさせるようなすごい速球を投げるが、それがつづかない。貴重な左腕の本格派だけに大事に育てたい。本人が努力すれば、一流投手に成長すると思う。ともかく楽しみな選手ですよ。
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