【車漫】『柳生暗殺帖』－不動の光－

梅雨入りしたような空模様。じめじめカビカビが怖いよう。
今回は前振りが長いです。

『柳生暗殺帖』－不動の光－

仏教には「十三仏」という思想がありまして、日本人にとってはとても身近な存在です。
人が亡くなると法要を営む習慣がありますが、段取りはざっと以下のよう。

（　１）不動明王・・・・・初七日（７×１＝０７日目）
（　２）釈迦如来・・・・・二七日（７×２＝１４日目）
（　３）文殊菩薩・・・・・三七日（７×３＝２１日目）
（　４）普賢菩薩・・・・・四七日（７×４＝２８日目）
（　５）地蔵菩薩・・・・・五七日（７×５＝３５日目）
（　６）弥勒菩薩・・・・・六七日（７×６＝４２日目）
（　７）薬師如来・・・・・七七日（７×７＝４９日目）
（　８）観音菩薩・・・・・百ヵ日
（　９）勢至菩薩・・・・・一周忌
（１０）阿弥陀如来・・・三回忌
（１１）阿閦如来・・・・・七回忌
（１２）大日如来・・・・・十三回忌
（１３）虚空蔵菩薩・・・三十三回忌

回向する側にとっては「段取り」で、回向される側にとっては「段階」です。
たとえば、亡くなって、肉体の無いことに気づいた人が混乱し、だんだん状況を理解して落ち着くまでの平均時間が「初七日」だそうで。
そこを見計らって、遺族（サポーター）が仏事（壮行会）を催し、がんばれがんばれと後押しをする。
そうやって魂が階梯を上るたびに出会う存在が「十三仏」。
そして、それぞれに質問をされるそうです。

「・・・を為しましたか？」

修了の早い人は「飛び級」も認められるとか。

なんのことはない、この世は学校へ上がる前の幼稚園の庭ですな。
小学生になった時、親に鉛筆やハンカチなどをそろえてもらい、持ち物に名を入れられて、どきどきわくわくしながら登校しましたが、そうです、準備が肝要です。
この世で忘れ物をすると、
（先生）「お家へ帰って、とってきなさい」
（生徒）「はあい」（半べそ）
てなことになりますが、あの世で忘れ物に気づいた場合、昼休みにちょっと・・・ですみますかね？

さて、人が亡くなって最初に出会う仏が不動明王です。
これがまた、おっそろしい仏サマで、なにがどう恐ろしいのかというと、どんなに、
「救われたくない」
「放っておいてくれ」
と喚こうが叫ぼうが、左手の羂索（縄のようなもの）でふん縛り、右手の利剣で迷いをばっさり断ち切ってしまうという・・・「冥府の亡者」にとってはありがたくて、ありがたくない存在なのです。
大日如来の化身でありながら蓮華座から降りているのは、いまだ救われない魂と相対するのが使命だから、とか。
この仏に見込まれたら大変です。
しつこい。諦めない。地獄の果てまで逃げても、うわああ、まだ来るか。
愛がいっぱい、ついに成仏させられます。
・・・それが怖くない人にとっては、なんともないのですが。

どうしてそんなことができるのかというと、「不動の光」は相対的でない、白黒（善悪）を断ち切る、影を必要としないエネルギーだから。無尽蔵。
そういう存在の加護を受けているかもしれない小次郎と出会った人は・・・会っちゃいましたねえ。どうなることやら。

『風魔の小次郎－柳生暗殺帖－』第３巻は１８日、『月刊チャンピオンＲＥＤ－７月号－』は１９日発売予定。
オメン、どうなった。ぼうやは無事か？　吹雪さん、もっとやってくれー。