というわけで「新聞記者」を見てきたんですけども、
空いてるやろうと思ってたらこれが結構お客さんが入ってて驚きましたよ。
7月1日のサービスデイとは言え、平日の朝っぱらから、
さほど話題になってたとも思えないこういう作品の入りがいいってのは喜ばしいことなのかもしれんけど、
しかし文句を言いたいのはその年齢層の高さ、
ジジイがチラホラと、圧倒的多数のババアども、
あんたら今日でなくても毎日シニア料金で安く見られるやろに、なんでわざわざ今日来るねんなホンマにもう、
というわけで見ず知らずのババアを隣に見た「新聞記者」、
原作は東京新聞の現役記者の望月衣塑子さんの同名著書で、
この望月さんは菅官房長官の定例会見でのバトルで名を馳せたお方で、
僕も何度か見たことあるけど、その度に菅のジジイの木で鼻を括ったような対応に怒りを覚えつつ、
それと同時にホンマに木で鼻を括ったら痛いやろなあと想像したり、
それ以前に木で鼻を括るのはむっちゃ難しいやろなあと気づいたり、
そんなこんなで彼女へのエールがてら見てみようと思ったんですけども、
しかし劇中では、そういった会見の再現はおろか、
政治家は一切姿を見せないというお話に仕立て上げられていて、
登場するのは、このタイトルでこれが出て来なきゃ詐欺になってしまう新聞記者と、
そして官僚たち……とくに内閣情報調査室の面々。
大学新設をめぐる疑惑を追う新聞記者と、
それに対処する内閣情報調査室の官僚、
本来は敵対する2人がやがて共闘して権力の横暴に立ち向かうという、
とっても面白い映画でした。
ミステリアスでスリリングでサスペンスフルで、本当によく出来た映画でした。
しかし捻くれ者の僕としては、傑作だからこそあえて欠点を指摘したいというか、
僕と政治的立ち位置が同じだからこそあえて苦言を呈したい、
まずはあの内閣情報調査室、略して内調の描写はなんじゃらほい、
薄暗い室内で大勢が無表情で一心不乱にPCに向かってカタカタカタカタ、
もっと明るくせな目ぇ悪るするで……って、それはさておき、
現実の内調がどんなもんかは取材できなかったんやろけど、
だからってあない不気味にせんでもええやろって感じで、
オマケにその内調の、トップなのか中間管理職なのか具体的な役職は明示されてなかったと思うけど、
リーダー的な役が田中哲司ですわ、
これがグリコ森永事件のキツネ目の男そっくりの風貌で、
ただでさえ僕から仲間由紀恵を奪った極悪人なのに、よりイメージを悪くする役作り、
こういった描写はまるで某党が配布した、野党を揶揄した品のないパンフレットといい勝負……とまでは言わんけど、
それこそ誰かさんがアホのひとつ覚えで言いまくってる印象操作との批判も受けかねないもので、
ここはねえ、もし僕が監督ならもっとカジュアルな組織として描きますかねえ。
どこぞのIT企業かと思うような明るいオフィスで、
うちは開かれた組織ですよ、やましいところはないですよ……みたいなアピールをしておいて、
その裏ではとても卑劣なことを行ってるという、
よく言われる、恐ろしい人は優しい顔をしてやって来る……やったかな?
そんな風に描きますかねえ。
それともうひとつ……と、
ここから先はネタバレになりますので、
未見の方とは残念ながらここでお別れ、
どこかよそのサイトへ移動してくださいませ。
もう大丈夫ですね?
じゃあ結末をバラしてしまいますけど、
物語の発端となる大学新設、
獣医学部の新設に首相の関与があったのではとの疑惑、
しかしその真の目的は実戦に備えた生物兵器の研究開発だった!……って、
そこまで飛躍させるのはどうかと思ったんですよねえ。
だってその新設問題や、それをめぐっての官僚の自殺、
さらには首相と親しいジャーナリストによる性的暴行事件のもみ消しとか、
もうあからさまな問題があれこれ提示されてて、そこには確固たるメッセージが込められてるけど、
それをフィクションとして発展させすぎてしまったがために、かえって訴求力が弱まってしまったのではないかと、
もしそうなってしまったならそれはあまりにももったいなさすぎるのではないかなあと、
そう思えてしまうんですよねえ。
それに加えてラストでは、政権に都合の悪いジャーナリストはその命まで奪ってしまうことを匂わせる描写で幕を閉じて、
そこまでやるんなら、現実の疑惑を盛り込むのは一切やめて、
完全なフィクションにしたほうがよかったんやないかなあって、
なんぼなんでも現政権はそこまで極悪非道ではないやろに……と、
そう思う僕はお人よしすぎるんでしょうか。
でもそのラストをはじめ、ヒロイン役のシム・ウンギョンの表情がとにかくよかったんですよねえ。
最初は首を捻らされたりもしたんですよ、
「吉岡エリカ」という日本人の役なのになんで韓国の女優を起用したんやろ?って。
実際、彼女の日本語は少々たどたどしいし。
後半になって、母親が韓国人で、アメリカ育ちという背景が語られてて、
それならあの喋りもあり得るかなあとは思うけどそれにしても、
これはひょっとして、
彼女の起用によってネット上での誹謗中傷を煽り、
現政権を支持する連中は差別主義者であるという印象操作を狙ったんやろかって、
そこまで勘ぐってしまったりなんかもしてたけど、
でも本当によかったですよ、彼女の表情。
どこか不安げな面持ちでやや猫背気味で、
しかし目力だけはグッと鋭い、
10歳の囲碁のプロの女の子の目力もすごいけど、
その2万倍くらい迫力のある目力で、
疑惑にとことん食らいつく意志の強さを体現してて見事でしたわ。
一方の、彼女に協力する官僚役の松坂桃李もよかったですよ。
出産間近の妻がいて……という設定は少々あざといし、
それにもし内調が本作で描かれてるような悪辣な組織なら、
彼みたいな躊躇いを見せるような者は真っ先に排除されてるやろにって思えたりもするけど、
不条理な使命に疑問を抱き、おずおずとながらとるべき行動へと踏み出していく、
そんな姿を好演してましたよ。
ひょっとして観客のババアどもの大半は彼がお目当てやったんやないかってぐらい好感が持てましたけど、
いやとにかく若者の政治離れなんてのが決まり文句のように用いられるいま、
いまこそ高齢者だけでなく幅広い層の人に見てもらいたい本作ですけども、
そんな本作の配給に携わってるのが「イオンエンターテイメント」なる企業。
全国でイオンシネマを展開してるのは知ってたけど、配給も行ってるんですね。
そんなわけで劇中、松坂桃李がイオンのPBのお茶を飲んだりしてたけど、
しかしイオンといえば某野党政治家のお兄さんがグループの代表でお父さんがもともとの創業者で……って、
そこまで勘ぐってしまう僕には新聞記者の素質があるんでしょうか、
それともただの下衆の勘ぐりってやつなんでしょうか。
空いてるやろうと思ってたらこれが結構お客さんが入ってて驚きましたよ。
7月1日のサービスデイとは言え、平日の朝っぱらから、
さほど話題になってたとも思えないこういう作品の入りがいいってのは喜ばしいことなのかもしれんけど、
しかし文句を言いたいのはその年齢層の高さ、
ジジイがチラホラと、圧倒的多数のババアども、
あんたら今日でなくても毎日シニア料金で安く見られるやろに、なんでわざわざ今日来るねんなホンマにもう、
というわけで見ず知らずのババアを隣に見た「新聞記者」、
原作は東京新聞の現役記者の望月衣塑子さんの同名著書で、
この望月さんは菅官房長官の定例会見でのバトルで名を馳せたお方で、
僕も何度か見たことあるけど、その度に菅のジジイの木で鼻を括ったような対応に怒りを覚えつつ、
それと同時にホンマに木で鼻を括ったら痛いやろなあと想像したり、
それ以前に木で鼻を括るのはむっちゃ難しいやろなあと気づいたり、
そんなこんなで彼女へのエールがてら見てみようと思ったんですけども、
しかし劇中では、そういった会見の再現はおろか、
政治家は一切姿を見せないというお話に仕立て上げられていて、
登場するのは、このタイトルでこれが出て来なきゃ詐欺になってしまう新聞記者と、
そして官僚たち……とくに内閣情報調査室の面々。
大学新設をめぐる疑惑を追う新聞記者と、
それに対処する内閣情報調査室の官僚、
本来は敵対する2人がやがて共闘して権力の横暴に立ち向かうという、
とっても面白い映画でした。
ミステリアスでスリリングでサスペンスフルで、本当によく出来た映画でした。
しかし捻くれ者の僕としては、傑作だからこそあえて欠点を指摘したいというか、
僕と政治的立ち位置が同じだからこそあえて苦言を呈したい、
まずはあの内閣情報調査室、略して内調の描写はなんじゃらほい、
薄暗い室内で大勢が無表情で一心不乱にPCに向かってカタカタカタカタ、
もっと明るくせな目ぇ悪るするで……って、それはさておき、
現実の内調がどんなもんかは取材できなかったんやろけど、
だからってあない不気味にせんでもええやろって感じで、
オマケにその内調の、トップなのか中間管理職なのか具体的な役職は明示されてなかったと思うけど、
リーダー的な役が田中哲司ですわ、
これがグリコ森永事件のキツネ目の男そっくりの風貌で、
ただでさえ僕から仲間由紀恵を奪った極悪人なのに、よりイメージを悪くする役作り、
こういった描写はまるで某党が配布した、野党を揶揄した品のないパンフレットといい勝負……とまでは言わんけど、
それこそ誰かさんがアホのひとつ覚えで言いまくってる印象操作との批判も受けかねないもので、
ここはねえ、もし僕が監督ならもっとカジュアルな組織として描きますかねえ。
どこぞのIT企業かと思うような明るいオフィスで、
うちは開かれた組織ですよ、やましいところはないですよ……みたいなアピールをしておいて、
その裏ではとても卑劣なことを行ってるという、
よく言われる、恐ろしい人は優しい顔をしてやって来る……やったかな?
そんな風に描きますかねえ。
それともうひとつ……と、
ここから先はネタバレになりますので、
未見の方とは残念ながらここでお別れ、
どこかよそのサイトへ移動してくださいませ。
もう大丈夫ですね?
じゃあ結末をバラしてしまいますけど、
物語の発端となる大学新設、
獣医学部の新設に首相の関与があったのではとの疑惑、
しかしその真の目的は実戦に備えた生物兵器の研究開発だった!……って、
そこまで飛躍させるのはどうかと思ったんですよねえ。
だってその新設問題や、それをめぐっての官僚の自殺、
さらには首相と親しいジャーナリストによる性的暴行事件のもみ消しとか、
もうあからさまな問題があれこれ提示されてて、そこには確固たるメッセージが込められてるけど、
それをフィクションとして発展させすぎてしまったがために、かえって訴求力が弱まってしまったのではないかと、
もしそうなってしまったならそれはあまりにももったいなさすぎるのではないかなあと、
そう思えてしまうんですよねえ。
それに加えてラストでは、政権に都合の悪いジャーナリストはその命まで奪ってしまうことを匂わせる描写で幕を閉じて、
そこまでやるんなら、現実の疑惑を盛り込むのは一切やめて、
完全なフィクションにしたほうがよかったんやないかなあって、
なんぼなんでも現政権はそこまで極悪非道ではないやろに……と、
そう思う僕はお人よしすぎるんでしょうか。
でもそのラストをはじめ、ヒロイン役のシム・ウンギョンの表情がとにかくよかったんですよねえ。
最初は首を捻らされたりもしたんですよ、
「吉岡エリカ」という日本人の役なのになんで韓国の女優を起用したんやろ?って。
実際、彼女の日本語は少々たどたどしいし。
後半になって、母親が韓国人で、アメリカ育ちという背景が語られてて、
それならあの喋りもあり得るかなあとは思うけどそれにしても、
これはひょっとして、
彼女の起用によってネット上での誹謗中傷を煽り、
現政権を支持する連中は差別主義者であるという印象操作を狙ったんやろかって、
そこまで勘ぐってしまったりなんかもしてたけど、
でも本当によかったですよ、彼女の表情。
どこか不安げな面持ちでやや猫背気味で、
しかし目力だけはグッと鋭い、
10歳の囲碁のプロの女の子の目力もすごいけど、
その2万倍くらい迫力のある目力で、
疑惑にとことん食らいつく意志の強さを体現してて見事でしたわ。
一方の、彼女に協力する官僚役の松坂桃李もよかったですよ。
出産間近の妻がいて……という設定は少々あざといし、
それにもし内調が本作で描かれてるような悪辣な組織なら、
彼みたいな躊躇いを見せるような者は真っ先に排除されてるやろにって思えたりもするけど、
不条理な使命に疑問を抱き、おずおずとながらとるべき行動へと踏み出していく、
そんな姿を好演してましたよ。
ひょっとして観客のババアどもの大半は彼がお目当てやったんやないかってぐらい好感が持てましたけど、
いやとにかく若者の政治離れなんてのが決まり文句のように用いられるいま、
いまこそ高齢者だけでなく幅広い層の人に見てもらいたい本作ですけども、
そんな本作の配給に携わってるのが「イオンエンターテイメント」なる企業。
全国でイオンシネマを展開してるのは知ってたけど、配給も行ってるんですね。
そんなわけで劇中、松坂桃李がイオンのPBのお茶を飲んだりしてたけど、
しかしイオンといえば某野党政治家のお兄さんがグループの代表でお父さんがもともとの創業者で……って、
そこまで勘ぐってしまう僕には新聞記者の素質があるんでしょうか、
それともただの下衆の勘ぐりってやつなんでしょうか。