こんなにそれぞれの個性が露わな
記念撮影があろうか。。
すばらしい。
窮鼠はまたまたワニ顔に噛み付く。
場所は観光客が集まる、草津の湯畑。
私は土産物を物色すべく、2匹を1台のカートに入れて店に入っていた。
と、店の外から突然ギャウギャウガウガウと怒声が聞こえてきた。
こりゃ大変と見ると、カートが沸騰している。
沸騰したカートは私が戻るのを待たずに卒倒する。
怒声の一部が哀願に変わっている。
倒れたカートを起こしファスナーを開けてみると想像した通り
ネズミがワニ顔の耳に噛み付いてイッちゃってる。
噛み付かれたワニ顔は目をつむり『助けて~』を繰り返す。
が、イッちゃてるネズミの口はガチていて耳を放そうとはしない。
すったもんだの挙句、勇敢な方がネズミの上あごと下顎を両手で掴んで
まるで錆びた蓋でも開けるかのようにムニっと開いた。
あぁ、みっともない。
あたりは人だかりが出来ていたらしい。。
きっとまたアレだ。 ぽんちゃんだ。
いつも慣れてるはずのカートだけど
さずがに空気の違いを感じたのか?
入れられたカートの中で場所取りがあったんだな。 たぶん。
で、『オマエちょっとどけよ。見えねーし。』 『やっぱこっち来いよ。』 『そこ邪魔だって。』って感じで
言いたい放題、やりたい放題したぽんちゃんにチュウ太がキレたんだ。
まったく学習しない犬達である。
とにかく我に戻りきらぬチュウ太を一人カートに入れ
ぽんちゃんの血の滴る耳に薬をもらって塗る。
そして、移動!
あぁ、みっとみないみっともないと歩きだすと、どうだろう。
さっきまで土下座をするように助けくれを繰り返していた犬は
まるで勝ち戦を凱旋するかのように
尻尾をピンと上げ、意気揚々と足取りも軽やかにスキップしているではないか!
なんだコイツ。。
思い浮かべるのは、昼ドラ。
いかにも根性の悪そうな顔の尖った女が、可愛さだけが取り柄みたいなタヌキ顔の女に
二言三言、いやらしーーーーい言葉を投げつける。
タヌキ顔の女は言い返せずに、そこで事の勝負は付いてしまう。
が、腹の納まらないタヌキ顔はキーッとなって
『なによアンタッ』と相手の髪を引っ張る。
ん~ ぽんちゃんは戦いには勝ったのだ。
で、チュウ太は腹が納まらずに耳に噛み付いた。 と。
あぁ、納得納得。
納得はしたが・・・せっかくの2人乗りのカート。
これからどうするべー?
はい。それでは答えです。
ではガラスの戸をそっと開けて、中に入って参りませう。
聞こえますか?
聞こえますか?
吠えとります。
ギャンギャンと。
喚いて居られます。
『あんたダレ?』
『あんたダレなの?』
『何か用?』
『こっち来ないでぇーーーーーーーーーっ』
棚の上に、マルチーズ。
最初は静かに寝ておられたんです。
そ。まるで本物そっくりの縫いぐるみのように。
その景色に溶け込んで。
ここは上州。ろまんちっく街道沿いのとあるガソリンスタンド。
この店はどこかのチェーン店にあるような賑々しさも華々しさもない。
店員さんの元気の良い掛け声もなければ
かと言ってセルフのような白白といった空気もなく
車が入るとおばちゃんが出てきて、穏やかに給油が始まる。
そう言えば昔のスタンドってこんなん多かったな~
家族でやっててね。
行くとお茶飲みしてたりなんかして。テーブルの上には駄菓子なんかがのっててさ。
これぞ、町のホッとステイション。
ほら、この棚にもそんなほっこりした空気が漂っているでしょ
はいはい。ガヤガヤとうるさい闖入者は帰ります。
どうぞお眠り下さい。
うさ子枕にアゴ乗せて。