まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

愛知県庁舎のもろもろ

2017-11-30 23:41:13 | ディテール
愛知県庁の続き。

こちらは貴賓室。県庁も市役所も平日なら普通に建物内に入ることができるが、ここは通常見学できず
年に1回の特別公開の時だけしか見られない。
皇族や海外からの賓客の表敬を受ける際に使用する部屋とあって、格調高いインテリアとなっている。


天井の円形のレリーフが巨大!シャンデリアの台座は蓮華形(?)、外側の円には鳳凰がデザインされていて
和の雰囲気も。また漆塗り(と思う)の長押が廻っており真鍮の飾り金物もついている。
ここは1946(昭和21)年に天皇陛下が愛知県内を視察されたときに宿泊された部屋にも関わらず、
その後は1986(昭和61)年まで事務室として普通に使われていたらしい。
賓客を迎えることが増えてきたため本来の貴賓室として復元したとのこと。


ここにも大理石の暖炉がある。オレンジっぽい茶色に金の雲がかかったような派手な石は外国産だろう。
きれい過ぎるので復元時に作られたものだろうか。


こちらは貴賓室に隣接する控え室だが十分豪華。寄せ木の床もこちらではよく見える。




さてこちらも本日特別公開の2階の元議場。現在は講堂として式典などに使われている。
ドアにはのぞき窓が。


市役所と異なり現役の議場でないからだろう、傍聴席だけでなく下のフロアにも入ることができた。


ここも折上げ格天井。竣工当初の写真を見ると中央にシャンデリアがぶら下がっていた。
元は自然光の入る天窓だったのではないか?と想像。


繊細な模様の換気口グリル。


正面の演壇には大理石製のアーチ型の装飾が。この前に議長席があった。これもオリジナルのようだが
ちょっと宗教施設のように見えなくもない(笑)




議場前の廊下はサンドベージュ色の外装タイルが貼られているが、よく見ると数段ごとにボーダータイルの
ラインが入っているというさりげないこだわり。さりげな過ぎてちょっと見ただけでは気づかない(苦笑)。


傍聴席へ上がる階段の踊り場の壁の腰張りもサンドベージュ色の二丁掛タイルが使われているが、
階段部分のタイルは平行四辺形になっているな。


斜めの辺の長さが二丁掛タイルの高さと同じ。ぴったり勾配に合っているので、特注で作られたものだろう。

こちらは裏の階段だが、メインの階段まわりは壁にトラバーチン、手すりにも大理石とやはり石使いが目立った。

県庁舎は復元された部屋が多くオリジナルの保存度合いは名古屋市役所の方に軍配が上がるが、
こちらも見ごたえがあったな!
市役所と県庁をすみずみまで一度に見れるこの機会は貴重。うまくタイミングが合って来れてよかった~~

名古屋まだ続く
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愛知県庁舎の石とタイル

2017-11-29 22:05:04 | ディテール
名古屋の続き。

名古屋市役所で2時間あまりとってしまったが、、、隣にはまだ愛知県庁舎がある。
ここはまた言わずと知れた帝冠様式の壮麗な建物で、内部の様子は全く知らなかったが、当然市役所に負けずとも
劣らない豪華なものであるはず。しかし・・・この2件だけで今日1日終わってしまうかもしれないな(汗)


イベント用に建物前にステージが組まれているので全景を撮るには難しいが、外観はいつでも見れるしいいや。
さぁ中へ入ろう。


入口を入ったホールは市役所よりも狭く、右手奥に階段が1ヶ所、左手にエレベーターが配されている。
特別公開日の今日は絶好のPRの機会として、県の関係者や各種団体の人々が、入って来た客を逃すまいと
待ち構えていて、ホールはごった返している。リーフレットやらティッシュやらを次々に手渡され閉口。。。


人混みをすり抜けて階段で2階へ行くと、2階のホールにも出店形式のPRコーナーが(汗)。
逃げるようにエレベーターに乗り込み一気に6階まで上がり(苦笑)、さらに階段で屋上へ。


青銅の巨大瓦も目の前で見えた。デカイな!!


臨時の展望台が設えられていて、そこからは隣の市役所の時計台がよく見える!四方にらみのシャチも。


上から見下ろすと、棟がロの字形に中庭を囲んだ形になっており、その中央の議場棟へ渡り廊下がつながる。


外壁のレンガ色のタイルは、縦溝はないものの市庁舎の外壁タイルと似ているな。


議場と渡り廊下の陸屋根の上にもタイルが貼られている。クリンカータイルのようだが、屋上のものとは違って
何か変わった模様だ。こないだどこかで読んだ、武田五一デザインのパターンタイルのように見えるな。
よく見えるところがないかと思いながら階段を下りてくると、ちょうど間近で見れる3階のホールが
一番県の各課PRが激しく、テーブルやらパーテションやら箱やら人やら、、、ごっちゃり置いてあって
窓に近づくことができなかった(苦)。


4階の窓から撮った写真を帰ってから拡大して見ると、やはりそれのようだ。
一種類のデザインで組み合わせ方によっていろんなパターンを生み出せるというタイルで、武田五一が
考案して伊奈製陶が製作したと、ついこないだ見た記憶があるのだが、何の本だったか思い出せない。。。



'17.12.4追記
載っていたのは「日本のタイル工業史」の本だった。それによると、このタイルは「萬華タイル」という名で
発売されたものといい、大阪市立美術館でも使用されているらしい。今度探しに行こう。

6階の中央は正庁である。高い格天井には菊の御紋が入っていたが、昔の写真を見ると模様が違っていた。
内部はほとんどきれいに改修されているようだ。奉安庫も展示されていたが、それよりここでは足元に注目!!


一段高くなっている演台の足元には大理石が使われているのだ。しかも、この色、この柄!
美濃赤坂産の更紗大理石だな!




これはイタリア産だろうが、私の好きな黒に金のヒビ模様入りの大理石。


部屋の周囲の幅木部分はぐるっとすべて更紗大理石である。白に鮮やかなピンク、えんじ色、そして黄色や
緑色も少し混じったダイナミックな模様。なんて美しいんだろう!!しかも、分厚い。


端から見ていくと、模様は自由奔放で変化に富み表情豊か。本当に鮮やかで艶やかだ。


窓辺の空調グリルも更紗大理石に埋め込まれていた。


さすが赤坂大理石の産地(赤坂は岐阜県だが大きく見れば同じ地域だろう)だけあって、贅沢な使い方だなぁ!



いや~~貴重な更紗大理石をふんだんに使っていてすごいな!これはリーフレットに見どころとして書いておく
べきじゃないの!?

続く
コメント (2)
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名古屋市役所のタイル3

2017-11-28 22:56:44 | ディテール
名古屋市役所の続き。

さぁ4階、お目当ての特別公開の貴賓室化粧室へ。


うっひゃ~!!すごい!!広さは8畳間くらいだろうか?その床と壁が全面、光沢のあるトルコブルーのタイル
に覆われているのだ!!これも小森忍のタイル。美しすぎる~~~


華麗な脚付きのシンクは輸入物だろうな。カウンターは上品な色の大理石製と見られる。


水彩絵の具を水でにじませたような一枚一枚のニュアンスが、黄色い光に照らされて強調されている。


袖壁の向こう側がトイレで、ドアはない。実用としては開放的すぎてちょっと落ち着かないかもね(笑)


正方形のタイルが基本だが、足元の幅木の部分は縦長で入隅にアールをつけた役物タイルで美しいおさまりに。


特に、先端が丸くなった袖壁の足元の優美さといったら!!


あぁ、こんな贅沢なトイレが他にあるだろうか。。。一日中でもここに座っていたい(笑)


締め切られていたカーテンの端をちょろっとめくると、、、あっ、このタイルはこんな爽やかな色だったんだな。
光の具合で雰囲気がだいぶ変わるなぁ!白熱灯に照らされたあでやかな色もいいが、本来の爽やかな水色も素敵。


いつまででもここに居たいのだが、見学客が入れ替わり立ち替わりやって来るので、独占するわけにもいかず
渋々(苦笑)立ち去る。。。


そしてこちらが貴賓室。ドラマ「華麗なる一族」のロケでは大蔵大臣応接室として使われたらしい。


奥に大理石製の暖炉が見えた。


今はあまり使われることのない白黒のはっきりした大柄の大理石、私は好みなんである。


この照明もいいなぁ。シェードにしているのは薄くスライスした大理石だな。


巨大な市庁舎は中にいると迷いそうだが、模型を見てもやっぱり複雑!
奥の部分(写真左側)は後の増築のようだ。




エントランスの床の色とりどりの大理石タイルもきれいだなぁ~


外も内も全面タイルに覆われた巨大な建築。手仕事感あふれる素晴らしい工芸タイルが満載で
しかもオリジナルがよく残っている。まさにタイルの殿堂!
また随所に使われた大理石も素晴らしい。あぁ、満腹満腹!来てよかった~~
ここだけで2時間ぐらい過ごしてしまった(笑)。

続く
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名古屋市役所のタイル2

2017-11-27 21:02:48 | ディテール
名古屋市役所の続き。

中央廊下を見たあとはエレベーターで5階へ上がり、そこから階段を上って屋上へやって来た。
市役所のシンボルである時計塔のすぐそばまで寄ることができた。


こちらは階段室の外壁のタイル。うずら卵のような模様がついており、遠目にはベージュ色に見える。
5階の壁もこのタイルが貼られていた。


外から見ると地上5階建だが、実は時計塔のある中央部の5階は中が二層になっているので6階まである。
6階部分の外壁にはなまこ壁風のテラコッタが貼られており、その上には瓦屋根風のテラコッタも載っていた。
時計塔のてっぺんの屋根とともに、建物になんとなく和風の印象を与えている。




ところでなまこ壁風の意匠は、外側に面した部分のみテラコッタ貼りで、内側は同じデザインながら人造石
洗い出し仕上げになっていることを発見。何で??テラコッタが足りなくなったのだろうか?(なことないか)
外と内で材質が変わっているのは建築当初からなのだろうか。
洗い出しの部分が全体的に黒ずんでいるのは、戦時中に外壁が防空色に塗られ、戦後洗い落とそうとしたが
落とせず残ってしまったからとのこと。


5階へ下り正庁を見る。ここは儀式や典礼の際に使用する格式の高い部屋だった。現在も式典や年始の市長挨拶
などに使われ、通常は内部見学もできない部屋であるが、特別公開の今日は中に入ることができた。


天井は格天井、シャンデリアは後年に取り替えられたものらしいが、和風で迫力のあるデザイン。


周囲の壁の腰までの高さにはえび茶色に白いヒビ模様が入った大理石が貼りめぐらされている。


ドアのノブも凝ったものが使われているな。


時計塔にも今回特別上ることができるというので20分ほど順番待ち。5階から階段を上り、さっきの
テラコッタ貼りの6階部分へ行き、そこからは細い階段をぐるぐると上って行く。踊り場の床はちゃんと
タイルが貼られているのに驚いた。


時計の機械がある部屋は11階にあたるらしく、見晴らしは抜群!


昭和42年までは手動巻上げ式であったがモーター式に改修されたとか。
塔屋の四方に文字盤があり、窓から文字盤の一部が見えていた。


写真の枚数の都合上、先に議場を紹介。3階の傍聴席から円形の議場を見下ろす。ここも通常は非公開。
円形の議場は全国的にもあまり例がないらしい。何か映画のセットのようだ。
今も市会の本会議が開かれる場所であり、2階の議場へ直接入ることはできなかった。


中央部が一段上がった折上げ格天井。


庁舎内の廊下は落ち着いた色合いのタイルを組み合わせて。


階段の手すりは国会議事堂と同じ「小桜」という山口県産の良質の大理石が使われている。
国会議事堂の余材が使われたという。


階段ホールは色違いの布目タイルがびっしりと。ほんとに名古屋市庁舎はタイルの殿堂だな!!


続く
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名古屋市役所のタイル1

2017-11-26 22:09:14 | ディテール
11/3に名古屋市役所の特別公開にあわせて名古屋へ行ってきた。
美術タイルで有名な小森忍の山茶窯製タイルが敷き詰められた貴賓室のトイレがいちばんの目当てなのだが
他にもいろいろあるというし、同日で愛知県庁舎も特別公開されるというので期待がふくらむ。

3連休の初日は申し分ない爽やかな秋晴れで、週末雨続きの後だけに人出は多く、地下鉄名古屋駅のモザイク
見てから11時頃に市役所に着くと、すでにエントランスホールは人で溢れていた。




人が入らない写真を撮りたければ朝イチに行かないと、と助言をもらっていたのだが、まぁいろいろ見ながら
人の途切れるタイミング待つのもいいかと。


中へ入ると正面にドカンと階段が。


階段の親柱には透かし彫りの焼き物の照明器具がついている。これも小森忍なのだ。三彩釉の混じり合う
グラデーションと光沢が美しい~!


この照明器具と同じものが1階から5階まで各階についている。


今日は1F~5階までのフロアに加え屋上と時計台にも入れるという。広すぎてどこから見ればよいのか
戸惑ってしまうな、、、


1階の階段まわりと両翼の棟の廊下を覗いたら階段を上がろう。
中央の踊り場から左右へ分かれて2階へ上っているが、それとは別に、そのまままっすぐ続く階段があるな。
まずは直進してみよう。


うわっ、この中央廊下、両側がびっしりタイル貼りだ。黒い二丁掛サイズと、黄褐色のボーダータイルがしましまに!
この黄褐色のタイルが金色に見えて、なんかツタンカーメンの黄金のマスクを思わせる。
こってりと釉薬の乗ったリッチなタイル。出っ張った柱型も役物タイルを使って巻いてあり、廊下を歩くと
なんとも贅沢な気分だなぁ!


これも小森忍のタイルなのである。マットな黒タイルはよく見ると群青の粉を振りかけたように青い点々があって、
眺めていると漆黒ではないことが分かってくる。




中央廊下を渡りきったところは議場前のロビー。そこにもまたすばらしいタイルがあるのだ!
壁面にある黒い大理石の額縁の内側に、艶やかなタイルが貼り詰められたコーナーは、シンボリックで
まるで祭壇のよう。


エンジ色~水色のさまざまな色が混じりあった複雑な色合いの窯変タイル。
一枚一枚全く異なる表情で、同じものはひとつもない。


うわぁ・・・・ずっと眺めていても飽きない。この前でいつまでも眺めていたい。
しかし次々人がやってくるので譲らないとね。。。


このツタンカーメン風しましまのタイルがとても気に入って、中央廊下と議場前を何度も行ったり来たり。




建築当時のタイル貼り施工中の写真が展示されていた。職人さんが床に座り込んで床のモザイクタイルを
一生懸命貼っている。壁も床も、外も中も全面タイル貼りの京都市役所、タイル職人さんたちは本当に
大変だっただろうけど、達成感あっただろうな!!


ところで、市役所の外壁は茶色いタイルに覆われているが、外観を眺めているときもスクラッチタイルにしては
ちょっと変わった質感だなぁと思っていたのだが、近くで見るとかなり変わっている!!


深い凹凸の縦溝はまっすぐでなくゆらゆら波打っている。タイルは二丁掛サイズだが上1/3には溝がなく、
連続して貼るとその1/3の部分が目地のように見えるのだ。それによって、外壁の広い面積を貼るのに
ふさわしい密度の大きな陰影が作り出されている。

このタイルも渋くて素敵だなぁ~!

続く
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純喫茶アメリカン

2017-11-22 22:19:12 | 
食道園を出て難波駅へ帰る途中、雨を避けてアーケード街を通ったら、純喫茶アメリカンが。あぁ、ここか。
超有名純喫茶だが、私は入ったことあったかな、、、あったとしても忘れてるぐらい前か(苦笑)


ここも昭和ゴージャス。キラキラピカピカ、でも下品ではない。華やかでワクワク、テンションが上がる。
女王様が降りてきそうなドラマチック階段が私を誘惑する(笑)。ちょっと、食後のお茶でもするか~


ガラスドアを入ると、まるで天井から降り注ぐシャワーのようなシャンデリア。


吹き抜けの壁には躍動感あふれるアート装飾が。ここは美術館のロビーか!?


店内はすごく賑わっている。お買い物途中のおばさまたちが多いようだな。私が席についてほどなく満席になった。


天井を見上げると、波間に浮かぶクラゲのような照明が。


木目模様の壁が波打ってる!そこにビー玉をはめ込んだような窓・・・斬新すぎる!




席ごとに飾られている大きなユリの花は造花かな?と思ったら本物だ。


クールなデザインのパーティションは、なんと貝殻を貼り合わせてある。


トイレに行こうと思ったら・・・うわ~、この照明は何!?目みたい~~
その背後の壁は大柄の大理石。


トイレの床にはこんな人研ぎの模様が入っていた。




変わった意匠が満載の昭和ゴージャス、無機質でメタリックな素材と、有機的な形や模様、質感が
混在していて面白いなぁ!楽しいなぁ!カッコイイなぁ!


ケーキと紅茶で1000円近くのお値段もゴージャスだったけど、、、(苦笑)
充実した一日になった。


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食道園宗右衛門町本店でランチ

2017-11-21 23:34:23 | 建物・まちなみ
少し前のこと。
イケフェスで土曜日に見た食道園がよかったとmayumamaさんから聞いたので、翌日の日曜日に
見に行こうかと思ったのだが、その日午前中に陶芸教室の予約を入れていたので、開店前の時間帯で設定
された見学時間帯に行くことができなかった。
陶芸のあとガスビルを見てから、ふと思いついてスマホで調べると、ランチが意外にリーズナブルなので
食べに行くことに。2時頃だとお客も少なく落ち着いているだろうし、イケフェス期間中だから見学を
お願いしたらOKしてくれるかもしれない。

宗右衛門町の中ほど。普段全く通らないので、こんな建物だったかとあらためて見上げる。9階もあるんだな。


ガラスドアを入ると、、、おぉ、きらびやか!ホテルのロビーみたいだ。


天井から円盤型の照明がぶら下がり、床には人造石研出しで大小の丸が描かれている。


1人と告げ、案内係について奥へ行くと、、、うわぁ!!たくさんの座席に区切られた広いフロアで
まず目を引くのは床の六角形の模様。これも黒と茶色と白の三色に色分けされた人研ぎ。
天井はひし形の格子状のスリットの間に明かりが埋め込まれていて、キルティングみたいだ。




そしてぐるっと周囲の壁いちめんにガラスのモザイク壁画が!!
夕闇に浮かぶシルエットはマンハッタンなのか、淀川越しに見る大阪のビル群なのか。


これほど大きなモザイク壁画、ガラスのテッセラを一枚一枚貼るのはいったいどのくらいの時間かかっただろう。


壁際のボックス席に突き出したフードは近くで見ると銅の打ち出しのようだ。
ひとつずつ手作りなのだろうか!?




ランチが出てくるまでの間にちょっと店内を見せてもらうことに。写真撮影も承諾いただいた。


通路沿いの型板ガラスの衝立も素敵だなぁ。


衝立の中はタイル床の座席。


ピビンバと冷麺のセットは、それぞれハーフとは思えないボリュームでおいしくて815円(税別)って、感動的。


食べ終わってお勘定してからちょっと上階も見せてもらう。
エレベーターを回り込むように作られた階段を上っていくと、壁がいちめんタイル貼り。


中央部が出っ張っているだけのシンプルなタイルだが、光の陰影が何とも言えず美しい!


踊り場にあるニッチ棚の中は、こちらも細かいガラスモザイクの抽象画だ。


2階は個室のフロアかな。床は1階とはまた違ったデザインの人研ぎ。


3階?4階?このフロアは特にいい感じ!人研ぎの床、壁の渋い赤色のタイル、照明もかわいいなぁ!


リッチな雰囲気のカウンターはクロークのようで、ここはパーティ用のフロアなんだろう。
日常の食事からハレの場まで、どんな場面にも対応できる大バコだ。


このビルは1968(昭和43)年築。まだギリギリ、時間をかけた手仕事が健在だった時代なのだろう。
あぁ、昭和ゴージャスで心身ともに(!?)おなかいっぱいになったな!

こんな立地にありながら安いランチ客に対しても対応よく見学までさせてくれたお店の方に感謝!
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COFFEEユニオンに行って来た。

2017-11-20 22:04:50 | 
平日のお昼時に烏丸御池を通る機会がやっとできたので、ずっと前から入りたいと思っていた純喫茶、
COFFEEユニオンへ。うぉ~ぅ♪相変わらずそそられる店構え。
町家の軒に並んでこのゲームセンターみたいな(笑)緑色のテントがいいでしょ!


深い軒の下の奥まった入口。横縞のモールガラスにコカコーラのロゴが60年代アメリカンな雰囲気!?


メタリックな入口のロゴ、アクリル板の切り文字もまた魅力的だね。




さぁ、中へ・・・・ぉぉぉ、渋い!!
外観の印象よりも内部はあったかい山小屋風のインテリアだ。かなり広いな。
柱や梁は削り目をつけてあり、一部にチューリップ(と言われていた)の模様の透かしが入っている。


どこに座ろうか・・・ちょっと迷ったが、壁画の前の席に腰を下ろし、カフェオレを飲みながら
店内を惚れ惚れと眺める。


この壁画はコーヒー豆の収穫の図だろうか。1953.1.15の日付が入っていた。お店ができたときに
描かれたもとするとその年が開業年だろう。しかし昭和28年って、戦後ほどない時期じゃないの!?

お勘定をするときにマスターに聞いてみたら、やはり1953年にお店を始められたという。
ママさんも出てこられて少しおしゃべり。この店の内装は京都の画家で片山さんと言う人が手がけて
くれたもので、最初白い壁だったが寂しいからと言って絵を書いてくれたのだとか。

画家でも、絵だけでは食べていけないから喫茶店の内装を手がけたりすることがよくあったらしい。
片山さんという人は京都の方で、他にも裏窓、ソワレなど、京都の多くの喫茶店を手がけられたという。
へぇ~!!
壁の絵のほか、柱の彫刻や、表の「香り高い珈琲の店」という味わいのある看板も手作り。
小さな工房を持っておられて何でも自分で作られたそうだ。


お店の中ほどにある吹抜けみたいな空間は、増築するときに元々中庭だったのをふさいで天窓にした部分。
自然光がやさしく差し込み、その下はスポットライトに照らされた舞台のよう。
やはりその明かりがいいといって俳優さんや女優さんの撮影をされたこともあったとか。

当初はだるまストーブがあり、煙突を中庭へ抜いていたのだそうだ。

カウンター前のクリンカータイル。これの正方形のパターンは時々見かけるが、長方形バージョンが
あったのか!第一、長方形のクリンカータイルなんて見たことない気がする。しかもこの微妙な比率。。。


古くからの商業地ではよく聞く話だが、染織産業華やかなりし頃は周辺の会社の人が仕事中に休憩や打合せに
使って大変賑わい増床もしたが、今ではお客は減り、土日は人がほとんど通らないので閉めているそうだ。

ライオンの壁泉のエプロン状の池は撤去され、今はもう水が出ない。

ただ月に一回歌声喫茶をやっていて、その時だけは50人ほどのお客で店はいっぱいになるのだとか。

60年以上もの間、オリジナルの雰囲気を大事に残して続けておられる。華やかではないが隠れ家のように
落ち着ける純喫茶はほんとに貴重。気さくなマスターとママさんからお話を伺いながらいろんな光景を
思い浮かべ、とっても素敵な時間をすごすことができた。また行きたいなぁ。

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2017.08.10~13 江差・函館 もくじ

2017-11-18 22:20:52 | Weblog
バニラエアの関空~函館便が運航されたというので速攻で予約、お盆の三連休に1日プラスして
3泊4日で行って来た。

知内温泉旅館に泊まる
江差線の廃線跡
江差のニシン御殿
檜山爾志郡役所
函館の建築めぐり 聖ヨハネ教会
函館の建築めぐり 元町配水場
函館の建築めぐり 旧イギリス領事館
函館の建築めぐり 旧相馬邸
函館の建築めぐり カフェ三日月
函館の建築めぐり 大正湯
函館の建築めぐり 五島軒と旧今井百貨店
函館市電駒場車庫
駆け込みで、函館の建築めぐり

別日程で函館に滞在されていたTさんと合流して知内温泉旅館に泊まり、翌日一緒に江差へ。
函館に戻ってからはずっと雨と暴風。ボトボトになりながら、吹き飛ばされそうになりながら、
建築めぐりをした(笑)。2回目の函館だが、前回中を見れてなかったところ、気づかなかったこと、
いろんな発見があって、やっぱり楽しいなぁ!
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駆け込みで、函館の建築めぐり 

2017-11-17 23:35:44 | 建物・まちなみ
函館の続き。 

駒場車庫から函館駅前へ戻り、ニチロビルのカフェMARUSENでランチを。


このビルは1934(昭和9)年築。日魯漁業函館支店として建てられた。
平面的なファサードだが、1階に半円アーチが並び、2階から上は同形の縦長窓が2つ、3つ、4つと
リズミカルな吹き寄せになっている。

※これは前日の夕方に撮った写真。

カフェは元事務所で天井が高く広くておしゃれな空間だ。
駅前の朝市と賑やかなベイエリアの中間の少し殺風景な場所にある分、落ち着いた大人向けのお店となっており、
ジャズライブなども定期的に開かれているようだ。


ハンバーグのランチを頼んで、出てくるまで店内をちょっとうろうろ。
入口部分の床がかわいいタイル貼り!六角形タイルと思ったら丸タイルだな。


その内側がクリンカータイルになっている。普通は外に近い部分にクリンカータイルが使われることが多いが。
トイレは上の階と言うのでいったん共用部に出たが、カフェ以外はごく普通のオフィスビルだ。
1階を誰でも入れるお店にしてくれるのはうれしいことだなぁ。


野菜たっぷりのヘルシーなランチ、とってもおいしかった~


建物を見ながらうろうろ歩いて十字街の方へ。
この辺りは前回違う道を通ったからかあまり見覚えがないな。。。


変わっているのが、この筋のいずれの建物も道路に面して平行に並ばず少し斜めに振って建っているので、
玄関先に三角形のスペースができている。アプローチを取るための工夫なのだろうか??


大通り沿いにもこういう古い商店ビルがたくさん残っているのは、奇跡だな!




十字街から裏道を歩いて宝来町の方へ。
函館には近代建築を利用したレトロカフェがたくさんあり、函館最後のお茶をどこでするか??
レトロ建築カフェマップを見ながら迷っていたのだが、やっぱり前回入れなかったひし伊へ行くことにした。


右側に母屋があり、2つの蔵がつながっている。もと入村質店の蔵であった。
ひし伊のサイトによると、1905(明治38)年築の蔵と、質草が入りきらなくなり1921(大正10)年に
増築された蔵があるように書かれており、おそらく母屋に近い方が明治、左側の大きい蔵が大正のものだろうと推測。


蔵と蔵の間に入口があり、和洋の素敵な小物で飾られている。左がカフェ、右がアンティークショップ。


蔵の中はこぎれいに改装され、レトロカフェというよりも上質なアンティーク喫茶。
次々と来店するのは旅行者でも熟年の夫婦が多い。私もちょっと有閑マダムの気分!?(笑)


さてそろそろタイムリミット。いったん宿へ戻って空港へ向かわねば。
宝来町から市電に乗って函館駅前まで戻る途中、おっ!あっ?あんな建物見たっけ???
建物に目を引かれてばかり・・・
宿で荷物を引き取って、函館駅前のバス乗り場から空港行きのバスに乗る、その前に・・・・
ダッシュでさっきのビルを見に行こう!!

このアシンメトリーのレンガタイル貼りの建物は何だろう。銀行っぽいがどうも空き家のようだな。。

そしてこちらは?色あせた看板の文字は「塩頼」?いやいや、「塩瀬」だな。検索してみると
お菓子屋のビルだったようだが、ここももう営業していなさそう。。。


2階と3階の窓の付け柱が面白いな!竹の節?背骨?これはテラコッタだろうか、それともモルタル造形?
ちょっとよくわからなかった。


そしてこちら、坂内タイル工業と書かれている。タイル屋だけに、ファサードに使われているタイルは
あっと目を引く素敵な質感だなぁ!!


よく見るとそのタイルは、まるで一枚一枚が彫刻作品のよう。または何かの化石のようにも見える。
全部が違った柄になっているので手作りのタイルなんだろうか。さすがタイル屋!!

・・・とゆっくり見てるように書いているけど、実は宿の最寄の電停で市電を待つ時間も惜しんで、ゴロゴロと
荷物を引きながら2駅間を小走りして見に行ったのだ。そして引き返す時間を考えるともう全く余裕がない!
ということで荷物を道端に置いて自分だけダッシュで建物の前まで50mぐらい走り、1分そこそこで引き返し、
またバッグを引きながら小走りで2駅、ギリギリ空港行きのバスに乗ったのだった。ゼイゼイ(汗)
あぁ、いつも最後は慌しい。。。

終わり。
コメント (2)
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函館市電駒場車庫

2017-11-16 23:14:31 | 鉄道風景
函館の続き。

最終日も朝から小雨が降ったりやんだり。昨日よりはマシだけど、この旅の間じゅうついにすっきりとした
青空には出会えなかったな・・・

今日は朝から市電の駒場車庫へ。地図で見ると近いのだが実際に行ってみると結構遠い。湯の川温泉方面へ
30分ぐらい乗ったところに「駒場車庫前」という電停がある。


道路の真ん中を走る併用軌道からカーブを描いて車庫へ入って行く引込み線はやっぱりわくわくするな!!


こは函館市電の唯一の車庫で、本社もある。車庫は100m以上奥まで続いており、留置線や修理工場などが
前面道路からも見える。横や裏から車両が見えるかと横の道へ回り込んでみたが、不法侵入できないように
高い塀できっちりと囲まれ、場内の様子は全く見えもしなかった(苦笑)


「函館馬車鉄道記念碑」があった。それによると、1897(明治30)年に北海道で初めての馬車鉄道が開業、
東川町本社~弁天町(現函館どつく前)の間を、2頭の馬が客車を引いてレールの上を走ったのだとか。
国際色豊かで活気に満ちた港町をさっそうと馬車が走る、外国のまちのようなハイカラな光景だ。

1911(明治44)年に、函館水電が函館馬車鉄道を買収、これにより馬車鉄道は電化される。

この小屋が味わい深すぎる・・・
踏み石も廃線になった路線から撤去してきたものを使っているのかな。。




敷地内には立ち入れず道路から見るのみだが、新旧いろいろな車両が車庫内に停まっていた。


レールはくねくねと自由自在に延びて敷地の奥まで入り込んでゆく。


最近は新型車両でラッピングしたものが多いが・・・旧型のも少しは残っているようだ。昭和30~40年台
頃の車両だろう。


あぁ、来てよかった!!


さて、また建築を見るために中心部へ戻る。ちょっと効率悪いなぁ・・・


自由市場は日曜定休と聞いていたのでガッカリしていたが、市電で通りかかったら開いてるじゃないの!
ここが楽しい楽しい♪駅前の朝市よりも落ち着いた雰囲気で値段も安そう(と言っても観光客向けだろうが)。


ここで買ったニシンの「味噌みがき」と「みりん干し身欠きニシンスライス」、そして「鮭とば一番干し」が
もうめちゃウマ!!あぁ、あの味が忘れられない~(爆)


鮮魚も買いたかったがガマン・・・真夏だし、飛行機に乗るし。。。

空港に向かう前に函館駅前の土産物屋で買った「鮭重ね巻」「鮭太昆布巻」、こちらも顔がニヤけるおいしさ。
あぁ、もう一度これらを買うためだけにバニラエアで函館へ行ってもいいなぁ!(笑)

続く。
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函館の建築めぐり 五島軒と旧今井百貨店

2017-11-15 23:15:00 | 建物・まちなみ
函館の続き。

五島軒本店にやって来た。結構新しいなぁと思って前回は外観を見ただけだったが、ステンドグラスが
あるというし、食事をしなくても見せてもらえるらしい。


五島軒は1879(明治12)年創業、実に140年近くの長きにわたり函館で営業している老舗だ。
建物は1934(昭和9)年竣工。ここもまた、昭和9年の大火で焼けた後に復興した建物である。


骨がボキボキに折れてちゃんと畳めなくなってしまった傘を傘立ての後ろに隠すように突っ込む(笑)。
さっそく入口の風除室のらんま部分にステンドグラスがあった。すずらんだな。北海道らしいデザイン。


そしてホールの天井を見上げるとこんなレリーフが施されていて、やっぱり高級レストランの風格があるな!


見学のみと申し出て、エントランスホール、ロビー、階段などをうろつく。クッキーやレトルトカレーなど
を売っている物販コーナーもあるな。


やっぱり階段がいちばんの見どころ。


これだ!三人の女性を描いたステンドグラスが、踊り場のところにはまっていた。
レストランにふさわしく果物や魚などが描かれ、女性は異国風の風貌。


オパールセントグラスを巧みに取り入れ、女性の髪や衣服のドレープを表現している。


背景は幾何学的でモダンなデザインだ。紫やターコイズブルーが効いているな!どことなくエキゾチックな
雰囲気をかもし出している。


店を出ようとしたら、あれ??傘がない。カウンターの兄ちゃんにおずおずと「あの、ここにビニール傘を
置いてたんですけど。ちょっと骨は折れてたんですけど。」と聞くと、あっ、という顔をしてカウンターの奥へ。
・・・どうやらゴミと思って捨てられたようだ(苦笑)
「折れていたので・・・代わりにこれよろしければ使って下さい」と、少し小さめだがきれいなビニール傘を
渡してくれた。まぁ折れていない分さっきのよりは雨をしのげるかな。ありがたく使わせて頂こう。

坂を下りて十字街へ。旧今井百貨店函館支店はあいかわらず見映えがするなぁ!
現在は函館市地域交流まちづくりセンターとなっている。 1923(大正12)年築。


まだ開いているみたいだな。中に入って見てみよう。


おぉ、角地にある入口の風除室の床はモザイクタイル貼りだ。○×みたいな模様。


天井にもレリーフ装飾が。


中へ入ると・・・おやっ、柱や壁は大理石貼りなのだが、違う柄の石材を組み合わせてあるな!?
白と黒の大きな柄の石と、ピンク色のもやもやとした柄の石が、市松模様のように互い違いに並んでいる。
こんなのはじめて見るなぁ!




中は広々としているというよりガランとしている。お客が誰もいないせいだろう。
部屋の中央にあるカウンターの両脇の柱も八角形で、面ごとに柄の違う大理石が貼られている。


梁が複雑!!建物が角丸になっているからだろうか。


いったい、どこからどこへ梁が渡っているんだか・・・(笑)
配線用のラックがなければ、この構造美をもっと楽しめるのになぁ!!

すでに閉館時間を過ぎていたようなので退出。もう少し探索すればもっと見どころがあったかもしれないな。
まぁ、この建物は壊されることはないだろうから、またの機会に。

続く
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函館の建築めぐり 大正湯

2017-11-14 22:24:59 | 温泉・お風呂屋
函館の続き。

カフェ三日月を出てまた雨風の中へ繰り出す。もう函館のまちの端まで来たな。。
さてここでリベンジは大正湯。前回は2日連続で来たのだが、夜に行った1日目は定休日、午前中に行った2日目は
開店時間前で入れなかったのだ(泣)。果たして今回は・・・開いている!!よっしゃ~~


一面ピンク色のペンキで塗られた下見板張り洋館は、ともするとちゃちに見え、景観を害しそうだ。しかし
函館のまちはそれを許容する大らかさがある。この街ではこんなド派手な建物も、何の不自然さも感じさせず
さらっと建っている。

写真を撮っていたら常連さんらしきおばちゃんがやって来たので、すごく素敵なんで写真を撮らせてもらってます~、と
言ったら、中で聞いたらいろいろ教えてくれるよ、とニコニコしながら入って行かれた。

今日はタイルもガラス越しでなく見ることができる。タイル一枚が緑色と白の四分割の市松模様。鮮やかな緑は
今ではもう出せないこの時代特有の色だ。「大正湯」の文字が力強くていいな!!


さぁ、ひとしきり外観写真を撮り終わったので、いよいよ入ろう。
ガラッと戸を開けたら、番台と、古そうな男女の仕切り壁が目に入る。
さっきのおばちゃんが番台のおかみさんに話していたようだ。
素敵ですねぇ~、だいぶ古いんですか?創業は大正3年です。へぇ~!建物はそのままなんですか?
仕切り壁と天井はそのままです。浴室の壁はもとは板張りだったんですけどね。
火事にはあわなかったんですね!戦争のときに焼夷弾の火の粉でこの辺も火事になったけど、すぐ上の
蔵のところで止まってね、ここは焼けなかったんですよ。へぇ~、そうなんですか!よかったですね~~


雨に濡れた靴下を脱いでほっとした(苦笑)
雨風の中歩き回って疲れたのでしばし浴槽の中で脱力~~~

お客が何人もいたので内部の写真を撮らせてとは言えなかった。しかし繁盛しているのはうれしいことなのだ。

さぁ、お風呂上りでもう気分は夕涼み。ふらふらと建物を見ながら市電の電停へ向かう。
あっ、入口の妻飾りがカワイイこのサーモンピンク色の建物は何だ?


伴田米穀店と書いてある。よくある総2階建てではなく下屋の一部に2階が載ったタイプ。


ガラスに顔をつけて中を覗くと、確かにお米の袋やら砂糖などが積まれている。
こんな古い建物をそのまんま、きれいに保ちながら普通に使い続けているって・・・すごいなぁ。


古いのかどうか一見判断がつかない場合、入口付近にプレートを探すとよい。「函館市景観形成指定建造物」と
書かれたプレートがあればそこそこ古いことが分かる。この指定はかなりこまめにされているようで、
一見装飾のないシンプルな建物でも元の躯体が古いものはちゃんと指定されている印象だ。


石造の蔵。緑のドアが美しい。


終点の函館どつく電停。道の真ん中でスパッと終わっている市電の線路。
ここから2区間だけ市電に乗ってショートカットし、末広町で下りる。


ペパーミントグリーンの旧相馬合名会社は相変わらず密度の高い建築だ。


ここから基坂の上手を見ると。正面に相馬氏の寄付により建てられた函館市公会堂の雄姿が。
殿堂と呼ぶのがふさわしい、函館のシンボルだ。


市電通り沿いの建築を見ながらぶらぶら。




再び坂を上って、五島軒へ向かおう。


おや、ここは前回レストランになっていたと思うのだが、テナント募集の張り紙が・・・
古い建物を当たり前のように使っている函館のまちでも、結構店の入れ替わりは激しいのかもしれないな。。。


続く
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函館の建築めぐり カフェ三日月

2017-11-13 22:47:29 | 建物・まちなみ
函館の続き。

時折吹きつける突風のせいで傘の骨は一本、また一本と折れていく。曲った骨を反対向きに力を加えて戻すが
またすぐ曲がり・・・(苦笑)

おや、この建物は何だ?奥行が深く複雑な形だな。


右側のガラス張りのファサードはみかづき工房という雑貨屋、左の古そうなドアはカフェ三日月。いい感じ~
ここらへんでちょっと休憩しようと、中へ入ると・・・


うわぁ!玄関の上が吹き抜けになっている!!ただ天井が高いだけでなく、まるで銀行のように吹き抜けを
取り囲む回廊がめぐっているのだ。


吹き抜け空間が小さすぎるので実際は2階の床に井戸のような四角い穴が空いている感じだろう(笑)。


宮田商店、という表札が。


玄関の先には広い土間があって、薪ストーブが置かれていた。夏なので火は入っていなかったが
冬は暖炉を囲むようにぬくぬくしたくつろぎスペースになるんだろうなぁ~
写真の左奥が雑貨屋のスペース。手作り作家の作品など、かわいくてほしくなる品々が並んでいた。


土間に面して蔵の入口があるのが面白いなぁ!
あとから店主らしきお姉ちゃんと話して知ったのだが、宮田商店は質屋だったそうだ。
この建物は築100年以上のもので、玄関部分は昭和4~50年ごろの増築。ドアもどこかから持ってきた
ものだとか。吹き抜けの回廊に見えるところへは上がることができず、明かり取りのみだという。


ところで土間に置いてあったこれはなに!?かわいいタイル貼りの八角形の筒に目が釘付け!!


今のものかと思ったがまじまじ見ると、縁にはストレートエッジの役物タイルが使われているし、
目地にも使い込まれたつやが出ている。それに台座を見るとやはり古いもののようだ。


これは火鉢ですか?そうなんですよ。古いものなんですか?大正時代のものです。えぇ~~っ、素敵ですね!!


この台座は床に固定されてるんですか?いえ、動きますよ。・・・確かに、2ヶ所に取っ手がついている。
もともと火鉢だったんですか?そうですね、下がコンクリート詰めになっているんです。
一時は灰皿として使われていたみたいです。へぇ~~面白い!

カワイイ火鉢のとりこになってしまい、なめるように眺めまわした(笑)

もちろんお茶を頂く。写真撮影の許可は頂いたが常連さんらしきお客さんがいたのであまり写真を
撮れなかった。もともと和室だったところにソファーが置かれ暗めの明かりでとっても落ち着く空間だ。
一部がカウンター席になっている。


宮田商店は質屋をやめてから、今三日月工房になっているスペースでよろず屋のようなお店をされ、
15年ほど前まで住んでおられたとか。


階段は洋風。2階も見てみたかったが、上は設計事務所が借りているとのことで上がれなかった。


建具などはほぼそのまま。1枚ずつ違った柄のすりガラスや型板ガラスがはめられていて素敵だなぁ!!



外から見ただけでは、内部がこんなだとは分からなかったなぁ。お姉さんも気さくで、私がいろいろ聞いても
愛想よく答えてくれた。
強風と雨から一時逃げて、思いがけず魅力的なお店に出会うことができてよかった!

続く
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函館の建築めぐり 旧相馬邸

2017-11-12 21:02:58 | 建物・まちなみ
函館の続き。

旧イギリス領事館を出て旧相馬邸にやって来た。今度こそ見学するぞ~
長い板塀に囲われた敷地の中に2階建ての主屋が建つ。純和風のむくり屋根の玄関の横に、
取ってつけたようにペパーミントグリーンに塗られた洋室がある。


玄関で傘をたたみ中へ入ると、、、内部の写真撮影は禁止と。ええ~~~っ、そうなの!?ガックリ。。。
ま、気を取り直して。。。準備されていた乾いた靴下に履き替え、係員のお姉さんの説明を聞きながら見学。
この邸宅は、坂の下にある相馬株式会社の創業者である相馬哲平の自邸であった。
初代相馬哲平はもともと越後出身で、函館へ渡り商人として働いてきたが、うまく時代の波に乗り一代で
北海道一の豪商となった。大火で消失した公会堂の再建や数々の公共事業に私財を投げ打ち、地元銀行の頭取、
貴族院議員にも就任して、函館の近代化の基礎を築き上げた人である。


洋館は客人のもてなしの空間として造られたもので、内部はやはりすごい!
中央の照明の台座と天井の四辺には何重ものモールディング、雷文のレリーフも施されている。
前庭に面した上下窓には、緻密なレリーフが施された木製のカーテンボックスがつき、たっぷりと
ドレープの取られたカーテンが下がっている。そして細いバーがぐるりと四面の壁に巡らされているのは、
寒い冬に防寒のために厚手の布を吊るしたのだとか。

八角形の窓は強烈なインパクトがある。そこには透明の型板ガラスがはまっているが、見たことのない
模様なので輸入品だろうか。この裏は廊下である。
そして大理石の暖炉の焚口の左右にはタイルが!部屋の手前1/3ぐらいまでしか立ち入れなかったので
あまり細かく見れなかったのだが、どうもプリントタイルのようだ。とは言っても今のものではなく
古いものと思われる。暖炉の前の床にはイギリス製と思われる色土タイルが四半貼りに。
床は壁際を除いてくすんだブルーの絨毯か敷かれているが、絨毯の厚み分床板を下げて周囲の寄せ木と
ツライチにしてある凝りよう。
隣室との境の扉には黄緑色のクリスタルの取っ手が。ウランガラスだ!はぁ~~、そうきたか!


和館の方も見どころが多い。廊下に面してしつらえられた流しには、何と湯沸し器がついている。
給茶機のような真鍮製のタンクの下に、炭火を入れる引き出しがあるのだ。お客が手を洗うときに
冷たい思いをしなくて済むようにとの配慮だとか。
そして八角形の窓を裏から見ながら廊下を進み、客用のトイレとお風呂を見に行く。
大便器、小便器共に青磁製で、小便器の方は内側に梅の木が描かれている。そして床にはタイルが
敷き詰められていた!1枚が16分割の市松模様になっていて、白と薄緑色のやわらかい色合い。
境界はふんわりしていてとってもカワイイ~~!新しいものではないと思うのだが、どうだろうか。
和館の座敷も高級木材が使用され緻密な細工が施された、ことごとく見事なものである。


奥の土蔵はギャラリーになっていて、歴史資料が展示されている。その中で特に見るべきものは、
昨日行ってきた江差の、ニシンで栄えたまちの様子や人々の暮らしがいきいきと描かれた「江差屏風」。
そして、「夷酋列像(複製)」。オリジナルは現在はフランスにあるが、許可を得て複製したものという。
和人とは異なる風貌の男たち11人は、アイヌの各村の長老であった。
本州の商人が蝦夷地へ次々進出し、北前船による貿易やニシン漁によってまちがどんどん繁栄した裏で、
原住のアイヌ人は和人から苛酷な扱いを受け続け、ついに蜂起したのだった。そしてその終息のために、
蜂起の指導者たちの処刑を受け入れなければならかったのだと・・・
絵の中の長老たちの精悍な顔を見ていると、そんな昔の出来事がリアルに伝わってくる。

函館大火の資料もあった。まるで空襲後のようにすべてが焼け落ちガランとしたまちなかの写真。
この相馬邸にも火が燃え移ったが奇跡的に消し止められたといい、黒こげになったまま残る小屋裏の
柱を覗くことができた。

内部の写真がないのは残念だが、とても充実した旧相馬邸の見学であった。
一時は放置され荒れてしまっていたこの建物を、再生してこのように公開されていることは
建築的にも、歴史・文化の面でも、観光の面でも、素晴らしいことだ。壊されなくて本当によかった!
公式サイト

長居した相馬邸を出てさらにうろつく。もう暴風といえるほどの風で、しっかりしたビニール傘が
油断したら逆立ってしまうほど。雨も止む気配はない。こんな中を我ながらよく歩くなと(笑)。

南国みたいな壁の色!タイルと格子で飾られたカワイイ窓だなぁ。


高台に見えた洋館。基礎の石積みは手のひら大の玉石をチマチマ積み上げて固めてある。


木々に囲まれた青い屋根。「函館庵」と書かれたここは何?・・・どうも宗教施設のようだな。。


坂道を上って咬菜園跡を見に行く。箱館奉行から払い下げを受けた3770㎡もの土地で、各地の名花や
名木を集めた楽園のような場所だったらしい。


ふっくら石垣。かわいいなぁ!


おぉ、こちらの住宅も変わっている。通りに面した1階部分は、切石積みの基礎の上に細い格子窓と戸袋の
ついた町家風。しかし玄関側には台形の出窓、そして2階は白い壁に赤色で縁取られた縦長窓が並ぶ洋風意匠。


奥に建つ棟は平屋建てだが同じような白い板張りの壁に赤色の縁取り、緑青色の屋根とカラフル。


こちらは倉庫か作業場か・・・?


心臓破りの急坂の途中に建つ旧ロシア領事館。もしかして玄関が開いていたり、何かに転用され始めて
いやしないかと、吹き飛ばされそうになりながら見に来てみたが・・・あいかわらず玄関も門もしっかりと
閉ざされていた。


下手にあるお墓の方から、連続アーチの格子窓がちらりと見えた。・・・いつかこの中を見れる日が
くるのだろうか。


続く
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