ノミの兄弟。

チュッちゃんの目は丸くて大きい。

どんぐりマナコって言うけど、どんぐりはもっと長細い。

チュッちゃんのが大きいぞ！と私は思う。

 

チュッちゃんのマロは立ってる。

ボボッと燃え立つ炎がまだ小ちゃな頃

こんな感じだよね。

 

チュッちゃんの顔には根性が宿っていると

その口元には意地もいると

そう思いませんか？

 

こんな感じ？

笑

 

チュッちゃんはいつも鶏冠が立ってる。

頭の天頂のひとかたまり、いつもアンテナみたいに立っている。

 

立っているのはオチリも同じ。

 

チュッちゃんのオチリには

クワガタが住んでいる。

ほらっ

ツノが生えてる。

強そうでしょ♪

 

最近とみに立派になってきたのが

この　　　胸毛と

この尻尾。

尻尾の先端からその先数センチに

集まった毛の最大ボリュームを迎え、キツネさんのよう。

 

だけどだけど

チュッちゃんはキツネさんより、すばしっこい。

 

ご飯を準備しているその脇で～

めいっぱいの爪先立ちをしてオイシイを見つめるチュッちゃん。

待つこととジッとしていることが大嫌いなチュッちゃんに

この時間はキツイ。

 

で、

一旦、流しの下に身を埋め体勢を立て直し～

そらっ　いけぇっっっ！！

ジャーンプッ！

ジャーンプッッッ！！

 

いつか彼はそのノミの身体能力を以って

流し台の上に飛び乗る日がやってくる。。。

 

 

 

そのノミの体の男の脇で

ジッと耐え忍ぶ男がひとり。

彼は待つ。

ひたすら、待つ。

ここで弟と同じに飛び立つは

それ即ち、完敗を意味する。

オレ様はコッカー。

食い意地は誰にも負けない自信があるが

生憎オレ様のノミは体も体、心の臓に住んでいやがる。

ヘタに飛んだところで鼻先がちょいと台の上に出るのがセイのサカ。

空中でアイツとかち合って、上から被られでもしたら

痛い目にあってしまう。

いや、それだけじゃない。

オレ様の先輩犬としての立場だってイタイ。

ジッと待つのだ。

焦ってちゃ、いけない。

思わず泳ぐ目をムリに抑える。

・
・
・
母ちゃん。

まだかい？

 

 

あぁ、なんて弱気なそのお顔。

母ちゃんはそのすがる様なキミの目をみると抱きしめたくなるよ。

神様はどうしていつもキミの脇に

『果敢』とか『勇敢』とか『闘志』とか『闘魂』とかいう文字の似合う犬を

侍らせるのでしょう。

 

・・・キミの顔にも文字が浮かんできた。

素晴らしいね。

キミの全てを食い気がガッチリ支えてる。

 

食は源。

大丈夫。キミはチュッちゃんには負けな。。。

負け。。。

 

キミたちに幸あれ。