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南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【TVA】『機動戦士ガンダム00』-その理解(understanding)を破壊せよ-

2009年03月23日 03時00分31秒 | TVA GUNDAM

録画に失敗して焦ったあああ。
ルイス・ハレヴィの息が止まった時はこっちの息が止まったあああ。
#24『BEYOND』の感想の前に書かなきゃ、と思っていたことを形にします。そもそも、わかり合うための対話とは・・・に自分なりの答えを出していませんでした。なんという失態。万死に値する。

(刹那)「マリナ・・・イスマイール。あなたがこれを読んでいる時、俺はもうこの世にも・・・。武力による戦争の根絶。ソレスタルビーイングが、闘うことしかできない俺に闘う意味を教えてくれた。あの時のガンダムのように。俺は知りたかった。なぜ、世界はこうも歪んでいるのか。その歪みはどこから来ているのか。なぜ、人には無意識の悪意というものがあるのか。なぜ、その悪意に気づこうとしないのか。なぜ、人生すら狂わせる存在があるのか。なぜ、人は支配し、支配されるのか。なぜ傷つけ合うのか。なのになぜ、人はこうも生きようとするのか。俺は求めていた。あなたに会えば答えてくれると考えた。俺と違う道で同じものを求めるあなたなら。人と人がわかり合える道を・・・その答えを・・・俺は・・・求め続けていたんだ。ガンダムとともに・・・ガンダムと、ともに」(1st#25)

1stシーズンは刹那の一人称による独白(monologue)で終わり、CBは敗北しました。マリナ・イスマイールに宛てたメールとはいえ、彼自身は返信を受けとることはない、と覚悟していたので、これは二人称の対話(dialogue)ではありません。

傷つき、傷つけながら多くの「なぜ」にぶつかった刹那は、人と人がわかり合えば「歪み」=不正(unfair)が正される、と考えた。ならば、その道を阻むものを祓う剣になろう、道を行く者のために、で情報統制を破壊しようと立ち上がったのが2ndシーズン。

  • (羅)dialogus:対話。
  • (希)δεα(を通して、のために)+λογοs(ロゴス。言葉、理性)。

やっぱりロゴスが大事なんですね。
それで「わかる」をつい、理解する(understand)、と理解しそうになりますが・・・これがどうもいろいろあって、「under」は、

  • (羅)sub:下へ、支配下へ。

「stand」は、

  • (羅)stare:立つ(おいおい、この動詞、手もとの辞典に載ってない)
  • (羅)status:立っていること、姿勢。地歩、位置(ことに戦闘者の)。状態、性質、事情。裕福、繁栄。地位、身分。

本来は、支配者が言葉にせずともその意向に沿うことであり、必ずしも悪い意味ではないけれど、『00』の「わかる」ではなさそうです。

(リボンズ)「僕は君に期待している。このレグナントだって君のために持ってきたんだ。人類初のイノベイターとなって、この世界を導いてほしい・・・いいね。ルイス・ハレヴィ」(#20、以下同)
(ルイス) 「・・・わかっているわ。アルマーク」
(リボンズ)「・・・ふ
、いい子だ」

リボンズ・アルマークの「わかる」はこっちだな。云わずとも察するのが手間のかからない「いい子」。
わかる≠understand、とわかったところで、じゃあなんなのよ、と突っ込んだ末にふさわしいと思えた言葉を挙げると、

  • (英)see:見る、見抜く、考える、気づく、調べる、確かめる、わかる。
  • (英)find:見つける、感じる、・・・が存在することを知る、わかる。

奇しくも、視覚を表す単語でした。見る、知ることでさらに知る、その果てにヴェーダ(知識)がある。いや、お釈迦さまも感得したらしいんですよ、照見=般若(智慧)だって。

(ビリー)「僕は・・・ずっと君のことが好きだったのに」(#24)

(アンドレイ)「云ってくれなきゃ、なにもわからないじゃないか・・・云ってくれなきゃ・・・!」(#24)

云わなくても気づいてほしい、わかってほしい、という罪のないささやかな甘えが対話を止め、関係を破綻させる、それが高じて人が死ぬ、というオチ。
昂ぶる感情と、受け容れて静める感情。
対立する思考を統合するには、それらを内包する高い次元へ上って優先順位(Priority)に合意する、という道があり、皮肉にも「ブレイク・ピラー」の時にそれができた。
そして苦悩しているならともかく、わかるつもりがまったくない相手に殺られそうになったら成敗だ、という最後の決断。
勉強になりました。

わかり合うための対話とは、現実を知り合うこと。
今日よりも明日の二人はきっと新しい。だから、昨日の「あなた」と話をせず、二人称で互いの「今」を知ろう、遅れずに並んで行こう。それが変わるということだ。うーん、こんな感じですか。勇気がほしい。あと、体力も。

参考資料:
『ギリシア語入門 改訂版』(田中美知太郎 松平千秋/岩波書店)
『羅和辞典』(研究社)


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