実は僕はオランダという国にかなり興味があるんですよねえ、子供のころから。
まず最初は切手。
中学ぐらいまで切手を集めてたんですけど、
オランダの切手って、とにかくデザインがユニークなんですよ。
これは印刷ミスかいな?って思わされるような大胆なデザインのものがあったりして、
カタログを眺めてるだけでも楽しいんですよねえ。
なんせ1940年代にはあのエッシャーにデザインを依頼してたぐらいですからねえ。
エッシャーの展覧会に行ったら、その原版が展示されてましたよ。
そう、オランダ出身のM・C・エッシャーも好きなんですよねえ。
大阪で展覧会があるときは必ず出かけてますよ。
それから「アンネの日記」、あれは高校のころに読みましたっけねえ。
あれにはかなりの衝撃を受けましたよ、ホンマに。
彼女の隠れ家は保存されてて公開されてるらしいんで、
ぜひともいずれアムステルダムへ行って見学したいもんです。
そしてついでに合法的な大麻も吸ってみたいもんです……いや、
これはまあ、その、アレですけど、
でも大麻や安楽死を、いろいろ制限つきではあるけど一部で合法化してるという、
これは僕は、決して全面的に支持できるかというとそうでもないような、
まあよくわからんのですけど、でもそういう割り切り方っていうのか、
選択肢を多く与えて、判断は個々人に委ねてるような、
そういう政策のあり方にも興味があったりして。
そんなわけでかつて、インターネットに接続できるようになったころ、
オランダについてもいろいろ検索したもんです。
するとオランダ大使館のサイトで、オランダのジャズを紹介するCDをプレゼントしてて、
応募したら当たったんですわ。
これはまあ、さほど特色のない普通のジャズでしたけど、
そんなわけでオランダの映画もできるだけ見ようとは思ってるんですけど、
これはなかなか機会がないんですよねえ。
たまに公開されても小難しい芸術的なものやったりして、
あまり印象に残ってるのはないんですよねえ。
むしろ、オランダ出身でハリウッドで活躍してる監督のほうが馴染みがあるもんで、
代表的なのがヤン・デ・ボンとポール・ヴァーホーヴェン。
ボンさんは「スピード」で一躍有名になって、
そして「ツイスター」、あれは大好きですわ。
その後はパッとしないのが残念ですけど、
一方のヴァーホーヴェン、
彼は「ロボコップ」のヒットの後、精力的に撮り続けてたけど……
なんかちょっと、悪趣味やなあって辟易させられるところがあったんですよねえ。
しかしそんな彼が久しぶりに故郷で放った監督作「ブラックブック」、
これが意外とよかったんですよ……というわけで、
いつにも増して前置きが長くなりましたけど。
時は第二次大戦末期。
オランダに逃れていたユダヤ系のヒロインがおりまして、
隠れ家を失い、さらに逃亡しようとしたところ、
ナチの襲撃を受けて家族を皆殺しにされてしまいます。
ひとり生き延びた彼女はレジスタンス組織に拾われ、
復讐の念を糧に抵抗活動に身を投じることになります。
ユダヤ系であることを隠すために黒髪を金髪に染めて……って、
ということはその辺で人種の見分けがつくわけなんですか。
へー、それは知らなんだけど、
とにかくそうやって新しい名前を得て、
ある日の任務は医薬品の運搬。
スーツケースに薬をいっぱい詰め込んで列車に乗っていると、
向こうから検閲にやってくる軍人が。
それを避けようと車両を移動し、あるコンパートメントに。
そこにはひとりのナチの将校がおりまして、
彼と親しく語らう振りをして検閲をやり過ごしまして、
ふー、やれやれと彼を見ると、なにやら熱心に読書中。
「その本、面白いの?」と訊くと、
彼が眺めてたのは本ではなくて切手のアルバム。
そう、この将校は切手収集家なのでした。
占領した国々の切手をヒンジを使ってアルバムに貼り付けておりまして……
「ヒンジ」なんて言葉がすっと出てくるところが元収集家でしょ、エヘヘ。
そんな彼としばし親しく語らうヒロイン。
切手収集家に悪人はいない……とでも思ってくれたんでしょうか。
そして後日、彼女はその将校に色仕掛けで接触するという任務を帯びることになりまして。
そのため、念には念を入れて、
髪だけでなく下のほうも金髪に染めるヒロイン。
その場面がぼかしもモザイクもなしで見られるとは、いい時代になりましたなあ。
「氷の微笑」のときはプリントの焼付けのときに暗くなるようにしてましたっけ。
まあヴァーホーヴェンのエロさは健在ってところでしょうか。
で、そんな彼女が将校のところを訪ねて差し出したのは、
彼が手に入らないとこぼしていた、オランダ領東インドの切手の山。
目を見開いて喜ぶ将校、ピンセットを取り出して1枚1枚ためつ眇めつ……って言うか、
常にアルバムやピンセットを持ち歩いとるんですか、こいつは。
そんな彼にお茶とチョコレートをご馳走になるヒロイン。
久しぶりに口にする青い包装紙のチョコレート……と、
これが後の伏線になってるんですねえ。
やがて、パーティに出かけるという将校、
彼女を誘い、元歌手である彼女は歌を披露することに。
ところがピアノを弾くのはなんと、
彼女の家族が殺されたとき、その現場で指揮していた将校なのでした。
何も知らずに陽気にピアノを弾くその将校、
胸が悪くなり、一度はトイレに行って吐きながらも、
何とか気を取り直して彼の伴奏で歌を披露するヒロイン……
どっちかっつーと、切手収集家よりもピアノ弾きのほうが悪人は少なそうな気はするけど、
まあとにかく、やがて結ばれることになる切手の将校とヒロイン。
まず切手の将校がヒロインの上を脱がし、
次にヒロインが切手の将校の下腹部に顔を埋め……
いやホンマに、ヴァーホーヴェンのエロさは健在……と思いきや。
ヒロインの頭部に手を添える切手の将校、
そのまま恍惚の表情を浮かべる……ことはなく、
冷静に、髪を染めてることを見つけおります。
それでもそこまで行ったら、もう行くところまで行ってしまう2人。
その後、盗聴器を仕掛けたりとか、
ナチに捕らわれた組織の仲間の救出劇とか、
いろいろとサスペンスフルな見せ場がてんこ盛りでして、
そんななか切手の将校は、ヒロインが実はレジスタンス組織に加わってることに気付くけど、
お互いに深く深く愛し合ってることを確認しあう2人。
そんなヒロインもやはり、組織のなかで不審の目で見られたりして……
そう、このオランダ人のレジスタンス組織のなかでは、
ユダヤ系の彼女はやはり異端者の面もあるんですよねえ。
そこら辺を巧く利用して、彼女を裏切り者、ナチ協力者に仕立て上げるのがピアノの将校。
しかも彼は切手の将校まで軍務違反に仕立て上げて、
ああ、どうなるこの2人。
切手が縁で結ばれた2人の運命やいかに……と、
気を揉んでいるうちにオランダは解放されまして、
メデタシメデタシ……とはいかないんですねえ、これが。
まだまだ物語は続くんですよ。
ヒロインと切手の将校は、レジスタンス組織のある人物が裏切り者だと思い、
その男を訪ねるけど、ところが彼は黒い手帳・ブラックブックを取り出し、
これを見れば真の裏切り者がわかる……と言い残した直後、
その場で何者かに殺されてしまい……
銃で撃たれた頭から脳みそがこぼれ出てる描写は、
ヴァーホーヴェンの悪趣味さ健在。
その後ヒロインは捕らえられ、ナチ協力者として収容所へ。
そこで過酷な虐待を受けるわけですが、
この辺の描写はヴァーホーヴェンのエロさも悪趣味さも健在なわけですけども、
しかしこれはなんというか、興味本位の描写ではないんですよねえ。
物語上の必然性が感じられまして。
そんなヒロインはやがて救出されますけど、
しかし切手の将校は既に処刑されたことを知らされ、
そして真の裏切り者、彼女の家族を死に至らしめた張本人によって命を狙われることに……
この部分はアイディア満載というか、
へー、あれがあんな風に悪用できるのかとか、
あれにあんな効果があるのかとか、
勉強にもなる見せ場でしたねえ。
そして危機一髪、逃げ出した彼女はブラックブックをもとに、
自らの容疑を晴らし、そしていよいよ家族の復讐に……
と、いやとにかく2時間半ほどの長さで、しかも中身がびっちりで、
もう片時も目が離せない面白さやったんですけどね。
しかし見終わった後の充足感と、そしてやるせなさっていうんでしょうかねえ、
これがなんともねえ。
結局、レジスタンス組織のなかの裏切り者はピアノの将校と共謀して、
裕福なユダヤ人を国外に逃亡する手助けをすると見せかけて、
殺害して金品を奪ってたわけですよ。
しかもこの人物にはモデルがいるらしくて、
そんな、オランダ人の恥部とも言えるような卑劣な部分もあえて描くヴァーホーヴェン。
解放後の、ナチ協力者に対する見せしめ的な行為の数々も、
あれも確かに、目を覆いたくなるところがありますしねえ。
そして先にも書いたように、収容所でえげつない目にあうヒロイン、
そんな彼女を救出に来た人物は、
虐待する者たちを痛烈に非難しおるんですよ。
君たちはオランダの恥だ……みたいなことを言って。
ところがその人物こそ、実は真の裏切り者だったわけでして、
つまり、美しい国とかなんとか言うとる奴こそ悪人ってことですわ。
そんな表面だけ綺麗に飾った奴らと闘うヴァーホーヴェン、
手にする武器はエロやら過激な描写やらを含む娯楽映画。
いやあ、「ロボコップ」から20年、
初めて彼のことをええ監督やなあって思えましたわ。
そしてエピローグがまたねえ、
ヒロインにはまだまだ苦難が絶えない、
世の中から争いが絶えることはない……
こりゃまだまだヴァーホーヴェンさには闘ってもらわななりませんなあ。
もちろんエロを武器に。
いや、ホンマ真面目な話、これは見応えたっぷりの力の入った作品でございました。
まず最初は切手。
中学ぐらいまで切手を集めてたんですけど、
オランダの切手って、とにかくデザインがユニークなんですよ。
これは印刷ミスかいな?って思わされるような大胆なデザインのものがあったりして、
カタログを眺めてるだけでも楽しいんですよねえ。
なんせ1940年代にはあのエッシャーにデザインを依頼してたぐらいですからねえ。
エッシャーの展覧会に行ったら、その原版が展示されてましたよ。
そう、オランダ出身のM・C・エッシャーも好きなんですよねえ。
大阪で展覧会があるときは必ず出かけてますよ。
それから「アンネの日記」、あれは高校のころに読みましたっけねえ。
あれにはかなりの衝撃を受けましたよ、ホンマに。
彼女の隠れ家は保存されてて公開されてるらしいんで、
ぜひともいずれアムステルダムへ行って見学したいもんです。
そしてついでに合法的な大麻も吸ってみたいもんです……いや、
これはまあ、その、アレですけど、
でも大麻や安楽死を、いろいろ制限つきではあるけど一部で合法化してるという、
これは僕は、決して全面的に支持できるかというとそうでもないような、
まあよくわからんのですけど、でもそういう割り切り方っていうのか、
選択肢を多く与えて、判断は個々人に委ねてるような、
そういう政策のあり方にも興味があったりして。
そんなわけでかつて、インターネットに接続できるようになったころ、
オランダについてもいろいろ検索したもんです。
するとオランダ大使館のサイトで、オランダのジャズを紹介するCDをプレゼントしてて、
応募したら当たったんですわ。
これはまあ、さほど特色のない普通のジャズでしたけど、
そんなわけでオランダの映画もできるだけ見ようとは思ってるんですけど、
これはなかなか機会がないんですよねえ。
たまに公開されても小難しい芸術的なものやったりして、
あまり印象に残ってるのはないんですよねえ。
むしろ、オランダ出身でハリウッドで活躍してる監督のほうが馴染みがあるもんで、
代表的なのがヤン・デ・ボンとポール・ヴァーホーヴェン。
ボンさんは「スピード」で一躍有名になって、
そして「ツイスター」、あれは大好きですわ。
その後はパッとしないのが残念ですけど、
一方のヴァーホーヴェン、
彼は「ロボコップ」のヒットの後、精力的に撮り続けてたけど……
なんかちょっと、悪趣味やなあって辟易させられるところがあったんですよねえ。
しかしそんな彼が久しぶりに故郷で放った監督作「ブラックブック」、
これが意外とよかったんですよ……というわけで、
いつにも増して前置きが長くなりましたけど。
時は第二次大戦末期。
オランダに逃れていたユダヤ系のヒロインがおりまして、
隠れ家を失い、さらに逃亡しようとしたところ、
ナチの襲撃を受けて家族を皆殺しにされてしまいます。
ひとり生き延びた彼女はレジスタンス組織に拾われ、
復讐の念を糧に抵抗活動に身を投じることになります。
ユダヤ系であることを隠すために黒髪を金髪に染めて……って、
ということはその辺で人種の見分けがつくわけなんですか。
へー、それは知らなんだけど、
とにかくそうやって新しい名前を得て、
ある日の任務は医薬品の運搬。
スーツケースに薬をいっぱい詰め込んで列車に乗っていると、
向こうから検閲にやってくる軍人が。
それを避けようと車両を移動し、あるコンパートメントに。
そこにはひとりのナチの将校がおりまして、
彼と親しく語らう振りをして検閲をやり過ごしまして、
ふー、やれやれと彼を見ると、なにやら熱心に読書中。
「その本、面白いの?」と訊くと、
彼が眺めてたのは本ではなくて切手のアルバム。
そう、この将校は切手収集家なのでした。
占領した国々の切手をヒンジを使ってアルバムに貼り付けておりまして……
「ヒンジ」なんて言葉がすっと出てくるところが元収集家でしょ、エヘヘ。
そんな彼としばし親しく語らうヒロイン。
切手収集家に悪人はいない……とでも思ってくれたんでしょうか。
そして後日、彼女はその将校に色仕掛けで接触するという任務を帯びることになりまして。
そのため、念には念を入れて、
髪だけでなく下のほうも金髪に染めるヒロイン。
その場面がぼかしもモザイクもなしで見られるとは、いい時代になりましたなあ。
「氷の微笑」のときはプリントの焼付けのときに暗くなるようにしてましたっけ。
まあヴァーホーヴェンのエロさは健在ってところでしょうか。
で、そんな彼女が将校のところを訪ねて差し出したのは、
彼が手に入らないとこぼしていた、オランダ領東インドの切手の山。
目を見開いて喜ぶ将校、ピンセットを取り出して1枚1枚ためつ眇めつ……って言うか、
常にアルバムやピンセットを持ち歩いとるんですか、こいつは。
そんな彼にお茶とチョコレートをご馳走になるヒロイン。
久しぶりに口にする青い包装紙のチョコレート……と、
これが後の伏線になってるんですねえ。
やがて、パーティに出かけるという将校、
彼女を誘い、元歌手である彼女は歌を披露することに。
ところがピアノを弾くのはなんと、
彼女の家族が殺されたとき、その現場で指揮していた将校なのでした。
何も知らずに陽気にピアノを弾くその将校、
胸が悪くなり、一度はトイレに行って吐きながらも、
何とか気を取り直して彼の伴奏で歌を披露するヒロイン……
どっちかっつーと、切手収集家よりもピアノ弾きのほうが悪人は少なそうな気はするけど、
まあとにかく、やがて結ばれることになる切手の将校とヒロイン。
まず切手の将校がヒロインの上を脱がし、
次にヒロインが切手の将校の下腹部に顔を埋め……
いやホンマに、ヴァーホーヴェンのエロさは健在……と思いきや。
ヒロインの頭部に手を添える切手の将校、
そのまま恍惚の表情を浮かべる……ことはなく、
冷静に、髪を染めてることを見つけおります。
それでもそこまで行ったら、もう行くところまで行ってしまう2人。
その後、盗聴器を仕掛けたりとか、
ナチに捕らわれた組織の仲間の救出劇とか、
いろいろとサスペンスフルな見せ場がてんこ盛りでして、
そんななか切手の将校は、ヒロインが実はレジスタンス組織に加わってることに気付くけど、
お互いに深く深く愛し合ってることを確認しあう2人。
そんなヒロインもやはり、組織のなかで不審の目で見られたりして……
そう、このオランダ人のレジスタンス組織のなかでは、
ユダヤ系の彼女はやはり異端者の面もあるんですよねえ。
そこら辺を巧く利用して、彼女を裏切り者、ナチ協力者に仕立て上げるのがピアノの将校。
しかも彼は切手の将校まで軍務違反に仕立て上げて、
ああ、どうなるこの2人。
切手が縁で結ばれた2人の運命やいかに……と、
気を揉んでいるうちにオランダは解放されまして、
メデタシメデタシ……とはいかないんですねえ、これが。
まだまだ物語は続くんですよ。
ヒロインと切手の将校は、レジスタンス組織のある人物が裏切り者だと思い、
その男を訪ねるけど、ところが彼は黒い手帳・ブラックブックを取り出し、
これを見れば真の裏切り者がわかる……と言い残した直後、
その場で何者かに殺されてしまい……
銃で撃たれた頭から脳みそがこぼれ出てる描写は、
ヴァーホーヴェンの悪趣味さ健在。
その後ヒロインは捕らえられ、ナチ協力者として収容所へ。
そこで過酷な虐待を受けるわけですが、
この辺の描写はヴァーホーヴェンのエロさも悪趣味さも健在なわけですけども、
しかしこれはなんというか、興味本位の描写ではないんですよねえ。
物語上の必然性が感じられまして。
そんなヒロインはやがて救出されますけど、
しかし切手の将校は既に処刑されたことを知らされ、
そして真の裏切り者、彼女の家族を死に至らしめた張本人によって命を狙われることに……
この部分はアイディア満載というか、
へー、あれがあんな風に悪用できるのかとか、
あれにあんな効果があるのかとか、
勉強にもなる見せ場でしたねえ。
そして危機一髪、逃げ出した彼女はブラックブックをもとに、
自らの容疑を晴らし、そしていよいよ家族の復讐に……
と、いやとにかく2時間半ほどの長さで、しかも中身がびっちりで、
もう片時も目が離せない面白さやったんですけどね。
しかし見終わった後の充足感と、そしてやるせなさっていうんでしょうかねえ、
これがなんともねえ。
結局、レジスタンス組織のなかの裏切り者はピアノの将校と共謀して、
裕福なユダヤ人を国外に逃亡する手助けをすると見せかけて、
殺害して金品を奪ってたわけですよ。
しかもこの人物にはモデルがいるらしくて、
そんな、オランダ人の恥部とも言えるような卑劣な部分もあえて描くヴァーホーヴェン。
解放後の、ナチ協力者に対する見せしめ的な行為の数々も、
あれも確かに、目を覆いたくなるところがありますしねえ。
そして先にも書いたように、収容所でえげつない目にあうヒロイン、
そんな彼女を救出に来た人物は、
虐待する者たちを痛烈に非難しおるんですよ。
君たちはオランダの恥だ……みたいなことを言って。
ところがその人物こそ、実は真の裏切り者だったわけでして、
つまり、美しい国とかなんとか言うとる奴こそ悪人ってことですわ。
そんな表面だけ綺麗に飾った奴らと闘うヴァーホーヴェン、
手にする武器はエロやら過激な描写やらを含む娯楽映画。
いやあ、「ロボコップ」から20年、
初めて彼のことをええ監督やなあって思えましたわ。
そしてエピローグがまたねえ、
ヒロインにはまだまだ苦難が絶えない、
世の中から争いが絶えることはない……
こりゃまだまだヴァーホーヴェンさには闘ってもらわななりませんなあ。
もちろんエロを武器に。
いや、ホンマ真面目な話、これは見応えたっぷりの力の入った作品でございました。