
カタルニアが生んだ至宝『サルヴァドール・ダリ』は、生前カタルーニア政府から『プーボル男爵』領(プーボル村)を贈られ、同時に爵位を格上げし『ダリ・デ・プーボル侯爵』という爵位を授けられました。
その爵位に伴う幾つかの城の一つ、侯爵領「プーボル」の城を、ダリは奥さんの『ガラ』にプレゼントしました。
1970年のことです。
その館はそれ以来『カステロ・ガラ』と呼ばれることになりました。

ダリ・プーボル男爵夫人ガラ・エリュアール
カタルーニア第二の都市『Girona』から東へ15㎞ほど田舎の街道を走ると「プーボル村」に着きます。

プーボル村 全景
写真の、ひまわり畑の向こうの一かたまりがプーボル村。
左の塔は村の教会です。
そこからすぐ、右側の木立の中に『カステロ・ガラ』は、ひっそりと隠れるように存在します。

主門
大掛かりな城門のあるお城ではありません。
お屋敷といった風情。
アーケードをくぐったり内側の中庭みたいなところに抜けると、彼の愛車が四台保存されています。




馬車(フレームしか残っていませんが)2台と、車が2台。
公式な外出用とおぼしきキャデラックと、日常使いと思われる「ダッツン」。
なぜだか、ほっこりしました。
日本車が、安かろう悪かろうから、安い割に堅牢、という評価を受けることになる最初の輸出車が「ダットサン」だったのです。
海外では「ダッツン」と発音されていました。
城内は、ある意味なんでもありの夢の国。
まずは、侯爵閣下の「玉座」(とは言わないでしょうが)。

男爵座
もちろん彼自身のデザインのようです。
背もたれのメダイヨンの中は、油彩で幻想的な田園地帯の夕景。
当然、礼拝堂もあります。
貴族のお屋敷ですから。


祭壇 天井画(部分)

天井画
天井画も、もちろん彼自身の作品です。
そして、貴族の館の伝統的な部屋々々。


主寝室の寝台 サロンの一隅

予備寝室の寝台
かと思えば、明らかに部屋のコンセプト自体が「サルヴァドール・ダリ」な部屋の数々。
例えば浴室は、角の一見暖炉のように見えるカーブの切り込みの奥に、また繰り込んで隠されています。


中央の暖炉様の奥にリネン置き場 その中に入るとさらに奥にバスタブ
あるいは、暖炉の様に見えなくもない照明や、トロンプ・ロイユ(だまし絵)の扉。
右下の写真は、壁に書いた「開いた扉」で、実際に開口部はありません。


暖炉に擬した照明 だまし絵の扉(通れません)
田舎風のタンスをリメイク。
それから、ガラスのキャビネットには彼のコレクションの小物の展示。


かと思うと、彼は衣装もデザインしていました。
スペインでは『聖週間』という、復活祭直前の一週間が最も重要なお祭りで、全国であらゆる人々が着飾って街を埋め尽くします。
『フェリア』と呼ばれるその祝祭に参加するときの、彼がでワインした衣装も展示されていました。


プーボル男爵サルヴァドール・ダリの衣装 男爵冠


男爵夫人の上衣 その他多数
ユニークなテーブルは、彼のコレクションだと思われます。
そのテーブルを、照明器具としても利用。

暖炉もユニーク。

有名な作品の展示もあります。


溶ける時計 鼻の形の暖炉とペアの唇型ソファー
唇型のソファーと鼻型の暖炉は、一定の高さかの女性の顔を象って刳り貫いた隙間から覗くと、人間の顔に見えるように配置された作品で、現在は同じカタルーニアの『フィゲーラス』という街の「シアター・ミュージアム・パレス」に、完成形で飾られています。
さらには。
彼のデッサンから、絵の具箱まで展示されていました。


先にご紹介した愛車の展示のアーケードの奥には、彼と奥様との墓標もあります。


城内を出ると、外は緑が目に染み込んでくるような木々に溢れたお庭があります。
その中には、彼のコレクションのオブジェや、彼自身の作品が飾られています。
その中で不思議だったもの。
他の彫像はしっかり立っているのに、一体だけ隅っこにひっそり。
で、よく見ると膝から下がない。

足のない大理石像
そこで思い出したのが、その前の壁で見た膝丈夫から下だけの脚をあしらった壁面!

脚の一部の装飾
シシュールレアリスムの旗手だけのことはある。。。
ゾウさん2種。

ゾウさん 1

ゾウさん 2
噴水1と、そのディテール。

噴水 1

噴水 2 (部分)
噴水2と、なぜかダリだらけの装飾。。。

噴水 2

ダリだらけ.....
そして、美しい男女像。


なお、売店にはダリの作成したオブジェのレプリカ装身具を売ってます。


私はお庭にあった「ゾウさん1」のペンダントを買っちゃいました。
それが一番素敵でした。

カタルーニアは、魅力溢れて良いところがたくさんあります。
次回をお楽しみに!
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