行ってみませんか... こんな 素敵な世界へ

好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

カタルーニアの魅力 1 <ポーブレ大修道院>

2020-08-12 21:50:24 | 素晴らしき世界/スペイン
『ポーブレ大修道院』



スペイン北西カタルーニア地方は
中世終わり頃まで
ピレネー山脈を挟んで南北に
フランス南西部と同じ文化圏を形成していました。

主邑バルセローナからタラゴーナの方へ80㎞ほど下り
途中に『Montblanc』という矢印が出たら
北側(右)の間道に入ると、その名もモンブランというフランス語の地名の町があります
(さすがに共通の文化圏)

町境に未だに現役の
ロマネスク期の様式の情緒溢れる橋が町の入り口。



モンブラン町入口の橋


橋の向こう側の斜面の上に
「城壁」に取り囲まれたモンブランの旧市街が残っています

散策すると
5百年ほどタイムスリップした思いに浸れる素敵な町なのですが
今回はそのまま止まらずに12〜3㎞進むと
広がるぶどう畑の向こうにやはり城壁に囲まれた
『ポーブレ修道院』が見えてきます。



僧院の葡萄畑を背景にポーブレ修道院全景


二つの堅固な丸い塔に挟まれな門を入ると
案内所と切符売り場
そこを抜けると結構な距離の空間が昼がり
前方に実に堅固な城壁が立ちふさがっています

 
六角形の二つの塔の間が『王の門』



 その右の扉口が修道院聖堂の入り口


聖堂(修道院の教会)に近づいて行くと
ちょうど一人の修道僧が歩いていらっしゃった





院内の見学は『王の門』から入ります
正確には複数形なので「王達の門」ですが



王の門

中に入ると狭い中庭のような空間の右手に階段があり
14世紀のアラゴン王『マルティネスの宮殿』と呼ばれている城の空間が残っています


右が城内に入る階段

かつての修道僧の集団宿坊だった大きな部屋は
その後談話室に使われたりしたそうです。
ちょうど聖堂の西側に作られた『回廊』の上の階層に位置します

回廊は
スペインの修道院や大聖堂の回廊の典型的な形


回 廊

お約束で
回廊のひと隅には水盤があります

回廊の水盤


修行と労働の日課の合間に
時間が空いた修道僧たちが目を半眼に閉じて
ゆっくりと瞑想しながら時計回りに回り
日頃まだ溶けていない教理問答の回答に思いを馳せたりしながら
体と心の平静を求めていたのです

一周するごとに
水盤に右手の人差し指と中指を浸して
その聖水ついた指を額に触れながら十字を切り
また歩みを続けてた

その「四角形」の回廊に奥に
全修道僧と全修道士が週に一回集まって
前の週の反省と次の週の目標を定める
『運営会議の間』があります


運営会議の間


シンプルな八角形の4本の柱で支えられた「ヤシの葉型アーチ」の天井
床は聖堂内にかつて存在した修道僧の墓標も散見されます


そして、修道生活で大切な時間が食事

全員が大食堂に集まり
日直の修道僧が朗々と節をつけて読み上げる聖書の時祷書のその日の章句を聞きながら
その日の食事を神様に感謝しながら静粛に黙々と。。



かつての大食堂

往時は5百人以上の修道僧が修行と労働に打ち込んだ王室修道院でしたが
今の時代でも数十名の修道僧が在籍していらっしゃるのです


現在の食堂

彼らのための書庫もあります
ここは中には入れません



書 庫


上階に登りましょう
上から見下ろす回廊もなかなか素敵です



回廊上部


フランスでは
南部プロヴァンス地方以外はあまり見かけませんが
スペインとポルトガルの回廊は二層になっていて
上階も一周できます。

その上階に『大宿坊(共同寝室)』があるのがお約束



共同大寝室


この大寝室は全長はゆうに100m近くもありそうで
今はもちろん使われておらず
途中で仕切ってあり何かの催し物の時に使われているようです

当時の修道僧は
素焼きタイルの床に自分の僧服にくるまって寝ていました

この修道院は『シトー会』というもっとも戒律の厳しい修道会に属しており
修道僧の個室はありません

フランシスコ会などはとても穏やかで
各修道僧に個室が与えられていました。

シトー会では冬でも暖房も一切なし
厨房の残り火に
一定時間(多分1時間くらい)には暖をとってもよい
とされていたらしいですが
5百人や千人の修道僧がいると、ほぼ無理ですね


また下に降りて「修道院聖堂(教会)」を覗いてみましょう



修道院聖堂


彼らは毎朝2時に起床
日没で夕食をって就寝可までの16時間ほどの間に
六回とか八回のミサを執り行っていました。



祭壇奥のRrtable(祭壇奥大衝立)


スペインの教会の特徴として
祭壇の奥に床から天井まで届く大祭壇画 Retable(イコンのような板製)を飾ります
彩色レリーフだったり
板絵だったり

ここでは石造りのレターブルで見事なレリーフがびっしりと彫られています


そして
教会にはその教会で勤めた神父や修道僧を床に葬ることが一般的でした
畳一畳ぶんほどの石板の墓碑を床と同化させて

ここは
かつてのアラゴン王家が建立した「王室修道院」で会ったために
歴代アラゴン王たちのお墓があります

アラゴン王ハイメ1世



歴代アラゴン王の墓(一部)

それがなんと
床ではなく二本の大柱の間に橋をかけるようにアーチをかけて
その両面に作られていました
アーチの下は
大人が立って歩ける高さのアーケードです

この形式は
他に知りません





そして
見学を終えるとこの写真の右側の扉
つまり「聖堂の扉」から出てくることになります。


この修道院は
単なる遺跡の文化財ではなくこんにちも現役の修道院ですので
季節によっては自由見学はありません

シーズンごとに
案内の言葉毎に
1時間おきとか2時間おきなど定められた時間に集まって
案内していただける形になります

おそらく夏のシーズンは自由見学ができるはず。

自由見学でなければ
案内してくださるのはもちろん現役の修道院の係りの方です
修道僧か
修行中の修道士かは
その時次第

では皆様も Bonne Visite (良い見学を)!



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フランスの夏の到来を告げる... | トップ | カタルーニアの魅力 2 <... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

素晴らしき世界/スペイン」カテゴリの最新記事