それって、国家予算の偽装?
1、 東京都などの法人事業税の地方委譲
大都市と一部の地方自治体との経済格差が問題となっているが、税収格差是正対策として、政府は、東京都や愛知県などの大都市の法人事業税を税収が上がらない地方自治体に委譲する方針だ。東京都は、「泣く子と地頭と政府にはかなわない」として約3000億円の委譲に合意した。都とすれば、これは「暫定的」な措置であると共に、見返りとして、羽田空港国際化の推進や東京外環道の整備とオリンピック招致への支援などを要求している。その不足分の財源は、地方債の発行により捻出されることになるらしい。
確かに、一部の地方は、若年層の地方離れの加速と少子化などにより、シャッターが閉められた商店街が増えるなど、経済の停滞が表面化している。地方経済の再生に本格的に取り組むべきであろう。しかし、大都市の税を一旦国税としてプールし、税収の上がらない地方都市に移譲する一方、大都市の税収不足を地方債で賄うということは、国の財源不足を地方の借金に付け替えるということに過ぎない。衆議院総選挙が何時実施されるかが注目されているが、地方の票を固めるための利益誘導とも見られかねない。
民間企業で言えば、赤字を子会社の上納金で補填し、子会社の借金に付け替えることに等しく、「粉飾」となる恐れがある。
今回の措置が実施されれば、実体上は、国家の借金(国債発行)を大都市の借金(地方債)に付け替えるだけの「偽装」ではないのか。いずれにしても、負担は納税者となり、大都市住民の負担が増えるだけだ。大都市は、人口、従って税収の少ない地方に財源を委譲する一方、投票権は衆議院で最大2分の1、参議院に至っては5分の1程度の重みしかなく、経済、政治両面で逆差別を受けることになるので、財政、政治モデル自体のアンフェアネスが大きな問題となる。
地方経済の再生についても、いろいろな形での財源委譲や公共事業の実施など、中央依存、「お上頼み」で自立的な再生が図れるのかという基本的な問題がある。地方再生で成功しているのは、地方自身の努力があるところであり、中央依存、公共事業依存の地方は債務が増えるだけで自立的な再生は図れていない。九州・沖縄、四国、山陽、山陰、近畿など、各地域が近隣地域との広域経済圏を視野に入れた活性化を、地方の経済界、自治体で協議体を作り検討するなど、抜本的な対応が必要ではないか。
2、 原油高対策
原油高対策として、政府は、寒冷地での灯油代補助や一部の高速道路料金の引き下げなどの基本方針を纏めた。しかし、原油高は、寒冷地や地方だけでなく、都市部においても、全国の運輸業や家計やマイカーを必要としている人々にも影響している。更に、年金問題による将来不安に加え、タクシー代から食料品など軒並みの値上げで家計は圧迫され始めている。このような中での選別的な政策は、原油高対策と言うよりも地方対策であり、また、高速道路料金の引き下げも、一部での引き上げを認めるか補助金や債権を出すなどの補填、見返りを検討しているのではないか。そうであれば、選挙目当ての「偽装」と言われても仕方ない。
揮発油税等の有料道路特定財源の内、恒常化している「暫定税率」部分の2分の1程度(リッター12、3円相当)を原油高の間減税し、国民全体に還元すると共に、残りの2分の1程度を一般財源化し、寒冷地対策や漁業・中小海運を含む運輸関連業などへの対策に回すなどを検討すべきではないか。
また、道路特定財源については、一部は有料道路の建設に充当することはよいであろう。しかし、少子高齢化と人口減が予想され、また、環境がより重視される中で、これまでの様なペースで有料道路の建設を行う必要性は薄れている。本体部分も、可なりの部分をCO2削減対策や渋滞解消、開かずの踏み切り解消や迂回道路(ターンパイク)建設などのために充当して行くべきであろう。
1、 東京都などの法人事業税の地方委譲
大都市と一部の地方自治体との経済格差が問題となっているが、税収格差是正対策として、政府は、東京都や愛知県などの大都市の法人事業税を税収が上がらない地方自治体に委譲する方針だ。東京都は、「泣く子と地頭と政府にはかなわない」として約3000億円の委譲に合意した。都とすれば、これは「暫定的」な措置であると共に、見返りとして、羽田空港国際化の推進や東京外環道の整備とオリンピック招致への支援などを要求している。その不足分の財源は、地方債の発行により捻出されることになるらしい。
確かに、一部の地方は、若年層の地方離れの加速と少子化などにより、シャッターが閉められた商店街が増えるなど、経済の停滞が表面化している。地方経済の再生に本格的に取り組むべきであろう。しかし、大都市の税を一旦国税としてプールし、税収の上がらない地方都市に移譲する一方、大都市の税収不足を地方債で賄うということは、国の財源不足を地方の借金に付け替えるということに過ぎない。衆議院総選挙が何時実施されるかが注目されているが、地方の票を固めるための利益誘導とも見られかねない。
民間企業で言えば、赤字を子会社の上納金で補填し、子会社の借金に付け替えることに等しく、「粉飾」となる恐れがある。
今回の措置が実施されれば、実体上は、国家の借金(国債発行)を大都市の借金(地方債)に付け替えるだけの「偽装」ではないのか。いずれにしても、負担は納税者となり、大都市住民の負担が増えるだけだ。大都市は、人口、従って税収の少ない地方に財源を委譲する一方、投票権は衆議院で最大2分の1、参議院に至っては5分の1程度の重みしかなく、経済、政治両面で逆差別を受けることになるので、財政、政治モデル自体のアンフェアネスが大きな問題となる。
地方経済の再生についても、いろいろな形での財源委譲や公共事業の実施など、中央依存、「お上頼み」で自立的な再生が図れるのかという基本的な問題がある。地方再生で成功しているのは、地方自身の努力があるところであり、中央依存、公共事業依存の地方は債務が増えるだけで自立的な再生は図れていない。九州・沖縄、四国、山陽、山陰、近畿など、各地域が近隣地域との広域経済圏を視野に入れた活性化を、地方の経済界、自治体で協議体を作り検討するなど、抜本的な対応が必要ではないか。
2、 原油高対策
原油高対策として、政府は、寒冷地での灯油代補助や一部の高速道路料金の引き下げなどの基本方針を纏めた。しかし、原油高は、寒冷地や地方だけでなく、都市部においても、全国の運輸業や家計やマイカーを必要としている人々にも影響している。更に、年金問題による将来不安に加え、タクシー代から食料品など軒並みの値上げで家計は圧迫され始めている。このような中での選別的な政策は、原油高対策と言うよりも地方対策であり、また、高速道路料金の引き下げも、一部での引き上げを認めるか補助金や債権を出すなどの補填、見返りを検討しているのではないか。そうであれば、選挙目当ての「偽装」と言われても仕方ない。
揮発油税等の有料道路特定財源の内、恒常化している「暫定税率」部分の2分の1程度(リッター12、3円相当)を原油高の間減税し、国民全体に還元すると共に、残りの2分の1程度を一般財源化し、寒冷地対策や漁業・中小海運を含む運輸関連業などへの対策に回すなどを検討すべきではないか。
また、道路特定財源については、一部は有料道路の建設に充当することはよいであろう。しかし、少子高齢化と人口減が予想され、また、環境がより重視される中で、これまでの様なペースで有料道路の建設を行う必要性は薄れている。本体部分も、可なりの部分をCO2削減対策や渋滞解消、開かずの踏み切り解消や迂回道路(ターンパイク)建設などのために充当して行くべきであろう。