行ってみませんか... こんな 素敵な世界へ

好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

ブルターニュ紀行 51 < ペン・ラン岬 の 一押しホテル > ヴァンヌ から東へ

2021-05-31 00:41:43 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ/ホテル
巻頭写真 : ペンラン岬のホテル『ドメーヌ・ド・ロッシュヴィレーヌ』

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスでは無い異世界を巡ろう
51


今回は
南ブルターニュで一押しのホテルをご紹介しようと思います
「ヴァンヌ」から15kmほど東の
小さな岬『Pointe de Pen Len ペン・ラン岬』の先端

その前に
ちょっと寄り道して
「ヴァンヌ」の東3km「Le Plessis プレシ川」という
小川のような小さな(でも結構長い)流れに沿って立つ
『Château du Plessis Josso プレシ・ジョッソ城』に
立ち寄ってみよう


まず目に飛び込んでくるのは
圧倒的な質感の城壁


しかも
極めて素朴で牧歌的とも言えそうな城壁
そして
城門まで来るといたって農家風




でも城門はさすがにしっかりしたもの









主棟の八角形の塔の中は螺旋階段


その塔の最上部は
ノルマンディーやブルターニュでよく見られる「木(木)瓦」
生木のチップなので樹脂を含んでおり
これで屋根全体を葺いても40〜50年もつそうだ


この「屋根窓」の造りが極めて「ブルターニュ」なのです



中庭に斜めの屋根を持つ小屋掛けの「井戸」がある



壁の存在感も半端ではない
主棟の中も地方色たっぷりでいたって素朴















そぐ近くを流れる「プレシ川」が
城の横で広がって池となっている



この城は「Châtrau du Plessis josso」と「シャトー 城」とばれることもあるが
「Manoir du Plessis Josso」と「マノワール 屋敷」呼ばれる事もある
この「マノワール」が英語になって「マナー・ハウス」となった

では
いよいよ一押しのホテルに向かうことにしよう

この「プレシ・ジョッソ」のすぐ傍を通る高速で東へ10km
『Musillac ミュジヤック』で高速を降りて
南(海側)へ2kmほどで『Billier ビリエ』
さらにそこから小さな岬『Pointe de Pen Lan』

『Pointe de Pen Lan』 Photo by ⒸDomaineDeRochevileine

ペン・ラン岬は
真っ白い南ブルターニュ式の家が30戸ほど立ち並ぶ(ほとんど別荘だと思われる)
岬の名前のままビリエ村の字(あざ)で
その手前端の一かたまりがホテル
『Le Domaine de Rochevilaine ドメーヌ・ド・ロッシュヴィレーヌ』

ここは
例によって入江くらいある広い「ヴィレーヌ河」を遡った
『Le Roche-Bernard ル・ロッシュ・ベルナール』という町の港への侵入を防ぐために
敵艦船を撃退する目的の砦があった場所
その砦の名残(少ないが)の部分を利用して造られたホテルなのです

通りに向いて門が開いている




個人的に大好きなこの門を入るとすぐ
「メンヒル」が一本立っていて出迎えてくれます



この最初のお庭を右に進むと
別の塀の跡とアーチがある


奥の突き当りが
ホテルの中央棟でレセプションとレストランや共用スペースがある


丸い塔がかつては玄関だったが



今はその並びに別の玄関ができている




敷地内を散策すると
昔の建物の遺構ががそのまま活かされて使われていて


小さな発見があちこちに隠れている






客室は
レセプションのある棟の二階から始まって
敷地に散在する幾つかの建物の中にそれぞれ分かれて作られている
例えば


この建物の中は



こんなお部屋


窓の外は海です







例えばこの建物の中に何部屋かある局室の
一つは


こんなだったりする



 そしてこの中は





デュプレックス(ロフト)になっていたりする





さらには


下の階はとんがりアーチ型の窓


上の階は小さめの四角い窓



さらにこちらの中はもっと凄いのです




寝室とサロンとは別になってはいないが


めちゃくちゃ広い


そして何と
プライヴェート・テラスにはオープンエアー・ジャクジーが


テラスから中を見るとこうなってる
そして


当然
バスルームは中に別にあります

こんな建物も


中は全部一つのスイートらしい

それよりダイニング・ルームを忘れてはなりません







マテ貝のミルフォイユ仕立て

アカザエビのカルパッチオ

ホタテの半生グリル


柑橘シャーベットのクレープ巻き

ブルターニュらしくクレープですが
ふつーにクレープで出さないところが

ブルターニュ名物の「ブルー・オマール」を頼むと



「これを只今から調理いたします」
と見せに来てくれます

朝食はダイニングではなくスパのプールの見えるところで

スパのレセプション


テーブルの前の窓の外は磯


後ろはガラス越しにスパのプール

Photo by Hotel

ここのスパには
マッサージとボディーケアー
サウナとハマム
海水セラピー
ジャクジー
トレーニング・ルーム
その他あらゆる設備が揃っています


Photo by Hotel
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ブルターニュ紀行 50 < モントヌフ マレトロワ ロッシュフォー・アン・テール > プロエルメル周辺 を巡ろう 3

2021-05-28 00:48:32 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 『モントヌフ』の列柱巨石

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
50



今度は「プロエルメル」から南を巡りましょう

20kmほど南東に下ると『Monteneuf モントヌフ』に至る
ここは
列柱遺跡が迫力があるのです


「カルナック」の様な広大な分布ではないけれど
岩の一個一個が粒ぞろいなのです


太い


高い


鋭い


美しい緑の環境の中にある



自由に歩き回れる



上に乗っても叱られない(お勧めしませんが)


倒れていても


とにかく圧倒的な存在感で
この迫力




確実に人力で切りそろえられたと覚しきものも



人間の手が加えられていないと思われるものも


分厚い物も


削ぎ取られたようなものも



とにかく
存在感はハンパではない










ということで
「モントヌフ」の列石柱遺跡は迫力満点です


※  ※

「モントヌフ」から南西に15km
「プロエルメル」から真南に15km
『Malestroit マレトロワ』という町があります

運河と花と礼拝堂の町『マレトロワ』

ブルターニュという大半島の
西の先端の港町「ブレスト(既出)」と南東の根元の「ナント(未出)」を
幾つかの川を結んで
『Canal Brest-Nante ブレスト=ナント運河』
という水上輸送ラインが存在する

前々回あたりから出てきた「ウスト川」もその一環で

マレトロワ近くのウスト川

幾つかの町を迂回して流れるような所では
実際に運河がバイパスを作ったりしており
この「マレトロワ」の町も湾曲する「ウスト川」を直線で結ぶ運河が
町を横切る

ⒸGoogle Earth

「ウスト川」は右上から流れてきて
「ノートル・ダム島」という小さな島の所から
左上に運河が掘られている


Map by  ⒸFrance-Voyage.com

川から運河に入るところ



端に立って川を背に運河の方を見る


実は
「ノートル・ダム島」のすぐ北で
川底の高さが違う


そこで
この位置まで来た船は
水面の高さを調整してもらうことになる


つまりこの位置は「閘門」なのです


一つ上の写真とは逆向きに運河に入る方向の船が待っている写真ですが
こんな感じで水を出し入れする
水準が整うと


通れるわけです
夏のシーズンともなると子供達のカヌー教室のカヌーで


閘門の中がこんな賑わいになることもある

町とウスト川とは切っても切り離せない


ウスト川の水面に映る家と柳が一幅の絵のよう


そして
教会が見えます

『Eglise Saint-Gilles 聖ジル教会』




川越しに見える面とは逆の側面




それから
礼拝堂の廃墟もある

『Chapelle Sainte-Madeleine 聖マドレーヌ礼拝堂』

正面だけ見れば廃墟だとは思えないが


全体を見れば残っているのはほんの一部分だけだとわかる



中側から見る

町の旧市街も良い感じです






「サン・ジル教会」の前の広場



壁のプランターにお花が咲き誇っている季節に
ぜひ見たい家

『Fontaine de Dragon ドラゴンの泉』



『Croix de Joubin ジゥウバンの十字架(カルヴェール)』

そして


この左手前と右側の家のように黒っぽい石のゴツゴツした家並みが
いかにも「ブルターニュ」なんです


※  ※

さらに「マレトロワ」の真南15kmで
『Rochefort-en-Terre ロッシュフォール・アン・テール』に至る


この通りに並ぶ建物の多くは16〜17世紀のもので
それらの家々は個別に国の登録文化財に指定されている















16世紀の家

16世紀の家

17世紀(1666年)の家


中心部から北西のはずれの高台に城がある


城壁と塔

城壁の搦め手門

城の入り口の門















城のテラスに立つ聖母像

城の礼拝堂





礼拝堂は城壁の上に建っている

『Eglise Notre-Dame de la Tronchaye トロンシェの聖母教会』



カルヴェール








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ブルターニュ紀行 49 < パンポン(ブロセリアンド)の森  伝説 と 大修道院 と 製鉄所 と 城 > プロエルメル 周辺 3

2021-05-26 00:54:38 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 『ブロセリアンド(魔法物語)の森』の発祥の地と言われる「パンポン」の森

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
49


「プロエルメル」から東北東に15kmほどで
『Foret de Paimpont パンポンの森』という温帯湿林地帯がある


広葉樹林が鬱蒼としかし幻想的に広がって行く光景は
神秘的なほど




かなり広い森のあちこちには
せせらぎが横切り





いくつもの
大小の池がある




齢を重ねた巨木が今日まで生き残る
神秘の森


『Chêne à Guillautin ギヨータンの樫』


この森は『Forêt de Brocéliande』とも呼ばれる
「ブロセリアンド」は「魔物の」というような意味の
中世の騎士物語に出てくる表現
というのも
このブルターニュの森は
『アーサー王と円卓の騎士』伝説の誕生した背景なのです
あちこちに
登場人物に所縁の名を付けられた岩などがる

『Tombeau de Géant 巨人の墓』

『メルランの墓』(円卓の騎士の一人)

『Horié ou Maison de Viviane ヴィヴィアンヌの(聖)家』
アーサー王伝説上の「湖の女王ヴィヴィアンヌ」の聖地(家)
と呼ばれている岩の群れ
『Epée du Roi Arthur アーサー王の剣』




『Saint-Judicaerl 聖ジュディカエル』
古ドムノネ王国の王(ブルターニュ王)にして
出家してパンポン大修道院を開いた聖人

その他

『Fontaine de Barenton バラントンの泉』




『Fontaine de Jouvence ジュゥヴァンスの泉』




『Maison des Fées (Maison Tréssée) 妖精の家(編み込みの家)』




そして巨岩もゴロゴロ




『Rocher tremblent 揺れ岩』

池が大小かなりあるが
池の前は眺めが良いはず
眺めが良い場所には城があるはず

『Château de Comper コンペー城』

『Château de Pas du Houx パ・ド・ウゥ城』

城でなければ修道院

『Abbaye de Paimpont パンポン大修道院』

ということで
この「魔物の棲む森」で名高い「パンポン大修道院」を
訪れてみよう


まずもって
池に映えるその姿の艶やかなことと言ったら


池越しだったら
どこから写しても名カメラマン


大修道院聖堂が左に連なる光景を正面に見据える


この建物の左端が修道院聖堂


『Abbatiale Notre-Dame de Paimpont 聖母大修道院聖堂』

反対側に回り込むと
実は聖堂は先ほどの正面の建物に直角に立っている



Portail 中央扉口


修道院聖堂の扉口


扉口中央の聖母子像 ディテール

聖母修道院聖堂 身廊

身廊奥翼廊手前の「聖職者内陣」と 手前右は聖母祭壇

聖母祭壇 ディテール



翼廊(十字架横木部)と奥の内陣は天井がゴシックの石の天井に作り直された
通常の内陣部は「上(かみ)の内陣」と呼ばれる


内陣一番奥『Autel Saint-Sacrement 聖秘蹟祭壇』と天蓋

聖秘蹟の祭壇のルターブル(祭壇衝立)

聖具室


1375年という記述のある銘板

外には900年を経た十字架が立っている

『Croix de l'an 1199 1199年の十字架』




外はすぐに池






さて
この「パンポン大修道院」から遠からぬ所に
近代産業革命の遺跡がある


『Les Forges de Paimpont パンポン製鉄村』

!8世紀半ばに作られた製鉄所集落


集落の入り口の廃墟の家々



この人工的に作られた製鉄村は
総支配人
工場長
職長
鍛冶職人
数百名が生活していた




『Logis du Dirécteur 総支配人の執務室兼住居』




今は文化財として見学者用に修復された建物もあれば


廃墟もある





高炉の廃墟


砂鉄や鉄鉱石を溶かして製鉄する際
温度が高いほど不純物を取り除いて精度の高い鉄が得られる
従って温度を上げる為に「炉」が高く伸びる
陶磁器の「登り窯」と同じ発想

説明用の当時の模型





見学者のグループも多い

数服された「延鉄所」の建物


今は住民たちのイヴェント用に利用されており
結婚式のパーティーに好まれている
フランス人たちは文化財でパーティーをやるのが好きなのです

職長の屋敷(左)と旧礼拝堂


製鉄村以前から存在していた旧礼拝堂

19世紀に作られた新礼拝堂




『鉄祭り』の際のデモンストレーション

この村で18世紀半ばから19世紀半ばまで
スペインとスエーデンの製鉄業に対抗して多くの鉄が作り出された


最後に城を一つご紹介
『Château de Trécesson トレセッソン城』


=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 48 < ジョスラン 城と人形と時代祭り > プロエルメル の 周辺部を訪れよう 1

2021-05-24 00:31:05 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ウスト川沿いに見るジョスラン城

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
48



「プロエルメル」の西にわずか10km強で
『Josselin ジョスラン』という
城で名高い町がある


ブルターニュに起源を持ち
11世紀から21世紀の今日まで続く
3名の王国軍元帥
3名の宮廷大祈祷係(宮廷付き大司祭)
7名の司教
3名の大司教
5名の枢機卿
を排出しフランス史に関わる名家『De Rohan ド・ローアン』家の
ブルターニュで3カ所の拠点の居城の一つ


『L'Oust ウスト川』に面した本丸を主に
大きなゆるい三角形の城壁で囲まれた城だった



川の前の段丘を利用し
保pんらいの岩盤の部分をそのまま取り込んでそびえ立つ
『Cour 中庭』は段丘の上の」高さにある
この写真の進行方向に現在の入り口がある


昔の通用門に進入路の」坂道を整備した感じ



さすがブルターニュというべきか
この進入路にもカルヴェールがあった
このまま入ると


こんな感じで場内に到着



川の対岸から見た本丸を
中庭から見るとこんな具合で背の高さは半分くらい
右から入ってきたので
そのまま左へ抜けていくと


建物自体は横に長く
厚みは少ない
一番はじまで行って振り返ると


こんなに薄っぺらに見える
その右に向き合って見える塔は天守
この位置の真下は



中庭から見た建物の高さとは桁違い



本丸御殿みたいな居住用の部分は16世紀ルナッサンス時代
天守は15世紀の名残


天守は古い時代の城の一部で
その時代の空堀で囲まれていたのでやや低い地面から建っている


空堀を渡って天守に入る石の橋も残っている


本体の建つ「Cour 中庭」とは別に


一段下がって
花壇が作られている



そこからさらに一段下がって庭園となる







内部も見てみよう
実はこの城はもちろん国の指定文化財ですが
未だに「ド・ローアン公爵と公爵夫人」が当主でご健在で
それでも見学ができます

城の礼拝堂

書斎


広間

この写真右の張り出し部分は
川に面した正面外壁の厚みを利用して造られた
かつての見張り用の窓

大食堂



上階の部屋の一つ 上階は天井がカーブしている

また外に出よう









屋根窓の輪郭と窓の十文字の突っかいはゴシックのやり方
しかし
壁面を覆うレリーフはルネッサンス






壁の最上部の屋根の高さの刳り型の文様は
ブルターニュ公爵家の紋章である「ミンクいたち」

せっかくですからご紹介させていただきます

ご当主『ド・ローアン公爵ご夫妻』
城の庭園での一コマ

さて
この「ジョスラン城」には『玩具と人形博物館』という施設が併設されている
敷地の一部
一番奥の城門にある建物が使われており城内の敷地から繋がっているはずだが
一旦町に降りて
そのから回って行くことになっている


この門を入る
城主が
若い頃ブルターニュの各地の民族衣装を着たお人形を集め始め
そのうち世界中の人形と名のつくものなら何にでもと手を広げ
集めに集めたり6000点
Photo by ⒸMusée de Poupées et Jouets de Château de Josselin
ブルターニュの水夫の服装の子供とその友人とクマ

その膨大なコレクションのうち800点ほどを収めた博物館を作った

Photo by ⒸMusée de Poupées et Jouets

Photo by ⒸMusée de Poupées et Jouets

Photo by ⒸMusée de Poupées et Jouets

展示は大小さまざまなガラスケースで



修道女

法律家と軍人と

サーティーズな雰囲気抜群の比翼付きのコート


女の子たちの一番人気は『バービー』


男の子たちはやっぱり兵隊さん


『チャップリン』から始まって
『タートル忍者』や『スーパーマン』や『ET』まで
銀幕のオールスター勢揃い


片やコミックの人気者
『タンタン』と『シュトロンフ』と『アステリックス』
このクマさんは誰だっけ


極めてオーソドックスなお人形もいれば
極め付けは


五月武者人形とお雛様の勢揃い


どうだ参ったか

そしてここ「ジョスラン」の町では
毎年恒例の「中世 時代祭」が執り行われます
しかも
その開催日が


7月14日
なんと『フランス革命記念日』なのです


城の中庭で「輪になって踊る」宮廷人たち



馬上槍試合の出陣準備


ダンスはどんどん大規模に


町中では行列が



襲い来る敵軍を迎え撃つかのごとくに


列をなして行進する


我も我もと城へ向かう


やんごとない奥方たち


むさ苦しい兵士たち


中には何が何やらな連中も(道化です)


対岸から川の上を越えて城壁まで綱渡り


攻城戦ごっこもいい大人たちが本気です



方や教会では
中世の楽器でコンサート
昔ジャズが8ビートで年寄りはついて行けず
ロックが16ビートで雄叫びをあげ
今や32ビートの楽曲が咆哮する時代ですが
中世の音楽はおそらく2ビート(「たけし・きよし」は無関係です)


その日の旧市街はこの三角旗がいたるところを飾ります

『Eglise Saint-Martin 聖マルチネス教会』




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ブルターニュ紀行 47 < プロエルメル > 不思議な雰囲気の教会 と 近代時計技術の粋を極めた天文時計

2021-05-21 00:09:38 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 :  旧市街に残る城壁

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
47


前回の「ケルゲネエック城」から東へ30km
『Ploërmel プロエルメル』という町へ行ってみよう

町には
町を囲んで防御していた中世の城壁の一部が
残っている

城壁の角度の変わる角の塔は防御の拠点となる




この塔は完全に民家の一部になっているようだ




城壁の上部を利用して建てられた民家もある

城壁自体も窓があったり
壁の一部に
その壁を利用して民家に作り変えられていたり


城壁の上の水平狭間(石落とし)の部分も
そのまま民家の一部になってしまっている

そして
やはり町の中心は教会

『Eglise saint-Armel 聖アルメル教会』

西側正面の扉口を持つ鐘楼の
圧倒的存在感




扉口上のアーチ装飾


南側側面

 内部を見てみよう


身廊から内陣を望む内陣に至るあたりで幅が狭くなり
左側面だけ内側にカーブしている

身廊から正面扉口を振り返る



内陣と主祭壇

南側側廊


正面扉口を入ったところにあるパイプオルガンの下部に
木張りで天井をふいてある






斜めにかかる屋根と天井の圧に壁が堪えるように
梁を渡す
今まで散々見てきたブルターニュのやり方

左側面の壁の曲がる部分は
現在の教会を建てる以前の古い教会の残った構造をそのまま使っているから


翼廊部の天井の圧を壁に流す部分から
力を流すための細長い控えが降りてくる


その控え部分の先端にも怪獣の顔の装飾が施されている





そして


側面の壁の部分を占める「聖アルメル礼拝室」は
現在聖具室となっており
その上部に二階席を設えた

洗礼水盤

北側扉口
主な出入り口は西側正面鐘楼下ではなく
北側の側面


北側入り口は
ステンドグラスとびっしりと施されたレリーフのオーナメントが
素晴らしい














雨水を吐き出す口を持つ怪獣自体が
別の怪獣の口に半分飲み込まれかかっている形










ここ「プロエルメル」にも「カルメル会」の修道院があった


廃墟化している正面の部分はこれから修復工事を待つ
屋根の中の最上階は失われ
屋根窓だけ痛まないようにシートで包まれている


修道院聖堂は完全に修復され過ぎて
まっさらに見えなくもない程整ってしまった




実はこの町には特筆に値する
ユニークな文化財がある

『Maison de la Congrégation des Frères de Ploërmel プロエルメル兄弟修道士会館』

それは
この建物の中庭にあるガラス張りの亭の中にある
『Horloge Astronomique de Frère de Bernardin ベルナルダンの神父の天文時計』

作られたのは1850年から55年の間
作ったのはブルナルダン共同体のガブリエル・モラン修道士
この神父は
修道会が運営する学校の数学と天文学と航行技術の教授だったが
時計技師ではない



夜間航行技術のために天体の動きを研究するにつれ
それを視覚的に理解出来る「天文時計」を作りたくなり
授業が終わった夕方から学生たちをの協力のもと
全体研究のような形で作り上げた



裏側から見た天文時計
輪っかが7つ積み重なっているのは「遊星(動く星)」の位置を動かす仕組み
「太陽」
「水星」「金星」
「地球」「月」
「火星」「土星」
「土星の4衛星」「天王星」「海王星」
この時計を作る数年前に発見された「冥王星」は正確な軌道計算がなされておらず
この時計には現れない

その向こうの緑色の盾型は
反対側に付けられている文字盤の針や仕掛けを動かす仕組み




歯車が「円形」ではない事が凄い
この裏側がいわゆる文字盤となる

文字盤

文字盤は10個あり

①『時刻』「プロエルメルの町の経度の平均時刻」



②『カレンダー』「日付」「年の何週目」「月の四半期」



③『月の位相』「28日58時間刻み」「月星座」「四季」



④『太陽時間』「赤道上の平均時間」「日の出時刻」「日没時刻」「太陽歴と陰暦の誤差」



⑤『北半球のある地点の時刻』「位置特定のための北半球の正射修法付き」




⑥『南半球時間』「同」




⑦『プロエルメルにおける太陽と月の正対位置』


⑧『プロエルメルにおける天球傾斜度(北半分)』




⑨『天球の傾斜度(南半分)』



⑩『日の出の上昇角度の傾斜度』



その日ごとに表す



時計といえば平べったいものという無意識の認識ですが
機械は複雑怪奇
収められている亭の中全体に
腕やら紐やらがぶら下がってたり飛び出していたり



最終的に10面の文字盤に結果を表示するとはいえ
この空間全体が時計の機械部に成っている



理解するのに頭の痛くなる
複雑怪奇な「天文時計」ではあります
実は
学校の製鉄作業場で作られそこに置かれていたのですが


ベルナルダン共同体というカトリックのミッションが解体された際に
一度廃棄処分が下され
競売に課されたのですが
金属の重さでの販売にもかかわらず買い手がつかなかったとか


その後すぐ保存が決まり
施設を受け継いだ「プロエルメル兄弟修道会」の中庭の
「キオスク」として作られたガラス張りのこの「亭」に
組み立て直されて
今日に至っています

その他「プロエルメル」周辺には
4箇所のカルヴェール
1本のメンヒル
1箇所のドルメン
複数のシャトー
などもありますが文字数の制限でここまでにしましょう
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 46 < ラルゴゥエット城塞 ケルゲヘネック城 ロクミネの聖救世主教会 など > ヴァンヌ から 内陸へ 

2021-05-19 00:05:58 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ラルゴゥエット城塞

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
46


この辺りで湾を離れて
モルビアン県の県庁所在地「ヴァンヌ」から北側の内陸へ行ってみよう

ヴァンヌから北東に15km「エルヴェン」という町の手前に
『Forteresse de Largoët ラルゴゥエット城塞』という城の廃墟がある


遠目には塔が二つ


どこから見ても
塔が二つ



城門へのアクセスを守る城壁のあった「出丸」の中を
城門に向かって歩く光景はこんな感じ
この一角には「礼拝堂」の残滓もある


この「出丸」ももちろん城壁で囲まれていた
そして城門



この城門自体
左右に頑丈な丸い塔(基礎部分の一部のみ残る)で守られた
『Chatelet シャトレ(小砦)』だった



お約束の「跳ね橋」を鎖で吊って上げ下げする腕木の縦長の隙間が残る
左側の歩行者用の小さい入口は
一本腕で吊り上げていた





小砦で会ったからには最上部に巡警路があったわけで
「Machicoulis 水平狭間」の跡が見られる


空堀は結構な深さ
今の橋は
もちろん当時のものではない
跳ね橋が無くなった跡に現代の仮設の橋が架けられている


『Donjon 天守』

場内に入って前方左の巨大な塔が「Donjon 天守」
下にいる人間と比べると
大きさがわかります

上の巡警路は
水平狭間(石落とし)の石を落とす開口部の間隔を支える控えの部分を残して
やはり残っていない


この「ドンジョン」の内部は
見学者用に置いてある見取り図を見ていただくと
よく理解していただけると思うが


壁が異様なまでに厚くできていた
右のオレンジいるの部分がドンジョン
内部は縦の空間が二つ
中心部の丸い部分と
その横の楕円形状の平内部分とがある





狭い方の空間
各階のフロアーは全部消失して吹き抜け状になってしまっている



螺旋階段を上の方まで登って
矢狭間から外を見ると


城門を入って左奥にある丸い塔が見える
高さの差が明らか

『Tour Ronde 丸い塔』


「丸い塔」の頂上は
巡警路も水平狭間も頂上小屋も残っている


堀に映る「丸い塔」の佇まいは
極めてロマネスクな雰囲気

場内の敷地は
城門と左右の塔の基礎だけが残る「小砦」
戦の差異の防御の拠点である「天守」と「丸い塔」
そして
居住用建屋が二棟あった

 『logis 居館』

現存する居住よう建屋はこの一棟のみ
おそらく主人のための居館


 もう一棟
従卒たちや召使い用のものがあったはずだが残っていない


オペラの舞台背景の装置のような
城塞です


※  ※

さて「ラルゴゥエット城」から北北西の17〜18km
(「オーレ」と「ヴァンヌ」を結ぶ線の真ん中あたりから真北に15kmほど)に
『Locminé ロクミネ』という町がある

そこの境界が実にユニーク


『eglise Saint-Colomban ou Saint-Sauveue 聖コロンバン/聖救世主教会』

よく見ていただきたいのですが
何か気づかれただろうか

実は
かつてここにあった「聖救世主教会」の正面ファサードだけが残って
その後ろのもともと教会本体があった位置に
そのまま
超近代的な現代の教会「聖コロンバン教会」を建ててあるのです






それで
全体で「聖コロンバン・聖救世主教会」と呼ばれています



古い教会のファサードに一番近いところは
正三角形を真ん中から半分に切った形


その先は
プラミッドの縦割りのような三角形


その先を
縦軸から少しずつはみ出して行くように付け足して
その幅の変わるところの幅の部分にステンドグラスを使ってある



広部に面したファサードと
その続きの部分がほんの少々残るのみ






正面には古い「カルヴェール」が残されていた




当然この町にも「泉」があります

『Fontaine de Saint-Colomban』


町に残る古井戸


木の柱と梁の民家もある


※  ※

「ロクミネ」から8kmほど東に城が一つ
『Domaine de Kerguéhennec ケルゲエネック荘』

敷地も広く
その全体を「荘園」という言葉「Domaine ドメーヌ」と呼び



建物自体は
「ドメーヌ」とも「シャトー」とも呼ばれる

『Château de Kerguéhennec ケルゲエネック城』

まず
かなり離れて正面を見る


ここから門へ近づくアプローチがいい感じだ


各所に現代美術が置かれている




門を入ると池がある

池から門を望む

頻繁にイヴェントを行うが
ある時現代彫刻家展をやった時には池の中まで作品が並んだ

池越しに母屋を望む

普段は池はこのような感じ
建物に近づいて斜めから見てみよう



非常に均整のとれた上品で洗練の極みとでも言える17世紀古典主義



建物の向かって左側は敷地が斜面になっていて
そのまま谷につながってゆく




流れを一部堰で閉ざして池のようにもなっている


周歩道もありくつろげる

室内も見学できます










書庫


大階段




そこかしこのオブジェを見て回るのも楽しい




巨木もある





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ブルターニュ紀行 45 < エル・ラニック島 ガヴリニス島 オー・モワーヌ島 > モルビアン湾内の島巡り 

2021-05-17 00:10:13 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 「ガヴリニス島」のテュミュリュスの玄道

海と信仰とカルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を巡ろう
45



今回は「モルビアン湾」の中に無数にある島々の中から
特に興味深い島を幾つかあげて訪れてみよう

まず
先回最後に訪れた「アルゾン」の町に含まれる
岬の先端から500mほど沖合の岩礁へ

Photo by @GoogleMap

赤線で囲まれた薄緑に塗られた範囲が「アルゾン」の町の範囲
ちなみに左端のやや濃い緑の部分は
「モルビアン湾」の入り口の西側の半島の先端で
以前最大のメンヒルをご紹介した「ロクマリアケール」です

その「アルゾン」の町に属する小さな島

Photo by @GoogleMap

薄緑色の小さな島を訪れるのですが
ちなみにそのすぐ北側に白い島の一部が見えるのが
その次に行く島「ガヴリニス島」です

※  ※

「Pointe de Penbert ペンベール岬」から北へ500m
『Ile d'Er lannic エル・ラニック島』

ここには
ブルターニュでは非常に少ない『Cromlec'h クロムレック』
が残っているのです

以前ご紹介して巨石遺跡のうちの
『環状列柱』
です

満潮時

干潮時


以下の5葉の写真を横一列につなぐと







見たままの形になるんです



そしてそのすぐ北側に
もう一つ重要な島がある


Photo by @bretagne.com

テュミュリュスがあるのがお分かりになるだろうか


非常に名高いテュミュリュスがある島『Ile Gavrinis ガヴリニス島』

Photo by @GoogleEarth


※  ※

その『ガヴリニス島』に行ってみよう


『Ile de Gavrinis ガヴリニス島』
『Cairn de Gavrinis ガヴリニスのケルン』 Photo by @tourismebretagne.com


写真の右端に
今回先にご紹介した「エル・ラニック島」の先端が写っている
両島の間は100m位しかない




作られたのは新石器時代で紀元前4250年から4000年頃
土をかぶせてテュミュリュスにする前段階のケルンは
切石の乾積み(プロヴァンスでご紹介したボリーと同じ)で
ドルメンを覆っている


直径50mのほぼ円形で
玄室から頂上まで8m

このテュミュリュスは内部の素晴らしい装飾で名高い
早速中に入ってみよう


玄道に入って目に入る光景


玄道から外に向かって振り返った光景


玄道の長さ14m
玄道の天井高は2m50ほどもある



天井岩を支える左右のメンヒルの一枚一枚に
線刻文様が刻まれている


突き当たりが玄室



玄室


玄室の壁に何かを引っ掛けるためのフックが切り出してある


おそらくずっと後世に人が住み着いた時代があったとしたら
その時に作り足されたのかもしれない




















さらに
外部の頂上から鉄梯子付きのマンホールの入り口のような竪坑があり
5mほど降りると
もう一つ別の玄室がある


その玄室は
天井も床も壁も下の坑道より
巨大な一枚岩で



デフォルメされた動物らしき文様や
手斧などが大きく刻みつけられている

外に出ると


玄道の入り口のある側面以外は
長らく土がかぶっていた「テュミュリュス」の時代の外観がそのままで
入り口から見たときだけ「ケルン」に見える


ちなみに
このケルンの上の玄室の天井を塞ぐ巨大な一枚岩は
以前ご紹介した「ロクマリアケール」の
四つに折れて地上に転がっているフランス最大の「折れたメンヒル」の
実は下から2番目であったことがわかった
つまり
現在見られる青の巨大メンヒルは
埋まっていた基部を除いて
下から一番目/三番目/四番目/五番目なのだそうだ

このテュミュリュスが6200年前のものだから
「ロクマリアケール」の巨大メンヒルはもっと古く立てられたことがわかる
そして程なく倒れてしまったわけだ

大きすぎて重すぎたのだろう

この「ガヴリニス島」には
「アルゾン」か「ロクマリアケール」の港から
小さな連絡船でほんの数分でくることができる


※  ※

では次に「モルビアン湾」の島々の中で一番名高い
『Ile aux Moines オー・モワーヌ島(修道僧の島)』
に行ってみよう

Map by @GoogleMap

右側の縦の細長い島がそれ

オー・モワーヌ島のビーチ

この島は細長いので
この「細長いビーチ」の写真が典型的に使われる
もう少し引いてみるとこう




教会とビーチと





『Eglise Saint-Michel de l'Ile aux Moines オー・モワーヌ島の聖ミカエル教会』


ビーチの周辺は貸別荘が立ち並ぶが
そこし離れると純粋に田舎の情緒が溢れている






礼拝堂はお約束

『Chapelle Sainte-Anne 聖アンナ礼拝堂』


干潮時には干潟になる海岸に建っている


礼拝堂に属する泉も



そして
この島には三箇所ドルメンがあるが
一番見ごたえがあるのが『Pen Hap ペン・ナップ地区』

『Dolmen de Pen Hap 1』


『Dolmen de Pen Hap 2』


さらには
この島にも「クロムレック(環状列柱)」があるのです


50個メンヒルが
途切れ途切れの半円形に残っている


その要をなすのが
その名も「Le Moine 修道僧」と呼ばれる一番背の高いメンヒル


そっくりでしょ
さすがは「Ile aux Moines 修道僧の島」という名前は伊達ではありません


結構複雑な(不思議な)形のメンヒルもある




=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 44 < リュイス半島 2 サルゾー から 先端の アルゾン まで > モルビアン湾に沿って 8

2021-05-14 00:15:08 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 半島の一角のよくある光景

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
44



前回に続いて
「モルビアン湾」の南側を塞ぐ「リュイス岬」を
西の最先端に向かって辿っていこう

前回ご紹介した「スッスィニオ城」の位置から北側の
湾の方に向かって『Sarzeau  サルゾー』という港を持つ町がある
その前に
その「サルゾー」の北東に隣接して
『Saint-Colombier サン・コロンビエ』なるより小さな港の村があって
そこに名物が


『Pop-Corn Labyrinthe ポップ・コーン迷路』

ある農家が自分のトウモロコシ畑を「迷路」に仕立てることで
全仏に有名になったのです
トウモロコシだから「コーン』なんですが
実にイケてるから「ポップ」というわけで
ハイフンでつないで『ポップ・コーン迷路』と呼ばれるようになった

なんと今では「テーマパーク」みたいになってしまって



要所要所に案内板とゲームコーナーと子供用クイズ・ボードがあって
スタンプラリーみたいなことになってる


お爺ちゃんとお婆ちゃんとお父さんと一緒にゲームに向かうお嬢ちゃん


時には大人の方が熱くなったり


もちろん
収穫してしまたら次の年までお休みです








今では
他の地方でも自分の畑の迷路の刈り込みをやる農家が出てきた
類似品にご注意ください

なおこの村のカルヴェールも見事です




  ※  ※

さて
『Sarzeau サルゾー』ですが

『Eglise Saint-Saturnin 聖サテュルニヌス教会』


身廊から内陣の方向を望む


身廊から西側正面玄関口を望む
入り口の上に「トリビューン 二階席」がある
入り口にステンドグラスはない
ドアのガラスに内側のステンドグラスが映っている


身廊と翼廊の角


右(南側)側廊突き当たりの祭壇のルターブル


交差部の天井のクーポラ


「内陣」の外側を取り囲む「デアンビュラトワール 周歩廊」の
主祭壇裏側の位置から身廊方向を見晴らす


「デアンビュラトワール」の壁の聖画

『Saint-Saturnin 聖サトゥルナン』

壁には
この教会の守護聖人「聖サトゥルナン」の彫像も

南側側面


北側側面

この北側の写真左端白い車の停まっているあたりに「カルヴェール」がある



ここ「サルゾー」の村の周辺には
館や屋敷など見るものも多い


『Fontaine de Sarzeau サルゾーの泉』

『Manoir de Kerassel ケラッセル館』



この部分は16世紀の建築になる

さらに

『Villa Coëthuel コエテュエル邸』


この屋敷は
ブルトン語で「Cöet Ihuel」といい「Coëthuel」はフランス語に当てはめた表記

『Manoir de Kergal ケルガル館』

『Manoir de Kerouallan ケルゥアラン館』

これらの屋敷は
幽霊がたくさん棲み付いていそうで気になるが
この手の屋敷はあと5軒ほどあるようだ

※  ※

「リュイス岬」の最先端の町は『Arzon アルゾン』


「リュイス岬」の最西端の中心の集落で小さな岬がたくさんあり
幾つかの小さな港がある

そして「アルゾン」で
一番高いのが教会の鐘楼という懐かしい構造


当然いたるところから見える

『Eglise Notre-Dame de ml'Assomption 被昇天の聖母教会』


西側正面扉口と鐘楼を持つファサード





正面が様く公人が大きいブルターニュ風


身廊から奥の祭壇と内陣を見る


主祭壇と内陣



翼廊と身廊との交差部から西側玄関口を見る
二階席がある

要するにこの村は極めてオーソドックスな平凡な村ということ


中心部を少し外れるとすでに田舎の風情となる

幾つかの小さな岬の一つが『Pointe de Petit Mont プティ・モン岬』

『Pointe de Petit-Mont プティ・モン岬』  Photo by @bretagne.com

写真の向こう側はすでに「モルビアン湾」で小さな岩礁のような島々が沢山見える
その岬にテュミュリュスがある


『Cairn de Petit-Mont ケルン・ド・プティ・モン』

ここは「ケルン」と呼ばれていて
紀元前4600年頃人が住み始め
紀元前4500年頃長径60mほどの楕円形の最初のチュミュリュスが作られ
その後
2度にわたって上部に覆い被せるように大きく作り足されたらしい


従って
最下段の入口と上の段に玄道の意入口が幾つか空いており
最上段にも見物人が登っている





そして反対側には最上段の玄室にはいるアクセスが新しく作られている



これは外観としては甚だしく残念だが
他にスムーズに見物人の出入りを管理する方法が形態的になかったのであろうから
やむをえないのだろう


 パノラマにすると両方の入口が見えるが
逆にはバウや奥行きがわかりにくくなってしまう

内部はなかなか興味深い線刻画が多く見られる

玄道


足型


幾何学文様


幾何学文様

玄室

玄室の壁にも文様が見られるのだが摩滅していてわかりにくい
それより
床と天井の一枚岩の大きさを想像できるだろうか

この「プティ・モン岬」の根元には『Le Crouesty ル・クルゥエスティ』という
かなり大きなレジャー・ポートが有る

Photo by @morbihantourism

さらに「リュイス岬」の先端の「アルゾン」の
そのまた先端
つまり大西洋からモルビアン湾に入る東の岸は
『Port navalo ナヴァロ港』という港

ナヴァロ港の岬の先端

船は湾に入ろうとしていて
進行方向の土地は「ロクマリアケール遺跡」のある湾を閉じる西側の岸
『Pointe de Kerpenir ケルペニール岬』

ナヴァロ港

「アルゾン」のもう一つの岬『Pointe de Pen Castel ペン・カステル岬』
には潮位水車が有る



最後に「リュイス岬」点描












=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 43 < リュイス半島 1 ル・エゾー 及び サン・タルメル と ペンヴァンス から サン・ジルダス・ド・リュイス まで > モルビアン湾に沿って 7 

2021-05-12 00:27:20 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : サン・タルメル村の海岸の目と鼻の先にある『キステュニック島』

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れる
43



「セネ」から南に下って
「モリビアン湾」の南側を塞ぐ東側から西側へ伸びる腕のような
『Prèsqu' île de Rhuys リュイス半島』
を東から入って西の先端の方を目指そう



「セネ」の南に
「Le Hézo ル・エゾー」
「Saint-Armel サン・タルメル」
「Saint-Colombier  サン・コロンビエ」(地図には書いてない)
と小さな海浜の村が続く

「ル・エゾー」で一つだけ興味深いものは
「潮力水車」


ブルターニュで一番有名な潮力水車小屋は
「ネーヴェ」の回の『エナン』でご紹介したが
ブルターニュのような潮位の差の激しいところでは
いくつも残っている



※  ※

『Saint-Armel サン・タルメル』

ここは塩田。
集落の周り中が沼沢地のような場所で




あとは塩田しかない




村の教会は
村名となった聖人「聖アルメル」に献堂されている

『Eglise Saint-Armel 聖アルメル教会』

正面に鐘楼が立ち
その塔は3方向にアーケードがあって
教会に入らなくても前を潜って通り過ぎることができる
この形は地方の小さな村の教会には時々見られる形

その「サンタルメル」から真南に降ると
『Penvins ペンヴァン』という町があり


その先端に
ミニチュアみたいな岬がぶら下がっている


そのくびれた細いところ(教会マークがある)に
可愛らしい礼拝堂がぽつんと立っている

『Chapelle Notre-Dame de la Côte 海岸の聖母礼拝堂』

これは岬の先端の方角から陸の方に向いて見た角度
全景はまるで東方教会の礼拝堂のような佇まい


十字架形の交差部の屋根が三角ではなくて丸く膨らんでいれば
ギリシアや旧東欧の礼拝堂みたいだが
硬い花崗岩を隅石に
全体を真っ白に漆喰で固めた形は南ブルターニュの建築物そのもの
もちろん
季節や角度によって見え方は様々




南ブルターニュは北側ほど激しい荒海はないが
それでも時には波に洗われることもある




内部は実になんとも言いようがなく


壁はまるでプロヴァンスの「ボリー」のように割り石積みみたいな素朴さで
祭壇の上と中央の天井は真っ白
ステンド・グラスは現代のもの
ちなみに建立は19世紀前半

 ※  ※

上の「ペンヴァン」から西へ数 Km 
『Kerguet ケルゲ村』のすぐ近くに城がある



『Château de Suscinio シュッスィニオ城』


13世紀の「戦国時代」の戦いの城塞


城壁や塔の上部は「石落とし(水平狭間)」を備えた巡警路が巡っている
実際13世紀後半ブルターニュ公国の大公「ジャン2世」も
領主だったこともあった


そして15世紀に内装など手直しして居住性を高めて城館の性格も併せ持った


この橋は入り口では無い






大手門に入るため堀を渡る石橋の最後の部分は「跳ね橋」になっている







祈祷室


ドンジョン(天守)内部
一番頑丈な塔を「Donjon ドンジョン(英語ではダンジョン)」といい
防御の最終拠点なので一応「天守」というが
すでに各フロアーの床は無くなってしまっている
写真の左に上の階の暖炉があるのがわかる
四方に空いている窓を見ると壁の厚みが理解できる

床のタイル

トイレの跡
塔の壁の厚みを利用してトイレも備わっていた



場内に城の模型の展示があるので全体の構造が分かる










Photo by ⓒchateaudesuscinio

Photo by ⓒchateaudesuscinio

Photo by ⓒchateaudesuscinio

Photo by ⓒchateaudesuscinio






※  ※

この「シュッスィニオ城」から北西に数 km で
『Saint-Gildas-de-Rhuys サン・ジルダス・ド・リュイス』という村があり
そこは同名の修道院で成り立っている


『Abbatiale Saint-Gildas 聖ジルダス大修道院聖堂』後陣

ここで出てくる「聖ジルダス」は前にもどこかで話題にしましたが
ブルターニュの重要なローカル聖人なのです

修道院聖堂の正面

もともとケルト人たちの土俗信仰の司祭たちの修行の場で
ローマ人が軍事駐屯地を作った跡地
つまり空堀や土塁で防御を図った土地に僧院があり
現在の修道院は11世紀
ブルターニュでは珍しい「ロマネスク様式」で建立された

ベネディクト会の修道院だが現実には聖堂しか残っていない
回廊部は巡礼者たちの宿泊と研修会用に使われている

回廊


北側側面

身廊から内陣を望む



12世紀の内陣






南翼廊の礼拝堂
下段の柱の柱頭はドーリア式上段はイオニア式という立て方は
来るべき17世紀バロックの予見をなしている

聖ジルダスの石棺と立像



聖グスタンの石棺と立像


「聖リオック」 と 「リュイスの聖フェリックス」 二聖人の墓碑を収めた壁龕














この村には「Fontaine de St-Gildas 聖ジルダスの泉」が
60もあるそうな

聖ジルダスの泉 1

聖ジルダスの泉 兼 洗濯場 2

聖ジルダスの泉 兼 洗濯場 3

そして泉ではないが極めつけが
6世紀前半に「聖ジルダス」が上陸した海岸の崖に


シケの時は荒波が打ちつける斜面に
聖人の像が建てられている



この項続く
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 42 < セネ 自然保護区湿地帯 > モルビアン湾に沿って 6 ヴァンヌから南下する

2021-05-10 00:09:06 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 自然保護区セネ湿地帯

海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
42


今回は「鳥だらけ」の回となります

「ヴァンヌ」から南側につながって『Séné セネ』という自治体があって
その「セネ」の東半分は湿地帯で
野鳥天国
国の自然保護地区指定されている

Poto by INPN(国立自然文化財委員会)

濃紺に塗られた範囲が「自然保護区」の湿地帯


かつては塩田があった




今は塩田はないが
今も昔も野鳥の天国であることには変わりがない











尾瀬のように
歩ける位置が決められている



そして
野鳥の観察ポイントも作られている


平らな地面にあったり



斜面にあったり


樹上にあったり




この保護区で観察できる野鳥の写真を
保護委員会からお借りしてきた

All photo of birds below
 by "Réserve Naturelle de marais de Séné" @reservedesene.bzh

『Avocette élégante ソリタカセイタカシギ』

『Vecasseau variable ハマシギ』

『Becasseau des marais コアオアシギ』

『Chevalier avoyeur アオアシシギ』

『Chevalier arlequin ツルシギ』

『Chevalier cul-blanc オジロシギ』

『Chevalier gambette アカアシシギ』

『Chevalier guignette イソシギ』

『Combattant varié エリマキシギ』

『Courlis-colrieu cendre (ハイイロ)ダイシャクシギ』

『Echasse blanche セイタカシギ』


『Pluvier-argenté ダイゼン』

『Vanneau-huppé タゲリ』

『Bernache cravant コクガン』

『Canard colvert マガモ』

『Canard pilet オナガガモ』

『Canard siffleur ヒドリガモ』

『Sarcelle d'hiver コガモ』

『Tadorne de Belon ツクシガモ』

『Canard souchet ハシビロガモ』

『Sygne tubercule コブハクチョウ』

『Aigrette gazette コサギ』

『Heron cendré アオサギ』

『Heron gardebeouf アマサギ』

『Spatule blanche ヘラサギ』

『Fourque macroule オオバン』

『Grand carmoran カワウ』

『Grèbe castagneux カイツブリ』

『Martin pécheur カワセミ』



せっかくだから『Séné セネ』 の村と港やその周辺にも行ってみよう



小さな村なので家並みには見るべきものはないが
こんな港
そして礼拝堂がある

『Chapelle de Bon Voyage de Kerarden ケラルデンの良き旅の聖母礼拝堂』







やはりこの村は港で成り立っている

『Port Sainte-Anne サント・アンナ港』










手の届きそうな近さにいくつもある小さな島々に
観光客を渡す連絡船や
モルビアン湾一周遊覧船などが発着する





伝統的な赤い帆の船のお祭りがあります


3本マストの大型船も集まってきて



無数にある岬めぐりで盛り上がります




複雑な地形だけに小さな岬もたくさん有って

『Prèsqu'ile de Villeneuve ヴィルヌゥヴ岬』

海と陸との織りなす光景は
朝昼晩を通して刻々と変化して目を飽きさせません








島といえば
こんな近い距離にもこんな小さな島がある

『Ile de Bachit ベシ島』

別の角度から引き潮の時に


100m x 50m ほどで一軒の家があり
私有地です

では今回はこの辺で
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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ブルターニュ紀行 41 < ヴァンヌ 2 > モルビアン湾に沿って 5

2021-05-07 00:49:28 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : ヴァンヌの旧市街の家並み

荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
41



前回に引き続きモルビアン地方の中心都市「ヴァンヌ」のご紹介です
今回は街の中を歩いてみることにしましょう

何しろ旧市街の家並みが絵のような光景なんです

教会のすぐ横に『Place Henri IV アンリ4世広場』という
小さな広場がありまして
そこが一番有名なのですが
もちろんそこだけというわけではありません


レンズが広角ゆえの両端が斜めに写ってしまう特性を割り引いたとしても
この二軒の傾き方は
ハンパない



支える基礎の石の柱までもが
曲がってる
こういうのは以外と珍しくはないので各地にあるのです
各階の床は完全に水平に直してあって
生活して行く上での不便はないのです
窓やドアもしっかり開け閉めできる


上層階に行くに従って床面積を増やしていくので
どんどんせり出してくる






「アンリ4世広場」のすぐ先
教会の前は『Place Saint-Pierre サン・ピエール広場』


この黄色の柱の家も
傾き方が尋常ではございません






その他
いたるところ目を奪われる光景あり






この古そうな丸い塔のうねり具合といったら



その塔の上に無理やり乗せられた屋根の
ごめんね感





























この真ん中の細身の建物
地上階は両側の建物と同じ平面にあるが
上階に行くに従って
反っくり返るように後方に傾いてる







そんな中に
『La Cohue ラ・コユー』
と言う名の古い建物があります



黄色い家は後からの付け足しで
その右の
アーチの玄関口を持つ石の建物ですが黄色い建物の裏側に結構大規模で
ブルトン語の「Le cohue」は
「市場 兼 交易所 兼 裁判所」


15世紀半ばまでは
地上階には小口の店舗や仲買人の小間がひしめき合い
上の階がブルターニュ公のお白州だった



ブルターニュ公国のフランス王国への吸収合併の後は
紆余曲折があり
現在は『Musée des Beaux Arts de Vannes ヴェンヌ市立美術館』
に使われている


オーソドックスな絵画も勿論あるが


現代美術にも力を入れており


テラコッタのりんご



エントランスホールにほど近いところに
巨大な
判別不明の作品がのたうっている



木のチップを張り合わせて作られているらしく
先端から内部が覗けた


中庭にも何やら不思議な作品が



そして昔の井戸も保存されている



さて
旧市街の中心的存在である教会に行ってみましょうか


『Cathédrale Saint-Pierre 聖ペテロ大聖堂』




見るからに絵のようなゴシック


13世紀に作り始め
途中の中断やら何やらで
完成は19世紀になってから
まるでケルンやロンドンの大聖堂級です


手前に見える
正面ファサードに向いて左の塔の下から2段目までが
13世紀創建当時の姿


3段目ととんがり屋根は19世紀のもの


内部も見てみよう


身廊の奥
内陣の始まる位置の左右に付け柱が其々立っているのが興味深い


それぞれの付け柱の前は祭壇になっている






これだけの規模のカテドラルだけに
主祭壇は9箇所通り十字架の交差部にある




Photo by ⒸHellegouarch

天井の石組みのアーチの上
外から見た粘板岩の瓦ぶき屋根の内側はこうなってます
この写真では分かりにくいですが
左下の部分で天井カーブの曲面がわかるんです


『Tour de St-Sacrement dit de la renaissance』

通称「ルネッサンスの塔」という『秘蹟の塔』という部分があり
大聖堂本体と中でつながっていて
中は「聖秘蹟の礼拝堂」







イタリア式のクーポラ(円蓋天井)が「ルネッサンスの塔」の名に恥じない


ところで
この町のシンボルのようなものをご紹介しよう
その名も『Vannes et sa Femme ヴァンヌとその妻』


一階と二階の境目の左端を見て欲しい
こんな彫刻が見えるでしょう


この家自体の装飾で
石造り
本体のその部分のブロックからそのまま削り出してある
鎖でぶら下がったプレートに「ヴァンヌとその妻」
これはおそらく16世紀のもので
いつしかその店の屋号として呼びならわされてきたようで
19世紀には公式に屋号として使われていた記録もある
これも「登録重要文化財」です

最後にお祭りの光景を挙げておきます

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ブルターニュ紀行 40 < ヴァンヌ モルビアンの中心都市 > モルビアン湾に沿って 4

2021-05-05 00:05:51 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : 旧市街を囲む城壁に建つ「シャトー・ド・レルミタージュ」と外堀公園

荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
40



モルビアン湾を
島々を躱わしながら
四方八方から飛び出してる岬を避けながら
北東の一番奥まで入ってきて
最後の小さな枝分かれしている入江を遡ると「ヴァンヌ」だ


 
『Pont Kérino ケリーノ橋』という可動橋がある
それがぐるりと回ったら
細い運河のような水路に入り





北にまっすぐ1kmほど遡ると
「ヴァンヌ」の旧市街の正面にたどり着く


この写真の左奥が突き当たり
対岸は上陸地点


この界隈は非常に賑やか


露天市が立っていたり


カフェがお客で鈴なりだったり
ところで水路をやってきて突き当たりを見てみると


正面の白い建物の真ん中あたりが黒っぽい部分がお分かりだろうか
それが勝手の城門




『Porte Saint-Vincent サン・ヴァンサン門』

この門を入るとすぐ旧市街が始まるのですが
外(港側)から見ると見事な細工ながら


くぐって内側から振り返ると


何の愛想もないという
実に外面の良い城門なのであります

その旧市街の魅力満点の家並みを見ていただく前に
城壁をご紹介しなくてはなりません

「サン・ヴァンサンの門」を潜らずに向かって右に城壁に沿って行くとほどなく

『Château de l'Hermitage エルミタージュ城』

この光景となる
逆向きに見ると





この城は14世紀にブルターニュ公の居城の一つとして建てられ
その城から城壁がぐるりと町を取り囲んで防御していた
15世紀半ば公国がフランス王国に併合合併されて独立をなくして以降
打ち捨てられて廃墟となり
17世紀に略奪破壊された
現在の建物はその後の裕福なと日の貴族が革命直前に立て直したもの


城壁の外側の空堀の位置が城の前は庭園であった
その中ほどを
港につながる小さな小川『La Maeie マリィ川』が流れる
城内は完全に修理されて何もない真っ白な空間で
展示会や各種イヴェントに使われている


この写真の一番下の花を飾ったて金属の手すりは
「マリィ川」を渡る古くて小さな石の橋の欄干



橋の向こうに見えるのが「エルミタージュ城」
その橋の下をくぐった流れは急に広くなり
岸辺に保存されている昔の「共同洗濯場」の細長い屋根が伸びる

洗濯場の屋根

二階部分は「井戸端会議」に打ち興じたおかみさんたちの溜まり場
ででもあったか


そして
洗濯場の位置から流れが大きく曲がってきたに向きを変える





そこから先の空堀はかなり広くなる



長く伸びる城壁のひときわ大きな丸い塔は
『Tour de Connétable 元帥の塔』と」名付けられている
上の写真は南から北側の面を見ている


真横


横を通り過ぎて振り返った北側の角度



城壁の内側から見た「元帥の塔」


この辺りから「マリィ川」は東に向きを変えて道路の下に隠れる
流れとは逆方向に見て来たわけですが


つまり
川はここから空堀の中に入ってきて
今までのところを流れて港の直前でまた地面の下になって
港に注ぐわけです

この「マリィ川」の手前から「元帥の塔」の方を見ると



こんな具合に見える

少し立ち位置を変えたり
目の高さを変えたりすると
同じ城壁でも見え方がかなり違って見えるので興味深い








空堀公園の北のはずれの一番広く広がっている地点で


写真の角の塔から城壁は向こう側(西)にほぼ直角に曲がっている





この辺りの壁面の写真手前あありを目を凝らしてよく見ると
部分的に赤いレンガが使われているのを確認できる
これは古代のローマ時代の城壁の名残なのです
ローマ人は石積みの壁にレンガの赤い色のラインを入れて見栄えを良くし
かつ石の使用量も抑えて節約していた

その先に
数軒の民家とともにもう一つ城門がある

『Porte Prison 牢獄門』

なにやら恐ろしげな名前の門だが
おそらく塔の分厚い壁をくりぬいて牢獄が作られていたのだろう





右の馬車と甲冑を纏った騎馬隊とが通る大きな開口部と
左の細くて狭い歩行者用のと
ともに跳ね橋を渡って入っていったことが
跳ね橋を上下させる腕木が動く細い縦長の隙間から見て取れる


例によって
内側から見ると味もそっけもない作りになっている

もう少し違う角度の城壁を続けましょう








もっと別の城門もあります

『Porte de Calmon カルモンの門』

この城門は
上部のかなりの部分が何らかの理由で削り取られてしまっている

お祭りの日には
もの凄い人出が城壁の下に詰めかける


そして
城壁の上も歩けるところがある






ヨーロッパには城壁で囲まれた古い町や村が数多く残っていて
多くの場合
城壁の上を歩けるので「城壁一周ツアー」をやることを
強くお勧めします
目線が変わって面白いし
興味深いものを見かけることができる場合が多いんです

では「ヴァンヌ」の街の中のご案内は次回に
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
【お願い】
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ブルターニュ紀行 39 < サント・アヴォア バデン アラドン> モルビアン湾に沿って 3 北岸を東へ

2021-05-03 00:44:22 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : アラドンとセネを分ける海峡の航行標識のごとく語られる「薔薇色の家」

荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
39


再び「オレー」まで引き返し
そこから「モルビアン湾」の北側を西から東へ辿ってみよう



前々回ご紹介した「Auray オレー」の町を橋の手前から見た写真を思い出して欲しい
つまりオレーの町のオーレ川を挟んだ反対側は
『Sainte-Avoye サント・アヴォワ』

その町の南
「オーレ川」に合流するやはり狭い入江のような「ボノ川」に面して
対岸の『Bono ボノ』に向き合った
『Puruneret プリュヌレ』地区に
不思議な形の礼拝堂がある

『Chapelle Sainte-Avoye 聖アヴォワ礼拝堂』

どこが不思議な形かというと

Photo by @pluneret.fr

正面の鐘楼が
四角い断面の三方向の壁と屋根が出来て
一面だけ壁を作ってないような
なんとも見ていて居心地の悪い形


実はこの上にはまともな鐘楼が立ち上がっていた
1720年代に落雷で崩壊
以来今ある木材の天井が架け渡された


この礼拝堂は
16世紀にこの地方の貴族「Lestrelin レトルラン家」が建てた
私家族用の礼拝堂で
同家が管理運営費用も負担してきた

そしてこの礼拝堂には
これまでプロヴァンスやブルターニュの何箇所かでご紹介した
美しい「Jubé ジュベ(内陣隔壁)」があるのです


 身廊側から内陣の方向を向いて見える「ジュベ」
少しだけ引いてみる


内陣へ入る扉を閉ざすと


こうなります

逆に
祭壇のある内陣の方から身廊に向かってジュベを見ると


こちら側からも
少し引いて見よう


ディテールを幾つか







安全祈願に奉納された「サント・アヴォワ丸」の模型


ポルタイユ(正面扉口)前で上を見上げる


















ちなみに
この「プリュヌレ」地区の南端を流れる『Bono ボーノ川』




※  ※

それを渡って東へ進んで行こう
渡ったところの町「ボーノ」から3kmばかり南下すると
モルビアン湾の海岸線が複雑怪奇にギザギザと切れ込んでいて
『Baden バーデン』という小さな村がある

眠ったような静かな村で
教会と礼拝堂とだけがある典型的なブルターニュの町

『Place Weiheim ヴェイシャン広場』

『Eglise Saint-Pierre 聖ペテロ教会』



外陣が四角くくて鬼十になっている


この外陣が四角いのもある意味で極めてブルターニュ型


南側の翼廊は小さい

そしてお約束の礼拝堂

『Chapelle Saint-Meriadec 聖メリアデック礼拝堂』


同 内部 祭壇

1830年代に作り直して子の形になったらしい


祭壇は非常にチャーミング



航海の安全を願って奉納された船がぶら下がっているのも
見慣れた光景


こちらの船は
パルドン祭で練練り歩くままの様子で飾られている




向きが逆だが泉もある



なにやら不明の祠


これは道路側で塗り直される前

村の雰囲気も少しだけ



この辺りは茶色い石が多いらしく
聖ペテロ教会も含めて民家も茶色の石で建てられている






集落の中心部から南に『Marée de Pen-en-Toul ペン・エン・トゥル沼沢地』
という沼地があって自然保護区で数々の野鳥や植物が保護されている







沼沢地の外れからそのまま南側に岬が伸び
その岬の入り口近くが『Locquerltas ロッケルタス』

そこには素朴なカルヴェールを持つ礼拝堂とドルメンがある


『Chapelle Saint-Gildas de Locqueltas ロッケルタスの聖ジルダス礼拝堂』

同名の礼拝堂が少し前に別のところでも出てきた



そしてドルメン


このドルメンの際立った特徴は
横に「副玄室」を持つということ

 その岬を南端まで行くと『Larmor-Baden ラルモル=バーデン』という「あざ」

そこから目と鼻の先の海の中に『Ile Berder ベルデール島』という島があり
引き潮のとき渡れるコンクリートも道が付いている

『Ile Berder ベルデール島』

この写真ではそろそろ潮が満ちてくる頃
今ならまだ
ふくらはぎあたりまで水に浸かりながら渡って行ける


※  ※

さらに
途中舗装入江を渡りながら東進すると
『Arradaon アラドン』

海岸がとても美しい







教会はある


『Eglise Saint-Pierre d'Arradon アラドンの聖ペテロ教会』

ここの教会も聖ペテロに献堂されている















`

では
次回はモルビアン湾の主邑『Vannes ヴァンヌ』を
ご紹介しましょう
=  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =  =
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