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株式会社プランシードのブログ

株式会社プランシードの社長と社員によるブログです。
会社のこと、仕事のこと、プライベートのこと、あれこれ書いています。

その376.スポンサー試写

2018-06-12 06:16:33 | 制作会社社長の憂い漫遊記
今日は本ブログのその355~361から
延々と続く作品のスポンサー試写日だ。

1年前、このVPで紹介しなければならないシステムは
稼働前で、このシステムを使うとどんなメリットがあるかが
イメージできるよう3分間のイメージVPを作成した。
1年を経て、システムも完成し、テスト導入も済み、
今年夏の本格導入に向けて
前作イメージVPのリメイクと基本編の依頼が舞い降りた。

5月28~29日の2日間、怒涛のロケを終え、
粗編集作業を乗り切り、今日はスポンサーへの試写日だ。
今回のスポンサーは皆さん熱い方ばかり。必殺仕事人だ。
タイムカードを見たことはないが、
たぶん相当サービス残業をしているのではないだろうか。
それだけPRIDEを持ち、仕事を愛している。
大企業がなかなか潰れないのは、こういう頭がよくて
熱い想いを持ち、体力のある方々がいるからだ。
零細企業の社長としては、うらやましいかぎりである。
弊社にもあと二人でいいので粋のよいナイスガイがほしい。

さて、このシステムの本格導入に向け、
担当するスポンサー担当者は増員されたが
VP作品作りを引き続き担当したのはI氏だけ。
I氏は本システムの制作責任者で、
前作ではまだ稼働していないシステムの撮影で、
システムを模擬的に動かすのに苦労された。
撮影現場で擬似的とはいえ上手く稼働しなければ
役者、スタッフ総勢15名が手待ちになるばかりか
撮影日数を増やさなければならない。
そうなると全員のスケジュールや撮影場所も
再度調整しなければならなくなる。
プレッシャーは相当あったと推察される。
前作のスポンサー試写では、
その出来映えにI氏は感動の涙を流された。
その涙の光景を目の当たりにした他の試写参加者からは
試写であるあるの辛辣で無意味な感想はなく、
現実的変更のみという我々にとっては
非常にありがたく実のある応援となった。
今回作ではシステムも稼働しているし、
I氏の配下に2名のアシストがロケに参加したこともあり
I氏は俯瞰で冷静に撮影を見て、常に前倒しで指示をされた。
2日間で2作品を撮るという半ば無謀なロケを
無事に終わらせた真の貢献者はI氏ともいえる。
本日の試写でも、ぜひ涙のリクエストを。

10時前。
確保した会議室まですでに全員がそろって雑談。
今回初めて担当責任者となったM氏は出来栄えにヤキモキ、
早く見たいという衝動を抑えられないようだった。
ここはひとつプロデューサーとして
「大丈夫です!名作になっています!!」と吠えた。
10時。
イメージ編から上映。
まず1度見ていただき、イメージが伝わるかをチェック。
2度目は台本を見ながら文字や画面をチェック。
ここで議論を挟み、3度見て終わるのが私の目論見だ。
昨年のリメイクなので、行田監督にとって「楽勝」のはずだが
実はリメイクには前作を越えなければならないという
大きなプレッシャーがのしかかる。
劇場用映画でもリメイク作が前作を越えることは難しい。
しかも今回は基本編も同時制作、同時撮影となり、
基本編との違いも出さねばならない。
その壁をぶち破るのが行田監督の今回のミッションだ。
先日のスタッフ試写で、私は行田監督と編集上の不具合を話し
20秒ほどカットし、入れ換えや文字の追加などを指示して
3分に再編集してもらった。
その甲斐あり、展開もテンポもよくなり、
グイグイ引き込んでくれる。イメージは十分伝わり、
やってみようというオルグ性も兼ね備えている。
しかも今回のスポンサー責任者M氏が、
ロケハン時に撮影したいものが発生し、急遽、役者として出演。
それがなんとイメージ編の主役だというおまけ付き。
試写1度目が終わるとスタンディングオベーションとまでは
いかないまでも拍手がわき起こった。
今回は数名、スポンサーが出演していることもあり
それに対する拍手が半分。出来栄えに半分の拍手だ。
昨年の制作責任者で、今年はさらに偉くなって
ロケには参加できなかったA氏はニコニコと満足げ。
「いい出来映えですね」に安心顔の今年の制作責任者M氏。
私は画面チェックを右目で、左目はスポンサーの表情を伺う。
今回は百点満点と、早くも心の通知簿に判子を押した。

2度目は、内容を細かくチェック。
I氏の的確な指摘とM氏の想いがひしひしと伝わる。
とてもいいチームだ。
結局4回上映し、大きな修正もなく終了。
I氏は、今回は前作のように涙ぐんではいなかったが、
昨年試写に参加した方々から
「今年は泣かないんですか?」と茶化されてはいたが
万感迫る思いは十分伝わったからこその冷やかしとみた。
涙のリクエスト。ありがとーございました。

続いて基本編を上映。
川村チーフは心なしか緊張顔だ。
ということはどのような指摘を受けようとも
立ち向かうということか?頼もしいねぇ。
最大のポイントはエンディング前の
まとめ部分の2分間の扱いだ。
この2分間はスポンサー責任者M氏が
是非もので台本に入れたものだ。
しかし実際に編集してみると、
すでにドキュメンタリー部分で言い尽くされていることと
取って付けた感が出ており映像の流れを止めてしまうことから
私の判断でカットした。
しかし、この2分間は台本作成時のスポンサーからの意向である。
そこで2分間の「あるバージョン」と「ないバージョン」を作成し
スポンサー試写では「ないバージョン」を上映した。
もちろんそのあとに「あるバージョン」を見ていただいた。
結局「あるバージョン」をナレーション再考することで決まったが
私としては満足している。
これでこのVPは間違いなく、活用される。生かしてもらえたと。

こうして約1時間半。スポンサー試写が終わった。
このあとは、編集手直し(本編集)を行ない、録音を行なう。
録音スタジオで音楽や効果音、整音が加えられると
本日見たものとは全く別物といえるほどの出来になる。
これは駄作、秀作に限らずだ。
長年この業界に身を置く私は台本作成時から
本作が必ずや秀作になる予感があり、行田監督には
台本打合せの時点で「もう完成したも同然」とウソぶいていた。
それが、撮影、編集では確信に変わったので、
恐らく録音スタジオから上がった完成作は、
私の監督人生の中で五指に入る名作となることだろう。
ちなみにVPにおける名作とは、
1に解りやすいこと
2に時間を忘れさせること
3に視聴対象者がやってみようというオルグ性を備えていること
さらに映像作品としての品格があれば申し分ない。
しかし、決して作り手の独りよがりであってはならない。
ただ今回作は、そのいずれの観点からみても名作だといえる。
そして名作は本システムを推進する上で
視聴対象者の大きな動機付けとなる。
これまで私が制作を携わった作品はいずれも
そうありたいと願いスタートしたが、様々な要因で
そうならないことも数多くあった。
スポンサーの事情もあるが、最大の原因はプロデューサーが
「これは映像では無理です」「○○から見直しましょう」と
助言出来なかったことにある。
今回、駄作であればプロデューサーである私の責任だ。
しかも私は監督、台本も兼務しているからチョーヤバい。
VPは社内コミュニケーションを円滑にするためのツールである。
私はその制作責任者だが、作品演出をするその前に
スポンサーのお悩みをお聴きしてコミュニケーションを
円滑にするための助言者でなければならない。
結果を推測せずVPを作るのはスポンサーにとっては無駄金であり
我々スタッフにとっても、苦しい仕上げをしなければならないから
無駄骨といえる。
そうして無理やり生まれた作品には、悲劇の冷遇しか待っていない。
しかしながら、仮に悲劇であったとしても
作って終わりにしてはならない。制作責任者はどうあっても
最後まで作品と、作品による効果を見届けなければならないのだ。
駄作の原因を探って次回作は必ず名作にする。
見届けるからこそ名作にするための
知恵と工夫と気概が生まれてくる。
ちゃんと見届けられれば必ず次回作が待っている。
それこそがVPというものだ。
なぜならコミュニケーションは深めることに意味があるからだ。
動機付けの次は深耕。
制作者たるものあらゆる角度からコミュニケーション深耕策を
ご提案しなければならない。
映像は、活動への動機付けと深耕に威力を発揮する武器なのだから。

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