赤い小人の秘密：宇宙船レッド・ドワーフ号

Red Dwarf(1988～1999)

　英国ＢＢＣ制作、日本でもかつてＮＨＫで放映され、コアなファンを持つ正統派英国シチュエーション・コメディ。なぜ正統派かといいますと、毎回爆笑オチがある。とっても下品ネタ多し、特に靴下ネタや食べ物ネタ。そしてお約束の「上流階級なむかつくキャラ」の存在です。アメリカのコメディとどう違うのかって？アメリカのコメディは下品ネタでも最低のラインで品を保っていることが多く、オチも心温まる部分を残します。しかし英国物はそんな最低ラインや心温まるオチ、登場人物間の友情や愛情なんかまったく考慮しません。「おいこの後どうなったんだよっ！」とつっこみいれたくなるような、ただただ笑いあるのみ。

←レスター（クレイグ・チャールズ）、後ろで敬礼しているのがホログラムの元同僚リマー（クリス・バリー）、手前が初期カチャンスキー（クレア・ジョーガン）。

　設定がＳＦというところがこのコメディの面白いところで、ＳＦならではのとんでもない設定の上に、よく練られたストーリーが来る爆笑シリーズ。残念ながら、セット＆ＣＧがグレードアップし、カチャンスキーが登場する後期シリーズからは、随分テンションが落ちます。前半シリーズがとにかく最高！シリーズ前半はどのエピソードも良く出来ています。1988～1999の間に８シリーズ制作され、そのうち１から６が前半にあたります。

←宇宙船レッド・ドワーフ号。採掘船なんだって。

　とある近未来、宇宙船レッド・ドワーフ（赤い小人という意味です）の下級船員だったレスター（クレイグ・チャールズ、この人カーネーション・ストリートに出ていたんですね～）は、部屋で猫を飼っていた罪で懲罰カプセルに入れられます。が、入っている間に事故が起こり、すべての乗員が死んでしまいます。３００万年後にカプセルから出たレスターは、ホログラムの元同僚リマー（クリス・バリー）、レスターが飼っていた猫の子孫キャット（ダニー・ジョン・ジュールズ）、そののち難破船から拾った雑用アンドロイド　クライテン（ロバート・レウエリン）と大宇宙をしかたなく漂う羽目に・・・。レスターは訛りの強い、ラスタ頭のメタル野郎。徹底して下品ネタを連発。なぜか猫好き。それにたいする同僚リマーは、自称上流階級のお坊ちゃん。鼻にかかった上流アクセントと、これまたいかにも高慢＆軟弱そうな外見で、ことごとくレスターにたてつきます。ほとんどのエピソードがこの２人を中心に進みます。そこに加わるのが猫から進化した猫人間キャット、「なんじゃこりゃ？」のキャラクター。「ワァーオ」とか「イエーィ」とか連発する、ド派手な衣装の自意識過剰男。猫なわけですから、頭か弱くて自分のことしか考えていない。私のお気に入りアンドロイドのクライテンは、へたれですぐ泣く家事手伝いアンドロイド。このクライテンが加わってから、このシリーズはさらに面白くなります。なぜかこれまた訛りのきついレッド・ドワーフの人工知能ホリーも笑える登場人物。このように濃いキャラが毎回騒動を起こすのですが、ＳＦといっても難解な用語は皆無。といってもいきなり「どうしてクラシックな音楽を聞かないんだ、たとえばモーターヘッド」なんてボキャブラリーが出てきますので、別の意味で判る人しか判らないジョークも多いかも。

最初のキャストはレスターがアルフレッド・モリナ（フリーダのディエゴ・リベラ役の人ですね）、リマーがアラン・リックマンを予定していたそうでっ！残念ながらこの有名な２人ではシリーズ化したときに困るかも、という理由で没になったとのことですが、あの嫌味＆皮肉の権化リックマンがリマーって、ものすごく面白そうではないですか？もし実現していたら、リックマンの代表作に成っていたことは間違いありません。