先週は輝明兄さんがアメリカビーバーの解説文を覚えてるところで終わったけど、
今週はその続き。
今度はオオタカの解説文を覚えてる兄さん。
これって、動物園の仕事で必要なことだから、
こうやって読んで覚えようとしてるんだよね……?
でも……あ、
このことはまた後で触れるとして、
そうやってるところに三浦さんがやってきて、
ジンジンが元気になってきたことを告げ……
すると、机に突っ伏して眠り込んでる都古さんに気付いて……
あれれ、三浦さんの○ン○ンも元気になってきて……って、
こんなの2週も引っ張るネタじゃないよね、まったく。
しかし兄さんはそんな下ネタなど意に介さず、
「都古ちゃんが寝ています」
「都古ちゃんが起きました」と、
いちいち実況中継。
三浦さんは「僕の○ン○ンも起きました」……って、
だからそうじゃなくって、
「大竹さんに会いにきたの?」と訊き、
「はい」と都古さんが応えると、
ふ~ん……とでも言いたげにチラッと含み笑いを浮かべて、
兄さんのほうを見る三浦さん。
で、その夜は我が家に泊まりに来た都古さん。
「家……出ちゃいました」
小声でお母さんにそう言う都古さん、
それを聞きつけた幸太郎は「家出したってこと?」
真樹義姉さんは「シーッ!」って、
まるでドラマみたいなやりとりだけど、
しかし妻が夫と別れようとして家を出るのは、
これは家出とはまたちょっと違うんだよ、幸太郎。
その辺がわからないようじゃ、お前もまだまだ子供だねえ。
あ、子供でいいのか。
で、都古さんも囲んでの夕食の席で、
秀治兄さんから、ロードバイクのレースのこと聞いた?って訊かれて、
「手紙にレースに出たいって書いてありました」と都古さん。
……だけどね、この後の場面で、
何日か振りで河原さんとの部屋に戻った都古さんが、
机の上にあった兄さんからの手紙を見つける、
そこに書いてあったんだよね、
「レースに出たいです」って……
これはちょっとしたミスかなあ?
でも都古さんが出たあとの部屋、ものすごく散らかってたね。
まったく男ひとりだとどうしようもないね。
でも河原さんの場合、仕事があって、
毎日キチンと出勤してるからあの程度で済んでるのかなあ。
これがもし、家業のバネ工場の経営が行き詰まり、
通販の会社に就職が決まって東京に出てきたと思ったら、
初出勤の日にその会社が倒産して、
仕方なくパンダの着ぐるみ被ってマンガ喫茶のチラシ配りで食いつなぐ……
そんな状況だったりしたら、もう足の踏み場もないような散らかりようだろねえ。
まあそれはともかく、
「輝明、レースに出るか?」と秀治兄さん。
「お兄ちゃん反対じゃなかったの?」とわたし。
それには答えず輝明兄さんのほうを向いて「出るんだよな!」
「出たい」
「出よう!」
わたしも「出よう!」
幸太郎も「出よう!」
そして輝明兄さんも「出よう……」
笑顔に包まれる食卓。
なんかねえ、この光景でもうウルウルきちゃった。
だって、そう、今日は最終回だもんね……。
その翌日、
お母さんと都古さんが主治医のところに出かけると、
輝明兄さんも家を出てグループホームのようなところで暮らしてみてはどうか、
と勧める主治医。
それは兄さんの自立にもなる……
その言葉に笑顔で頷く都古さん、
どこか乗り気でなさそうなお母さん。
そのころ動物園では、
鳥たちの飼育されてる高い檻を見上げる兄さん。
やってきた三浦さんに尋ねるのは、
「鳥は、ここを出たらどうなるんですか?」
ある日、わたしたち兄妹3人揃って亀田さんのお店に行ったとき、
秀治兄さんの知り合いの会計事務所への就職をお願いしてみるわたし。
「わたしはわたしがしたいようにする、って言ってなかった?」
そう意地悪く言う秀治兄さんに、
「……あ、バイトの時間」と席を立つわたし。
さて、またある夜の、
都古さんも招いての夕食の席。
先に食べ終わった輝明兄さん、
その後を追うようにして幸太郎が「ゲームやろう」
「うん」
そして2階へ行く2人、
真樹義姉さんのほうをチラッと見る秀治兄さん、
笑顔で首を振る義姉さん……と、
今では勉強勉強と頭ごなしに厳しく言われることもなく、
大っぴらにゲームも楽しめるようになった幸太郎。
よかったね、幸太郎。
今度わたしも、幸太郎にゲームを買うたろう……って、
このダジャレは本当に名作だよね、そう思わない?
と、まあここまでは微笑ましい光景だったんだ。
ところが都古さんがグループホームの話を持ち出して……
そう、実は既にお母さんと都古さんの2人で、
輝明兄さんにグループホームのことを話してたんだ。
でもそのことはわたしや秀治兄さんは聞いてなくって、
しかもお母さんはやはりあまり乗り気でなかったりして……
ちょっとひと揉め。
「ずっと認めたくなかったんだけど、わたしが幸太郎を追い詰めてるって気付けたのは輝明さんのおかげなのよね」
その後、秀治兄さんにそう打ち明ける真樹義姉さん。
認めたくなかったって……あんた、まだそんな片意地なこと思っとったんかいな!?
でも、その後の言葉……
「先のことはわからないし一緒に住めるかどうかもわからない、
でも輝明さんには感謝してるから」
これはよかったよね。
まったく飾らない誠実さが表れてて。
義姉さん、やっぱり変わったね。
ところで園長さんは、動物園の園長という仕事に楽しみを見出したところに、
本社勤務の話が来て……
動物園に残りたいという園長さんに、
従業員一同が起立して本社行きをお願いする、
この光景、これもよかったな。
最初は背を向けて座ってた兄さんも、
遅ればせながら起立して園長さんのほうを向いたりして……
でもその後、都古さんが獣医として復職し、
また園長さんが来年度から本社勤務になったと報告する、
その場面ではいちいち三浦さんに促されないと拍手できない兄さんなんだけど。
そうこうしてる間にレースの準備は進み……
わたしや、秀治兄さんや、動物園の人たちも応援してるなか、
ロードバイクの練習をする輝明兄さん。
都古さんはお弁当を持ってきたりして……
あのバスケットの中身はもちろん、チキンカレー?
そして都古さんにも選んでもらってウェアを買い、
動物園の皆さんからはドリンクのボトルをプレゼントされ……
そんなある朝、
都古さんからもらったハガキを……
多分、たった1通だけ都古さんから兄さんに贈られたあのハガキを、
手にとってじっと見つめる兄さん。
そんな様子を、通りすがりにたまたま目にして立ち止まるわたし。
……振り返ってみれば、この通りすがりに目にするってのも、
わたしの登場シーンの定番だったね。
でも今日のこの場面は後の伏線になってるんだ……
さて、いよいよレース前夜。
またまた都古さんも加わっての賑やかな夕食の後、
リビングでしみじみと語り合う都古さんとお母さん。
「久し振りにテルと一緒に仕事をして本当に驚きました」と都古さん、
「覚えた仕事はキチンとやってるし、動物たちのことをたくさん覚えてます。
最近はお昼ごはんのお金をわたしの分も出してくれるようになりました。
動物園で働いてテルにとっての新しい世界ができたんだなあって思いました」
「ロードバイクだってきっとそうね、輝明の新しい世界なんでしょうねえ」とお母さん。
「まだ、あると思います……テルの新しい世界」
「……都古ちゃんの言いたいのは、グループホームのことよね」
やはりホームのことを渋ってるお母さんに、
最初の一歩を踏み出さないと前へは進めない、と都古さん。
そしてとうとうレース当日。
夕べ、わたしがあげたお守り……
都古さんからのハガキを入れたホルダーを首から下げる兄さん。
わたしたちが会場に着くと園長さん、古賀さん、三浦さんも来てくれて……
スタートラインにつく選手たち。
亀田さんから教わった言葉を呟き続ける兄さん。
その亀田さんはお店でレースのポスターを力強く見つめ……
あれ、秀治兄さんに訊かれたとき、
別のレースに出るから輝明兄さんとは一緒に走れないって言ってたのは、
あれはまた別の日のレースのことなんだ。
じゃあ応援に来てくれればいいのに。
ま、お店があるから仕方ないか。
個人経営の喫茶店でコーヒー1杯250円じゃあ厳しいだろうしね。
一方の主治医は診察室でブラインド越しに窓の外を見つめ……
あんたは「太陽にほえろ!」のボスかいな。
自分が捜査に携わってたら元相方の名前が公になることもなかったのに……と、
そんなことでも思ってるんかいな。
で、いよいよスタート。
お守りのある胸の辺りをじっと押さえてから、ペダルを漕ぎ出す兄さん。
後を追いかけて声援を送るわたしたち、
そのそれぞれの脳裏に、輝明兄さんとのこれまでの様々な思い出がよみがえり……
でもって、ついにゴール間近。
向こうからやってくる兄さんに、声援を送るわたしたち。
と、どこからか聞こえてくる鳶の声。
すると立ち止まり、やがてコースを外れて脇道へと漕ぎ出す兄さん。
すぐ側にいるはずの誘導員はなぜか知らん顔。
慌てて追いかけようとする秀治兄さんと幸太郎を止めるお母さん、
「……待ちましょう」
で、わたしたちが待ってる間に、
空を舞う鳶の姿を目に焼き付けていた兄さん。
遅れてゴールにやってきて、最下位でフィニッシュ。
「テル、よくがんばったね」
そう言う都古さんも、わたしたちも、皆笑顔。
ところが兄さんはお母さんに、
「僕、グループホームに行く」
一瞬、戸惑うわたしたち。
しかし、前に進み出たお母さんは笑顔で、力強く「はい」
鳶の解説文を唱え始める兄さん……。
結局、都古さんと輝明兄さんの関係は、
昔のわたしとジョンコの関係と同じだったのかな。
「テルがわたしを必要としてたんじゃない、わたしがテルを必要としてたの」
河原さんとの別れの場面でそう言ってた都古さん、
それはまるで、兄さんを動物に見立てた場合の、
アニマルセラピー的な効果が都古さんにあったとも……って、
それはちょっと表現がおかしいかな。
でも、本当に運命的に結ばれてる関係って、
案外そういうものなんじゃないかな。
病気にいち早く気付いたり、
中央のレース出走を控えて食欲がなかったのに飼葉を食べさせることができた、
そんなわたしが必要としていたのは、その当のジョンコ。
だからこそ、別れを経ても最終的には……ね。
まあちょっとこれは強引かもしれないけど、
しかし兄さんにとってのジョンコはロードバイクだったのかなあ。
これはちょっと、動機付けとかはねえ。
兄さんの内面の描写は深く立ち入られてないから、
なぜ兄さんが自転車が好きなのかとか、そういうことはわからないけど、
そして兄さんを取り巻く人たちが変わっていくドラマが繰り広げられるなかで、
自転車が果たした役割はそんなに大きくはなかったけど……
でもその描写、兄さんが自転車に乗ってる場面は、
なんか、もう無条件に楽しくって、素敵だったなあ。
こういうところが理屈では説明できない、
ドラマの表現の面白さなんだよね。
だから最終回でレースに出るのがやや唐突な感もあったけど、
これはこれでいいと思うんだ。
よかったよ。
でもさあ……鳶はちょっと、唐突すぎない?
これね、兄さんの動物園には鳶はいないんだよね。
ってことは、兄さんはいない動物の解説文まで暗記してるってことだよね。
でもそのなかで、なんで鳶にこだわるようになったのかな?
空を羽ばたく鳶に、家を出て自立しようとしている自分を重ね合わせてる……ってのは、
やっぱりちょっと、強引すぎるよね?
まあね、鳶といえばね、
わたしが昔のお母さんの親友のお父さんに、
好きな人への想いを打ち明けてしまった、あの場面が思い出されて、
それだけでわたしはもう、胸が熱くなって仕方なかったんだけどね。
それにしてもあのジジイ、あんな口軽野郎に成り果てるとは……って、
本当にしつこすぎるね、わたしも。
いつまでこのこと言い続けるんだろ?
まあとにかく、このドラマも朝ドラとして、
半年間かけてみっちりと描いて欲しかったなあ……って、
そう思えたりもして。
でもこれはこれでいいのかもしれないな……
さて、エピローグ。
食卓で太巻きを作るお母さんと真樹義姉さん。
そこへやってきたわたし、一切れつまんで「おいしいぃ~」と、
これは昔のドラマでの定番。
今日は輝明兄さんがグループホームから帰ってくる日ということで、
皆どこかそわそわ。
ところがお母さんがホームに電話してみると……
「僕にだって予定がある」とか言って、
帰ってこないという兄さん。
その兄さんの予定とは……
「グループホーム ありがとう」という看板のある建物から出てくる兄さん。
最後の最後で主題歌の宣伝かよ、と思いつつ、
自転車に乗ってポストまで行き、都古さんへのハガキを出し……
そしてしばらく行くと、そこに待っていたのは都古さん。
「都古ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「手紙、出したから」
「うん、待ってる」
そして並んで自転車に乗る、2人の幸せそうな姿……
なんか、余韻を持たせた終わりかただね。
2人はその後どうなるんだろう……って辺りは、
皆様のご想像におまかせします、ってところかな。
でもさあ……
グループホームをめぐるお母さんと都古さんの反応。
息子の自立に戸惑うお母さんは、子離れが出来てないとも言えるわけで、
そして自立を……母親からの、家族からの自立を歓迎する都古さん……
この構図はやっぱり……ね。
そういうことなのかな?
まあこの辺もね、
障害を持った人が家を出てグループホームでの生活を始めるというのは、
それは当事者にとってはとっても大きなことだろう、
それをこんな最終回でそそくさと描いてしまって……って、
そう言えなくもないけど、
でもいいよね、これで。
それにさ、
都古さんの新居は世田谷区で、
兄さんのグループホームは、なんと八王子じゃん。
都古さん、あのママチャリに乗って世田谷から八王子まで出かけていったのかな、
兄さんに会いに……
もう、なんか細かいことなんてどうでもよくなっちゃった。
とにかくいいドラマだったよ。
素敵なドラマだったね。
……で、わたしとあの彼はどうなったんだろう?
今度サイクリングに誘ってみようかなあ。
でも昔の彼と、また一緒に乗馬もしたいなあ……。
今週はその続き。
今度はオオタカの解説文を覚えてる兄さん。
これって、動物園の仕事で必要なことだから、
こうやって読んで覚えようとしてるんだよね……?
でも……あ、
このことはまた後で触れるとして、
そうやってるところに三浦さんがやってきて、
ジンジンが元気になってきたことを告げ……
すると、机に突っ伏して眠り込んでる都古さんに気付いて……
あれれ、三浦さんの○ン○ンも元気になってきて……って、
こんなの2週も引っ張るネタじゃないよね、まったく。
しかし兄さんはそんな下ネタなど意に介さず、
「都古ちゃんが寝ています」
「都古ちゃんが起きました」と、
いちいち実況中継。
三浦さんは「僕の○ン○ンも起きました」……って、
だからそうじゃなくって、
「大竹さんに会いにきたの?」と訊き、
「はい」と都古さんが応えると、
ふ~ん……とでも言いたげにチラッと含み笑いを浮かべて、
兄さんのほうを見る三浦さん。
で、その夜は我が家に泊まりに来た都古さん。
「家……出ちゃいました」
小声でお母さんにそう言う都古さん、
それを聞きつけた幸太郎は「家出したってこと?」
真樹義姉さんは「シーッ!」って、
まるでドラマみたいなやりとりだけど、
しかし妻が夫と別れようとして家を出るのは、
これは家出とはまたちょっと違うんだよ、幸太郎。
その辺がわからないようじゃ、お前もまだまだ子供だねえ。
あ、子供でいいのか。
で、都古さんも囲んでの夕食の席で、
秀治兄さんから、ロードバイクのレースのこと聞いた?って訊かれて、
「手紙にレースに出たいって書いてありました」と都古さん。
……だけどね、この後の場面で、
何日か振りで河原さんとの部屋に戻った都古さんが、
机の上にあった兄さんからの手紙を見つける、
そこに書いてあったんだよね、
「レースに出たいです」って……
これはちょっとしたミスかなあ?
でも都古さんが出たあとの部屋、ものすごく散らかってたね。
まったく男ひとりだとどうしようもないね。
でも河原さんの場合、仕事があって、
毎日キチンと出勤してるからあの程度で済んでるのかなあ。
これがもし、家業のバネ工場の経営が行き詰まり、
通販の会社に就職が決まって東京に出てきたと思ったら、
初出勤の日にその会社が倒産して、
仕方なくパンダの着ぐるみ被ってマンガ喫茶のチラシ配りで食いつなぐ……
そんな状況だったりしたら、もう足の踏み場もないような散らかりようだろねえ。
まあそれはともかく、
「輝明、レースに出るか?」と秀治兄さん。
「お兄ちゃん反対じゃなかったの?」とわたし。
それには答えず輝明兄さんのほうを向いて「出るんだよな!」
「出たい」
「出よう!」
わたしも「出よう!」
幸太郎も「出よう!」
そして輝明兄さんも「出よう……」
笑顔に包まれる食卓。
なんかねえ、この光景でもうウルウルきちゃった。
だって、そう、今日は最終回だもんね……。
その翌日、
お母さんと都古さんが主治医のところに出かけると、
輝明兄さんも家を出てグループホームのようなところで暮らしてみてはどうか、
と勧める主治医。
それは兄さんの自立にもなる……
その言葉に笑顔で頷く都古さん、
どこか乗り気でなさそうなお母さん。
そのころ動物園では、
鳥たちの飼育されてる高い檻を見上げる兄さん。
やってきた三浦さんに尋ねるのは、
「鳥は、ここを出たらどうなるんですか?」
ある日、わたしたち兄妹3人揃って亀田さんのお店に行ったとき、
秀治兄さんの知り合いの会計事務所への就職をお願いしてみるわたし。
「わたしはわたしがしたいようにする、って言ってなかった?」
そう意地悪く言う秀治兄さんに、
「……あ、バイトの時間」と席を立つわたし。
さて、またある夜の、
都古さんも招いての夕食の席。
先に食べ終わった輝明兄さん、
その後を追うようにして幸太郎が「ゲームやろう」
「うん」
そして2階へ行く2人、
真樹義姉さんのほうをチラッと見る秀治兄さん、
笑顔で首を振る義姉さん……と、
今では勉強勉強と頭ごなしに厳しく言われることもなく、
大っぴらにゲームも楽しめるようになった幸太郎。
よかったね、幸太郎。
今度わたしも、幸太郎にゲームを買うたろう……って、
このダジャレは本当に名作だよね、そう思わない?
と、まあここまでは微笑ましい光景だったんだ。
ところが都古さんがグループホームの話を持ち出して……
そう、実は既にお母さんと都古さんの2人で、
輝明兄さんにグループホームのことを話してたんだ。
でもそのことはわたしや秀治兄さんは聞いてなくって、
しかもお母さんはやはりあまり乗り気でなかったりして……
ちょっとひと揉め。
「ずっと認めたくなかったんだけど、わたしが幸太郎を追い詰めてるって気付けたのは輝明さんのおかげなのよね」
その後、秀治兄さんにそう打ち明ける真樹義姉さん。
認めたくなかったって……あんた、まだそんな片意地なこと思っとったんかいな!?
でも、その後の言葉……
「先のことはわからないし一緒に住めるかどうかもわからない、
でも輝明さんには感謝してるから」
これはよかったよね。
まったく飾らない誠実さが表れてて。
義姉さん、やっぱり変わったね。
ところで園長さんは、動物園の園長という仕事に楽しみを見出したところに、
本社勤務の話が来て……
動物園に残りたいという園長さんに、
従業員一同が起立して本社行きをお願いする、
この光景、これもよかったな。
最初は背を向けて座ってた兄さんも、
遅ればせながら起立して園長さんのほうを向いたりして……
でもその後、都古さんが獣医として復職し、
また園長さんが来年度から本社勤務になったと報告する、
その場面ではいちいち三浦さんに促されないと拍手できない兄さんなんだけど。
そうこうしてる間にレースの準備は進み……
わたしや、秀治兄さんや、動物園の人たちも応援してるなか、
ロードバイクの練習をする輝明兄さん。
都古さんはお弁当を持ってきたりして……
あのバスケットの中身はもちろん、チキンカレー?
そして都古さんにも選んでもらってウェアを買い、
動物園の皆さんからはドリンクのボトルをプレゼントされ……
そんなある朝、
都古さんからもらったハガキを……
多分、たった1通だけ都古さんから兄さんに贈られたあのハガキを、
手にとってじっと見つめる兄さん。
そんな様子を、通りすがりにたまたま目にして立ち止まるわたし。
……振り返ってみれば、この通りすがりに目にするってのも、
わたしの登場シーンの定番だったね。
でも今日のこの場面は後の伏線になってるんだ……
さて、いよいよレース前夜。
またまた都古さんも加わっての賑やかな夕食の後、
リビングでしみじみと語り合う都古さんとお母さん。
「久し振りにテルと一緒に仕事をして本当に驚きました」と都古さん、
「覚えた仕事はキチンとやってるし、動物たちのことをたくさん覚えてます。
最近はお昼ごはんのお金をわたしの分も出してくれるようになりました。
動物園で働いてテルにとっての新しい世界ができたんだなあって思いました」
「ロードバイクだってきっとそうね、輝明の新しい世界なんでしょうねえ」とお母さん。
「まだ、あると思います……テルの新しい世界」
「……都古ちゃんの言いたいのは、グループホームのことよね」
やはりホームのことを渋ってるお母さんに、
最初の一歩を踏み出さないと前へは進めない、と都古さん。
そしてとうとうレース当日。
夕べ、わたしがあげたお守り……
都古さんからのハガキを入れたホルダーを首から下げる兄さん。
わたしたちが会場に着くと園長さん、古賀さん、三浦さんも来てくれて……
スタートラインにつく選手たち。
亀田さんから教わった言葉を呟き続ける兄さん。
その亀田さんはお店でレースのポスターを力強く見つめ……
あれ、秀治兄さんに訊かれたとき、
別のレースに出るから輝明兄さんとは一緒に走れないって言ってたのは、
あれはまた別の日のレースのことなんだ。
じゃあ応援に来てくれればいいのに。
ま、お店があるから仕方ないか。
個人経営の喫茶店でコーヒー1杯250円じゃあ厳しいだろうしね。
一方の主治医は診察室でブラインド越しに窓の外を見つめ……
あんたは「太陽にほえろ!」のボスかいな。
自分が捜査に携わってたら元相方の名前が公になることもなかったのに……と、
そんなことでも思ってるんかいな。
で、いよいよスタート。
お守りのある胸の辺りをじっと押さえてから、ペダルを漕ぎ出す兄さん。
後を追いかけて声援を送るわたしたち、
そのそれぞれの脳裏に、輝明兄さんとのこれまでの様々な思い出がよみがえり……
でもって、ついにゴール間近。
向こうからやってくる兄さんに、声援を送るわたしたち。
と、どこからか聞こえてくる鳶の声。
すると立ち止まり、やがてコースを外れて脇道へと漕ぎ出す兄さん。
すぐ側にいるはずの誘導員はなぜか知らん顔。
慌てて追いかけようとする秀治兄さんと幸太郎を止めるお母さん、
「……待ちましょう」
で、わたしたちが待ってる間に、
空を舞う鳶の姿を目に焼き付けていた兄さん。
遅れてゴールにやってきて、最下位でフィニッシュ。
「テル、よくがんばったね」
そう言う都古さんも、わたしたちも、皆笑顔。
ところが兄さんはお母さんに、
「僕、グループホームに行く」
一瞬、戸惑うわたしたち。
しかし、前に進み出たお母さんは笑顔で、力強く「はい」
鳶の解説文を唱え始める兄さん……。
結局、都古さんと輝明兄さんの関係は、
昔のわたしとジョンコの関係と同じだったのかな。
「テルがわたしを必要としてたんじゃない、わたしがテルを必要としてたの」
河原さんとの別れの場面でそう言ってた都古さん、
それはまるで、兄さんを動物に見立てた場合の、
アニマルセラピー的な効果が都古さんにあったとも……って、
それはちょっと表現がおかしいかな。
でも、本当に運命的に結ばれてる関係って、
案外そういうものなんじゃないかな。
病気にいち早く気付いたり、
中央のレース出走を控えて食欲がなかったのに飼葉を食べさせることができた、
そんなわたしが必要としていたのは、その当のジョンコ。
だからこそ、別れを経ても最終的には……ね。
まあちょっとこれは強引かもしれないけど、
しかし兄さんにとってのジョンコはロードバイクだったのかなあ。
これはちょっと、動機付けとかはねえ。
兄さんの内面の描写は深く立ち入られてないから、
なぜ兄さんが自転車が好きなのかとか、そういうことはわからないけど、
そして兄さんを取り巻く人たちが変わっていくドラマが繰り広げられるなかで、
自転車が果たした役割はそんなに大きくはなかったけど……
でもその描写、兄さんが自転車に乗ってる場面は、
なんか、もう無条件に楽しくって、素敵だったなあ。
こういうところが理屈では説明できない、
ドラマの表現の面白さなんだよね。
だから最終回でレースに出るのがやや唐突な感もあったけど、
これはこれでいいと思うんだ。
よかったよ。
でもさあ……鳶はちょっと、唐突すぎない?
これね、兄さんの動物園には鳶はいないんだよね。
ってことは、兄さんはいない動物の解説文まで暗記してるってことだよね。
でもそのなかで、なんで鳶にこだわるようになったのかな?
空を羽ばたく鳶に、家を出て自立しようとしている自分を重ね合わせてる……ってのは、
やっぱりちょっと、強引すぎるよね?
まあね、鳶といえばね、
わたしが昔のお母さんの親友のお父さんに、
好きな人への想いを打ち明けてしまった、あの場面が思い出されて、
それだけでわたしはもう、胸が熱くなって仕方なかったんだけどね。
それにしてもあのジジイ、あんな口軽野郎に成り果てるとは……って、
本当にしつこすぎるね、わたしも。
いつまでこのこと言い続けるんだろ?
まあとにかく、このドラマも朝ドラとして、
半年間かけてみっちりと描いて欲しかったなあ……って、
そう思えたりもして。
でもこれはこれでいいのかもしれないな……
さて、エピローグ。
食卓で太巻きを作るお母さんと真樹義姉さん。
そこへやってきたわたし、一切れつまんで「おいしいぃ~」と、
これは昔のドラマでの定番。
今日は輝明兄さんがグループホームから帰ってくる日ということで、
皆どこかそわそわ。
ところがお母さんがホームに電話してみると……
「僕にだって予定がある」とか言って、
帰ってこないという兄さん。
その兄さんの予定とは……
「グループホーム ありがとう」という看板のある建物から出てくる兄さん。
最後の最後で主題歌の宣伝かよ、と思いつつ、
自転車に乗ってポストまで行き、都古さんへのハガキを出し……
そしてしばらく行くと、そこに待っていたのは都古さん。
「都古ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「手紙、出したから」
「うん、待ってる」
そして並んで自転車に乗る、2人の幸せそうな姿……
なんか、余韻を持たせた終わりかただね。
2人はその後どうなるんだろう……って辺りは、
皆様のご想像におまかせします、ってところかな。
でもさあ……
グループホームをめぐるお母さんと都古さんの反応。
息子の自立に戸惑うお母さんは、子離れが出来てないとも言えるわけで、
そして自立を……母親からの、家族からの自立を歓迎する都古さん……
この構図はやっぱり……ね。
そういうことなのかな?
まあこの辺もね、
障害を持った人が家を出てグループホームでの生活を始めるというのは、
それは当事者にとってはとっても大きなことだろう、
それをこんな最終回でそそくさと描いてしまって……って、
そう言えなくもないけど、
でもいいよね、これで。
それにさ、
都古さんの新居は世田谷区で、
兄さんのグループホームは、なんと八王子じゃん。
都古さん、あのママチャリに乗って世田谷から八王子まで出かけていったのかな、
兄さんに会いに……
もう、なんか細かいことなんてどうでもよくなっちゃった。
とにかくいいドラマだったよ。
素敵なドラマだったね。
……で、わたしとあの彼はどうなったんだろう?
今度サイクリングに誘ってみようかなあ。
でも昔の彼と、また一緒に乗馬もしたいなあ……。