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モヴィエ日記

映画の感想とか、いろいろです。

「トンビ」が関西弁やったって、知っとんび?

2006-12-20 03:27:05 | りなの語る筋
先週は輝明兄さんがアメリカビーバーの解説文を覚えてるところで終わったけど、
今週はその続き。
今度はオオタカの解説文を覚えてる兄さん。
これって、動物園の仕事で必要なことだから、
こうやって読んで覚えようとしてるんだよね……?
でも……あ、
このことはまた後で触れるとして、
そうやってるところに三浦さんがやってきて、
ジンジンが元気になってきたことを告げ……
すると、机に突っ伏して眠り込んでる都古さんに気付いて……
あれれ、三浦さんの○ン○ンも元気になってきて……って、
こんなの2週も引っ張るネタじゃないよね、まったく。
しかし兄さんはそんな下ネタなど意に介さず、
「都古ちゃんが寝ています」
「都古ちゃんが起きました」と、
いちいち実況中継。
三浦さんは「僕の○ン○ンも起きました」……って、
だからそうじゃなくって、
「大竹さんに会いにきたの?」と訊き、
「はい」と都古さんが応えると、
ふ~ん……とでも言いたげにチラッと含み笑いを浮かべて、
兄さんのほうを見る三浦さん。

で、その夜は我が家に泊まりに来た都古さん。
「家……出ちゃいました」
小声でお母さんにそう言う都古さん、
それを聞きつけた幸太郎は「家出したってこと?」
真樹義姉さんは「シーッ!」って、
まるでドラマみたいなやりとりだけど、
しかし妻が夫と別れようとして家を出るのは、
これは家出とはまたちょっと違うんだよ、幸太郎。
その辺がわからないようじゃ、お前もまだまだ子供だねえ。
あ、子供でいいのか。
で、都古さんも囲んでの夕食の席で、
秀治兄さんから、ロードバイクのレースのこと聞いた?って訊かれて、
「手紙にレースに出たいって書いてありました」と都古さん。
……だけどね、この後の場面で、
何日か振りで河原さんとの部屋に戻った都古さんが、
机の上にあった兄さんからの手紙を見つける、
そこに書いてあったんだよね、
「レースに出たいです」って……
これはちょっとしたミスかなあ?
でも都古さんが出たあとの部屋、ものすごく散らかってたね。
まったく男ひとりだとどうしようもないね。
でも河原さんの場合、仕事があって、
毎日キチンと出勤してるからあの程度で済んでるのかなあ。
これがもし、家業のバネ工場の経営が行き詰まり、
通販の会社に就職が決まって東京に出てきたと思ったら、
初出勤の日にその会社が倒産して、
仕方なくパンダの着ぐるみ被ってマンガ喫茶のチラシ配りで食いつなぐ……
そんな状況だったりしたら、もう足の踏み場もないような散らかりようだろねえ。
まあそれはともかく、
「輝明、レースに出るか?」と秀治兄さん。
「お兄ちゃん反対じゃなかったの?」とわたし。
それには答えず輝明兄さんのほうを向いて「出るんだよな!」
「出たい」
「出よう!」
わたしも「出よう!」
幸太郎も「出よう!」
そして輝明兄さんも「出よう……」
笑顔に包まれる食卓。
なんかねえ、この光景でもうウルウルきちゃった。
だって、そう、今日は最終回だもんね……。

その翌日、
お母さんと都古さんが主治医のところに出かけると、
輝明兄さんも家を出てグループホームのようなところで暮らしてみてはどうか、
と勧める主治医。
それは兄さんの自立にもなる……
その言葉に笑顔で頷く都古さん、
どこか乗り気でなさそうなお母さん。
そのころ動物園では、
鳥たちの飼育されてる高い檻を見上げる兄さん。
やってきた三浦さんに尋ねるのは、
「鳥は、ここを出たらどうなるんですか?」

ある日、わたしたち兄妹3人揃って亀田さんのお店に行ったとき、
秀治兄さんの知り合いの会計事務所への就職をお願いしてみるわたし。
「わたしはわたしがしたいようにする、って言ってなかった?」
そう意地悪く言う秀治兄さんに、
「……あ、バイトの時間」と席を立つわたし。

さて、またある夜の、
都古さんも招いての夕食の席。
先に食べ終わった輝明兄さん、
その後を追うようにして幸太郎が「ゲームやろう」
「うん」
そして2階へ行く2人、
真樹義姉さんのほうをチラッと見る秀治兄さん、
笑顔で首を振る義姉さん……と、
今では勉強勉強と頭ごなしに厳しく言われることもなく、
大っぴらにゲームも楽しめるようになった幸太郎。
よかったね、幸太郎。
今度わたしも、幸太郎にゲームを買うたろう……って、
このダジャレは本当に名作だよね、そう思わない?
と、まあここまでは微笑ましい光景だったんだ。
ところが都古さんがグループホームの話を持ち出して……
そう、実は既にお母さんと都古さんの2人で、
輝明兄さんにグループホームのことを話してたんだ。
でもそのことはわたしや秀治兄さんは聞いてなくって、
しかもお母さんはやはりあまり乗り気でなかったりして……
ちょっとひと揉め。

「ずっと認めたくなかったんだけど、わたしが幸太郎を追い詰めてるって気付けたのは輝明さんのおかげなのよね」
その後、秀治兄さんにそう打ち明ける真樹義姉さん。
認めたくなかったって……あんた、まだそんな片意地なこと思っとったんかいな!?
でも、その後の言葉……
「先のことはわからないし一緒に住めるかどうかもわからない、
 でも輝明さんには感謝してるから」
これはよかったよね。
まったく飾らない誠実さが表れてて。
義姉さん、やっぱり変わったね。

ところで園長さんは、動物園の園長という仕事に楽しみを見出したところに、
本社勤務の話が来て……
動物園に残りたいという園長さんに、
従業員一同が起立して本社行きをお願いする、
この光景、これもよかったな。
最初は背を向けて座ってた兄さんも、
遅ればせながら起立して園長さんのほうを向いたりして……
でもその後、都古さんが獣医として復職し、
また園長さんが来年度から本社勤務になったと報告する、
その場面ではいちいち三浦さんに促されないと拍手できない兄さんなんだけど。

そうこうしてる間にレースの準備は進み……
わたしや、秀治兄さんや、動物園の人たちも応援してるなか、
ロードバイクの練習をする輝明兄さん。
都古さんはお弁当を持ってきたりして……
あのバスケットの中身はもちろん、チキンカレー?
そして都古さんにも選んでもらってウェアを買い、
動物園の皆さんからはドリンクのボトルをプレゼントされ……
そんなある朝、
都古さんからもらったハガキを……
多分、たった1通だけ都古さんから兄さんに贈られたあのハガキを、
手にとってじっと見つめる兄さん。
そんな様子を、通りすがりにたまたま目にして立ち止まるわたし。
……振り返ってみれば、この通りすがりに目にするってのも、
わたしの登場シーンの定番だったね。
でも今日のこの場面は後の伏線になってるんだ……

さて、いよいよレース前夜。
またまた都古さんも加わっての賑やかな夕食の後、
リビングでしみじみと語り合う都古さんとお母さん。
「久し振りにテルと一緒に仕事をして本当に驚きました」と都古さん、
「覚えた仕事はキチンとやってるし、動物たちのことをたくさん覚えてます。
 最近はお昼ごはんのお金をわたしの分も出してくれるようになりました。
 動物園で働いてテルにとっての新しい世界ができたんだなあって思いました」
「ロードバイクだってきっとそうね、輝明の新しい世界なんでしょうねえ」とお母さん。
「まだ、あると思います……テルの新しい世界」
「……都古ちゃんの言いたいのは、グループホームのことよね」
やはりホームのことを渋ってるお母さんに、
最初の一歩を踏み出さないと前へは進めない、と都古さん。

そしてとうとうレース当日。
夕べ、わたしがあげたお守り……
都古さんからのハガキを入れたホルダーを首から下げる兄さん。
わたしたちが会場に着くと園長さん、古賀さん、三浦さんも来てくれて……
スタートラインにつく選手たち。
亀田さんから教わった言葉を呟き続ける兄さん。
その亀田さんはお店でレースのポスターを力強く見つめ……
あれ、秀治兄さんに訊かれたとき、
別のレースに出るから輝明兄さんとは一緒に走れないって言ってたのは、
あれはまた別の日のレースのことなんだ。
じゃあ応援に来てくれればいいのに。
ま、お店があるから仕方ないか。
個人経営の喫茶店でコーヒー1杯250円じゃあ厳しいだろうしね。
一方の主治医は診察室でブラインド越しに窓の外を見つめ……
あんたは「太陽にほえろ!」のボスかいな。
自分が捜査に携わってたら元相方の名前が公になることもなかったのに……と、
そんなことでも思ってるんかいな。
で、いよいよスタート。
お守りのある胸の辺りをじっと押さえてから、ペダルを漕ぎ出す兄さん。
後を追いかけて声援を送るわたしたち、
そのそれぞれの脳裏に、輝明兄さんとのこれまでの様々な思い出がよみがえり……

でもって、ついにゴール間近。
向こうからやってくる兄さんに、声援を送るわたしたち。
と、どこからか聞こえてくる鳶の声。
すると立ち止まり、やがてコースを外れて脇道へと漕ぎ出す兄さん。
すぐ側にいるはずの誘導員はなぜか知らん顔。
慌てて追いかけようとする秀治兄さんと幸太郎を止めるお母さん、
「……待ちましょう」

で、わたしたちが待ってる間に、
空を舞う鳶の姿を目に焼き付けていた兄さん。
遅れてゴールにやってきて、最下位でフィニッシュ。
「テル、よくがんばったね」
そう言う都古さんも、わたしたちも、皆笑顔。
ところが兄さんはお母さんに、
「僕、グループホームに行く」
一瞬、戸惑うわたしたち。
しかし、前に進み出たお母さんは笑顔で、力強く「はい」
鳶の解説文を唱え始める兄さん……。

結局、都古さんと輝明兄さんの関係は、
昔のわたしとジョンコの関係と同じだったのかな。
「テルがわたしを必要としてたんじゃない、わたしがテルを必要としてたの」
河原さんとの別れの場面でそう言ってた都古さん、
それはまるで、兄さんを動物に見立てた場合の、
アニマルセラピー的な効果が都古さんにあったとも……って、
それはちょっと表現がおかしいかな。
でも、本当に運命的に結ばれてる関係って、
案外そういうものなんじゃないかな。
病気にいち早く気付いたり、
中央のレース出走を控えて食欲がなかったのに飼葉を食べさせることができた、
そんなわたしが必要としていたのは、その当のジョンコ。
だからこそ、別れを経ても最終的には……ね。
まあちょっとこれは強引かもしれないけど、
しかし兄さんにとってのジョンコはロードバイクだったのかなあ。
これはちょっと、動機付けとかはねえ。
兄さんの内面の描写は深く立ち入られてないから、
なぜ兄さんが自転車が好きなのかとか、そういうことはわからないけど、
そして兄さんを取り巻く人たちが変わっていくドラマが繰り広げられるなかで、
自転車が果たした役割はそんなに大きくはなかったけど……
でもその描写、兄さんが自転車に乗ってる場面は、
なんか、もう無条件に楽しくって、素敵だったなあ。
こういうところが理屈では説明できない、
ドラマの表現の面白さなんだよね。
だから最終回でレースに出るのがやや唐突な感もあったけど、
これはこれでいいと思うんだ。
よかったよ。
でもさあ……鳶はちょっと、唐突すぎない?
これね、兄さんの動物園には鳶はいないんだよね。
ってことは、兄さんはいない動物の解説文まで暗記してるってことだよね。
でもそのなかで、なんで鳶にこだわるようになったのかな?
空を羽ばたく鳶に、家を出て自立しようとしている自分を重ね合わせてる……ってのは、
やっぱりちょっと、強引すぎるよね?
まあね、鳶といえばね、
わたしが昔のお母さんの親友のお父さんに、
好きな人への想いを打ち明けてしまった、あの場面が思い出されて、
それだけでわたしはもう、胸が熱くなって仕方なかったんだけどね。
それにしてもあのジジイ、あんな口軽野郎に成り果てるとは……って、
本当にしつこすぎるね、わたしも。
いつまでこのこと言い続けるんだろ?
まあとにかく、このドラマも朝ドラとして、
半年間かけてみっちりと描いて欲しかったなあ……って、
そう思えたりもして。
でもこれはこれでいいのかもしれないな……

さて、エピローグ。
食卓で太巻きを作るお母さんと真樹義姉さん。
そこへやってきたわたし、一切れつまんで「おいしいぃ~」と、
これは昔のドラマでの定番。
今日は輝明兄さんがグループホームから帰ってくる日ということで、
皆どこかそわそわ。
ところがお母さんがホームに電話してみると……
「僕にだって予定がある」とか言って、
帰ってこないという兄さん。
その兄さんの予定とは……
「グループホーム ありがとう」という看板のある建物から出てくる兄さん。
最後の最後で主題歌の宣伝かよ、と思いつつ、
自転車に乗ってポストまで行き、都古さんへのハガキを出し……
そしてしばらく行くと、そこに待っていたのは都古さん。
「都古ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「手紙、出したから」
「うん、待ってる」
そして並んで自転車に乗る、2人の幸せそうな姿……
なんか、余韻を持たせた終わりかただね。
2人はその後どうなるんだろう……って辺りは、
皆様のご想像におまかせします、ってところかな。
でもさあ……
グループホームをめぐるお母さんと都古さんの反応。
息子の自立に戸惑うお母さんは、子離れが出来てないとも言えるわけで、
そして自立を……母親からの、家族からの自立を歓迎する都古さん……
この構図はやっぱり……ね。
そういうことなのかな?
まあこの辺もね、
障害を持った人が家を出てグループホームでの生活を始めるというのは、
それは当事者にとってはとっても大きなことだろう、
それをこんな最終回でそそくさと描いてしまって……って、
そう言えなくもないけど、
でもいいよね、これで。
それにさ、
都古さんの新居は世田谷区で、
兄さんのグループホームは、なんと八王子じゃん。
都古さん、あのママチャリに乗って世田谷から八王子まで出かけていったのかな、
兄さんに会いに……
もう、なんか細かいことなんてどうでもよくなっちゃった。
とにかくいいドラマだったよ。
素敵なドラマだったね。
……で、わたしとあの彼はどうなったんだろう?
今度サイクリングに誘ってみようかなあ。
でも昔の彼と、また一緒に乗馬もしたいなあ……。
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出たい輝明、出ちゃった都古

2006-12-13 02:47:30 | りなの語る筋
今週はまず、先週のラストの続きから。
思わず輝明兄さんに縋りついて泣き出した都古さん、
しかしふっと我に返り、兄さんから離れ……
河原さんの動物病院に行かなければならないという都古さんに、
「結婚っていうのはずっと一緒に仲よくしようって約束すること」
と、今の都古さんにとってはキツイ言葉を投げかける兄さん。
そんな兄さんはその夜もいつも通り、
都古さんへのハガキを書き……
しかし、今日はじめて気付いたけど、
兄さんの鉛筆立て、削られた黄色の鉛筆がぎーっしり詰まってるんだね。
あれはちょっと、すごかったねえ。
いやはや。
で、それを書き終わってベッドに入り……
すると兄さんの目からこぼれる、涙。
今日はねえ、とにかく涙、涙の回だったんだ。

「りな、ちょっといい?」
「やだ」
「俺が説教するとでも思ってんのか?」
「そーでしょ」
「あーそうだ」
ある夜、食卓のわたしのところへ来て、
そう言って定番のファッション誌を取り上げる秀治兄さん。
「大学卒業したらうち出るんだって?」
そう訊いてくる秀治兄さんに答えないでいると、
そこへ降りてくる輝明兄さん。
その隙にファッション誌を取り返すわたし。
さて、輝明兄さんはロードサイクルのレースのチラシを手にしていて……
「出たい」
そう言う兄さんに、反対する秀治兄さんとお母さん。

そんなある夜、秀治兄さん一家も招いての食事中、
突然涙を流す輝明兄さん。
「なんでもないんじゃない」
そうわたしが平然と言うと、
「泣いてるのにぃー」
と、これは今では本気で心配してくれて言ってる真樹義姉さん。
「たまにヘンなときに突然泣くことがあるんです」
わたしがそう言うと、同意してくれる秀治兄さん。
それでその場は収まって……

その夜更け、輝明兄さんがぐっすり眠ってるのを確認したお母さんに、
「ほら、やっぱりなんでもないよ」とわたし、
「お兄ちゃんなんかあったら眠れなくなるんだから」

その頃、海辺の旅館の寝床ではパッチリ目をあけて眠れない都古さん。
都古さん、河原さんを置いて家を出ちゃったんだ。
きっかけは些細なことだったんだけどね。
河原さんが友人を8人も招くというんで、
その料理を作るのに精を出してた都古さん。
しかし添え物にするらしいニンジンを焦がしてしまって、
河原さんがそれぐらいいいと言うのに、
スーパーに出かけて……
3本99円のパックのニンジンをキャロット……
ニンジンをきゃろうと……
ニンジンをかろうと……
ニンジンを買おうとした都古さん。
するとおばさんとぶつかり、よろけてジャガイモの山にぶつかり……
ぽてぽてーっとこぼれて床に散らばるジャガイモ。
しかし、チャーリー浜の奥さんは確か、
靴を買いにいくと言って家を出たまま戻ってこなかったらしいけど、
ニンジンを買いにいくと言って出て、それが別れになろうとは。
とにかくジャガイモの山が崩壊したとき、
都古さんの結婚生活もまた崩壊したのであった。
うむ。

さて、ある朝わたしが起きてくると、
何か変わったことがないか、動物園に行って訊いてくるというお母さん。
「何かあったら向こうから言ってくるでしょ、わざわざ行くことないよ」
「何にもないと思うけど……行ってくる」
と、わたしの言うことなんか聞いちゃいないお母さん。
案の定、その夜わたしが帰ってきて、
バイトで疲れたからか、ちょっとよろけながら2階へ行こうとすると、
動物園では特に変わったことはなかった、とお母さん。
「そんなの最初からわかってたじゃん」
思わず声を荒げてしまったわたし。
「今日お昼なに食べた?って、チキンカレーに決まってるじゃん」
ついでにそうも言いたかったけどこれは堪えて、
2階へ駆け上がるわたし。

そしてその夜もぐっすり眠る輝明兄さん。
一方の都古さんは旅館の部屋でまったく眠れず、
付けっぱなしのテレビの画面は砂嵐……
横の箱に100円入れたら、いいモノが見られるんだけどなあ……
え? いやいや、まあそれはおいといて。

「今日はあなた自身のことをお聞きしましょうか」
ある日、輝明兄さんの主治医からそう言われて、
えっと驚くわたし。

その頃、家では。
「お袋を心配させたいだけなんじゃないかな……」
そうお母さんに話す秀治兄さん。
りなは甘えたくても甘えられなかった、
お袋がりなにずっと甘えてきたから……
そう言われて沈んだ表情になるお母さん。
と、そこへ輝明兄さんが帰宅。
……あのさあ、これは前々から思ってたんだけど、
玄関開けたらすぐに食卓が見える間取りって、どうなんだろうね?
いや、まあそれはおいといて、
するとすぐに輝明兄さんの方に行くお母さん。
そして、またレースに出たいと言う輝明兄さん、
それに対してキレてしまう秀治兄さん……
そして輝明兄さんが2階へ行ったあと、
自分の子供の頃の辛かった体験をお母さんに打ち明ける秀治兄さん。

そしてわたしも辛かった思いを主治医に打ち明け……
「お母さんに……甘えたかった……」
久し振りに鼻腔をヒクヒクさせて泣きじゃくるわたし。

それで何かが洗い流されたんだろうか、
帰宅するときはカラッと笑顔になってるわたし。
「ただいま、お風呂入るね」
そして2階へ上がりながら、
心の中でわたしも「お湯の温度は39度……」って呟いちゃったりして。
いや、それはさておき、
わたしが風呂から上がると、ソファで物思いに耽ってそうなお母さん。
そっと背後から肩を揉んであげると、
「気持ちいい……」
やがて、わたしの手に手を重ねるお母さん、
「りな、ごめんね……」
たまらずお母さんの首にすがりつくわたし。
いつまでもそうしてるわたしの頭を、
優しく撫でてくれるお母さん……。

そんな様子をこっそりと覗いてた秀治兄さん、
今度は輝明兄さんの部屋に行き、
小学校の運動会の思い出話をはじめると……
「お兄ちゃんが手を引いてくれた」
と輝明兄さん、
「ありがとう」
そんな輝明兄さんの横顔をじっと見つめ、
「さっきはごめん、キツイこと言って」
そしてゴミ箱からレースのチラシを取り出し、
机の上に乗せて、部屋を出る秀治兄さん。

さてある日、輝明兄さんが帰宅すると電話が鳴って……
誰もいないので兄さんが受話器を取っても、無言の電話。
「都古ちゃん」
しかし、兄さんがそう言うと、
慌てて電話を切る都古さん。
「ごめんねテル、約束守れなかった……」

やがてお母さんの住む団地を訪ね、
外から電話をしても、すぐに河原さんのところに戻れと言われ、
話を聞いてもらえない都古さん。
バス停のベンチに腰掛け、バスが来てもそれに乗らずに見送り、
物思いに耽り……
なんか、このままふらふらと車道に歩き出してしまいそうな都古さん、
しかしそれは思いとどまり、向かったのは……

「まだいたの」
「ジンジンが元気じゃないから」
すっかり夜も更けた動物園で、居残ってた兄さんと出会う都古さん。
しかし誰にも見つからずに閉園後の園内にとどまれるとは、
ここの防犯体制はどうなってるんだろう……って、
まあそれはおいといて。
事務所に移り、アメリカビーバーの解説文を覚える兄さん。
それを聞いていた都古さん、
いつしかぐっすりと眠り込んで……
と、上着の前のファスナーを降ろしだす兄さん。
あれれ、兄さんの○ン○ンが元気になったのかな……?と思ったら、
もちろんそうじゃなくって、
脱いだ上着を都古さんの背中に、そっと掛けてあげる兄さん。
安らかな寝顔の都古さん、
解説文を覚える兄さん……

でもさあ、ちょっと言っていい?
わたしのキャラクター、最初の2話ぐらいは今日のような不満を抱いてそうだったけど、
その後はそれを示す描写はなかったよね?
ちょっとこの辺、甘いんじゃないの?
それならいっそ、最初っからずーっとよき妹として描かれて、
今回突然……っていう風でもよかったんじゃないかなあ?
まあ仕方ないか、脇役だもんね。
脇役をキチンとこなせるのも名女優の条件だもんね、うん。
ま、それはいいとして、
でも秀治兄さんがわたしの気持ちをちゃんと理解しててくれたこと、
これは意外だったなあ。
これには思わず泣かされちゃった。
それに比べるとお母さんは、ボーッとした人みたいだね、まるで。
まあ、演じてる長山藍子さん自身もボーッとした人らしいけど。
詳しくはこちらのブログなんか参照してみて。

http://ameblo.jp/dream0418/entry-10021366432.html

無断リンク、ゴメンね。
というわけで来週はいよいよ最終回、
兄さんがレースに出るのはいいんだけど……
予告ではなんか、施設に預けるとかなんとか言ってたよね?
真樹義姉さんのセリフにもグループホームとか出てきてたし……
来週も涙、涙なのかなあ?
わたしももう1回鼻腔ヒクヒクの見せ場があるのかなあ……?
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ユイカちゃん、伊豆で撮るの?

2006-12-06 02:51:14 | りなの語る筋
しかし早いよねえ、1年が経つのって。
今年ももう12月だよ。
そろそろクリスマスも近いよねえ……って、
そんな話はどうでもよくって。
今日は幸太郎が輝明兄さんに500円玉を手渡すところから始まって……
1年かかってあの5000円をやっと返し終わった幸太郎。
そう、先週の回から1年が経ったんだ。
こっちの1年もあっという間だったよ、ホントに。
だってその間のエピソードが省かれてるんだもんね。
でもこの1年の間に真樹義姉さんも、
輝明兄さんのことをよく理解してくれるようになったみたいで、
よかったよかった。
こういうのって時間が経てばうまくいくもんだよね、やっぱり。
ところでリビングではお母さんと秀治兄さんとの間でわたしのことが話題になってて、
なんかわたしの将来のことであれこれ話し合ってたみたい。
「わたしにはわたしの人生がある」
って、わたしに言われてお母さんはちょっとドキッとしたんだって。
自分に何かあっても、輝明兄さんにはわたしがいるから……って思ってたから、って。
すると「俺はあてにされてないんだ」と秀治兄さん。
「あてにされたら困るでしょ?」とお母さんに言われ……
これをキッチンで聞いてた真樹義姉さんの表情も、なんかよかったな。

さて、輝明兄さんが動物園で働きはじめて1年目の給料日。
60万円積み立てをしてる、ロードバイクを買う、と皆に話す輝明兄さん。
「大きな買い物だね」と園長さんに言われ、
「はい。今のより大きな自転車です」と答える兄さん。
と、いつものように微笑ましい事務室の光景だけど、
しかしさあ、これは前からの疑問だったんだけど、
黄色が好きな輝明兄さん、
なんで今乗ってる自転車は黄色じゃないんだろ?

さて、そのお給料を引き出してきてもらって、
いつものように茶封筒に仕分けする兄さん。
「やった、60万円溜まった」
わたしとお母さんが拍手すると、
兄さんも一緒に拍手。
「よかったね。あ、今度の休みにでも買ってくれば?」
「りな。一緒に来て」
「えええー」って、
こうやって露骨に嫌な顔ができるのも、兄妹だからこそ。
普通の兄妹の普通の光景だよね。
現に、ちゃーんと一緒にサイクルショップまでついて行ったんだから。
優しい妹だよね、わたしって。
エヘヘ。
でも兄さんの欲しい自転車は置いてなくって、
メーカーに問い合わせて取り寄せになるって。
それで後日、兄さんが亀田さんのお店で、
砂糖を1杯入れたコーヒーを飲んでるところに、
サイクルショップから電話があったって、
わざわざ言いに行ったりしたんだから。
本当にもう、なんて兄思いの親切な妹なんだろ、わたしって。
って言うか、今日はこういうちょこまかした出番が多かったなあ、わたし。

さて、この1年の間まったく進展してなかったのは、
古賀さんの息子さんの件。
兄さんの影響で、息子さんに会いたくなった古賀さん、
意を決して別れた奥さんに会いに行ったけど、
お父さんは死んだことになってるって言われたりして……
でも、ある日。
来園者に「こんにちは」と声をかけてまわる園長さん。
しかし、これは先週も疑問に思ったんだけど、
園長さんって制服着てるわけでも身分証つけてるわけでもないのに、
なんでお客さんが皆、疑いもせずに園長さんに挨拶を返すんだろ?
だって、あんなやくざの親分みたいなおっさんに声かけられて……って、
あ、これは失礼かな。
いや、失礼と言えば、
園長さん、1年経ってまだ園長ってことは、
やっぱ先週のあの件で、本社勤務には戻れなかったってことなのかなあ。
園長の仕事を延長だ、こりゃ。
えーっと、それで来園者に声をかけてて、
ある青年の「こんにちは」を聞いて……
「来た」と園長さん。
やがてその青年は古賀さんのところに行き……
「飼育係1日体験にようこそ」
箒を手渡して、古賀父子から少し離れる兄さん。
この父子が共にした時間は短かったし、
息子さんが古賀さんのことをどう思ってるのか、そういう描写もなかったけど、
でもきっと有意義な時間を過ごせたんだろうな。
去っていく息子さんがポケットに手を突っ込む仕草を見て、
「一緒」と、
古賀さんも気付いてなかったろう、父子の似た癖に気付く兄さん。

さて、そうやって兄さんも毎日元気に過ごせてるので、
久し振りに都古さんを我が家に招待することになったの。
夕食の支度のときにそのことを聞かされた兄さん、
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「今度の日曜日」とお母さん。

朝、玄関先では。
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「今度の日曜日」
「いってきます」

夜、寝る前には。
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「今度の日曜日」
「おやすみなさい」

帰宅すると玄関先で。
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「あさって」
「ただいま」

朝食の席で。
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「あした」
「いただきます」

そして朝、玄関先で。
「都古ちゃん、いつ来るの?」
「今日」
「いってきます」

……と、落ちつかなげな兄さん。
しかしそんな兄さんに、あの主治医は太鼓判を押しながらも、
ひょっとしたらある症状が出るかもって言ってたんだ。
普段わかることがわかりにくくなったり、
好きな人にヘンなこと言ってしまったり、
天邪鬼な反応をしたりする……
えーっと、なんて名前だったっけ。
「極楽とんぼーじゃ不安」だったかな?

で、あの木のところで久し振りに会った兄さんと都古さん。
案の定、
「お腹すいたね」
「すいてない」
グー……だなんて、
まるでドラマみたいなやりとりだね。
そして「行かない」と言いつつ、
都古さんの後をついていく兄さん。

さて、我が家の食卓で都古さんも交えて鍋を囲んで談笑。
兄さんは新しい道に挑戦してる、
わたしがバイトしてるファミレスにも来る……そう、
わたしのバイトも1年続いてるんだ。
でも前のバイト先で知り合った彼とは……どうなってるのかな?
まあいいや、それはおいといて、
「すごいね、テル」と都古さん。
ちょっとはにかんだような兄さんに、
「あ、得意そうな顔してる」とわたし。
「ロードバイク早く来ないかな」と話を逸らす兄さん。
「ロードバイクが来たら、また新しい道覚えようね」
「うん」
「行きたいとこある?」
「ある」
「どこ?」
「内緒」
「教えてくれなきゃ、道教えられないよ」
ちょっと表情の泳ぐ兄さん。
「あ、困った顔してる」
と、なんとも和気藹々。
でも、長山藍子さんに香里奈さんにわたし、
こんな美女3人に囲まれたら誰だって照れるよねー。
ねー?

「都古さん、幸せそう」
別れ際、玄関先でそう言うわたしに、
「そう?」
「結婚っていいですか?」
「……うん」
「いいなあ~」
そして別れの挨拶は久し振りの「バイバイ」

で、ある夜、動物園の正門のところから、
珍しく園長さん以下主要従業員さんたちが揃って退社するところへ、
まるでタイミングを見計らったかのように現れる、
1台の運搬車。
その助手席から降りて「お兄ちゃん」
「りな」
やがて後部扉を開けて、
「ジャーン!」
なかから現れるのは芦毛の牝馬……じゃなくて、
兄さんのロードバイク。
動物園の人たちから少し遅れておずおずと近づき、
しげしげと眺める兄さん……
「ベルがない」
思わず笑いの漏れるわたしたち。
でも自転車のベルは、兄さんにとって大事なものみたい。
久し振りにあの木で会ったときもリンリン鳴らしてたし、
そして都古さんの回想シーンのなかでも……
後で買ってきて付ければいいじゃん、って、
そんな問題ではないんだよね、うん。
でも回想シーンの都古さん、
かなり不幸な少女時代を送ったみたいだね。
そして今の河原さんとの結婚もあまりうまくいってないみたいで……
「休みはいつも家でごろごろしてるとか言わないでくれ」って、
1年も前のことをいまだにしつこく言われたりする、
それぐらいならまだいいんだけど……
あるお店でMEGUMIと食事してるとき、
偶然河原さんの友人たちの話を耳にして……
あれはショックだったよね。
衝撃だったよね。
でも一番衝撃だったのは、
マンションに来たMEGUMIが河原さんにお辞儀したとき、
テーブルの上の皿がオッパイで前に押されてたあの場面だったね。
あれはすごかったね……って、
いやいや。

「お兄ちゃん、都古さんが来たとき嬉しそうだったね。
 都古さんも幸せそうだったし」
「幸せそうでホントよかった」
と、しかしそんな都古さんの気持ちには気付かないわたしとお母さん。
しかし兄さんは……

「都古ちゃんへ
 今日は動物園に仕事に行きました
 都古ちゃんがウチに来てご飯を食べました
 都古ちゃんが元気じゃありませんでした」

そのハガキを見、
そして自転車でやってきた兄さんを見、
思わず兄さんにしがみついて泣きじゃくる都古さん……

なんかねえ、この先どうなるんだろ?って感じだけど、
でも都古さんの兄さんへの気持ちって、どうなんだろ?
子供のときはひょっとしたら、
将来はテルのお嫁ちゃんになりたいなー、ぐらいのことは思ってたかもしれないよね、
女の子にありがちな気持ちとして。
でも大きくなるにつれ、そういう思いは消えていったんだろうな。
それは兄さんが自閉症だってことが大きいからかな。
それでもずっといい友達ではいられた兄さんと都古さん……
誰も信じられない、とまで思うようになった都古さんの、
そんな辛い気持ちをただひとり、
察してあげられた兄さん。
そんな兄さんにすがり付いてしまう都古さんの、
しかしそれは愛情とは言えるのかどうか……
難しいよね、これは。
わたしにもよくわからないし、
これを書いてる人にもよくわからないみたい。
って言うか、これを書いてる人の今までの経験って、
そういう、相手が弱ってるときに優しくしたから……ってケースが多いみたいで、
それって長続きしないんだって、やっぱり。
あ~あ……。

えーっと、もう夜も遅いし、
この話をし出すとまた要らんこと書いてしまいそうなんで、
まあこれはおいといて、と
でも今週いちばん心に残ったのは、
都古さんと話す場面でのお母さんのセリフ。
「将来のために少しでも多く貯金をさせたほうがいいかなーと思ったけど、
 輝明だって人生を楽しむべきでしょ。
 せっかくこの世に生まれてきたんだもの、
 楽しいって思えること、やって欲しいから」
……これはねえ、いろいろ考えさせられるよね。
やっぱり知らず知らずのうちに、
なんかこう、枠や枷をはめてしまうような、
そんなところがあるんだよね。
いけないことだよね……。
でも兄さんは亀田さんにロードバイクの乗り方も教えてもらったりして、
これからたっぷり人生を楽しめるのかな。
そうなったらいいな……。
なんか来週はレースに出場したいとか言ってたよね。
楽しみだね、ホントに。
そうそう、来週といえば、
なんかわたし、号泣してたじゃん。
すごかったね、あれ。
来週はわたし、どんなメロドラマ見るんだろ?
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病気のレッサーは見せれんっさー

2006-11-29 02:12:52 | りなの語る筋
「お兄ちゃん……」
ある日、わたしが自転車に乗ってたら、
輝明兄さんがどこかのお店の前で立ち尽くしてたんだ。
「何してんの……?」
わたしが自転車から降りてそう訊いても、
じっとお店を見つめるだけの兄さん。
「このお店に入りたいの?」
そう訊くと、
「うん……」
と、か細い返事。
するとお店の人が表に出てきて、
兄さんに目をとめると「おう、こんちわ」
すると兄さんも「こんにちは」
「知ってるの?」と訊くと、
「亀田さん」だって。
実は兄さんが自転車に乗ってるときによく出会う、
ロードレーサーの人なんだって。
というわけでわたしも会釈。
その亀田さんに「コーヒー飲んでく?」って訊かれ、
「はい」と答える兄さん。
「どうぞ」と気前よさそうな亀田さんだけど……
「兄は初めての場所だとちょっと緊張……」
そう説明しかけたわたしを遮って、
「大丈夫」ときっぱりと言う兄さん。
わたし、思わず兄さんのことをじーっと見つめちゃった。
こんなこと今までなかったんだから……。
え? わたしもそのお店に入ったのかって?
さあ……それはちょっと、
その辺の描写は省略されてたのでよくわかんないんだけど。

その後、今日のわたしの出番は、
定番の食事の場面があって、
それから、テレビ見ながらケータイやってる場面、
それでおしまい。
あーあ。
でもね、そのテレビの画面に、なんと兄さんが映ったんだ。
兄さんの動物園でレッサーパンダの双子の赤ちゃんが生まれてね、
その名前の発表ってのを園長さんがやってて、
その背景で掃除してる兄さんの姿が映ったんだ。
わたしとお母さん、思わず画面に見入っちゃった。
でもね、実はこのレッサーパンダの赤ちゃんのことで、
今日はドラマが大きく動いたんだ。
この赤ちゃん、クッピーとマーボって名前なんだけどね、
あ、しかしなんでこんな美味しそうな名前がついたんだろうね?
ドラマのなかでは命名の由来は明かされてないけど……
サイゴウジョンコのときもそうだったなあ。
まあいいや、それはさておき、
その赤ちゃんのクッピーのほうが、ちょっと体調を崩してたんだけど、
それでも園長さんはマスコミに取材させるって言い張って、
そのことで園長さんと他の従業員さんたちとの間に、
ちょっと溝ができちゃったんだ。
でも園長さんだって、来客数が減ってることで本社の人から文句をつけられたりしてて、
辛い立場ではあるんだよね……
で、クッピーを見守るという皆を残して、
ひとりとぼとぼと家路につく園長さん。
すると、例の屋台で焼芋を買ってる兄さんを見かけ……
焼芋を抱えて公園への階段を昇っていく兄さんの後ろ姿、
それを見つめる園長さん、
すると次のカットでは、もうベンチに並んで腰かけてる2人。
この演出は面白かったよね。
描写の省略が効果的で。
でも、園長さんが話しかけても何も返事しない兄さん。
どうしたのかな……って思ってたら。
都古さんとの約束……「テルは動物園の飼育係です」
あれを考えてたんだね。
で、園長さんを残して動物園に戻る兄さん。

そんなわけで帰りが遅くなると、お母さんに電話してきた兄さん。
「園長さんに代わってくれる?」と言うお母さんに、
「園長は帰った」と兄さん。
「どなたがいらっしゃるの?」
「古賀さんと三浦さんと青木さんと水野さんと新庄さんと山川さんと落合さんと大塚さんと赤坂さんと森山さんと田原先生」
って列挙する、このやりとりは面白かったね。
そんな様子を見ていた古賀さんが電話を代わって、
お母さんを安心させてくれたんだけど……
でも電話の切り方がちょっとぶっきらぼうでさ。
やっぱり、まだこだわりがあるのかなあ。
いや、こだわりと言うより後ろめたさかな、
自閉症の子供を育て続けてるうちのお母さんに対して……
でもそんな古賀さんに、ちょっと戸惑ったような表情を浮かべたけど、
すぐに笑顔になるお母さん。
こういう細かい演技、さすが巧いなあ、長山藍子さん。
でも最初のほうで、秀治兄さんに精密検査の結果を訊かれて、
なんともなかった、と答えつつ、
ちょっと俯いて見せて、それから輝明兄さんを見つめる、
あの表情は……
これは単に思わせぶりな演技であって欲しいなあ……
でも、わたしとの食事の場面でも、
都古さんがいなくなった後の兄さんの仕事のことを心配したりしてて、
そのことを古賀さんに訊ねたり、園長さんに手紙を書いたりしてたし……
やっぱりこれって、伏線張ってるのかなあ……。

さて、その園長さんは動物園の入り口のところで、
クッピーが公開できないという告知を貼ってて、
するとそれを見て引き返していくお客さんたち。
ただでさえ来客数が減ってるってのに……
そんなこんなが溜まったんだろうね、
「私を責めたきゃ責めればいいだろ」
夜の事務室で、つい古賀さんに声を荒げてしまった園長さん。
すると古賀さんの告白……
僕は園長を責められるような人間じゃない、
園長は少なくとも動物たちに愛情がある振りはしてた、
僕は自分の子供に愛情がある振りさえできなかった……
そして子供が自閉症だということを告げ……

で、居酒屋に席を移した2人。
古賀さんの話を聞いて園長さんが言う、
ありのままの息子さんを受け入れられなかった古賀さん自身は、少なくともありのままだった
……って、禅問答のようなセリフ。
そこから導き出される園長さんの告白、
ありのままの自分でいたことがないような気がする……
この辺はねえ、深いよねえ。
大竹さんに出会ってから考えるところがある、と言う古賀さんに、
「私はこれからも変わることはないよ」
とまで言い切る園長さん……

と言いつつ、今週の見せ場はちゃーんと園長さんの変わる姿だったんだから。
兄さんとの2回目の焼芋の場面で、
今度は兄さんといろいろ会話を交わしながら、
「できることが多いのがよくて少ないのが悪いってわけじゃないの、
 自分ができることをいっしょう懸命にやればいい」
これはお母さんから兄さんへの言葉なんだけど、
その言葉を噛みしめながら、
ついでに焼芋も噛みしめる園長さん。
そしてその後、実際に、
自分ができることをいっしょう懸命にやってる兄さんの姿を目の当たりにする園長さん。
だから、動物園に来た重役が、
そう、なぜか園長に会う前に調理室なんかに立ち寄る重役が、
兄さんがリンゴを切るときに使ってた定規、
2センチきっちりを測るのに欠かせない定規を取り上げたと知って、
「なんてことしてくれたんだ!」と声を荒げ、
定規を奪い取り、
そして取り乱した様子で兄さんの元へ駆けつけ……
ここでさあ、例によって歴代優勝者を唱え続けてた兄さんが、
園長さんが定規を置くと、その声がすっと止み、
体の揺れも徐々に収まり……
ここは一瞬、笑ったよね。
この間がね、なんとも笑いを誘ってくれたんだけど、
でもこれもいつもと同じく、兄さんの障害を笑ったものなんかじゃなくて、
むしろこれこそ笑いの基本なんだ、実は。
桂枝雀師匠が昔よく言ってたんだ、
笑いとは緊張の緩和だって。
緊張状態から解放されたとき、張り詰めていたものがふっと緩むと、
頬の筋肉も思わず緩み、そして人間は笑うものである……
だいたいそんなようなことだったと思うけど、
このシーンこそ、まさにその好例だよね。
だから一瞬笑わされた後、
じっと見つめ合う園長さんと兄さんの姿、
そして何事もなかったかのようにまたリンゴを切り始める兄さんの姿に、
胸が熱くなってしまうんだよね……。

このドラマは兄さんによって周囲の人たちが変わっていく姿を描いてる、
そのことはここでも何度も繰り返してて、
そして今日は園長さんの番。
園長さんは、変わりました。
でも、その変わり方がねえ、
なんとも泣かせるよねえ。
今日は園長さんの、会社人間としての一面、
組織の中での姿も描かれてて、
そこまで含めて本当に変われるかどうか……
それはわからないよね。
生きていくためには自分の理想ばかりは追い求めてられないしね。
「今日のは違いますよね、障害者に理解がある振りなんかじゃ」
そう古賀さんに訊かれて、
イベントの件で相談がある、と話を逸らす園長さん。
「来園者数を増やせないと本社に戻れないんでね」
でも、そう自嘲気味に言う姿には、
園長さんの内面の変化はくっきりと表れてた。
自分は変わる必要がある人間だということをはっきり自覚すること、
そして、やれる範囲でいいから少しずつ変わろうとすること、
このことがいちばん大事なんじゃないかな。
先週は真樹義姉さんが変わったというけど、
でもあれは幸太郎に対してであって、
義姉さんの輝明兄さんに対しての見方や態度が変わったのか、
その辺の描写は今のところないので、まだわかんないけど、
でも、今日は幸太郎に絵の具セットを買うたろう……って、
このダジャレは今年いちばんのヒットだと思うんだけど、
いや、それはさておき、
絵の具セットを差し出すときの、あのちょっと照れくさそうな仕草、
あの姿に、真樹義姉さんという人が変わっていこうとしているところが、
ちゃんと表れてるよね。
それさえあれば、もういいよね。

……って、今日も長々と書いてきたけど、
でも園長さんからお母さんへの手紙、
あそこにテーマがすべて詰め込まれてるから、
ほんとは今日は思いっきり手抜きしてもよかったんだけどね。
でもあの、園長さんと兄さんの3回目の焼芋の場面、
園長さんも芋をふーふーしてたでしょ、兄さんのように。
ホント、細かいよねえ。
そしてラストは、フラミンゴの話を振らみんご……って、
これを書いてる人は全然変わってないね、まったく。
どーもスビバセン。
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カンニングの件は堪忍ぐ

2006-11-22 01:45:39 | りなの語る筋
これは前にも書いたかなあ、
わたしが去年、仲居やったり厩舎で働いたりしてたドラマでも、
ひとつのエピソードがそのときだけで終わらずに、
後にもその影響が及んでいるところをきっちりとフォローして描いてる、
これは橋部さんの特色なのかどうなのか、ちょっとよくわからないけど、
それはこのドラマでも表れてるよね。
今日の回だと、古賀さんが輝明兄さんに、
「新しいことやってみようか」って、
ジンジンの爪を切るのを丁寧に教えてくれたり、
園長さんが「家族の支えがいちばんだろうからねえ」って、
これは兄さんと幸太郎のことを言ったんだけど、
その言葉に表情を曇らせたり……
なんか、予告では来週、古賀さんがうちにやってくるみたいで、
そっちのほうもどうなるのか楽しみだけど、
で、今日は幸太郎をフォローするのがメイン。
いや、それを描きつつ、
真樹義姉さんが変わる姿を描くのがメインかな。
以前、毎週ひとりずつが兄さんによって変わっていくのを描くとしたら、
それは単調だなあとか、書いたっけ。
まあそう単純な構成にはなってないけど、
でも今週はいよいよ真樹義姉さんの番がきたの。
しかしあの義姉さんがどうやって変わるのかなあ……って、
今までのあの人の言動を見てたら、そんなの想像もつかないよね。
今日だって塾でテストを受けるという幸太郎に、
「緊張しちゃダメよっ!!」って強い口調で言って、
お前がいちばん緊張させとるがな!って、
日本中からツッコミが入ったよね、多分。
そんな義姉さんがどうやって変わったかというと、
これが幸太郎によって、なんだな。
息子によって母親が変わるってのは、これは珍しくはないけどさ、
でも兄さんによって変わった幸太郎が、母親を変えたという、
このつながりがねえ、やっぱり巧いなあ。

幸太郎が秀治兄さんに、
輝明兄さんは大学に行ってないよね、
勉強しなくてよかったんだよね、って訊く場面があったでしょ。
あれ、ただ単に塾のこととかだけで言ったんじゃないんだよね。
その前に輝明兄さんが動物園で働いてる姿をずーっと見てて、
そして自分もヤギの絵を描いて、
皆からうメェ~って誉められたりして、
そうやって彼なりに学んだり充足感を覚えたりした、
それを踏まえての、父親に対する言葉だったんだよね。
彼にとっては塾をサボった分、大きな社会勉強になったんだね。
でもサボったらいずれは親にバレるじゃん、
そんなこともわかんないかなあ、
まだまだ子供だなあ……
え? なになに?
お前も高校サボって厩舎に行ってて、すぐにバレたやないかって?
いや、まあ、それはおいといてさ。
あ、ついでに、幸太郎を絵画教室にまた通わせるとか言ってたけど、
そんなとこ行かなくても、切り絵の師匠ならいい人紹介してあげるよ。
ちょっと口は軽いんだけどさ。
いや、だからそんなことはどうでもよくって、
事務員のお姉さんにオレンジジュース出してもらって羨ましいなあ~って、
いや、真面目に話を戻して、と。
そうやって幸太郎は母親に反抗することで、
ひとつ成長した、自立への一歩を踏み出した、
そう言えるわけだけどさ。
そんなエピソードが、都古さんの出番が減った、
彼女が兄さんと直接かかわらなくなった回で描かれるってのも、
ちょっと象徴的だよね。
ほら、都古さんも兄さんに対して庇護者的な、
母親代わりと言ってもいいような存在だったから。
兄さんも幸太郎も成長し、
そしてそんな彼らが義姉さんのことも変えた。
こういうのってやっぱり、なんか、いいなあ。
って言うとMEGUMIが「いいよねえ」って相槌うってくれてた、
あの場面はなんか可笑しかったけどね。
って言うか、なんでわたしがあの2人と会ってたのか、
実はよくわからないんだけどさ。
あ、それでさ、話を戻すけど、
ほら、よく言うじゃん、
子供は親の背中を見て育つって。
幸太郎は兄さんの働く姿を見て、大きく成長したと言えるけど、
と言うことは兄さんは幸太郎の親代わりの役割も果たしたと言えるじゃん。
兄さんも幸太郎と接するうちに、自然とそういう役割を自覚するようになった、
それが仕事に表れてたのは古賀さんのセリフにもあったし、
そして幸太郎を探そうと、行ったことのない道へ、
ゆっくりと自転車を漕ぎ出した……

そう、真樹義姉さんが変わってメデタシメデタシっていうような、
そんな単純な作りじゃないんだ。
皆が少しずつ、人間として成長していってるんだよね。
義姉さんもまだ、兄さんに対する見方がすっかり変わったかどうかはわかんないけど、
こうやって少しずつ変わっていってくれるのが、
いちばんいいような気がするな。
で、来週はいよいよ園長さんが変わるのかなあ?
なんか、兄さんと焼芋食べてたけど……?

でもって、これを書いてる人は変わっていってるのかなあ?
今日もちょっと手抜きみたいだけど。
って言うか、冒頭からわたしが列挙してた、
「結婚とは
 一緒に暮らすことです。
 相手を大切に想うことです。
 一緒に子供を育てていくことです。
 新しく家族になることです。
 家族のために働くことです。
 相手の家族と親戚になることです。
 ずっと好きでいることを誓うことです。」
……って、これを見て、
何かいろいろ思うところがあるみたいだよ。
ったく、どうなるんだろ?
って言うか、わたしのファンならイラストぐらい描いてよ。
その前にあんたも絵画教室に通って、まともな似顔絵描けるようになってよね~。
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こだわりが強くなるのは、こら悪りぃー

2006-11-15 01:56:57 | りなの語る筋
今日の回はどうだった?
え? わたしの出番はご飯食べてるかテレビ見てるかだけじゃなく、
ファッション誌読むのも定番やなあ、って?
誰よ、そんな要らんツッコミ入れてるのは。
そうじゃなくって……
今日の回はねえ、わたし、いろんなこと考えちゃって、
何から書いていいのかちょっとわかんないな。
えーっと、突然だけど、
昔テレビで見たドキュメンタリーを思い出しちゃった。
え? お笑いや安物のドラマだけでなくそんなのも見るんかいな、って?
見るわよ。見るだけでなくナレーションやったこともあるんだから。
そうじゃなくって、昔見たドキュメンタリーの話。
あれは大江健三郎さんの息子さんの、光さんのこと。
光さんは、皆さんもご存知だと思うけど、
うちの輝明兄さんと同じような障害を持ってるんだ。
それで10年ぐらい前かな、ちょうど健三郎さんがノーベル賞を受賞したころ、
光さんも作曲家として脚光を浴びたりして、
そのあたりのことを取材したドキュメンタリーだったんだけどね。
あ、10年も前のことだから、わたしはまだ小さくてあまり覚えてないんだけど、
これを書いてる人はよぉ~く覚えてるんだけどね。
でね、その番組のなかで健三郎さんが言ってたんだ。
ノーベル賞の賞金……日本円で確か1億円近い額だったと思うけど、
それが入ったんで、これで自分が死んだあとも光は生活していけるだろう、
そう思うとちょっと安心だ……って、
正確ではないけど、こんな意味のことを言ってたんだ。
へえ、作家ってあんまり儲かってないんだ……って、
いや、そんなことを思ったんじゃなくって、
いや、それもちょっとは思ったけど、
いや、それよりも、
大江健三郎ぐらいの著名人でもやっぱりそういう心配はあるんだ、
こういうのって、障害などを持った子供を抱えた親なら誰でも同じなんだなあ……って。
そのことをよく覚えてるんだけど、
今日の回で、そのことを思い出しちゃった。
わたしのお母さんも、やっぱりどこかでそういうことを思ってるんだ。
そして、わたしをあてにしてるんだ。
……これは、わたしにとっては複雑なことなんだ。
わたしは、兄さんのことを思ってるよ。
でも、これから将来、ずっと……ってことを考えると、
やっぱり……
「わたしはわたしの人生を生きていいんでしょうか」
お母さんが人間ドックに入ってる間に、兄さんの主治医に会って、
思わずそうこぼしちゃった。
ま、すぐあとで「今の聞かなかったことにしてください」って言っちゃったけど。
そしたら主治医は「元相方のこともなかったことにしたいよ……」ってぼやいてたけど。
いや、それはおいといて、
でもね、それは実は、わたし自身にも返ってくる言葉なのかもしれない。
兄さんがちょっと、都古さんの結婚を理解することで不安定になってて、
だから人間ドックに入るのを止めようか……って言い出したときに、
「お母さんには健康でいてもらわないともっと困ったことになるから」
そう言ったんだけど、
それって、お母さんがわたしをあてにすることよりも、
ひょっとしたらキツイことなのかもしれないね。
親だから息子の面倒見て当然でしょ、みたいなのが、言葉の裏にあるみたいで。
そうなんだ、みんな自分に返ってくるんだよ。
真樹義姉さんは、そんな兄さんの状態に好奇心を剥き出しにしてるけど、
じゃあもし自分の結婚相手にそういう身内がいたとして、
自分はどれだけ親身になって、心から心配してあげられるだろう。
自分は将来、その身内の老後の面倒まで見る覚悟ができるだろうか。
そんなことを考えると、真樹義姉さんのことを単に悪役的なキャラクターだとか、
意地が悪いとか、自分本位だとか、他人の気持ちに鈍感だとか、
結婚して10年も経つのにいまだに兄さんのカレーの好みも知らんのかとか……
そんな風には言えないよね。
え? 充分言うとるやないかって?
まあそれはいいとして……もうひとり、悪役的と言うと言い過ぎだけど、
兄さんにあまり理解を示してなかったキャラクターの古賀さん。
今日は古賀さん改心の巻……って、ひとことで片付けちゃいけないんだ。
古賀さんも自閉症患者の親だったんだ。
そんな息子のことを恥じていたのか、まったく親らしく接することが出来ず、
それがもとで離婚したらしく……
いわば、子供から逃げた親。
そんな古賀さんが兄さんと触れ合うなかで、自分の過去を悔いて思わず涙を流す。
という構図だけを見ると、まあありがちって言えなくもないけど、
でも回想シーンにはちょっと、考えさせられえちゃったなあ。
商店街のなかでしゃがみこんで、不安に慄いて奇声をあげる我が幼い息子。
しかし周囲を取り巻く人たちの好奇の目に負けて、その場から離れようとする……
これはねえ、ヒドイ親だなあって非難することは簡単だよ。
でもさ……
例えばわたしが大阪の梅田とかなんばとかの繁華街を歩いてて……
あ、まあこれは、わたしがじゃなくってこれを書いてる人が、なんだけど、
そういうところを歩いてると、何らかの障害を持った人とすれ違ったりすることって、
都会だとざらにあることなんだ。
ざらにあることなんだけど、それでもいまだに、
そういう人をジロジロと、好奇心剥き出しにして見つめる人っているんだよね。
そういうのってとっても失礼で、品のない行いだなあって思って、
わたしなんか思わずそういう奴らをジロッと睨んじゃったりするんだけど、
で、睨むのはいいんだけどね、
それでわたし自身はどうなのかと言うと、障害を持った人から目を逸らしちゃうんだ。
見つめちゃいけないって思うあまり、意識的に目を逸らしてしまうの。
でもこれって、我が息子を置き去りにしようとした古賀さんと、
ひょっとしたら根っこのところでは同じことをしてるんじゃないだろうか……って、
そんなことを考えちゃった。
だからね、わたしも真樹義姉さんのことを「興味本位でしょっ」とか言って、
柿をむしゃむしゃ食べてたけど、
本当は義姉さんのことを、義姉さんのことだけを、
そんな風に怒ってはいられないんだよね。
まあ柿はおいしかったけどさ。
でも今の時期は牡蠣もおいすたー。
えーっと、それはともかく、
ま、古賀さんの涙でメデタシメデタシってのは、
ドラマの作りとしてはありがちだけどさ、
でもそこに至るまでに、いろいろ深刻に考えさせられるものがあったよね。
やっぱり真面目に作られたいいドラマだよね。
都古さんが結婚して、物語の流れがガラッと変わってしまうのかなあって、
そんな心配もちょっとしてたけど、これなら大丈夫だね。
来週以降も安心して見てられるね。
まあその分、わたしの出番はいつも通り、少ないんだけどさ……

えっ? 今日はいつもより文章も短いし、イラストもないやんけ、って?
ああ、それはねえ、これを書いてる人がちょっと怠けてるんだ。
いや、なんかねえ、あの人もうちの兄さんと同じく、
ここんとこちょっと精神的に不安定だったみたい。
それで気晴らししようって意味もあって、
この前の週末に、前から考えてたのを買っちゃったんだって。
液晶テレビを。
それもデジタル放送対応のやつ。
まあー、ビックリするくらい綺麗な映像!
これがテレビの映像かって驚きますよ。
今まではデジタルチューナー内蔵のレコーダーをブラウン管テレビに繋いでたけど、
もうそれとは段違いの美しさ!
すごいわー、これならもっと早く決断して買っときゃ良かったよ。
このドラマ、いつもは画面が暗い暗いってこぼしてたけど、
今日は隅々までくっきり映し出されてたよ。
ホンマすごいわ、こりゃ。
でもまあ、デジタル放送と言っても、
ハイビジョン画質のものと標準画質のものと2種類あってね、
ハイビジョン画質はものすごく綺麗なんだけど、
標準画質のはその分、なんか汚く感じちゃうんだよね。
それとVHSビデオの映像、これなんかもやもや~っとしちゃって、
こっちはブラウン管のほうが勝ってるんだよね。
まあこれも仕方ないことだけど……って、
そんなわけで、この文章を書いてる人はいま、
いろいろ設定をいじくったり、周囲の機器の配置換えをしたり、
そんなことに夢中になってるんで、今日はちょっと手抜きなんですって。
まったく失礼な話よね。
わたしのファンじゃなかったの?
あ、でも夕べは、わたしが仲居の仕事してたときの録画を見てくれてたけど。
もう惚れ惚れするような美しさだったって。
まあそうやって物欲が満たされて気分が晴れたんだったらいいんだけどさ。
でも……どうやらここ数日、精神的にも満たされてるみたい。
いや、これは液晶テレビでじゃなくって、もっとプライベートな話。
そもそも精神的に不安定になってたのも、そっち方面の影響が大きかったらしいんだ。
まあいい歳して……ねえ。
でもそれが、どうやら……?
このことはわたしからは詳しいことは言えないんだけど、
そのうち本人が書くんじゃない?
誰かに言い触らしたくってうずうずしてるみたいだから。
オトコってどーしてこう単純なんだろね。
ま、性欲が満たされるまでは、まだもう少しかかりそうだけど。
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輝明兄さんは都古さんの部屋に「長居な」・・・とぼやく河原さん

2006-11-08 02:54:01 | りなの語る筋
「いただきまーす」
というわけで、今日も食事シーンから始まるわたしの出番。
今日のメインは肉じゃが。
テーブルには秀治兄さんの家族もついてるけど、
輝明兄さんのところは空席。
さっき幸太郎が見つけた、ちょっと弱り気味の捨て猫を都古さんのところに届けに行って、
そこで夕食を呼ばれることになったんだ。
「都古さんさあ、よくお兄ちゃんと付き合ってくれるよね。彼氏いないのかなあ?」
実は河原さんのことなんかまったく知らないわたしがそう言うと、
「いたら輝明、嫉妬するんじゃない?」と秀治兄さん。
「彼氏って何なのかわかってないんじゃないの?」
「そうだけど嫉妬はするよ。輝明小さいとき、お袋が他の男の子と口きいただけで嫌そうだったから」
「ふーん……」
と、さっきから輝明兄さんの話題に好奇心剥き出しな目を見せてる真樹義姉さん、
「幸太郎もそうだったわよね。小さいときはホントにわたしにべったりだったんだからー」
「いまは真樹さんが幸太郎にべったりだよね」
思わずわたしが小姑モード全開でそう言うと、ちょっと怯んだ義姉さん、
「男の子の母親なんてみんなこんなものよ」
そんな会話を他所に、少し寂しげな表情を浮かべ、
輝明兄さんのいるはずの席のほうを見つめるお母さん。
「ちょっと醤油とって」
「はい」と、素直に秀治兄さんに渡すわたし。

その頃、輝明兄さんは都古さんの部屋で、
河原さんを押し退けていつもの自分のポジションに腰を下ろして、
都古さんの料理を「美味い」と、河原さんの真似して言いながら食べていて……
実は離婚した河原さんに「結婚する」とこたえた都古さん。
そんな2人の関係の変化など知る由もない兄さんだけど、
この前、動物園でベンチに座る2人の間に割り込んだあと、
「また失敗した」って言ってた兄さん……。
なんとか兄さんを追い払い、やっと2人きりになったとき、
兄さんには恋愛感情はあるのか?と問う河原さんに、
「なーいない!」と明るく答えてた都古さんだけど……。
しかし、兄さんにとっての自分の存在の大きさにはやはり気付いてる都古さん、
それなら、捨て猫を届けに来たとき、
玄関先でなかなか帰ろうとしなかった兄さんの気持ちにも、
もう少し気を配ってくれないかなあ……って、
兄さんのよき理解者であるわたしとしては思うんだけど。

「ちょっと、見てるでしょー」
ある夜、もうひとつのわたしの出番の定番となりそうな、
テレビのお笑い見ながらケータイいじってると、
突然現れて勝手にチャンネルを変える秀治兄さん。
「見てたの?」
「何で自分家で見ないのー?」
兄さんからリモコンをとってチャンネルを戻すわたし。
「別に……」と今度は新聞を眺める兄さん。
「幸太郎が勉強してる前でごろごろしないでよーとか、真樹さんに言われたんでしょ?」

声色を使ってそう言うと、逃げていく兄さん。
「ビール飲んでこ」
「ほーらやっぱり!」と嬉しそうなわたし。
と、そこへ電話が。
「りな、音小さくして」とお母さん。
「あ、はい」
そう言って、素直にボリュームを絞るわたし。
その電話は都古さんからのもので……
やがて受話器を置き、ため息をつくお母さん
「どうかした?」
普段は何か訊くとき「どーした?」が標準仕様なんだけど、
お母さんにはちょっと丁寧に「どうかした?」になるんだ。
「都古ちゃん、あした輝明に話すって。結婚して動物園辞めること」
「ショック受けるかな」
……うん、わたしはみんなも知ってる通り、
輝明兄さんのよき理解者なんだけどさ、
でも、ことが都古さんとの間の微妙なところになると、
やっぱりちょっと、無神経ってことはないんだけど、
他のことのようには親身になってあげられないんだなあ。
だって、わたしもそういうこと、まだよくわかんないもん。
だから輝明兄さんのこういう方面の話題には、つい好奇心が出ちゃったりするんだよね。
ま、男女のそういうところはよくわからないけど、
秀治兄さんの夫婦間の微妙な緊張関係はよーくわかってるから、
今日はついついチクチク言っちゃったりしたんだけど。
「輝明も動物園辞めるって言い出したりして」
と秀治兄さんがそう言ったところに降りてくる輝明兄さん。
「お兄ちゃんこんばんは」
「こんばんは」
「お風呂入る」
「はい」とお母さん。
「お湯の温度は39度」
そう言ってお風呂に向かう輝明兄さん。

そんな輝明兄さんに予行演習と言うか、
明日のために心構えをさせておこうとその夜も遅く、
兄さんに結婚というものを説明しようとするお母さん。
「ねえ、結婚ってわかる?」
「お兄ちゃんは1994年に結婚しました」
……そのとき真樹さんは仕事を辞めた、
仕事を辞めてお兄ちゃんと暮らすことが、真樹さんにとっていいことだったから……
お母さんがそう言うと、
「いいこと」と繰り返す兄さん。
「そう、いいこと。わかるわよね?」
しばらく考え込むような表情を見せた後、
「僕も結婚するの?」と兄さん。
結婚はする人もいればしない人もいる、
するのが良くてしないのが悪いのじゃない、
それは輝明と同じ、
できることが多いのが良くて、少ないのが悪いのじゃない、
自分ができることをいっしょう懸命やればいい……
いつしか兄さんの背後に回って、肩を揉んでやりながら、
涙目になってそう言うお母さん。

さて、その翌日、
都古さんが結婚のことを輝明兄さんに打ち明けたのは、
あの大きな木のあるところ。
そこは2人にとって、幼いころからの思い出がいっぱいある場所……
というわけで、今日はそのひとつが紹介されたけど、
うーん……これだけ?
もっと劇的なエピソードがあるかと思ったんだけどなあ。
この大きな木から、絶妙のタイミングで馬が駆け出すとか。
ま、その辺は小出しにされてるのかもしれないけど。
やがて、新しい住所の書かれた紙を渡す都古さん。
「引っ越したら河原さんと一緒に住むんだ」
「河原さんは都古ちゃんの先輩で獣医さんです」
「そう、河原さんはわたしの旦那さんになります」
表情を変えない兄さん。
「河原さんと結婚するの」
やはり同じ表情のままに見える兄さん……。

「ね、これでいいかな?」
「いいんじゃない?」
今日はいよいよ都古さんの結婚パーティ。
わたしも黒のドレスでいつもよりちょっとゴージャスでしょ。
ちなみにこのドレスは、
ビリー・ジョエルのミュージカルに行ったときに着てたもの……かどうかは定かではないけど。
とにかく、朝からちょっと慌しく準備してて、
首に巻くヤツをお母さんに見てもらったりして……
ああ、この首に巻くヤツって、なんて名前だっけ?
いや、わたしは21歳の女子大生だから、こういうものの名前はもちろんちゃんと知ってるんだけどさ、
ついど忘れして名前が出てこないってこと、あるよね。
ホント、ど忘れしただけだからね。
名前知らないわけじゃないよ……って、くどくど弁解してる間に秀治兄さんが降りてきて、
輝明兄さんがパーティに出席しても大丈夫かって、そう言うと、
「都古ちゃんは、輝明に絶対来て欲しいって言ってくれたから」
そのお母さんの言葉にチクチクしたものを感じた兄さん、
自分はたまたま2人だけでハワイで結婚式あげることになっただけ……と言い訳するから、
「わかってるってー、真樹さんがそうしたいって言ったんでしょ、テルお兄ちゃん呼びたくないから」

と、とどめのチクチクをぶつけてやるわたし。
「そんなことないって」
と新聞を見ながらどうでもよさげに秀治兄さんが返事してるところへ、
リビングに入ってくる輝明兄さん。
……あ、さっきのセリフにあったように、
わたしは普段、他人との会話のなかに名前を出すときは「テルお兄ちゃん」って言ってるんだ。
でもここでは、えーっと、まあ字数の関係もあるし、
今までもそう書いてたからこれからも「輝明兄さん」で通すね。
……ったく、こういう初期設定的なことがわからないまま書き始めて、
ちょっと後悔してるんだ、実は。
いろいろ気を遣うことが多いんだよ。
いちいちわたしの出番をすべてイラストに描くのも、
しんどいし、あまり意味ないし。
だからこれからはもう手を抜くね。
しかし意味ないって言えば、そもそもこの文のスタイルもねえ。
こんなの続ける意味、あるのかなあ?
あ、でも先週書いた、
輝明兄さんが出すハガキに都古さんは返事を書くのか……って、
今週、都古さんとMEGUMIとの会話の中で、その答えが出たよね。
こういう展開があるのって、これを書いてる唯一の楽しみとも言えるかな。
ま、これも兄さんのハガキと同じで儀式みたいなもんかな。
……えーっと、何の話だっけ?
そうそう、輝明兄さんがやってきて、
ネクタイを結んでやる秀治兄さん。
そして、わたしとお母さんとで、
輝明兄さんに結婚パーティの式次第のおさらい。
まず会費払って、パーティはバイキングで……
「バイキングわかるわよね?」
そう言うお母さんに、
「わかる。バイキングは船を襲って積荷を奪います」
「そうそう、北欧の海賊だよね……って、そのバイキングと違うがな!」
と、兄さんのボケに乗るうぇー。
いや、そうじゃなくて、
「自分が食べたいものを、食べられる分だけ取るの」
「はい」
「いちばん大事なのはここ、輝明の出番」
とお母さんが言うのは、
都古さんに花束を渡す役……。

さて、いよいよパーティ会場。
「お兄ちゃん、会費」
受付でMEGUMIに会費を渡し、
動物園の職員さんたちに挨拶し……
そしてMEGUMIの司会で入場する都古さんと、河原さん。
やがて園長さんの挨拶が始まると、古賀さんが「長いな」とぼやき、
古賀さんの歌が始まると、園長さんが「長いな」とぼやき……
そう言えば今日は古賀さん、
取材を受けてる最中にこれ見よがしに輝明兄さんに話し掛ける園長さんのこと、
偽善者呼ばわりなんかしてたっけ。
この辺の確執も、今後の展開の鍵になるのかなあ。
で、そんなことには脇目も振らず、
チキンカレーを食べ続ける兄さん。
そんな兄さんを心配そうにチラッチラッと見遣る三浦さん。
動物園の従業員食堂のメニューにチキンカレーを加えるってアイディア出してくれたり、
ヤギの世話もすることになった兄さんのことも丁寧に見てくれてたし、
今日は三浦さん、大活躍だったね。
でもそんな三浦さんもいいけど、
だんだんセリフが増えてきた動物園の事務員の女の子も、いいな。
パーティのシーンでは正装してて胸元が……って、
何でそんなとこ見てんだろ、わたし。
えーっと、それはともかく、
三浦さんだけでなく、わたしとお母さんも、
チキンカレーを食べ続けてる兄さんのことが気になっていて……
と、早くも花束贈呈の時間が。
スポットライトを浴び、お母さんに促されて都古さんの隣に立ち、
しかし花束を抱えたまま立ち尽くし、
会場のみんなが見守り……
「長いな」
と、誰かがぼやきそうな間があった後、
ぶっきらぼうに横向いたまま、花束を渡す兄さん。
「テル、ありがと」と都古さん。
「いまの何? 怒ってんの? 緊張してるだけ?」
「どうなのかしらね……」
やがてMEGUMIに促され脇に退く兄さん。
そして河原さんの挨拶。
それを聞いて涙ぐむ都古さん。
「都古ちゃん、どうして泣いてるの?」
また都古さんに近づく兄さん。
「いいことなのに」
涙を堪えようとして口をグッと結び、それでも溢れてしまう都古さん。
「いいことなのに」
「そうだね、笑わなきゃいけないのにね」
「都古ちゃん、僕が代わりに笑ってあげる」
一瞬、えっ?という表情を見せた都古さんをじっと見つめ、
ほんの少し、ほぉーんの少しだけ、
かすかに口元をほころばしてみせる兄さん。
「ありがとう、テル」
笑顔を見せようとして、涙の止まらない都古さん……

この後、そんな都古さんに兄さんが、
「結婚はいいことなんだ」
「うん」
「じゃあ今夜、都古ちゃんは河原さんとイイことするんだ」
「うん、するよ」
「河原さんは都古ちゃんの先輩で獣医さんです。
 今夜、都古ちゃんに太っい注射をぶち込みます」
……と、そんな会話が交わされたかどうかはわたしには聞こえなかったけど、
ところでさあ、
兄さんが動物園で働くようになる前って、
都古さんとはどのぐらいの頻度で会ってたんだろ?
ハガキは毎日書いてたんだろうけど、
都古さんは獣医で、兄さんも弁当屋さんとか別の仕事してたら、
そう毎日は会ってられなかっただろうね。
このドラマは、兄さんが動物園で働きはじめるところからスタートしてるから、
都古さんが結婚することで、兄さんの喪失感が大きなもののように見えるけど、
それ以前の付き合い方を描いていたなら、もう少し違った印象を受けたかもね。
……うーんと、言いたいことが巧くまとまらないんだけど、
とにかく今後、兄さんと都古さんの距離の描写や、
それからハガキ、ね。
この辺がポイントになってくるような、
ちょっと新たな展開が見られそうな、
例えば来週からは兄さんが仲居の仕事を始めそうな、
なんかそんなのに似た予感がしたりして。
で、予感じゃなくて予告では……
「わたしはわたしの人生を生きていいんでしょうか」
って、わたしがあの精神科医の診察室にいるじゃん!
都古さんの出番が減って、わたしがヒロインの座を射止めたのかなあ?
そうそう、書き忘れてたけど、
先週のラスト、都古さんのマンションの表で雨のなか立ち尽くしてしまった兄さん、
それに気付いた都古さん、すぐに精神科医のところに連れて行ってくれて、
彼に診てもらってひと安心……ってことだったんだけど、
いやしかし、今週は彼の元相方をネタにするのは止めておいたけど、
来週は直接会うのか……
じゃあまた、あのパターンでチクチク言ってやろうかなあ?
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労働対価でロードバイクを買うたろう

2006-11-01 03:22:03 | りなの語る筋
「何か欲しい物ある?」
「ある!」
今日は輝明兄さんが動物園での仕事を始めて、最初の給料日。
お母さんが銀行から降ろしてきたお金を、ハガキ代とお昼ごはん・ジュース代を取り分け、
その残りをどうしようか……と食卓で輝明兄さんに話しかけてるところに、
読んでたファッション雑誌を置いて、リビングのほうから話に加わるわたし。
「お兄ちゃん、財布買って。前から欲しいのあったんだ」
「やだ」と即答する輝明兄さん。
「えっ……お兄ちゃん欲しい物あるの?」
そう言うわたしを見つめる兄さん。
「あるんだ」とわたし。
「何?」とお母さん。
すると自分の部屋からカタログを持ってきて、それをテーブルに置いて指さし、
「これが欲しい」
「ロードバイク? ねえ、こっちのほうがいいんじゃない?」とわたし。
「これが欲しい」
「でもさ、お兄ちゃん乗れるの?」
「これが欲しい」
とにかく兄さんが頑なに拘るのは黄色いロードバイク。
これは、兄さんがいつも出会うツーリストの乗ってるのと同じ型なのかなあ。
それとも、単に色が兄さんの好みの黄色だからなのかなあ。
ま、わたしにはロードバイクのことはよくわからないんだけど……って、
それなのにわたし、いったい何を根拠に隣のページのを薦めたんだろ?
「練習すれば乗れるようになんのかなあ?」
「これが欲しいのね?」と念を押すお母さん。
「うん」
「60万だって」と金額に敏感なわたし。
「じゃあ、月に5万円ずつ貯めよう。1年でこの自転車買えるから」
「ロードバイク」と訂正するわたし。
「ロードバイクね」
その間もカタログをじっと見つめる兄さん。
するとお母さん、茶筒ならぬ茶封筒を取り出し、
「じゃあ60万円になるまでこれに貯めよう。積・み・立・て」
「積み立て」
茶封筒に「ロードバイク」と書き、正面を見据える兄さん。

「こんばんは」と、2世帯住宅のほうから降りてきたのは幸太郎。
「こんばんは」と、奥でアイロン掛けしてたお母さん。
「幸太郎、どーした?」と、リビングでファッション雑誌の続きを読んでたわたし……しかし、
この「どーした?」って問いかけは群馬県だけの方言じゃなかったんだ。
「100点取ったから」と答案用紙を拡げて見せる幸太郎。
「おー、やったじゃん」
「がんばったわね、ウフフ……」
キョロキョロと辺りを見回す幸太郎。
「輝明おじちゃんに用?」と、察しのいいわたし。
「輝明おじちゃんにちょっとずつお金返したいです」
「そうね、そうするのがいいと思う」
「ほーら、行っといで!」と、幸太郎の背中を押してやるわたし。

そうなんだ、あの件は結局わたしのお母さんも知るところとなったんだ。
ま、ああいうことはやっぱり、大人からキチンと注意してやることも必要だからね。
だから真樹義姉さんにはナイショで、
幸太郎からみれば祖母にあたるお母さんからキチンと注意を受けて、
それで自分の意思でお金を返そうとする幸太郎……
身内から言うのもなんだけど、いい子だねえ。
……え? わたしは昔もらったお金をちゃんと返したのかって?
いや、それは……えーっと……
え? その上に初給料から財布買ってもらおうとねだるとはって……?
えーっと、えーっと……。

それはさておき、幸太郎が自室にいる輝明兄さんにお金を返そうとすると、
「お金をもらったりあげたりしてはいけません」
と言われてしまうけど、すぐさま、
「このお金はあげるお金じゃなくて返すお金なの」
300円ずつ返すから、1年半はかかるかな。
でも、先週のメインのエピソードを1話完結的にそれだけで終わらせず、
こうやって持ち越して描く丁寧さ。
これは橋部さんの魅力のひとつだよね。
わたしが昔、仲居の仕事や厩舎の仕事してたときも、
そういうの、よくあったよ。
例えば……あ、あのことはもう書かないことにしたんだっけ。

「後もう少しね、がんばりなさい」
で、上に戻って食卓で勉強してる幸太郎。
幸太郎は精一杯がんばってるのに、そんな彼にそう言ってニコニコと立ち去る真樹義姉さん。
義姉さんが立ち去るのを確認して、秀治兄さんに質問する幸太郎。
「輝明おじちゃんって、頭いいの? 良くないの?」
得意なことと苦手なことの差が大きい、
苦手なことは多いけど得意なことはすごくできる……と答える秀治兄さん。
さっきお金を返しに行ったとき、
ツール・ド・フランスの歴代優勝者を輝明兄さんが本当に暗記してることに改めて感心した幸太郎、
でも、得意なことがそれだけでは、ちょっとしんどいよね、さすがに……。

一方、自室でひとりで食事する都古さん。
と、そこへ「急に甘い物食べたくなって」とかなんとか言ってやってくる河原さん。
都古さんが先日の別れ話を持ち出すと、
別れたいって言うんならそうする、
別れないでくれなんて言える立場じゃないし、
何よりも都古の気持ちをいちばんに考えたいから……なーんて、
そりゃ、河原さんの言うことは筋が通ってるようで、正論のように聞こえるけど、
でも都古さんの気持ちを全然考えてないんだなあ。
無頓着すぎるよ。
正論ばっかり振りかざしてちゃダメだよ。
正論を捨てて、相手の気持ちにも心を配れるようにならなくちゃ……
と、セイロン紅茶を飲みながら思うわたし。

ある日、動物園の事務室では雑談タイム。
「大竹さんは誰と住んでるんですか?」と訊く三浦さんに、
「お母さんです。お父さんは2003年に死にました。
 お兄ちゃんは1994年に結婚しました。奥さんと子供がいます。
 妹は大学3年生です」
そうなんだ、わたしが3年生ってことは、ドラマのなかでは初めて明かされたかな。
テレビ番組誌には21歳って載ってたけどね。
と、そこへ都古さんがやってきて……
「都古ちゃんのお父さんとお母さんは1999年に離婚しました」
一瞬静まる事務室。
「テル、大丈夫だよ。わたしの両親は1999年に離婚しました」
そう言ってくれる都古さん。
しかし「大丈夫だよ」って、
兄さんはこの場の気まずさを理解できてたかなあ?
そこは、兄思いのよく出来た妹のわたしとしても、ちょっと首を傾げるところだけど。
でも、ツール・ド・フランスの優勝者を列挙するところとか、
レッサーパンダの赤ちゃんが生まれたのが2006年とか、
このドラマで使われる年号は西暦に統一されてるね。
この辺は、ドラマの制作局の系列の新聞や、
そこが出してる「正論」の主張とは異なってるね……って、こんな話題はやめとくね。
で、その離婚の話題から小日向さん演ずる古賀さんのことに話は及んで……
「古賀さんバツイチってことですか」
と、古賀さんが来たのに言ってしまう兄さん。
あちゃーって表情の三浦さん。
まあ気まずいやら可笑しいやらってところだと思うけど、
でも三浦さん、初給料をもらった兄さんに、
「使い道なかったら俺が使ってあげようか?」なんて、
とっても失礼なことを言ったりしてたけど、
……え? お前も財布ねだってたやないかって?
いや、わたしは妹だから……えーっと……
まあとにかく、そんなことを言って都古さんに注意されたりしてたけど、
そのやりとりの中で、自閉症やその患者についての注意を暗記していた三浦さん。
先週、彼はまだ本当のいい人には……とか書いてしまったけど、
こういう風に少しずつキチンと理解を深めていってくれてる三浦さん。
そう言えば、兄さんの言動に多少戸惑ったりする場面はあっても、
そこには馬鹿にしたような感じはもう見当たらないもんね。
うん、三浦さんもやっぱりいい人だ。
完璧ないい人にはなれなかったとしても、
そうなろうと努力してる姿はとっても素敵だな。
ちなみに三浦さんは、昔わたしがスウィング・ジャズのバンドやってたときのメンバーの子が、
今度は自主映画の製作とかやり始めたときの知り合いでもあるんだ。
世間は狭いねえ。
ちなみにそこでは秀治兄さんはそのメンバーの子の上司で、
古賀さんはまた父親なんだ。
ちなみに古賀さんは、そのメンバーの子がパン屋の娘だったときの、
末の妹が後に高校に入って男子シンクロナイズドスイミングとかかわってたとき、
その末の妹の子の父親だったんだ……って、
何がなんだかわかんなくなってきた。

というわけでわたしとも縁はあるけどまだ共演場面のない古賀さん、
その古賀さんに、輝明兄さんのことをよく思ってないのかと訊いてみる都古さん。
すると逆に、お父さんは兄さんのことをどう思ってたのかな、と訊かれ……
お父さんなりに考えてたと思う、
兄さんは中学の途中まで普通学級だったけど、
自分の子供が自閉症と認めたくなかったみたい……と答える都古さん。
「どこも同じようなもんだな」と漏らす古賀さん……って、
これはちょっと、わかりやすい伏線ではあるけどね。
じゃあ今週は古賀さんがいい人になる回かと思ったら、
この伏線が活かされるのはまだ先になるみたいで……

で、今週生かされる伏線は焼芋。
輝明兄さんが都古さんと一緒に帰るとき、
途中で焼芋屋さんの屋台が出てるんだけど、
そこで買った焼芋を公園のベンチで食べる2人。
しかし兄さんはいっつも、ベンチの自分が座るところだけ落ち葉を払ったり、
自分の分だけ焼芋を買ってきたり……
都古さんのことなんか何も考えてない兄さん。
いや、それは考えられないから仕方ないんだけどさ、
でも、都古さんの気持ちを考えているようで、しかしそれが的外れな河原さんよりも、
こんな兄さんと一緒にいるほうが、都古さんは心が安らぐのかなあ。
でもって、熱い焼芋をふーふーして冷ますのだけはしっかり学習してる兄さんを見て、
微笑ましくなるのかなあ……。
「明日何してる?」
そう都古さんに訊かれて、部屋の掃除と答える兄さん。
あの塵ひとつ落ちてない綺麗な部屋は兄さんが自分で掃除してるんだ。
でも「掃除して」だけじゃどうしていいかわからない兄さんだから、
お母さんが手順をひとつひとつ丁寧に教えたんだろうな。
そりゃ大変だったろうなあ~。

で、明日が休みの兄さんと都古さんが出かける、
唐突ともいえるような海辺でのイメージショット風の光景。
その帰り、ラーメン屋さんに寄るけど、
割り箸やらギョーザのたれやらラー油やらを、
いちいち都古さんに言われてからでないと取ってあげられない兄さん。
それは仕方ないことなんだけど、
でもこのやりとりはリズミカルで可笑しかったよね。
でもさあ、突然だけどこのドラマ、
広角レンズを使って撮ってる場面が多いんだよね。
それは先週の、兄さんを見つめる大勢の子供たちの姿とか、
そういうのを撮るときにはとっても効果的なんだけどさ、
でもこのラーメン屋さんの場面とかまで広角で撮る必然性ってあるのかなあ……?

なんて疑問を抱きつつ、ある夜わたしが見てるのは、
これは普通のレンズで撮影されたテレビの連続ドラマ。

なんか、東京タワーのところで男女の別れ話が描かれてて、
どー見ても安物って感じなんだけど、
なぜかこれが泣けるんだなあ。
すると、わたしを覗き込む輝明兄さん。
「泣いてるの?」
「ど……どいて、今いいとこなんだから」と押し返すわたし。
兄さんを無視してドラマに没頭するわたしを残して、
お風呂に入ろうとする兄さん。
「お湯の温度は39度」……

すると翌日、39度の熱を出して仕事を休む都古さん。
これも伏線だったか。
輝明兄さんも、そして他の人たちも何かと心配ではあるけど、
とにかくいつも通り、リンゴを2センチ幅にキチンと切っていく兄さん。
やがて時刻は11時。
この時間には戻るという三浦さんを待つ兄さん、
その前にはずらーっと切りそろえられたリンゴ。
ところがその三浦さんは、キリンの場所を尋ねる老夫婦の案内をしてて……
いや、案内って、
あれでは老夫婦を置いてすたすた歩き出してたみたいだったけど、
とにかくそういうわけで15分遅れて戻ってきた三浦さん。
キリンの案内で15分も遅れるとは、どんだけ広い動物園やねん……
いや、そんなことより、
そういう空白の時間が生じると、また例のパニックを起こしてしまう兄さん。

とりあえずそれは収まり、その夜は焼芋も買わずにひとりで帰る兄さん。
兄さんから聞いて、お粥やらを持って都古さんの部屋を訪ねるお母さん。
両親が離婚して以来、そのどちらとも連絡をとってないという都古さんに、
「何かあったときひとりじゃ不安でしょ」とお母さん。
病気のときってただでさえ何かと気弱になるもんだけど、
そのお母さんの言葉に背中を押されたのか……
その夜、河原さんに電話して、来て欲しいという都古さん。
しかし妻の両親に会わなければならないから、と断る河原さん。
ひとりベッドで涙ぐむ都古さん。

翌日、何事もなかったかのように元気に出勤する都古さん。
心配そうだった兄さんともいつもの挨拶を交わし……
と、そこへ古賀さん、
「情事はやめてもらえるかな?」
えっ? この人なんでわたしが不倫してること知ってるの?
……と都古さんが聞き違えたような形跡はなく、
古賀さんが言ったのは、ジョージという名の、
あれはバクかな? そのジョージを診てもらえるかな、ということでした。
ちゃんちゃん。

ところで都古さんが不倫してるのは、
両親の不和とかがトラウマになっていて、
それで誰かの家庭を壊してやりたい、みたいなのが、
深層心理のなかに芽生えてしまったのかなあ……なーんて、
大学で心の勉強してるわたしは邪推してしまったりするけど、
でも河原さんへの純粋な想いも、やっぱりあるんだね。
で、ある夜MEGUMIについ漏らしてしまう都古さん。
「河原さんと結婚したいみたい……」


そしてまたあのドラマの続きを見てるわたし。
今度はティッシュの箱を抱えて、泣く準備万端。
兄さんも今度はわたしの邪魔をせず、横のソファに腰かけて画面を見てて……
また東京タワーのところで、感動の再会をする男女。
男が女に傘を差し伸べる場面に目を凝らす兄さん。
……しかし東京タワーといえば、
兄さんの主治医の精神科医の元相方のせいで、
このドラマの製作元の系列局はエライ迷惑こうむったんだけど……って、
このパターンはもういいか。

そしてある夜、また屋台の焼芋を食べる兄さんと都古さん。
相変わらず都古さんのことは考えず、
でも自分の焼芋はふーふーして食べる兄さん。
そこへ河原さんからの電話がかかってきて……
それを無視する都古さん。
鳴り続ける着信音。
黙々と焼芋を食べる兄さんは、やがて雨が降ってきたことに気づき、
自分だけ傘をさし……
やがて着信音は止み、
雨に濡れながら涙ぐむ都古さん。
そんな彼女に、正面を向いたまま、何も言わず、
右手の焼芋と左手の傘を持ち替え、
ゆっくりと、焼芋を齧りながら、都古さんに傘を差し伸べる兄さん。

そう、ツール・ド・フランスの歴代優勝者を暗記してても、
世の中を渡っていく上では何の役にも立たない。
傘を差し伸べたのも、テレビで見たのを真似しただけ。
得意なことと苦手なことの差が大きすぎる輝明兄さん。
しかし、考えてみてよ。
あなたにどんな得意なことがある?
それが仕事で活かせてる?
苦手なことのほうが多いんじゃない?
兄さんは得意なことはほんの少ししかないけど、
ひとつひとつ、少しずつだけど得意なことを増やしていってる。
その小さな歩み……それは三浦さんや他の人たちが、
少しずつ兄さんのことを理解していく歩みとも重なって、
この歩みが、心を打つんだよね。
こんな風に劇的に、ドラマティックに描かれるものばかりでなく、
それが根底にずーっと流れてるんだな。
そこがねえ、いいよね。
ちなみにわたしの得意なことは泣く演技なんだけど、
今日はしょーもない場面で使っちゃったなあ。
来週以降、もっとわたしの得意なことを活かせる場面をよろしくね、橋部さん。

その後、相合傘で歩く2人。
やがて都古さんのマンションの前に着くと、
お粥の器返すから待ってて、すぐ戻るから、と都古さん。
「すぐって何分?」と訊く兄さんに、
3分と答えて部屋に戻ると……

都古さんの部屋の前で待ってた河原さんは、
ずうずうしく部屋の中まで上がりこんで……
「妻とは別れた」
河原さんを見つめる都古さん。

兄さんは雨の中、表で立ち尽くし……

というわけで、なんか一難去ってまた一難って感じで、
まあこれは連続ドラマの常套手段ではあるけどね。
ところでこれは前から疑問だったんだけど、
兄さんは毎月1500円使って都古さんにハガキを出してるけど、
都古さんは兄さんには出してないみたいだね。
この辺は、やっぱり都古さんとしては、
なんかこの、兄さんとは一線を画してるってところなのかなあ。
今日も2人っきりだったから、兄さんを部屋に入れてなかったし。
そうやってキチンとケジメをつけてた都古さん……
えっ、どーしたの!?
来週、河原さんと結婚するの!?
ちょっとこれは、すごい急展開じゃん!
これからどうなるんだろう?
お湯の温度は39度、都古さんは三々九度……?
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幸太郎にゲームを買うたろう

2006-10-25 03:27:11 | りなの語る筋
「いただきまーす」
みんなでそう言って箸を伸ばすのは、テーブルの真ん中にでんと置かれた寿司桶。
そう、今日は輝明兄さんが動物園に正式に採用されたことのお祝いなんだ。
だからお寿司ももちろん、大特上。
「輝明さん、おめでとう」と真樹義姉さん。
「ありがとう」と応えながら、新曲の宣伝もする輝明兄さん。
「輝明さん、がんばってね」
しかしそう言われても、表情の強張る輝明兄さん……
「がんばってって言われても、お兄ちゃんどうがんばっていいかわかんないから」
そう助け舟を出してあげるわたしに、えっと驚く真樹義姉さん。
まだ越してきて3ヶ月だから、と秀治兄さんはフォローするけど、
でも一緒に住む何年も前から輝明兄さんのことは知ってるのに……
でもあの義姉さんじゃ無理か。
「それから、お兄ちゃんいつでも精一杯がんばってるんで、がんばってって言葉はかけないでくださいね」
「はい……ごめんなさいね」
笑顔でそう言う義姉さんに、頷くような頷かないような表情の輝明兄さん。
と、幸太郎の遠足の行き先が輝明兄さんの動物園だと言い出す義姉さん。
「うん……」と、そう言われても元気なさそうな幸太郎。
「レッサーパンダの赤ちゃんが2006年6月2日に生まれました」
そう言う輝明兄さんに、楽しみねぇ~!と大げさに幸太郎の肩を突く義姉さん。
黙々と食べる輝明兄さん。
そんな兄さんを見つめる幸太郎……って、
うちの食卓っていつもこんな感じなんだよねえ。
って言うか、真樹義姉さんが来るといつもこんな雰囲気。
今日はついつい口出ししちゃったけど、
考えたらわたし、小姑なんだ。
やだな~、この歳で……。

さて、遠足の当日。
輝明兄さんを見つけるとさっと隠れる幸太郎。
列になって歩いてるときはそれで済んだけど、
テンジクネズミとのふれあいコーナーではそうも行かず、
輝明兄さんに見つかってしまう幸太郎。
兄さんの甥が来てると知って、先週いい人になった三浦さん、
気を利かせてテンジクネズミの解説を兄さんにやらせてくれたんだけど……
緊張し、震え、頭を覆って立ち尽くしてしまう輝明兄さん。
訝しげな子供たち、
ひとり俯く幸太郎。
「失敗した……失敗した……」
後に園の事務室でそう呟き続ける輝明兄さん。
「大丈夫だよ」
そう都古さんが声をかけても、「失敗した……」
「大竹さん、失敗には敏感なんです。子供のころから失敗体験ばかりなので」
すると三浦さん、「そらそうだよな……あ、すいません」だって。
あーあ、ホントのいい人になれるのはまだまだ先か。
そんなやりとりは他所に兄さんは、
「失敗した……」

その後も機会を与えてもらうけど、
やっぱり何も喋れなくなってしまう輝明兄さん。
そんなある日、動物園にやってきたのは河原さん。
そう、都古さんの不倫のお相手。
「動物見たいなら他の動物園に行ってよ」
バッタリ会う早々、そう冷たく言う都古さん。
「やっぱり怒ってる……急に来たから?」
「それは嬉しかった」
「えっ?」
「嬉しかった自分にイラついてるの」
河原さんのことで喜んだり悲しんだりしてる自分にすごくイラつくという都古さん。
「もう……会うのやめよっか」
そう言いながら、目を逸らしてしまう都古さん。
これ、毎週書いてるけど、自分をしっかり持ってる都古さん、
男に依存しないで生きようとする都古さんってカッコいいな。
でもって、しかし裏腹に自分の弱さも自覚してるところがなんか、
深みがあって素敵なキャラクターだよね。
ああ、あたしもいつかこんな役やってみたいな。
きっとあたしのほうが巧く演じられると思うんだけどな。
だいたい何よ、この香里奈ってふざけた芸名。
名字はないの、名字は!?
「こんなところで油売ってちゃいけないよ」
と、そんなところへ現れる輝明兄さん。
「いいんです、今は石油不足だから」
と返事したかどうかは定かではないけど、とにかく都古さん、
「じゃあね、テル」
とはっきり兄さんを追い払って、河原さんと話をしようとベンチに腰かけたのに、
そんな2人の間に割って入って座る兄さん。
「また失敗した」
やがて河原さんが帰ると、そう呟く兄さん。
「テンジクネズミの解説?」
そう訊く都古さん……って、
そうじゃないんだよね~。
いつもは輝明兄さんのことをよ~く理解してくれてる都古さんだけど、
今日はあたしのほうがもっともっとよぉ~く理解してるんだから。
ま、それは後で出てくるんだけど、
そんなこんなでその夜は都古さんの部屋でご馳走になる兄さん。
といっても2人きりというわけではなく……
「3秒以上僕のことを見ないでください」
初めて会う輝明兄さんのことをつい凝視してしまうのはMEGUMI。
「じっと見られると緊張するの」
都古さんからもそう言われて、恐縮してしまうMEGUMI、
すると今度は輝明兄さんの視線に気付き……
「大きい」
胸をじっと見てそう言う兄さん。
思わずMEGUMI、「サンキュー」
兄さんも「サンキュー」と、新曲を今度は英語で宣伝。
「僕も3秒以上見ませんから」とか言っちゃって。
それでまたMEGUMIが凝視すると、
「1秒……2秒……」
とかカウントしたりして、
いや、兄さんのことはよ~く理解してるけど、
それでもここは笑っていいとこだよね。
まあとにかく、MEGUMIの役割はデカイ胸だったってことで。

「幸太郎、お兄ちゃんのことでやな思いしたこと、まだ気にしてんのかな」
そんなわけで兄さんが名字のない2人と食事してるので、
今日はわたしはお母さんと2人で差し向かいで夕食。
「気にしてんじゃない」
そう応えるお母さん。
わたしは少し考えながら、さやえんどうポリポリ。


「幸太郎、勉強何が得意?」
後日、近所の小さな見晴らしのいい公園で訊いてみたんだ。
「算数です。この前は100点取れなかったけど……」
そう、96点も取ってクラスで一番になったのに、
義姉さんは怒って、約束してたゲームも買ってあげなかったんだ。
さっすが教育ママ。
あ、でもね、わたしが中学生のとき、
珍しく数学のテストで90点も取ったんだ。
ものすごく嬉しくってさあ、大喜びしてたら、
クラスのほかの女の子がシクシク泣いてるんだ。
どうしたのかと思ったら、95点しか取れなくて悔しくて泣いてるんだって。
そんな、90点で喜んでる俺の立場はどないやねん……って、
あ、これはわたしの体験じゃなくて、別の人格の体験なんだけど。
で、話を戻して……
「暗記は得意?」
「まあまあです」
「これ暗記できる?」
そう言ってわたしが取り出したのは、
じゃーん、ツール・ド・フランス歴代優勝者のリスト。
苦手なコンピュータをかちゃかちゃしてプリントアウトしたんだ。
紙をめくってしげしげと眺める幸太郎、
「無理に決まってます」
「輝明おじちゃん全部暗記してるよ」
一瞬目を見開く幸太郎
「すごいでしょ」
「冗談はやめてください」
「冗談じゃないよ」
と、クラクションが。
振り向くとそこには荷物持ち……じゃなかった、
前のバイト先で一緒だった彼。

手を振り返すわたし。
今もまだ付き合ってるんだ。
でも今度のバイト先のファミレスに、
「馬の仕事を諦めないからな……」とかブツブツ言いながら皿洗いしてる男の人がいて、
この人がちょっと素敵なんだなー。
「試してみたら? 今日輝明おじさん仕事休みだから」
ま、そんなことはさておき、幸太郎にそう言うわたし……あっ、
いま気付いたけど、「幸太郎」って、
「幸せな太郎」ってことだ……!
これってひょっとして、橋部さんのイタズラ……?
「それ覚えるの、東大入るより難しいかもよ」
で、わたしがそう言うと、こちらをじっと見る幸太郎。
「じゃあね」
そう言い残して彼のもとへ駆けていくわたし。

さて、帰宅した幸太郎は早速試してみようとしたんだ。
お母さんに頼まれて夕食のシチューの食材をいつものように切っている輝明兄さん。
そこへやってきた幸太郎、しかしなかなか話しかけるタイミングがつかめず……
と、そこへ電話が。
「お母さんいらっしゃいますか」
この「いる」がチグハグな会話になってしまうんだけど、
まあこれって別に兄さんじゃなくてもよくあることなんだけどね。
でもなかなかスムーズにやりとりできず、
挙句の果てに「お父さんは2003年に死にました」
とまで応えてしまう兄さん。
「やっぱり覚えてるわけないか」
そんな兄さんの姿に思わずそう呟いてしまう幸太郎、
仕方なく料理してるんですか?と訊いてみると、
食材を切ってるだけ、と兄さん。
「ガスレンジはひとりで使っちゃいけません。約束だから。約束は守らないといけません」
約束……その言葉にピクリと反応してしまう幸太郎、
お母さんが約束を破ってゲームを買ってくれなかったこと、
動物園での一件の後、塾をサボってゲームセンターに行ってしまい、
お小遣いを使い果たしてしまったことなどが頭の中をよぎったんだろうか……
そして兄さんに頼んで、5000円をもらう幸太郎。
「ありがとう」と、今度は甥に新曲の宣伝をしてもらう兄さん。
「どういたしまして」
そしてこのことを誰にも言わないと約束させられる兄さん、
「おこづかい帳」を取り出し、記入する残高は248円……

「野菜切ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
その後、お母さんにまで新曲の宣伝をしてもらう兄さん、
と、そこまではよかったけど、
残高248円では動物園の従業員食堂で520円のチキンカレーが食べられず……
これって、トッピングの鳥の唐揚げの代金は入ってるのかなあ?
500円がポークカレー代で、唐揚げが20円だったりして。
いや、それはさておき、
お金がないので三浦さんに立て替えてもらい、
それが都古さんの知るところとなり……
「カレーはやっぱりチキンカレー」そう応えるしかない兄さん。

そんなわけで都古さんが我が家に来て、
ついでに夕食も食べていくことに。
この日のメニューはおでん。
……しかし、わたしの出番って食事シーン多いなあ。
ま、美味しい物がいっぱい食べられていい仕事だけどね。
でもお箸持ってるところとか、もしイラストに描こうと思ったら大変だよね。
めんどくさいだろうなあ。
ま、いちいちそんなの描くような暇人のことはあたし知らないけど。
でね、ここでそのお金の問題が秀治兄さんの知るところとなって、
輝明兄さんに小遣い帳を持ってこさせる秀治兄さん。
「お兄ちゃん、ホントお父さんに似てきたね」
「似てないよ。全然似てない」わたしのボヤキに即答する秀治兄さん。
「そういうとこが似てるんだってば」
するとじろりと睨んで、わたしのことを箸で指して、
「ちゃんとお前、大学行ってんのか」
「うん」
「ファミレスだっけ?夜のバイト辞めたほうがいいんじゃないか?」
「うん」
「それにさ、前に連れてきた男、なんだよ、どういう関係なんだ?」
「うん」
「聞いてんのか?」
「ううん!」
「お前なあ!」

おお、我ながらなんてテンポのいいやりとり!
ま、こういうのは去年、さんざん鍛えられたんだけどね。
ああ、懐かしいなあ、太郎さん……あ、いやいや、
とにかく、そんな会話に思わず笑う都古さん、
「なんかいいなあって、家族って感じがして」
そう言う彼女に、ちょっとためらいながらお母さん、
「都古ちゃん、ご両親とは連絡とってるの?」
でも少し寂しげな笑みを見せるだけの都古さん……
あ、この辺も今後の伏線になるんだ。
なるほどなるほど、いろいろ陰のあるキャラクターなんだなー。
ますます演じてみたくなったなー……って、
そんなことを考えてる間に輝明兄さんが小遣い帳を持って降りてきて、
それを見て輝明兄さんを問いつめる秀治兄さん。
「約束は守らなければなりません」
そう応えるだけで、誰に貸したかを頑なに言わない輝明兄さん。
「本当のこと言ったほうがいいんじゃないか」そう秀治兄さんに言われても、
「ウソをついてはいけません」
俯く幸太郎……
それに気付くわたし……
約束……ウソ……
板挟みになる輝明兄さん……
「1903年モーリス=ガラン1904年アンリ=コルネ1905年ルイ=トゥルスリエ……」
それでも問いつめる秀治兄さん、
それをやめさせようとするお母さん、
「1906年ルネ=ポチエ1907年ルシアン=プチプルトン1908年ルシアン=プチプルトン……」
2階へ行く輝明兄さん。
それをじっと見つめる幸太郎。

「ねえ、あたし幸太郎にお金あげたんだと思う」
ソファーに腰掛けてこづかい帳を眺めるお母さんに、
お茶を持っていって、そう言うわたし。
「どうしてそう思うの?」
「なんとなく。でも多分そう」
「お金をあげたっていうこの日、幸太郎ここに来てたらしいのよね」
「ほら、やっぱり幸太郎だよ」
ため息をつくお母さん。

……え? 小遣い帳がなければいいのに、って?
うん、兄さんがあれをキチンとつけてたから問題が大きくなったのかもね。
え? そうじゃなくて、小遣い帳がジャマだって?

……何がジャマなのかわたしにはよくわからないけど、
その後もまだテンジクネズミの説明ができない輝明兄さん。
お母さんは例の精神科医に、「子供たちの前に立つと緊張するみたいで……」
すると、他にも原因があるならそれにも対応しないと……と精神科医。
そう言う彼の元相方は、子供のような歳の女の子の前で立てて……って、もういいか。

「話ってなんですか?」
「輝明おじちゃんがあげた5000円の話」
またあの公園でそう言うと、一瞬背筋の伸びる幸太郎。
「その5000円をもらった人、何に使ったと思う?」
「……さあ」
「幸太郎、知ってると思ったんだけどなー」
こちらを見る幸太郎。
彼を笑顔で見つめて、しかし低い声で「何に使ったの」
目を伏せる幸太郎。
「こーたろっ」
「約束、破ったんだ。輝明おじちゃん、喋ったんだ」
「輝明おじちゃんは、幸太郎のことひと言も喋ってないよ」
息をのむ気配の幸太郎
「わたしのときもそうだった。わたしも輝明おじちゃんからお金もらったことあったから」
こちらを見る幸太郎。
「誰だってウソをついたり約束を破ったことくらいあるもんでしょ?」

「でもね、輝明おじちゃんは違うの」
じっと見つめる幸太郎。
「幸太郎との約束も、ウソをついちゃいけないっていう教えも、両方守ろうとしたの」
見つめ続ける幸太郎。
「それって……幸太郎にできる?」
俯いて考え込む幸太郎。

「ゲームセンターで使ったんだって」
「ええっ?」
食卓にあったおかきをつまみ、ポリポリやりながら
「あ、このこと真樹さんに言わないって幸太郎と約束したから」
「親に黙ってゲームセンターだなんて話しといたほうがいいんじゃないの?」
「もう幸太郎しないって言ってるんだから、信じてあげようよ」
「でも……」
「真紀さんがああいう人だから、ストレス溜まってゲームセンター行ったんじゃない?」
納得したようなしないようなお母さん。

……え? なになに?
わたしが昔、輝明兄さんからもらったお金は何に使ったんやって?
それは……えーっと……えーっと……

それはともかく、今度は夕食の豚の生姜焼きに添えるキャベツの千切りを刻む輝明兄さん。
うん、やっぱり豚の生姜焼きにはポテトサラダよりも千切りキャベツ……って、
これって橋部さんの好物なのかなあ?
と、そこへ幸太郎が降りてきて、
そこへまたあの電話が……
またあのやりとりが繰り返されて、
どうしていいのか、困惑した様子の兄さん……
「貸して」と手を差し出したのは、幸太郎。
「セールスはお断りです」
そうきっぱりと言って電話を切った幸太郎に、
「ありがとう」と最後に自分で新曲の宣伝をする輝明兄さん。
「ありがとう、約束守ってくれて」
で、駄目押しで幸太郎にももう一度新曲の宣伝してもらって……って、
しかし今週は「約束」がキーワードだったけど、
そう言えば昔、そんなタイトルの曲を歌ってた人に、
うちの家族エライ目に合わされたんだよね……あ、これは別の家族の話か。
とにかく、そう言って2階へ行こうとする幸太郎に、
「僕のこと怒ってる?」
「ん?」
「動物園のこと、怒ってる?」
「怒ってないよ」
満面の笑顔で応える幸太郎。

こうして晴れて他の原因も解決し、
ある日、子供たちの前でテンジクネズミの説明ができるようになった輝明兄さん。
そんな兄さんを見守る三浦さん、都古さん、
そして呼ばれたわけでもないのに偶然通りかかったらしい園長、小日向さん
流暢に語り続ける兄さん……

というわけで、先週の三浦さんに続いて、
今週は幸太郎が輝明兄さんのよき理解者になりましたとさの巻。
これから毎週このパターンで展開していくのかなあ。
もしそうだとしたら、それはちょっと単調すぎるけど……
って言うか、今週のわたし、
なんか突然、兄さんのとてもよき理解者になってるじゃん。
先週まではお母さんの関心が兄さんにばかり向いてることに、
ものすごく寂しげなところを見せてたのに、
今週はそのカケラもなかったじゃん。
わたしのキャラクターが一定しないと、いろいろ困るんだよね、
例えばこれを書いてる人とか……って、
え? いやいや。
ま、その辺は橋部さんのことだから心配してないけどね。
でも兄さん、よかったね!
子供たちに3秒以上見つめられても大丈夫だったね!
これで今度は、MEGUMIのオッパイを3秒以上見つめられるね……!
コメント (4)
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ちくってんじくじゃねずみよ

2006-10-18 03:15:57 | りなの語る筋
「ねえ。話があるんだけど……」
「食欲ないの?」
わたしが話しかけるのを遮って、輝明兄さんのほうに話しかけるお母さん。
仕方ないからわたしも、
「仕事で嫌なことでもあった?」
「あった」
「あったんだ」
「ちくってんじゃねーよ」
「は?」
「ごちそうさまでした」
なんか訳がわからない会話だけど、
食器を持って立ち上がりかけた輝明兄さんを座らせ、諭すお母さん。
誰だって嫌なことや辛いことはある、
それでもみんな生きていくために働く、
輝明も同じ。
今までは辛いことがあるたびに仕事辞めてきたけど
今度は辞めないで続けよ、ね……
「はい」
と、そのやりとりの間に食卓に現れた秀治兄さんに、
「お兄ちゃんこんばんは」
「こんばんは」
挨拶を交わして、食器を洗いに行く輝明兄さん。
「話ってなんだった?」
ここでやっと、わたしのほうに向いてくれたお母さんだったけど、
「ううん、大したことじゃないし、お兄ちゃん来たし」
なげやり気味にそう言うと、わたしのほうをチラッと見る秀治兄さん。
「なんか言いたそうだね?」
俺がいたんじゃおふくろに話できないのかよ……とでも言うのかと思ったら、
「輝明、辛そうなの?」だって。
秀治兄さんもやっぱ、輝明兄さんにいちばん関心があるみたい。
でもお母さんは、いまの動物園での仕事をなんとしてでも続けさせるつもり……
「それが輝明のためになるから」

でもね、わたしも輝明兄さんのことはやっぱり心配だよ。
だって先週のラスト、
都古さんとあんなことがあって、
ツール・ド・フランスの歴代優勝者の名前を呟き続けて、
その後の今週分の予告では、なんか病院のベッドに寝かされてたでしょ。
だからあれがショックで輝明兄さんが倒れてしまうのかって、
この1週間、ずーっと心配してたんだよ。
心配で心配で夜も眠れなくって、
その分、昼間の授業中にウトウトしてしまって、
数学の片岡先生にジロッて睨まれちゃったんだから……
あ、わたしはもう高校は卒業して、いまは女子大生なんだっけ。
でもとにかく心配だったんだけど、今週の幕開けが、
動物園の門の前でひとり、じっと佇む都古さん。
早朝から心配そうな都古さん。
と、そこへ何事もなかったかのように自転車で現れる輝明兄さん。
丁寧に謝る都古さん。
「おはよう」と輝明兄さん。
「本当にごめんなさい」頭を下げる都古さん。
しかし自転車のベルを鳴らして、
「行こう、都古ちゃん」
……中に入る2人。
やっぱり都古さんは輝明兄さんのいちばんの理解者だったんだ。
不倫の彼とのこととかいろいろあって、つい感情を爆発させてしまったけど、
でもこうやってすぐに謝って、それで元通り……
いや、本当にこれで元通りなんだろうか?
「都古ちゃんは絶対に僕を怒りません、都古ちゃんは絶対に僕に嫌なことを言いません」
先週はこう言ってた輝明兄さん。
多少の障害はあっても、輝明兄さんにはちゃんと理解力はあるんだからさ、
だから先週のあの言葉は、もう輝明兄さんの口からは出てくることはなくなった。
そのことを兄さんはどう思ってるんだろう、
どう感じてるんだろう……

さて、そんな都古さんは今日も自室にMEGUMIを招いて、なにやらお喋り。
しかしこのMEGUMIの役割ってなんなんだろうね?
都古さんの内面を引き出してやる、そんな役割なのかな?
でも部屋に都古さんの彼が急に来ると、
気を利かしての帰り際、目ざとく指輪を見つけたりなんかして……
案外、この後いろいろ絡んでくるのかなあ?
まあとにかく、彼女が去った後、
しかし都古さんは彼を部屋には入れないんだ。
帰って、
来るなら連絡してから来て、
あなたが好きなときに来て好きなときに帰れる部屋じゃないの……
先週も言ったかもしれないけど、
都古さんのこういう毅然としたところ、好きだなあ。
しっかりした自分を持ってるって言うのかなあ、
男との関係に、キチンと一線を画してるところがさ、なんか素敵じゃん。
都古さん、カッコいいよ。
そんな彼女に従い、帰る彼。
でも、閉まったドアに駆け寄る都古さん……
と、電話が。
「今から行ってもいい?」
うん、と都古さんが答えると、すぐに鳴るチャイム。
ドアを開け、満面の笑みを浮かべる都古さん……って、
あんた、結局そうなんかいな!
もう、誉めたらすぐにこれだから。


それでね、ある夜わたしがリビングのテレビでお笑い番組見てたんだ。
何の番組かって?
さあ、わたしにもよくわかんないけど、
「笑っていいとも!秋の祭典スペシャル」じゃないことは確かかな。
でもさ、あの番組、このドラマのPRのためにわたしも出たんだけどさ、
その中でのわたしの出演時間の合計が、
このドラマ全話の中のわたしの出番を合計したのより多くなるんじゃないかなあ……
それってちょっと、あれだよね。
今度、橋部さんにお願いしとこうかなあ。
いや、それはともかく、
その番組がもう可笑しくってさ、ケラケラ大笑いしてたら、
「りな」
いつの間にか輝明兄さんが来てたんだ。
「ん? 何?」
「ちくってんじゃねーよってどういう意味?」
「……へ?」

そのときはまったく意味がわかんなかったんだけどね、
実はこの言葉が輝明兄さんを悩ませてたんだよね。
動物園で輝明兄さんに仕事を教えてくれる三浦さんって人がいるんだけどね、
その人から言われたんだ。
テンジクネズミの世話をすると、また前みたいに逃がしてしまうかもしれないけど、
その中でジンジンっていう名前のネズミは、いつも隅っこでおとなしくしてて、
これなら大丈夫だろうって、
餌を食べさせてやる仕事とかを任されたんだ。
「大竹さんの担当はジンジンです」
三浦さんにそう言われた輝明兄さん、
ジンジンをそっと抱きしめ、正面をじっと見据え、
そして復唱したんだ、
「大竹さんの担当はジンジンです」

でもその後、お客さんとちょっとしたトラブルがあってね、
なんかちぐはぐな会話をしちゃったんで、
兄さんは三浦さんから、
「大竹さんはお客さんと話さないようにしてください」
って言われたんだ。
でもそれを言葉通りに受けた兄さんは、
またお客さんとの間にトラブルを起こしちゃって、
それで園長さんから訊かれて、
三浦さんに言われたことを話しちゃったんだ。
その後、園内を三浦さんと2人で、
まるで「レインマン」みたいに歩いてるときに言われたんだ。
「ちくってんじゃねーよ」って……

そんなことがあっても、朝が来ると、
鳴り出した目覚まし時計を即座に止める輝明兄さん。
仰向けに寝たまま、腕をひょいと伸ばして止める仕草、
わたしも昔、朝早くに厩舎でバイトしてたとき、あんなだったなあ。
さっすが、兄妹だね。
でも実は兄さん、寝覚めがよかったんじゃなかったんだよね……
まあ、そのことは後でわかるんだけど、
朝ご飯も残して仕事に行く輝明兄さん。
お母さん、もっとちゃんと兄さんの様子に注意してあげてよ……
その後わたしが降りてくると、
「おはよう」って声をかけてくれたけどね。
「おはよう……お母さん、バイト変えたから」
「え?」
「今日から週3、4回、夜ファミレスでバイトすることになったから」
「夜……?」
「うん、相談してから決めるつもりだったんだけど……」
「話ってそのことだったの」
「うん」
「夜って遅くまでなの?」
「9時まで」
「そう」
「心配しないで」
「ええ、りなのことは全然心配してないから」
そう言って、さっさと出て行くお母さん。
「うん……」と、
そう言ったときのわたしの、
笑みを浮かべながらも寂しげな表情。
みんな、見てくれた?
へっへー、いい演技でしょ?
これがホントの役者魂!ってヤツよ。


で、お母さんが出かけたのは、
輝明兄さんのかかりつけの精神科医のところ。
兄さんは感情と表情が一致しないことがある、
普通に見えて想像以上のストレスを受けてることがある、
気をつけて……そうアドバイスしてくれるお医者さん。
そう言うあんたの元相方も普通に見えて想像以上の……
いや、これはもういいか。

さて、三浦さんはふれあいコーナーでのテンジクネズミの説明の仕事を任されることになって、
必死で猛勉強中。
するとその傍らで、ジンジンを抱きしめてる輝明兄さんが、
いつも耳にしていたその説明のセリフをすらすらと言ったんだ。
これには驚いた三浦さん。
でもそのときは軽く考えて、その場から立ち去ろうとして……
すると突然、ああ、やっぱり予告通りに倒れる輝明兄さん。

大したことはなかったんだけど、
仕事のことや人間関係なんかでストレスがたまってしまって、
ほとんど睡眠も取れなくって、それで倒れたらしいけど……
都古さんからストレスという言葉を聞いて、表情を曇らせる三浦さん。


「ただいまー」
バイトから帰ると、すぐに冷蔵庫に向かうわたし。
身体動かした後はオレンジジュースに限るんだ。
アイスキャンディもいいけどね。
しかし食卓ではお母さんと秀治兄さんが真剣に話し合ってるの。
輝明兄さんがあんなことになって、やっぱり仕事は無理だと言う秀治兄さんに、
「輝明のことが恥ずかしいのよ」とお母さん。
「思ってないよ」と反論すると、
「そういうとこお父さんにソックリ」だって。
……え? お父さんはお母さんと離婚したのか、それとも死別したのかって?
それは……それは当然、わたしは娘だから知ってるんだけどさ、
でも今は言えない。
そんなことよりもお母さんと兄さんの会話、
「何よりも輝明自身が苦しんでる、おふくろのやり方には」
教育ママの義姉にしごかれてる幸太郎の姿がダブってしまう秀治兄さん、
彼にそう言われて、さすがのお母さんも……


その夜、ベッドで眠る輝明兄さんを、
傍らでじっと見守るお母さん。
その様子をドアの陰からそっと見つめるわたし……
ああ、なんだか、
わたしと亜沙子お母さんが話し合ってるのを、
向こうの部屋で目をパッチリ明けて聞いてた檀の気持ちがわかるなあ。
わたしも家出して高崎のお父さんのところへ行こうかなあ……

で、翌朝。
お母さんがハッと目を覚ますと、ベッドはもぬけの殻。
動物園では、輝明兄さんが2、3日休むと聞いて、
心配そうな三浦さん。
と、そこへ現れる輝明兄さん。
「もう大丈夫なの?」
都古さんに訊かれて、なぜかトイレへ。
三浦さんも後を追いかけ、
少し離れた便器で連れション……あらやだ、失礼。
「あの……」
何とか兄さんに話し掛けたいけど、
何をどう言ったらいいのかわからない三浦さん、
「……いつも黄色の服着てますよね」
「はい」と兄さん。
三浦さんったら、もっとマシなことを言えろー。
いや、ひょっとしてこの黄色が何か後の伏線になってるのかな……?

その後、朝礼時に突然現れるお母さん。
兄さんに仕事を辞めさせようとするお母さん、
「ここで仕事したい?」と都古さん、
両側から迫られて、
まるで古典的な天使と悪魔の囁きに挟まれたかのような輝明兄さん、
どうするのかと思ったら……
その場から去る兄さん。
後を追う都古さん、お母さん、三浦さん、園長さんと、小日向文世……
ゴメンナサイ、小日向さんだけまだ役名覚えてないんだ。
秋の祭典スペシャルのときはずっと隣にいたんだけどなー。
いや、そんなことはともかく、兄さんの向かった先は……
ジンジンを優しく抱く兄さん。
「大竹さんの担当はジンジンです」

このジンジンってネズミは他のと比べてちょっと動きがスローみたいで、
ジンジンのそんなところに兄さんは自分を重ね合わせてるのかなあ。
そんな兄さんの姿、
そんな兄さんを見守るみんなの姿に、
なんか、ジ~ンときちゃったなあ。
とってもジ~ンときちゃった。
ジンジンだけに、いつもより余計にジ~ンジ~ンときちゃった……って、
いや、マジでわたし泣けちゃった。

「輝明はここで仕事を続けたがってる……それでいいのかな?」
兄さんの気持ちに気づいてやれなくって、少し落ち込んでるお母さん。
そんなお母さんをしっかりと見つめ、自信を持って答える都古さん。
「はい、私もそう思います」

……しかし、園長さんは会社の利益を考えなければならない立場と言い訳して、
兄さんを正式採用は出来ないけど、
遊びに来てジンジンの世話してくれても構わない……だって。
それってさあ、ていのいいタダ働きじゃん。
そんなことさせたらさあ、静岡からおばあちゃんが怒鳴り込んでくるよ。
だって、わたしが駒乃館で……いや、それはともかく、
そんな場に現れて、
「さよなら」と挨拶して帰ろうとする兄さん。
そこへ三浦さんがたまらずに、
兄さんがテンジクネズミの説明のセリフを暗記してることを言うと……
「ちくってんじゃねーよ」

今日は、兄さんとお客さんとのトラブルでの会話とか、
兄さんにとのやりとりに三浦さんが「疲れるなー」とこぼすと、
「そこの椅子で休憩してもいいですよ」ってかえされたりとか、
輝明兄さんの受け答えをユーモラスに描く場面が多かったけど、
これって、その部分だけを取り出してみれば、
なんか、病気をもった人を笑いものにしてるようにも見えかねないけど、
でもそうじゃないんだよね。
それは輝明兄さんという人の個性を示す描写であり、
多少は、視聴者の興味を惹きつける面白みでもあり、
そして……最後にはこうやって、笑いのなかの感動につながる。
巧いなあ、橋部さん。

というわけで、めでたく正式採用されることになった輝明兄さん。
障害者を雇うことがイメージアップになれば……とかなんとか、
園長さんと小日向さんは言ってるけど、
あれ? 障害者の雇用は各事業者に義務付けられてるんじゃなかったっけ?
この動物園は規模が小さくて対象外なのかなあ?
まあそれはともかく、晴れやかに歩く兄さんと都古さん。
大木のところで別れる2人の姿が夕陽に浮かび……

なんか、事前のPRで、
このドラマは輝明兄さんによって周囲のみんなが変わっていく姿を描く、
みたいなことを言ってたけど、
今日はお母さんが輝明兄さんの本当の気持ちに気付けたし、
そして何よりも、あんなに冷たかった三浦さんが、ねえ。
兄さんがテンジクネズミのことを暗記してるってみんなに言う辺り、
思わずグッと来たよね。
こいつ、やるなー!って。
三浦、やるなー!……三浦やるな……三浦春馬……
あ、彼のことはもういいか。
とにかく、こうやって今後、小日向さんとかも変わっていくんだろうな。
そしてわたしも変わるのかな。
来週はなんか、幸太郎の悩みを聞いてやる場面があるみたいだけど、
わたしたち家族も変わっていくのかな……
でも、都古さん。
都古さんは、どう変わるんだろ?
彼女は輝明兄さんの、本当によき理解者だけど、
それは兄さんによって変わったから、そうなったのかな。
ひょっとして兄さんと出会ったことがきっかけで獣医になったのかな。
だとしたらそんな都古さんは、もうこれ以上変わらないのかな。
それとも、変わるんだろうか……
どう変わるんだろ……
それが今後の展開の、大きな核になるのかな……
まあ先のことはわからないけど、
とにかく来週は1000円とか5000円とか、お金の話が出てくるみたいだね。
輝明兄さん、お金はちゃんと茶筒に入れておいたほうがいいよ……。
コメント (4)
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