シリーズ平成の本音―年金受給者、弱者いじめの自・公連立政権! (その1)
財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会において、2016年度の診療報酬の「マイナス改定」や75歳以上の医療費負担割合の2割への引き上げや受診時定額負担が復活など、社会保障抑制策が示されている。更に2016年1月に開始するマイナンバー(個人番号)制度を使った医療費削減策も考えられている。
財務省としては、2015年予算で社会保障費が31兆5000億円(国家予算の約3分の1)を占め、また毎年約1兆円が「自然増」するとして、その伸びを年5000億円程度に抑えたい意向のようだ。
他方厚生労働省は、9月28日、支払い年金保険料に対し生涯で受け取れる年金受給額を倍率で示し、‘公的年金の世代間格差’に関する試算を発表した。それによると、厚生年金では、70歳の者が保険料の5.2倍、30歳以下の者は2.3倍にとどまる等としている。これを丸呑みにして‘格差が依然として大きいことが浮き彫り’などと報道した保守系新聞もある。
長寿化に伴い増加する社会保障費を節減、圧縮する努力は評価するが、一方で消費増税により国民の負担を求めた上、社会保障の水準を引き下げ、受益者たる国民の負担を実質的に更に増やすことは、社会保障失政と言えるのではないか。
1、年金給付額の減額は国民の将来不安を煽るのみ
厚労省は‘公的年金の世代間格差’を問題にしようとしている。しかし65年
以上も前、昭和20年代の所得水準は、現在の10分の1から15分の1以下であり、当然保険料負担額は現在の負担額より遥かに少なくなることは明らかだ。年金保険金の所得比率がほぼ同一であるので、個々人にとって負担感には格差などはないと見られる。
年金給付については、退職時の給与水準が基準となることが加入時に明記されており、だからこそ、定年後も生活できる程度の給付があるという安心感が与えられる。それが少なくても6割近くが保障されないのであれば、実体的に退職後の所得保障にはならない。社会保障の本旨に反している上、年金保険の契約違反となる。
所得水準の低い数10年前からの負担額を基準として年金支給額を決めても、受給者はそれでは生活苦に陥る可能性が強い。そうであれば公的年金保険料など支払わず、個人の貯金や財テクに頼る方が賢明と判断されるようになる可能性が強い。
そもそも、厚労省や年金機構など政府当局は、年金給付額を徐々に引き下げ、支給年齢を引き上げ、更に介護保険料を引き上げながら年金から天引きしているので、年金受給額は減少する一方であり、それが長期にわたり国民の将来不安の原因になっていると見られる。年長者への日常的な不安だけでなく、入社後間もない女性職員もボーナスなどを優先して貯金する傾向もあるようであり、世代を問わず、年金破たんによる消費の抑制にも繋がっているようだ。
法務省や警察は兎も角として、厚労省や財務省その他の経済官庁の幹部に法学部出身者が多く、経済や経営などの見識や経験に欠け、規則、規制志向となっていることが遠因との指摘もある。
そのような年金給付額の減額は好ましくなく、逆に削減した分を回復し、将来不安を無くして行くことが望ましい。
年金受給年齢に達している者でも、高額の報酬を受けている者が多いが、年金を同じように給付している。年金財源が潤沢な時は良いが、年金財源が不足する今日においては、例えば年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、年金給付の凍結或いは2割程度の部分給付などをまず検討すべきであろう。或いは、今後就労年齢は伸びると考えられるので、65才以上でも得ている給与又は報酬が年420万円以下の者には年金を満額給付するが、それ以上の者については年金給付額を減額して行くこともやむを得ないであろう。社会保障には、所得の高い者から低い者への所得の再分配の意味合いがある。で
2、定年後高報酬の者には現役世代と同様の病院での窓口負担を
社会保障費を節減、圧縮する努力は必要であるが、例えば65才以上の者で年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、病院での窓口負担を現役世代と同水準としてもやむを得ないであろう。
他方介護については、年金生活者には追加的な負担となっているので、75才以上で年金以外の報酬が210万円以下の者については介護保険料は免除することが望ましい。
3、不可欠な人件費を含む行政管理費の大幅削減 (その2に掲載)
(2015.10.19.)(All Rights Reserved.)
財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会において、2016年度の診療報酬の「マイナス改定」や75歳以上の医療費負担割合の2割への引き上げや受診時定額負担が復活など、社会保障抑制策が示されている。更に2016年1月に開始するマイナンバー(個人番号)制度を使った医療費削減策も考えられている。
財務省としては、2015年予算で社会保障費が31兆5000億円(国家予算の約3分の1)を占め、また毎年約1兆円が「自然増」するとして、その伸びを年5000億円程度に抑えたい意向のようだ。
他方厚生労働省は、9月28日、支払い年金保険料に対し生涯で受け取れる年金受給額を倍率で示し、‘公的年金の世代間格差’に関する試算を発表した。それによると、厚生年金では、70歳の者が保険料の5.2倍、30歳以下の者は2.3倍にとどまる等としている。これを丸呑みにして‘格差が依然として大きいことが浮き彫り’などと報道した保守系新聞もある。
長寿化に伴い増加する社会保障費を節減、圧縮する努力は評価するが、一方で消費増税により国民の負担を求めた上、社会保障の水準を引き下げ、受益者たる国民の負担を実質的に更に増やすことは、社会保障失政と言えるのではないか。
1、年金給付額の減額は国民の将来不安を煽るのみ
厚労省は‘公的年金の世代間格差’を問題にしようとしている。しかし65年
以上も前、昭和20年代の所得水準は、現在の10分の1から15分の1以下であり、当然保険料負担額は現在の負担額より遥かに少なくなることは明らかだ。年金保険金の所得比率がほぼ同一であるので、個々人にとって負担感には格差などはないと見られる。
年金給付については、退職時の給与水準が基準となることが加入時に明記されており、だからこそ、定年後も生活できる程度の給付があるという安心感が与えられる。それが少なくても6割近くが保障されないのであれば、実体的に退職後の所得保障にはならない。社会保障の本旨に反している上、年金保険の契約違反となる。
所得水準の低い数10年前からの負担額を基準として年金支給額を決めても、受給者はそれでは生活苦に陥る可能性が強い。そうであれば公的年金保険料など支払わず、個人の貯金や財テクに頼る方が賢明と判断されるようになる可能性が強い。
そもそも、厚労省や年金機構など政府当局は、年金給付額を徐々に引き下げ、支給年齢を引き上げ、更に介護保険料を引き上げながら年金から天引きしているので、年金受給額は減少する一方であり、それが長期にわたり国民の将来不安の原因になっていると見られる。年長者への日常的な不安だけでなく、入社後間もない女性職員もボーナスなどを優先して貯金する傾向もあるようであり、世代を問わず、年金破たんによる消費の抑制にも繋がっているようだ。
法務省や警察は兎も角として、厚労省や財務省その他の経済官庁の幹部に法学部出身者が多く、経済や経営などの見識や経験に欠け、規則、規制志向となっていることが遠因との指摘もある。
そのような年金給付額の減額は好ましくなく、逆に削減した分を回復し、将来不安を無くして行くことが望ましい。
年金受給年齢に達している者でも、高額の報酬を受けている者が多いが、年金を同じように給付している。年金財源が潤沢な時は良いが、年金財源が不足する今日においては、例えば年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、年金給付の凍結或いは2割程度の部分給付などをまず検討すべきであろう。或いは、今後就労年齢は伸びると考えられるので、65才以上でも得ている給与又は報酬が年420万円以下の者には年金を満額給付するが、それ以上の者については年金給付額を減額して行くこともやむを得ないであろう。社会保障には、所得の高い者から低い者への所得の再分配の意味合いがある。で
2、定年後高報酬の者には現役世代と同様の病院での窓口負担を
社会保障費を節減、圧縮する努力は必要であるが、例えば65才以上の者で年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、病院での窓口負担を現役世代と同水準としてもやむを得ないであろう。
他方介護については、年金生活者には追加的な負担となっているので、75才以上で年金以外の報酬が210万円以下の者については介護保険料は免除することが望ましい。
3、不可欠な人件費を含む行政管理費の大幅削減 (その2に掲載)
(2015.10.19.)(All Rights Reserved.)