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音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆ベートーヴェンの素顔 ~ 同時代人の証言から浮かび上がる彼の姿と音楽《op.90》

2008年08月09日 | ベートーヴェン Beethoven
深みのある人の書く面白い文章は、
読んでいると、ふつふつと想像力を掻き立たたせられます。


こんな文章を目にしました。


ロマン・ロラン著『ベートーヴェン研究 II 復活の歌』(吉田秀和訳)より

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――「彼は、愛すべき唇と話しかけるような美しい眼に恵まれており、その両眼からは、どんな瞬間にも、次々と急速に継起する彼の印象と思想が反映していた。――甘美で愛すべき野蛮さをもっていたり、怒りに猛り、人を恐ろしがらせるほどになったり・・・・・」とW.C.ミューラーはいっている。

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もちろん、ベートーヴェンことで、この文章は
ベートーヴェンの同時代を生きた彼の知人、
ウィルヘルム・クリスチアン・ミューラーという人物が
どうやらゲーテに宛てた手紙とのことです。

これを読んでいてふと思い浮かんだ彼の音楽がありました。


ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ第27番 e-moll op.90》


全2楽章の不思議なこの《ピアノ・ソナタ》、
各楽章の冒頭には、ベートーヴェン自身の手によって、
《ピアノ・ソナタ》のジャンルにおいては初めて
ドイツ語による表記がなされます。


●I楽章
Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
(活気をもって、そして一貫して感性と表現をもって)


めまぐるしく移り変わる音楽の力強い変容は、
「その両眼からは、どんな瞬間にも、
次々と急速に継起する彼の印象と思想が反映していた」
という証言が見事に合致するような気がするのです。


●II楽章
Nicht zu geschwind und sehr singbar vorgetragen
(速すぎず、そしてとてもよく歌われて為されるよう)

I楽章とは打って変わって甘美な音楽は、
「――甘美で愛すべき野蛮さをもっていたり」
と言われるベートーヴェンの人となりと
この音楽を結び付けているようです。

しかしそんな緩徐楽章においても、
「怒りに猛り、人を恐ろしがらせるほどになったり・・・・・」
してしまうのがベートーヴェンなんですね・・・


こんなことを思ってこの音楽作品《ピアノ・ソナタ op.90》に接してみると、
なんだかとてもベートーヴェンがよくわかるような、
ふと、そんな気がするのでした。



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