羊はその時自由に草を食んでいた。
静かに、誰に邪魔されることなく、誰を邪魔することなく。
ただ己が生のためだけに
黙々と、草を食んでいた。
この時は。。
そこへマイクを持った人間と、1匹の黒い犬が現れた。
人間が黒い犬に何か話しかけると
やおら犬は走り出した。
時は終わる。
これを観客席の人ごみの中から見ていた犬2匹。
チュウ太の犬として当然の思いとは裏腹に
ぽんちゃんはフクザツである。
これを見た彼の脳裏に浮かんだもの。
それは・・・
思い起こせば、いつの日も
いつだってオレ様の傍らには、黒い犬がいて
右へヒラヒラ、左へヒラヒラ
と、思うと突然止まる。
黒い犬は自分勝手。
オレ様はあの犬に振り回され、右往左往。
やっと犬が変わったかと思ったら
来たのはやはり黒い犬で
今度のは
急に走りだしたり、ジャンプしたり。
黒い犬に振り回されることに、変わりはなし。
2人ともオレ様が付き合ってあげてるなんて、気付きもしない。
オレ様って・・・ヒツジだ。。
いや、アンタは戦わんでよろし。