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シリーズ平成の本音―年金受給者、弱者いじめの自・公連立政権! (その2)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―年金受給者、弱者いじめの自・公連立政権! (その2)
 財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会において、2016年度の診療報酬の「マイナス改定」や75歳以上の医療費負担割合の2割への引き上げや受診時定額負担が復活など、社会保障抑制策が示されている。更に2016年1月に開始するマイナンバー(個人番号)制度を使った医療費削減策も考えられている。
財務省としては、2015年予算で社会保障費が31兆5000億円(国家予算の約3分の1)を占め、また毎年約1兆円が「自然増」するとして、その伸びを年5000億円程度に抑えたい意向のようだ。
他方厚生労働省は、9月28日、支払い年金保険料に対し生涯で受け取れる年金受給額を倍率で示し、‘公的年金の世代間格差’に関する試算を発表した。それによると、厚生年金では、70歳の者が保険料の5.2倍、30歳以下の者は2.3倍にとどまる等としている。これを丸呑みにして‘格差が依然として大きいことが浮き彫り’などと報道した保守系新聞もある。
長寿化に伴い増加する社会保障費を節減、圧縮する努力は評価するが、一方で消費増税により国民の負担を求めた上、社会保障の水準を引き下げ、受益者たる国民の負担を実質的に更に増やすことは、社会保障失政と言えるのではないか。
1、年金給付額の減額は国民の将来不安を煽るのみ           (その1で掲載)
2、定年後高報酬の者には現役世代と同様の病院での窓口負担を     (その1で掲載)

3、不可欠な人件費を含む行政管理費の大幅削減
自民・公明両党は、民主党政権時代に「社会保障と税制の一体改革」に同意し、また議員定数の実質的削減にも同意し、2011年12月の総選挙で勝利し政権の座に返り咲いた。しかしいずれについても進んでいないばかりか、消費増税を実施し国民に負担を求めた一方、社会保障については反福祉の福祉切りに向かっている。
そもそも社会保障の改善のために消費増税を実施したとされているので、国民の負担が増加することは仕方ないが、年金他の社会保障サービスの向上、充実が図られるのであればという期待感があったことは事実だ。しかしその期待は見事に裏切られている。自・公連立政権の下では、受益者へのサービスや給付額の改善は行わず、逆に個別に利用者、受給者の「負担増・給付縮小」を強いており、国民を騙しているに等しいのではないだろうか。議員定数の削減についても、衆議院は議長の下での外部の有識者会合に丸投げし、自・公連立与党が十分な多数を占めていながら真剣に取り組んではいない。参議院に至っては、10増10減の区割りを採択し、削減については取り組もうともしていない。
社会保障費が財政を圧迫しているというのであれば、年金や社会保障サービスの抑制、削減を図る前に、まず人件費を含む行政管理コストを削減すべきであろう。どの事業でも、業績が振るわず、赤字が増加し破たん状態になれば、まず人件費、管理費などのコスト削減を行うのが常識だ。財務省のお役人にこれが分かる人は少ない。財源がなければ、法律を作り税金を上げれば済むからなのだろう。経済、経営を学んだ人が少ないからだろう。
国民に更なる負担を強い、年金やその他社会保障サービスの抑制をする前に、両院の議員定数の大幅削減や議員歳費・諸手当の引き下げを実施して、国民に誠意を示すべきであろう。また独立行政法人や特殊法人を含む公務員・準公務員の新規採用の段階的な削減など、定員の削減や給与の引き下げを実施すべきであろう。それが出来ないのであれば、3年間で人件費を含む行政管理費の3割削減を実施することを真剣に検討して欲しいものだ。定員と給与のいずれを削減するかは各省庁に選択させればよい。人件費を除く管理費全般についても、公務員宿舎他国有財産の売却などにより、2020年度までに総額で4割程度を段階的に削減することをまず実施すべきではないのか。事業経費については削減できないところは維持するということで良いが、ニーズのある事業は、民間事業に転換することにより維持出来る。国民のニーズのある事業であれば、事業化を望む企業家は多いであろう。
この点は地方公共団体においても検討、実施されるべきであろう。2040年までに、全国1,748の市区町村の約3割が消滅するとの予測もあり、多くの地方の人口減は深刻で現実味がある。中央にしても地方にしても、少子高齢化対策の上で財政の節減が不可欠な対策と言えよう。
 自・公両党の上記の約束は主要公党間の約束であり、国会で表明された国民への約束であるので、実現しなければ非常に深刻な約束違反となる。
それを議員や行政府・公務員が真剣に検討、実施しないのであれば、消費税の10%への再増税は実施すべきではないのではなかろうか。
 このように自・公連立政権は、公党間や国会、国民との約束を守らず、また憲法を軽視している上、その結果でもあろうが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な政策を推し進めようとしていることがだんだんと明らかになっているように見える。
 このような政策や将来を選択するか否かは、国民世論であり有権者であるので、賢明な選択が望まれる。(2015.10.14.)
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シリーズ平成の本音―年金受給者、弱者いじめの自・公連立政権! (その1)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―年金受給者、弱者いじめの自・公連立政権! (その1)
 財務相の諮問機関である財政制度等審議会の分科会において、2016年度の診療報酬の「マイナス改定」や75歳以上の医療費負担割合の2割への引き上げや受診時定額負担が復活など、社会保障抑制策が示されている。更に2016年1月に開始するマイナンバー(個人番号)制度を使った医療費削減策も考えられている。
財務省としては、2015年予算で社会保障費が31兆5000億円(国家予算の約3分の1)を占め、また毎年約1兆円が「自然増」するとして、その伸びを年5000億円程度に抑えたい意向のようだ。
他方厚生労働省は、9月28日、支払い年金保険料に対し生涯で受け取れる年金受給額を倍率で示し、‘公的年金の世代間格差’に関する試算を発表した。それによると、厚生年金では、70歳の者が保険料の5.2倍、30歳以下の者は2.3倍にとどまる等としている。これを丸呑みにして‘格差が依然として大きいことが浮き彫り’などと報道した保守系新聞もある。
長寿化に伴い増加する社会保障費を節減、圧縮する努力は評価するが、一方で消費増税により国民の負担を求めた上、社会保障の水準を引き下げ、受益者たる国民の負担を実質的に更に増やすことは、社会保障失政と言えるのではないか。
1、年金給付額の減額は国民の将来不安を煽るのみ
厚労省は‘公的年金の世代間格差’を問題にしようとしている。しかし65年
以上も前、昭和20年代の所得水準は、現在の10分の1から15分の1以下であり、当然保険料負担額は現在の負担額より遥かに少なくなることは明らかだ。年金保険金の所得比率がほぼ同一であるので、個々人にとって負担感には格差などはないと見られる。
年金給付については、退職時の給与水準が基準となることが加入時に明記されており、だからこそ、定年後も生活できる程度の給付があるという安心感が与えられる。それが少なくても6割近くが保障されないのであれば、実体的に退職後の所得保障にはならない。社会保障の本旨に反している上、年金保険の契約違反となる。
 所得水準の低い数10年前からの負担額を基準として年金支給額を決めても、受給者はそれでは生活苦に陥る可能性が強い。そうであれば公的年金保険料など支払わず、個人の貯金や財テクに頼る方が賢明と判断されるようになる可能性が強い。
そもそも、厚労省や年金機構など政府当局は、年金給付額を徐々に引き下げ、支給年齢を引き上げ、更に介護保険料を引き上げながら年金から天引きしているので、年金受給額は減少する一方であり、それが長期にわたり国民の将来不安の原因になっていると見られる。年長者への日常的な不安だけでなく、入社後間もない女性職員もボーナスなどを優先して貯金する傾向もあるようであり、世代を問わず、年金破たんによる消費の抑制にも繋がっているようだ。
 法務省や警察は兎も角として、厚労省や財務省その他の経済官庁の幹部に法学部出身者が多く、経済や経営などの見識や経験に欠け、規則、規制志向となっていることが遠因との指摘もある。
 そのような年金給付額の減額は好ましくなく、逆に削減した分を回復し、将来不安を無くして行くことが望ましい。
年金受給年齢に達している者でも、高額の報酬を受けている者が多いが、年金を同じように給付している。年金財源が潤沢な時は良いが、年金財源が不足する今日においては、例えば年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、年金給付の凍結或いは2割程度の部分給付などをまず検討すべきであろう。或いは、今後就労年齢は伸びると考えられるので、65才以上でも得ている給与又は報酬が年420万円以下の者には年金を満額給付するが、それ以上の者については年金給付額を減額して行くこともやむを得ないであろう。社会保障には、所得の高い者から低い者への所得の再分配の意味合いがある。で
 2、定年後高報酬の者には現役世代と同様の病院での窓口負担を
社会保障費を節減、圧縮する努力は必要であるが、例えば65才以上の者で年750万円以上の高額の給与或いは報酬を得ている場合には、病院での窓口負担を現役世代と同水準としてもやむを得ないであろう。
 他方介護については、年金生活者には追加的な負担となっているので、75才以上で年金以外の報酬が210万円以下の者については介護保険料は免除することが望ましい。
 3、不可欠な人件費を含む行政管理費の大幅削減       (その2に掲載)
(2015.10.19.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音―マイナンバー情報流出の被害者に賠償を!

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―マイナンバー情報流出の被害者に賠償を!
 各種申請や社会保障などに使用される個人番号制(マイナンバー)が10月からスタートし、2016年1月から実施に移される。
 これにより国民のほとんどがマイナンバーを持ち(希望しないものは申請しないで良い)、一つのカードで各種申請や年金、税金の処理等が出来るので便利になる。行政事務処理においても、ほとんどの国民を捕捉出来、税金の徴収漏れなども防げるので便利になる。行政事務の簡素化になると言われているが、新しい制度に当面予算を3,000億円使用することになっており、煩雑な入力作業などが増えるし、旧来の制度は当面残るだろうから、簡素化などにはならないだろう。国民を効率的に捕捉できる膨大な行政システムが構築される。
 しかし利用者側にも行政側にも便利ということは、それを犯罪目的に利用しようとする者にも、マイナンバーには住所、戸籍、生年月日、家族構成、年金事項、銀行口座など重要な個人情報が詰まっているので、情報を入手したら使い勝手が良く、犯罪集団にも便利であろうから、情報保護が最大の課題だ。
 その恐れが現実のものになっている。茨城県取手市や札幌市厚別区でマイナンバーが入った住民票が発給された。住民票の提出先の善意を信じたいところであるが、悪用や再流失等から詐欺等に利用される可能性がある。更に深刻なのは、マイナンバー制度の企画・設計に携わっている厚労省情報政策担当参事官室の室長補佐(事務職)が制度企画・設計入札において受注したIT会社から賄賂を受け取った汚職事件が発生している。マイナンバー制度企画で不正を行ったIT民間会社がマイナンバーの仕様を最もよく知っていることになるので、その仕様が漏れれば犯罪等に悪用される幅が広がり、マイナンバー制度自体の安全性や保秘性が疑わしくなるので、深刻な問題だ。
またマイナンバー制度が実施に移されれば、その情報管理は行政当局が行うとしても、実際の情報処理は外部の民間会社か日本年金機構等と同様、天下りで作る行政法人で行われる可能性が強いので、個人情報が外部に流失する恐れは非常に高くなる。マイナンバーに入れられる情報が財産・口座情報や年金・医療情報、納税情報等と増え、使途が拡大されればされるほど、1億人以上の国民の重要な個人情報が危険に晒されることになる。マイナンバーは、地方自治体にも連結されるので、故意か過失かは別として、情報流失の危険性は更に高まる。
 厚労省の監督下にある日本年金機構でも多数の情報流失が出ており、政府機関による個人情報の流失は現実の問題になっている。マイナンバーについては、使途が複数に亘り、地方当局とも繋がるので、どのように注意していても、情報流失が起こる可能性は高い。それを防ぐためには、使途を限定的にし、外部インターネットと遮断することが必要であろう。
 しかしどのように注意していても情報流失は起こるであろうから、流失を引き起こした行政当局や行政法人等は、責任を認識にし、被害者のマイナンバーの取り消し、再発給等の不利益に対し補償すべきであろう。また情報流失により具体的な被害にあった場合には、関係行政法人を含む行政当局が賠償することが当然ではなかろうか。
 また流失したマイナンバー情報を利用して詐欺等を行って経済的利益を得た個人やグループについては、それぞれの犯罪行為に従って罰せられることになるが、従来中心となっている禁固刑から、利益の3倍以上の罰金を中心とした罰則に転換して行くことが望まれる。経済的利益を目的とした犯罪を抑止し、また被害者の被害を補てんする上でも、高額の罰金を科す方が効果的であろう。現状では罰金が少額過ぎるので、禁固刑を受けても儲かるとの印象を与えてしまい、抑止には余りなっていない。その上、税金で禁固刑中の経費を国民が負担することになり、2重の負担となっているように見える。経済犯には高額の罰金で抑止することがより効果的であろう。
(2015.10.17.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音-‘自衛隊員の安全を守る’は世界の笑いもの!?

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音-‘自衛隊員の安全を守る’は世界の笑いもの!?
安倍政権は、日本の‘存立危機事態’に際する集団的自衛権行使を含む安全保障関連法案を衆議院で採択し後、参議院の審議も終盤を迎えており、9月18日ころまでに成立を期している。
この安保関連法案の最大の焦点は、集団的自衛権行使に伴う武力行使が合憲か否かであり、多くの憲法学者等が違憲としている。
しかしもう一つの現実的な問題は、派遣され場所での自衛隊員の‘安全確保’が求められていることだ。国連の平和維持活動(PKO)や多国籍軍等の下での兵站支援や復興支援目的などでの自衛隊派遣に際し、自衛隊と同一行動を取っている諸国や同盟国の軍隊が反政府軍やテロ組織等により武力攻撃された場合、自衛隊は、駆けつけ援護を含めて敵対勢力に対し反撃をすることが可能になるが、戦闘に巻き込まれることになる。政府側は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、安全確保に努めるとしている。駆けつけ警護を含めて敵対勢力に対し反撃を可能にしておいて、安全確保もないものだ。安保関連法案は、戦闘の可能性を広げており、自衛隊員の安全が損なわれる可能性は高まる。
政府は、自衛隊員の‘安全確保’は義務であり、努力するなどとしているが、何らかの形で敵対勢力から武力攻撃されることは排除されず、ましてや応援的反撃の場合には交戦となることは避けられず、それが任務であるので、現場での自衛隊員の‘安全確保’などは空ごとに過ぎない。危険な地域に派遣されるので、相応の武器を携行している。
安全の問題は、派遣される自衛隊員以上に、このような自衛隊の海外派遣、国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、敵対勢力から日本人や日本自体が敵視され、安全が損なわれる可能性も考慮されるべきであろう。2003年12月に、米国よりの強い要請で、イラクのサマアに‘人道復興支援’のため自衛隊が派遣されたが、2009年2月までの派遣期間に、死者は出なかったものの何回も施設周辺に砲撃等を受けている。しかしそれ以上に、自衛隊のイラク派遣に対し、モスレム過激派アルカイーダは、日本を敵対国に含め、世界のどこでも日本人を攻撃すると表明した。その警告は、2015年1月に日本人2人がイスラム国に処刑されたことに繋がっている。日本の国際的な平和・治安活動への参加拡大に伴い、日本国民が世界でより大きな脅威にさらされることを認識し、そのための安全策を講じることの方が大切だ。
更に、同盟国米国や友邦国の軍隊と自衛隊が共同行動等を取っている際に、同盟国の艦船等が敵国より攻撃された場合、集団的自衛権行使の一環として、自衛隊が援護のため敵国を攻撃する場合が想定されている。この場合、敵国は日本を攻撃しているものではないのに攻撃してきたと捉え、自衛隊に反撃して来るであろうし、場合により、この敵国への日本の宣戦布告と解釈され、日本を武力攻撃の対象として来ることも有り得るので、自衛隊だけでなく、日本自体の安全に重大な影響を与える可能性がある。集団的自衛権の行使は、一定の抑止力となろうが、危険も広がる。
首相側は、日本人の生命と財産を守るためと説明しており、確かにその面はある。しかし集団的自衛権の行使については、米国の安全を守り、米国の世界戦略と世界の警察としての役割を自衛隊を派遣して協力する可能性を確保するためのものであり、日本は自衛隊員や日本人の命を掛けて双務的に同盟関係を促進することを第一義的な目的にしている。
新たな‘安全神話’を作り出すのではなく、集団的自衛権行使や国際的な平和・治安活動への参加拡大により、派遣された自衛隊の安全が損なわれる可能性は高くなると共に、日本人自体の安全にも重大な影響を与えることにつき、日本国民の理解と同意を得る必要であろう。その歯止めが憲法となっているのであろう。(2015.9.19.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音-軽減税率の還付方式は問題だらけ!

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音-軽減税率の還付方式は問題だらけ!
消費税が8%に増税され未だに負担感がある中で、2017年4月より10%に増税され、生活が圧迫され、結果として消費が更に抑制されことが懸念されている。このため食料など必需品については軽減税率とすることが検討されていた。
この中で財務省は、消費税率10%への引き上げに際し、購入時には一律に消費税10%を支払うが、‘酒を除く飲食料品の2%分を購入後に消費者の申請に基づき還付する’案を検討していると伝えられている。
還付方法については、購入時に「個人番号(マイナンバー)カード」を使用し、そこに‘軽減ポイント’を貯め、一定のポイントに達したら申請し、指定の銀行口座に還付される仕組みのようだ。但し還付額の上限は年間で1人4,000円程度にすることを検討中だという。
10%への消費増税に際し、‘酒を除く飲食料品の2%分’につき還付されることは、若干の負担軽減として評価できるが、この案については財務大臣が‘面倒くせえ’と言ったとかであるが、それ以上に重大な欠陥があり、この還付制度の導入には多大の疑問がある。
1、購入時の消費者の負担感は軽減されない
この還付制度の下では、購入時に一律10%の消費税を支払うことになるので、負担感は現在の8%以上となるので、一般の消費を抑制することになろう。現在、インフレターゲットが導入されたこともあり、便乗的に多くの商品が消費増税率を上回る10%~20%前後の値上げ(場合によりサイズや数量の削減)されていることと相まって、消費者は1円でも安い商品を探す傾向が強くなっている。実際上、日常消費は低迷している。一律10%の消費税増税分をレジで払うこととなれば影響は大きく、軽減税率の意義は低下する。
2、販売業者の納税負担は一律10%
中小、零細の業者も一律10%分の納税を行わなくてはならず、納税時に重圧となる。
3、在日外国人などマイナンバーカード非保有者には不適用
海外からの観光客はもとより、マイナンバーカード非保有者となる在日外国人は還付対象とはならず、差別的となるので問題となろう。
4、マイナンバーカードを日常的に持ち歩かせるのは不適切且つ危険
マイナンバーカードを日常的な消費税還付に使用することになると、老齢者か
ら子供までこのカードを日常的に所持し、使用させることになるが、所持していなかったり、受け取り忘れたりなどのトラブルが多発することは予想に難くない。
 また中小、零細の販売業者にまで読み取り機を設置し使用させることになるが、末端で重要な個人情報が漏れたり、盗まれたりする恐れがある。
 このようなことからカード情報が各種の犯罪等に悪用される恐れが更に高まる。
 厳重に保護されなくてはならない個人情報が詰まっているマイナンバーカードを老齢者から子供まで日常的に所持させ、小売りの末端で使用させるこの制度は、個人情報を守るという意識に欠ける制度であり、不適切であろう。マイナンバーカードの利用については、年金や税の確定申告など、情報の管理能力がある程度認められる限定された用途と場所に限るべきであろう。
 5、1人年間4,000円、月330円限度の還付で膨大なシステム管理予算の無駄
 還付は少額で、このシステムを構築、管理する人件費を含む予算は多額に及ぶと予想される。‘日本式軽減税率還付制度’は、無駄の上に無駄を重ねるようなもので、どうして制度をひねくり回して敢えて分かり難く、複雑なものにするのだろうか。
 電子的申請についても、一般的に複雑で、電子納税など電子申請は普及していないことからも、更なる社会的コストとなり、疑問だ。
 その上、還付額総額は各年の予算措置だけで決められるもので、予算が確保出来ない場合には減額、中止等が可能で、財務当局に都合の良い制度でしかない。
主要先進国で実施されている軽減税率制度を良く勉強し、類似のすっきり、スマートな軽減税率を導入して欲しいものだ。税率を軽減する対象となる商品が明確に出来れば、それらの商品の消費税を8%に据え置き、それ以外の商品の消費税を10%にすれば良く、レジで処理されるので、誰にも明朗で公平だ。そうすれば、マイナンバーカードや読み取り機は不要で、申請する手間も要らず、税務当局が人件費、管理費を使って還付する必要もない。税というものは、誰に対しても明確、明朗で、公平に適用されることが不可欠だ。
(2015.9.9.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音-介護保険料引き上げ、反福祉政策が国民生活を直撃! (その2)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音-介護保険料引き上げ、反福祉政策が国民生活を直撃! (その2)
 安倍自・公連立政権は、2016年度の予算編成の基本的な方針である概算要求基準を閣議で了解し、2020年度での財政の黒字化を目途に歳出を抑制することとし、その中で社会保障費の削減を図るとしている。財政の黒字化方針は、遅きに失しているものの評価されるところであるが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な色彩が強い。
 1、介護保険料再三の引き上げが年金受給者の生活を既に圧迫 (その1で掲載)

 2、増税、福祉切りに終わろうとしている「社会保障と税制の一体改革」 
 自民・公明両党は、民主党政権時代に「社会保障と税制の一体改革」に同意し、また議員定数の実質的削減にも同意し、2011年12月の総選挙で勝利し政権の座に返り咲いた。しかしいずれについても進んでいないばかりか、社会保障については反福祉の福祉切りに向かっている。
そもそも社会保障の改善のために消費増税を実施したにもかかわらず、総合的な社会保障制度改革も行わず、個別に利用者、受給者の「負担増・給付縮小」を強いることは、国民を騙しているに等しいのではないか。議員定数の削減については、衆議院は議長の下での外部の有識者会合に丸投げし、自・公連立与党が十分な多数を占めていながら取り組んではいない。参議院に至っては、10増10減の区割りを採択し、削減については取り組もうともしていない。
 年金受給者に更なる負担を強い、国民に更なる負担を強いる前に、両院の議員定数の大幅削減や議員歳費・諸手当の引き下げを実施して、国民に誠意を示すべきであろう。また独立行政法人や特殊法人を含む公務員・準公務員の新規採用の段階的な削減など定員の削減や給与の引き下げを実施すべきであろう。それが出来ないのであれば、3年間で総人件費の3割削減を実施することが望まれる。定員と給与のいずれを削減するかは各省庁に選択させればよい。人件費を除く管理費全般についても、公務員宿舎他国有財産の売却などにより、2020年度までに総額で3割から4割の程度を段階的に削減することをまず実施すべきではないのか。
 この点は地方公共団体においても検討、実施されるべきであろう。2040年までに、全国1,748の市区町村の約3割が消滅するとの予測もあり、多くの地方の人口減は深刻で現実味がある。恐らく財政の節減が少子高齢化対策の上で不可欠な対策と言えよう。
 自・公両党の上記の約束は主要公党間の約束であり、国会で表明された国民への約束であるので、実現しなければ非常に深刻な約束違反となる。それを議員や行政府・公務員が真剣に検討、実施しないのであれば、消費税の
10%への再増税は実施すべきではないのではなかろうか。
 自・公政権の約束違反はこれらだけではない。環太平洋経済連携協定(TPP)について、民主党が消費増税同様危険を冒してTPPに賛成を表明したのに対し、自民党は‘反対’を掲げ、農業票、地方票を引き寄せた。しかし政権の座に就くと賛成に転じている。上記の社会保障と税制に一体改革にしても、議員の定員削減、歳出節減やTPPにしても、政策的には民主党政権時の方針の方が正しかったように見える。
 更に現自・公連立政権は、2012年12月及び2014年12月の総選挙において、1票の格差について裁判所で‘違憲’、又は‘違憲状態’との判決を受け、是正勧告がなされているにも拘わらず、自民党政権において常態化した‘違憲状態’を解消する努力を行っていない。因みに‘違憲状態’も違憲であることに変わりがなく、自・公連立政権が憲法を軽視する姿勢が鮮明になっている。衆議院で強行採決された安保法制、特に集団的自衛権の行使に関しても、多数の憲法学者や国民が違憲と考えているにも拘わらず、このような世論にも耳を貸さず、憲法軽視の姿勢と受け止められている。政権側は、‘他国領土で戦うことはしない’、或いは‘徴兵制は行わない’などとしているが、憲法や世論を軽視する政権の言葉は空疎に聞こえる。少子化、人口減の中で、自衛隊への応募は停滞している上、集団的自衛権行使による戦闘や海外での武力行使などにより危険性が著しく高まるので応募が減少する可能性がある。従って将来兵員確保のため、何らかの形で自衛隊義務化や徴兵制度が導入される可能性は高いと言えないだろうか。更に集団的自衛権行使等により日本攻撃がより現実味を帯びて来るが、危機的状態になれば徴兵制度は実施せざるを得なくなるであろう。少なくてもその覚悟は必要であろう。
 政権側が国民に対しこのような覚悟を求めるのではなく、只々‘最低限の自衛に徹する’、‘海外で戦闘は行わない’、‘海外での自衛隊員の安全は確保する’などの安心材料のみの説明に終始することは、原子力発電で‘安全神話’を作って推進したのと同様、集団的自衛権行使でも‘安全神話’を作ろうとしているようにも見える。国家の安全保障や国際的な平和貢献はそんなに甘いものではないことは、国民は何となく気付いており、違和感と不信感を呼んでいるようだ。太平洋戦争では、日本国民が200万人以上死亡し、多数の負傷者や多くの不孝や悲劇を生んでいる。
 このように自・公連立政権は、公党や国会、国民との約束を守らず、また憲法を軽視している上、その結果でもあろうが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な政策を推し進めようとしていることがだんだんと明らかになっているように見える。
 このような政策や将来を選択するか否かは、国民世論であり有権者であるので、賢明な選択が望まれる。
(2015.7.31.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音-介護保険料引き上げ、反福祉政策が国民生活を直撃! (その1)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音-介護保険料引き上げ、反福祉政策が国民生活を直撃! (その1)
 安倍自・公連立政権は、2016年度の予算編成の基本的な方針である概算要求基準を閣議で了解し、2020年度での財政の黒字化を目途に歳出を抑制することとし、その中で社会保障費の削減を図るとしている。財政の黒字化方針は、遅きに失しているものの評価されるところであるが、増税等で歳入を図る一方、歳出面では社会保障費の圧縮など、国民への負担増加、反福祉的な色彩が強い。
 1、介護保険料再三の引き上げが年金受給者の生活を既に圧迫
 介護保険料は、年金受給対象となる65歳以上に対しても、2000年―2002年の月額2,911円(加重平均)から2012年―14年の月額4,972円と78%もの増加となっており、年額で59,664円にも達している。2015年から介護保険料は更に引き上げられており、自治体や個人所得等によっても差があるが、65歳以上の住民税非課税者で月額5,780円、年額69,360円、住民税課税者では月額6,358円、年額76,296円以上にも達している。
 国民年金受給額(満額の場合)は、月額65,008円、年額780,096円であるので、介護保険料は国民年金受給月額のほぼ1か月分にもなる。
 自・公連立政権の下で、2014年6月18日に医療と介護制度を一体で改正する「地域医療・介護推進法」が成立し、基本的に利用者の「負担増・給付縮小」を強いるものとなっている。介護保険料については、年金給付の際天引きされる形となっており、事実上の年金給付額の引き下げとなっている上に、更に自己負担が倍となるので、年金給付額の実質的な引き下げになっている。比喩的に言えば、その他の固定報酬を得ていない国民年金受給者にとっては、1か月間飲まず食わずで生活しろと言っているようなものである。
 7月1日、走行中の東海道新幹線の車内で東京都杉並区在住の林崎春生容疑者(71歳)が石油を撒き焼身自殺し、多数の死傷者を出した。同容疑者は周囲に年金の受給額にたびたび不満を漏らし、‘生活できない’と話していたと伝えられている。このような身勝手で卑劣、凶悪な犯罪は決して許されるべきではないが、最近の老齢独居者の自殺や孤独死が生活苦などからであることも事実であり、老齢者の年金や介護保険を含む健康保険などの福祉の在り方を改めて見直して見る必要がありそうだ。
そもそも福祉とは、相対的に所得に恵まれている者が恵まれていないもの、或いは、定年等により所得が入らなくなる者に対して一定の所得の再配分を行うことを主な目的としている。そういうことからすると、退職年齢となり年金に頼る65歳以上の者から、受益者だからとは言え、年金の1か月分にも相当する介護保険料を徴収することは酷であり、反福祉と言えよう。
 基本的には、65歳になるまでの就労期間中に徴収するか、或いは年金給付額を相当分引き上げることが望まれる。そして65歳以上の者については、その他の固定報酬がない者については国民年金の半月分以下とし、例えば年収300万円以上の固定報酬を得ている者については、累進的に加算するような制度設計が望ましい。反福祉政策により固定報酬を得ていない年金受給者の生活を圧迫することは、福祉の理念そのものを理解しない失政と言われても仕方がない。
 もっとも財政が厳しく、政府、行政府・立法府各部が一丸となって実質的な節減、緊縮措置を実施しているのであれば、お互いに我慢することも仕方がないことであろう。ところが、現自・公連立政権は、国民に2重にも3重にも税負担や福祉減額を強いる一方、議員報酬や公務員給与は事実上の引き上げ、また定員削減なども手つかずのままで、極楽トンボどころか、反福祉、国民窮乏化政策を取っているかのようだ。

 2、増税、福祉切りに終わろうとしている「社会保障と税制の一体改革」 (その2に掲載)
(2015.7.31.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音―五輪エンブレム、やはり出直しては!?

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―五輪エンブレム、やはり出直しては!?
 東京オリンピック2020のエンブレムを巡って、組織委により採用された佐野氏のデザインが採用されたが、重要な部分がベルギーのリエージュ劇場のエンブレムに似ているとして、ベルギーのデザイナーから差し止めの訴えが行われ、撤回か修正が求められている。
 これに対し佐野氏は盗作を否定していたが、他のデザインのトレ-シング(なぞり)が新たに明らかとなり、盗作(パクリ)疑惑が内外に広がっている。
 これを受けてオリンピック組織委(会長 森元首相)の武藤事務総長(専務理事)が8月28日に記者会見を行い、選考過程を説明しつつ盗作疑惑を否定し、理解を求めた。それによると、‘佐野氏の原案は、現在のものとは異なるものであったが、既に存在する他のデザインに似ていることから、2度の修正を行い現在のエンブレムとなったもの’で、盗作などではないとした。
 確かに、佐野氏の原案はベルギーの劇場のエンブレムとは異なるものであり、修正されたものについてもパーツが似ているところはあるが、全体のデザインや色調が異なるので、盗作(パクリ)ではないように見える。
 しかし採用されたデザインは、結果として重要な部分において似ていることは事実であるので、‘佐野氏の原案が他のデザインと似ている’との理由で修正されたのだから、同様の理由で撤回又は修正するべきではなかろうか。しかも今回は訴訟までされている。
 このエンブレムは2020年夏まで5年近くの長期に使用されるもので、東京オリンピックのシンボルとして日本だけでなく世界の人々に親しまれるものでなければならない。このままでは、日本人だけでなく世界の多くの人々の疑惑が拭えず、日本の盗作(パクリ)の象徴として利用される恐れもある。気の毒だが、佐野氏のデザイン自身にも疑惑が付きまとうだろう。
 明年のリオ・オリンピックもこれからであるので、2020年東京オリンピックのエンブレムが本格的に世界中で使用されるのは2016年夏以降となろう。出直しする時間は十分ある。盗作(パクリ)などではないにしても、多くの人の心は離れている。それに固執することはマイナスの方が大きい。「間違いを正すに、はばかることなかれ」という諺がある。
 オリンピック組織委の説明は、人の心が離れているにも拘わらず、このエンブレムに固執しているが、どうも保身、組織防衛に聞こえる。オリンピック組織委は、新国立競技場の法外な建設費(実質3,000億円)と2019年のラグビー世界大会までの完成に固執し、対応が遅れ、一部発注してしまったため数十億円の損失を余儀なくされた。また同じ過ちを繰り返すべきではないだろう。
 いずれにしてもオリンピック組織委の度重なる不手際が明らかになっているので、明年夏のリオ・オリンピックまでに刷新し、出直すことが望ましい。
 また新国立競技場の事業主体の独立行政法人日本スポーツ振興協会も主体性がなく、無責任さを露呈したので、早急に刷新されることが望ましい。
新国立競技場建設問題で、数十億円の無駄をし、エンブレム問題で相当の損失が生じることなどを勘案すると、同振興協会の建物を高層ビルに建て替えるなどの計画(440億円内外か)は、贅沢であり、内装のリノベーションのみとするか自己資金又は民間資金で行うことはよいが、税金で賄われるべきではなく、その他のオリンピック関連建設経費なども節減を図り、税負担を軽減するなどし、損失への責任を取るべきなのであろう。
新国立競技場の出直し案についても、政府は8月28日、総工費1550億円を上限とすることを決定し、旧案の2650億円から削減が図られたとしている。しかし、旧案では大会時席数7.2万席、観客席・トラック上部も屋根付き(空調あり)が、新規案では大会時席数6.8万席、観客席のみ屋根付きで、観客席の空調も無しということで競技場自体が縮小されているにも拘わらず、総工費1550億円上限は可成り割高に映る。温暖化で夏期の暑さが心配されている中で観客席の空調も無しなど、質を落としスケールダウンされているのだからもっと節減が図られて良いのだろう。ダブダブと業界に予算(税金)を投入するだけでなく、一層の節減と関連業界からも資金を募り、官民で競技者にも観客にも快適な競技場として欲しいものだ。
  (2015.9.1.)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音―戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (その2)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (その2)
 戦後70年を迎えたのに際し、8月14日、安倍首相は閣議において首相談話を承認し、同日夕、発表した。首相談話については、安倍首相は、かねてより未来志向の内容にしたいとの意向で発表に意欲を示していたが、同首相が国会審議の場において、従軍慰安婦問題や大東亜・太平洋戦争について‘侵略の定義はない’などとして‘侵略戦争’を否定する答弁などをしており、また‘戦後レジームからの脱却’を標榜するとともに、靖国神社参拝を‘内閣総理大臣’として行うなどから、中国や韓国などから懸念が表明されていた。
8月15日の終戦の日には、戦後50周年(1995年)に村山首相談話、60周年(2005年)に小泉首相談話が出されている。その中で、‘過去への反省’については安倍首相自身も既にいろいろな形で表明しているので問題視されることはないが、注目されている歴史認識は、‘侵略戦争’と‘植民地支配(統治)’、及び‘お詫び’である。この表現については、自民党や一部保守系知識人・マスコミ・評論家を中心とする保守層から根強い反発があることも事実である。
 今回の談話では、過去の談話を踏襲し、この3つの表現が入っており、‘過去への反省’を踏まえ、不戦を誓い、国際平和に積極的に貢献して行きたいとの姿勢が表明されたことは評価されるところであろう。しかしこれらの言葉は、歴代内閣で表明されたことを引用し、継承するとしており、いわば第三者的な表現となっており、また‘お詫び’についても、‘次の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない’として謝罪から解放されたいとの気持ちをにじませているとも言えよう。
 しかし、大東亜・太平洋戦争に関する‘お詫び’とは一体誰に対するものなのだろうか。談話には必ずしも明示されていない。
 1、中・韓両国を含むアジア諸国のためだけではない‘お詫び’ (その1で掲載)
 2、 原爆投下による広島、長崎での大量殺りくへの責任        
 原爆被爆後に広島(当時人口42万人)で死者、行方不明合わせて12万人強、長崎(人口24万人)では7万人強であったが、被爆後5年間に広島で約20万人、長崎で約14万人死亡し、広島で人口のほぼ50%、長崎では50%以上が死亡し、その多くは子供や女性を含む一般市民であったと記録されおり、凄惨な殺りくであった。このような被害は、日本が降伏後米国などの連合国の関係者も現地に入り、詳細に観察、記録しているので、厳然とした歴史的な事実である。
 米国は、この原爆使用を‘対日戦争を早期に集結させ、米国の被害を最小にするため’に必要だったとし、今日でも多数意見のようだ。1995年の太平洋戦争終結50周年に当たり、米国でも広島、長崎への原爆投下は必要なかったとする‘修正主義’と言われた主張があったが、全体の世論は原爆投下を止むを得なかったとする意見が多数を占めた。そして首都ワシントンのスミソニアン博物館に、原爆を投下した爆撃機‘エノラゲイ’が展示されることになった。
 確かに日本は、長崎への原爆投下から6日後に天皇の「玉音放送」により戦争を終結しているので、太平洋戦争の終結を早めたことは事実であろう。そしてそれにより米国は、沖縄を除き本土決戦を回避できたので、米国の被害を最小にしたことも事実であろう。しかし戦争とは言え、そのために原爆だけで34万人もの女性子供を含む一般市民を殺してもよいということになるのであろうか。これは今日的な表現をすれば、一般市民の大量虐殺と言えるのであろう。数字上でも、太平洋戦争における米国側の死者は16万人強と言われているが、日本側は310万人にも上る。因みに米国側の対独戦争での死者は約25万人と言われ、米国側の死者は欧州戦線の方が遥かに多い。大量虐殺ということであれば、沖縄戦での日本側死者数約20万人(半数以上が一般市民)、また東京空爆については1945年3月10日の大空襲(下町大空襲)だけでも死者数は約8万から10万人、106回ほどの空爆で累計100万人とも900万人とも言われる死傷者を出したと言われており、東京は焦土と化した。数字から見ても、日本への攻撃は度を越した過剰防御、過剰攻撃ではなかったのではないだろうか。特に、当時の戦争法規(ハーグ陸戦法規、1899年採択、1907年改訂)などでも、非戦闘員である一般民間人や軍事目標以外の民用物への攻撃を禁じており、一定の人道性を規定している。
 ロシアのナルイシキン下院議長は、8月5日、原爆問題に関する専門家等との会議において、‘広島、長崎への原爆投下はまだ国際法廷で裁かれていない。しかし人道に反する罪に時効はない’との持論を展開したと伝えられている。現在の米・ロ関係を反映した米国へのけん制と見られるが、原爆は非人道兵器と認める発言であれば核不使用に繋がる認識とも受け取れ、注目に値する。
 ここで70年も昔の行為を国際法廷で裁くなどと言う積りはない。日・米間においては、経済関係や日米安全保障取り決め、両国間の幅広い交流などを通じ和解が進展している。そして日本政府は過去の戦争について、関係アジア諸国等に対し‘お詫び’の気持ちを今回も表明している。米国がもし日本の同盟国であると言うのであれば、米国側より広島、長崎への原爆投下による市民の大量殺害に対し、またその後放射線障害により苦しみ続けている多くの被害者に対し、お詫びの気持ちが表明されてもよいのではなかろうか。
(2015.8.14)(All Rights Reserved.)
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シリーズ平成の本音―戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (その1)

2015-10-29 | Weblog
シリーズ平成の本音―戦後70年首相談話、誰のためのお詫びか? (その1)
 戦後70年を迎えたのに際し、8月14日、安倍首相は閣議において首相談話を承認し、同日夕、発表した。首相談話については、安倍首相は、かねてより未来志向の内容にしたいとの意向で発表に意欲を示していたが、同首相が国会審議の場において、従軍慰安婦問題や大東亜・太平洋戦争について‘侵略の定義はない’などとして‘侵略戦争’を否定する答弁などをしており、また‘戦後レジームからの脱却’を標榜するとともに、靖国神社参拝を‘内閣総理大臣’として行うなどから、中国や韓国などから懸念が表明されていた。
8月15日の終戦の日には、戦後50周年(1995年)に村山首相談話、60周年(2005年)に小泉首相談話が出されている。その中で、‘過去への反省’については安倍首相自身も既にいろいろな形で表明しているので問題視されることはないが、注目されている歴史認識は、‘侵略戦争’と‘植民地支配(統治)’、及び‘お詫び’である。この表現については、自民党や一部保守系知識人・マスコミ・評論家を中心とする保守層から根強い反発があることも事実である。
 今回の談話では、過去の談話を踏襲し、この3つの表現が入っており、‘過去への反省’を踏まえ、不戦を誓い、国際平和に積極的に貢献して行きたいとの姿勢が表明されたことは評価されるところであろう。しかしこれらの言葉は、歴代内閣で表明されたことを引用し、継承するとしており、いわば第三者的な表現となっており、また‘お詫び’についても、‘次の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない’として謝罪から解放されたいとの気持ちをにじませているとも言えよう。
 しかし、大東亜・太平洋戦争に関する‘お詫び’とは一体誰に対するものなのだろうか。談話には必ずしも明示されていない。
 1、中・韓両国を含むアジア諸国のためだけではない‘お詫び’
 中・韓両国を含むアジア諸国については、日本軍の侵攻、統治を通じ多くの死傷者や各種の被害、損害を与えたことは事実であり、時代的、歴史的な背景があったにせよ私達の先達が行ったことであるので、それに対し真摯に‘お詫び’するしかないであろう。国家間においては、戦後賠償として物的な償いは行われている。
 しかし私達の先達が主導した大東亜・太平洋戦争により、沖縄が陸上決戦地となり、広島、長崎が原爆投下被害に遭った他、東京ほか主要都市が集中的な空爆被害に遭い、南太平洋に展開されていた軍人の他、一般民間人、女性や子供を含め約310万人もの日本人が犠牲となり、都市が焦土と化し、多くの悲劇を生んだことなど、日本人自体に甚大な被害を与える結果となったことを忘れてはならない。
 首相が改めてアジアの関係諸国の国民に‘お詫び’をするのであれば、日本国民、特にご遺族の方々にも‘お詫び’をすべきではないのだろうか。
 昭和天皇の責任についてはなかなか難しい。昭和天皇が危険を冒して1945年8月15日に終戦宣言を行っていなかったら、第3、第4の原爆の犠牲が出たであろうから、その悲劇から救ってくれた。また日本の天皇制は、日本統一の基礎を築いた神武天皇以来の約2500年の長期にわたる文化的、社会的な遺産であり、世界でも類のない人間遺産であり、また象徴として多くの国民に親しまれている。更に実体的に昭和天皇は、専制君主ではあったが、軍事政権に服さざるを得なかったのであろう。だが昭和天皇は軍事大権を持っており、軍の最高指揮者であったので、全般的な監督責任や結果責任は残る。
 この点は、時の政権や軍部が伝統的な権威者を祭り上げて政権を牛耳じることになると、専横化しあらぬ方向に暴走するという歴史的な教訓ともなる。

 2、 原爆投下による広島、長崎での大量殺りくへの責任     (その2に掲載)
    (2015.8.14)(All Rights Reserved.)
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