平成の本音―加計学園理事長は何故贈賄で起訴されないのか?
文部科学省官僚の2つの汚職事件で、東京地検特捜部は医療コンサルタント会社役員(当時)の谷口浩司氏を逮捕した。この事件では文部科学省前局長佐野太被告と国際統括官の川端和明容疑者を相次いで逮捕した。
2つの事件では、東京医科大学の臼井正彦理事長(当時)から文科省の「私立大学研究ブランディング事業」に選定して欲しいとの希望を受け、見返りに、関係局長の息子を合格させた疑いであり、医療コンサルテイング会社の役員であった谷口氏が、会食のセッテイングなどの口利きした贈賄ほう助の疑いだ。
もう一方の事件は、川端容疑者(文科省国際統括官)がJAXA(宇宙航空研究開発機構)の理事に出向中、‘宇宙飛行士の講師派遣’など、‘便宜を図ってもらう見返りに都内の飲食店などで ’140万円相当の接待‘ をした贈賄の疑いだ。
確かに、えこひいきを受けるために何らかの対価を官側に与えるのであるから‘贈賄’と言えるのだろうが、好ましくはないが、現実の社会では ‘コネ’ があるか無いかは大きな差で、残念ながらこの種のえこひいき、情実はある程度ありそうなことだ。
‘宇宙飛行士の講師派遣’を実現するために140万円相当の飲食の接待を行うことが ‘贈賄’というのであれば、加計学園の加計理事長が安倍首相と頻繁にゴルフや会食を行っていたことが明らかになっているが、どうなのであろう。一私人、一議員との関係であれば問題ではなかろうが、その関係は首相に就任してからも続いていたことが明らかになっている。安倍首相は、国会答弁で加計理事長は ‘腹心の友’ で ‘会食やゴルフ等をしていた’ ことを認めると共に、その費用については ‘持ったり持たれたり’ であると答弁している。会食やゴルフの費用は、少なくても一部は加計理事長が持っていたと見られると共に、そのような機会には、首相側近の元秘書官の官僚や官邸高官なども呼ばれており、これも費用は先方持ちであろう。公務員倫理規定では具体的な便宜を図っていなかったとしても、利害関係者との会食、ゴルフ等に当たりアウトであろう。
その上、その頃首相として国家戦略特区を経済対策の目玉として推進し、獣医学部の新設につき検討を進めていた時期であるので、加計理事長は直接的な利害関係者であったわけであり、友人との会食、ゴルフでは済まなそうだ。
加計学園は、建設を予定していた愛媛県に対し、理事長が首相と会った際首相が好意的な発言をしたなどとの報告をし、首相との緊密な関係を利用して、獣医学部の新設を有利に進めたと見られるが、会合したということはまっかな嘘だったと理事長自体が認めている。しかしゴルフ、会食は行われており、結果として獣医学部の新設を有利に進め、非常に大きな実利を得ている。加えて、愛媛県より土地や補助金を受け取っている。どのような理由があろうとも、公的機関に報告書の形で嘘をついた加計学園は、教育者としての資格が問われると共に、国の重要な政策に係る重大な贈賄の可能性があるので、真剣に捜査されてもよいのだろう。
冒頭の文科省関係の2つの贈収賄事件が検察によるより大きな‘ヤマ’への序章なのかもしれない。しかし検察(大阪特捜)は、森友学園の国有地取得問題に関連し、大阪特捜が財務省佐川理財局長(当時)の公文書偽造を不起訴とし、検察への大きな不信を買ったが、今回は東京地検特捜の対応が注目される。
もっとも、辞任させられた文科省前川前事務次官が加計学園による獣医学部新設につき首相側からの圧力があったことを記載した文書を肯定したが、これに対する検察による文科省への締め付けの可能性もある。しかしそうであるとすると、公的正義や公的機関の公平性にとって事態はもっと深刻と言えそうだ。
正義は維持されなくてはならない。(2018.8.28.)
文部科学省官僚の2つの汚職事件で、東京地検特捜部は医療コンサルタント会社役員(当時)の谷口浩司氏を逮捕した。この事件では文部科学省前局長佐野太被告と国際統括官の川端和明容疑者を相次いで逮捕した。
2つの事件では、東京医科大学の臼井正彦理事長(当時)から文科省の「私立大学研究ブランディング事業」に選定して欲しいとの希望を受け、見返りに、関係局長の息子を合格させた疑いであり、医療コンサルテイング会社の役員であった谷口氏が、会食のセッテイングなどの口利きした贈賄ほう助の疑いだ。
もう一方の事件は、川端容疑者(文科省国際統括官)がJAXA(宇宙航空研究開発機構)の理事に出向中、‘宇宙飛行士の講師派遣’など、‘便宜を図ってもらう見返りに都内の飲食店などで ’140万円相当の接待‘ をした贈賄の疑いだ。
確かに、えこひいきを受けるために何らかの対価を官側に与えるのであるから‘贈賄’と言えるのだろうが、好ましくはないが、現実の社会では ‘コネ’ があるか無いかは大きな差で、残念ながらこの種のえこひいき、情実はある程度ありそうなことだ。
‘宇宙飛行士の講師派遣’を実現するために140万円相当の飲食の接待を行うことが ‘贈賄’というのであれば、加計学園の加計理事長が安倍首相と頻繁にゴルフや会食を行っていたことが明らかになっているが、どうなのであろう。一私人、一議員との関係であれば問題ではなかろうが、その関係は首相に就任してからも続いていたことが明らかになっている。安倍首相は、国会答弁で加計理事長は ‘腹心の友’ で ‘会食やゴルフ等をしていた’ ことを認めると共に、その費用については ‘持ったり持たれたり’ であると答弁している。会食やゴルフの費用は、少なくても一部は加計理事長が持っていたと見られると共に、そのような機会には、首相側近の元秘書官の官僚や官邸高官なども呼ばれており、これも費用は先方持ちであろう。公務員倫理規定では具体的な便宜を図っていなかったとしても、利害関係者との会食、ゴルフ等に当たりアウトであろう。
その上、その頃首相として国家戦略特区を経済対策の目玉として推進し、獣医学部の新設につき検討を進めていた時期であるので、加計理事長は直接的な利害関係者であったわけであり、友人との会食、ゴルフでは済まなそうだ。
加計学園は、建設を予定していた愛媛県に対し、理事長が首相と会った際首相が好意的な発言をしたなどとの報告をし、首相との緊密な関係を利用して、獣医学部の新設を有利に進めたと見られるが、会合したということはまっかな嘘だったと理事長自体が認めている。しかしゴルフ、会食は行われており、結果として獣医学部の新設を有利に進め、非常に大きな実利を得ている。加えて、愛媛県より土地や補助金を受け取っている。どのような理由があろうとも、公的機関に報告書の形で嘘をついた加計学園は、教育者としての資格が問われると共に、国の重要な政策に係る重大な贈賄の可能性があるので、真剣に捜査されてもよいのだろう。
冒頭の文科省関係の2つの贈収賄事件が検察によるより大きな‘ヤマ’への序章なのかもしれない。しかし検察(大阪特捜)は、森友学園の国有地取得問題に関連し、大阪特捜が財務省佐川理財局長(当時)の公文書偽造を不起訴とし、検察への大きな不信を買ったが、今回は東京地検特捜の対応が注目される。
もっとも、辞任させられた文科省前川前事務次官が加計学園による獣医学部新設につき首相側からの圧力があったことを記載した文書を肯定したが、これに対する検察による文科省への締め付けの可能性もある。しかしそうであるとすると、公的正義や公的機関の公平性にとって事態はもっと深刻と言えそうだ。
正義は維持されなくてはならない。(2018.8.28.)