project-REN

南北朝(日本)時代と漫画家・車田正美先生の作品を瞑想する部屋。

【大河ドラマ】『龍馬伝』-武士という侍の終わり、商人という侍の始まり-(第29回『新天地、長崎』)

2010年07月18日 23時11分28秒 | 大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)

文久3(1863)年。
神戸海軍操練所設立、土佐勤王党の粛清、8.18の政変に並行して、

  • 平井収二郎(宮迫博之)、切腹(第20回『収二郎、無念』)
  • 武市半平太(大森南朋)、投獄(第21回『故郷の友よ』)
  • 岡田以蔵(佐藤健)、捕縛(第22回『龍という女』)
  • 望月亀弥太(音尾琢真)、池田屋事件で死亡(第23回『池田屋に走れ』)

慶応元(1865年)。
そして皆、死んでしまった。改易された長宗我部氏の家臣(郷士)と藩主・山内家の265年間の確執が土佐勤王党に、生まれは下士でも死にざまで「侍」を見せつける執念というか、怨念というか、とてもネガティヴなカッコのつけ方をさせてしまいました。
もうちょっと突っ込むと、切腹した武市半平太は「侍=武士」という価値観ごと葬られたのではないでしょうか。
侍は残った。
だが、それは武士ではなかった。
交戦から交易へ、異国との「戦争」に終わりはなく、戦うために侍は姿を変えた。それが、

(半平太)「この国を、異国の侵略から護り、独立した国にするががおまんの役目ぜよ」(第28回『武市の夢』)

という言葉の意訳なのかもしれません。坂本龍馬(福山雅治)と、彼を牢まで手引きした岩崎弥太郎(香川照之)がその「新しい侍」になる、ということか。志を抱いた近藤長次郎(大泉洋)も。それは従来の「侍」のイメージとはまるで違う、

(龍馬)「どういてこういう始末のつけ方しか、できんがぜよ」(第11回『土佐沸騰』)

から解放された姿になるでしょうね。
で、商売は仲良しごっこの物々交換じゃねえぞ、おおっぴらに人を殺すと後が面倒だから別の方法で「いくさ」しようぜ、というわけで始まったのは、

SEASON3
RYOMA
THE NAVIGATOR

日本人の「剣=海軍」による「攘夷=独立」、という龍馬の解答がすでに出ているせいか、どうしても彼の周りに目が行ってしまいました。半平太と以蔵と後藤象二郎(青木崇高)のSMプレイは引っ張りすぎて厭きました。
おお、お龍(真木よう子)はよかった。彼女にとって龍馬は、困った時に手を貸してくれる「現実」の男でした。明日の政(まつりごと)は語れても今日の米について語れない思想バカではなかった・・・そりゃ、惚れるよね。お父さんを「安政の大獄」で亡くしたようなものだから。

(勝) 「まったくどうかしてるぜ、この国は、ええ? 異国の船を攻撃した長州があっさり返り討ちにあって、幕府の連中は大喜びさ。ああ、このまま長州が滅んでくれりゃ、うるせえ攘夷派がいなくなって、そう喜ぶやつもいる。」
(龍馬)「同じ日本人がやられたがですぞ。そんなことでいいですろうか」
(勝) 「バラバラなのさ、この国は」
(龍馬)「異国から狙われちゅうゆうに、国の中で内輪もめら・・・」
(勝) 「だがよ。そんな国だからこそ、外国の属国にならずにすんでんのかもしれねえぜ。ひとつにまとまっている国だったら、てっぺんにいるやつが食われちまや、それでおしまいだ。ところがこの国ときたら、江戸には将軍がいる、京(みやこ)には帝がおわす。諸藩も徳川の家来みたいなツラぁしてるが、それぞれに殿様がいて、まあ勝手なことやってる。異国にとっちゃこんな、やりづれえ国はねえのさ」(第20回『収二郎、無念』)

これ(↑)、憶えてますか。
それで本日初登場の高杉晋作(伊勢谷友介)が、

(長次郎)「けんど、ほんなら、(10隻の軍艦と)10,000丁の(ミニエー)銃をなんに使うつもりですろう」
(晋作)  「長州は、独立するんです」

ぶっ・・・ぶぶぶっ・・・ぶっ飛んだぁぁぁ。なにこの、ピストル撃ってるカッコいい長州男。どうやら第3部も観る気になれそうです。よかったよかった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。