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南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【車漫】『聖闘士星矢NEXT DIMENSION-冥王神話-』-『00』とリンクする時空の認識(1)

2010年04月04日 17時04分50秒 | 車田正美

2006年の連載開始当初、「NEXT DIMENSION」ってなんだろう、と首をひねった『冥王神話ND』がすごいことになってますよ、奥さん。
なぎらは「転生」という概念が苦手で、飛鳥武蔵(『風魔の小次郎』)が、

「前世も来世もあるか! きさま(涅絽)もこの武蔵も命はひとつだ!!」(JC8巻)

と云い切るシーンが好きなんです。潔いじゃないですか。
ただし、苦手だというだけで、そういうシステムの可能性は否定しません。

華々しい戦闘が主役ではありますが、『聖闘士星矢』の根幹は、

  • 肉体の鍛錬、意識の覚醒が人を成長(拡張)させる

という希望です。だから女神(アテナ)は人を見捨てない。
聖域(サンクチュアリ)篇では星矢達が、その領域では彼らを遥かに凌駕するゴールド聖闘士(=自己の限界の具現)を突破して7センシズ(末那識)に目覚めました。

(マリン)「この大宇宙にあるものすべてが原子でできているのよ! いい、破壊するということの根本は原子をくだく、ということなの。星矢、力を集中させて!! おまえの体内にあるすべての精神(ソウル)を集中させるの!! 破壊しようとするその一点に!! その拳に!!」(JC1巻)

海皇ポセイドン篇はその応用。究極の点(0次元)への集中力が、メインブレドウィナを破壊する「奇蹟」を引き起こしました。
そして冥王ハーデス篇。

(童虎)「シャカが、なぜ神に近い男と言われていたか・・・それは聖闘士(セイント)の中でただひとり、阿頼耶識(八識)に目覚めていたからなのだ・・・」

8センシズは、それと気づかずに一生を過ごしたら、いっぺん死ななきゃ「意識」できない状態のようで。
しかも『星矢』の「冥界・地獄絵図」がすごくおもしろくて、8センシズに目覚めないまま死んだ人が冥界の掟(ルール)に支配され、その正義に従わされてしまう(※01)。上位の8センシズ(因)が7センシズ以下(果)を生むわけだから、コントロールされ放題。高々度から飛来するICBMを避けられないようなものです。
※01:亡者がそれぞれの地獄に堕ちる理由はかなり真っ当。ひー、真人間になりたい。

ところが、8センシズに目覚めて冥界に「生きながら」侵入した星矢達はまだ一生を終えていない。人生の結論が出ていない。
これは、アテナの愛とはなにか、を考える上で重要で、アテナは人の覚醒を最後の1人まで待つ存在なんです。失敗して挫折しようと、罪を犯そうと、その気があるなら何度でもチャレンジさせる。未熟を受け容れ、成長を愛でる。チャンスを奪うものに屈しない。弥勒菩薩っぽいです。

一方、冥王(ハーデス)は、まだ一生を終えていない「人類」というエネルギー生命体に冥界のルールを適用するという、それ自体が掟破りな「聖戦」をアテナに何度も仕掛けているので、宇宙(秩序)の崩壊を怖れるわりにG・E(グレイテストエクリップス=永遠の闇)はどうなのよ、という気はしましたね。神(テンプレート)だからしょうがないんですけどね。
ハーデス神殿での死闘で、

(ハーデス)「この顔は忘れもしない、神話の時代に一度だけ・・・このハーデスの肉体に傷を付けた男にそっくりではないか!!」(JC28巻)

うわあ、苦手、神はともかくペガサス星矢は「転生」させてほしくなかった・・・と当時は思いました。
思ったんですけど、『冥王神話ND』で考えを改めました。

(オックス)「シオンと童虎の話では、すでにハーデスは肉体を得て覚醒したという。しかし、わがアテナはいまだ降誕の兆しさえない。このままでは敗北は必至。アテナは・・・」(CCE2巻、以下同)

いったいわれらの女神(アテナ)はどこにおられるのか?

これに対する回答のスケールがデカい。
星矢の胸に突き刺さったままのインビジブル・ソード(怨念)を消滅させるために、前聖戦時代へ向かった城戸沙織とアンドロメダ瞬の「個の時間」は、

  • (過去)174n年⇒1990年(未来)

という「地上暦」の流れに対して、

  • (過去)1990年⇒174n年(未来)

という流れで連続することになりました。

(シジマ)「だから、心さわがずに待つことだ。アテナは・・・アテナは必ずやってこられる。この時代に!!」

これこそ、1年={1月=(1日=12時間×2)×12}という周期できっちりと運行している「地上暦」が本当は「個の時間」に内在していること、

(アルテミス)「神がたわむれにつくった土偶でしかない」

とむちゃくちゃバカにされている人間が、アポロン(日の運行)やアルテミス(月の運行)よりもデカい存在であることの布石ではないでしょうか。
『機動戦士ガンダム00』を観て、時空を知るには、時間は1次元(線)、という先入観を捨てないとどうにもならん、と感じて、

-0の世界、00の世界(1)-

-0の世界、00の世界(2)-
-刹那・F・セイエイはここにいる(1)-
-刹那・F・セイエイはここにいる(2)-

あたりでいろいろ書いたのですが、その続きを『冥王神話ND』で突きつけられたように思います。
それは、時間の相対性。
これだから車田ファンは止められない。↑では説明したことにならないので、もうちょっとお絵描きして探ってみます。

(続く)


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