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 ・・・

「20世紀少年」

2008-08-31 14:55:00 | 映画
「20世紀少年」。以下ネタバレ注意。




「60億かけて」、「日テレの社運をかけて」、なーんてうたっておいて、
まぁま、お金かけたからといっていいものができるとは限らないけれども、
それにしても、(いや、それだからこそ?)ひどすぎます。
今までにもらったチラシ読み返してみると、「原作者・浦沢直樹監修、コミックとは異なるストーリー展開!」なんてかいちゃってさ。
これは逃げやろう。
「ひどい」というのは、ストーリーが強引すぎるのです。
まさに漫画のダイジェスト、・・・・とも違うのです。
漫画のダイジェストとしてよかったのは「ハチミツとクローバー」ですかね。
3部作で区切るには、まぁ、ここまでかな、と思ってたのですけど、
ストーリーの中身が薄っぺらくて、とにかく、「第一章では血の大晦日まで!」みたいなところがあるのに、
イマイチ勢いがなくて、血の大晦日なのに、
かなり退屈で、私、腕時計みてしまいましたもの。「何時さ?まだーーー終わらへんのー?」・・・・。
一人ひとりの人間の奥深さがないから、たとえばヨシツネ(香川照之)は第2章において重鎮だと思いますけど、
ヨシツネで泣けそうにないです。
それは、メインキャストがあれだけいるから、ひとりひとり掘り下げる時間がないという話ではなく、見せ方があると思います。
一方で、大衆が、「ともだち」にハマっている描写もイマイチ。
もっとカルトっぽくしてほしいところ。
なんだか、結局は漫画よんで、漫画の感性ひきずって観てください、という印象です。
原作未読の方は、映画でハマれるのでしょうか。
そして、原作がいかによくできていたか、とうなります。


そして、演技がまたひどい。
幼少時代の子役がひどすぎます。
演技うまい子、いっぱいいるやろうにー!
私としては、ケンジ役は須賀健太くんにやってほしかったのですけどね。
ドンキーは髪型で特徴ありすぎるけど、
子役の顔が全然覚えられません。
それは、「もうひとりいたけど誰だっけ?」「あいつ誰だ?」「思い出せない」という根底があるから
わざと覚えにくい顔にしているのかもしれませんけど、
演技がひどすぎます。
大人のケンジたちも、こんなオールメンツをだしておきながら、
なぜだか芝居が下手に思えたのはなぜでしょうか。
マルオ(石塚英彦)には凍りました・・・。
ケンジは唐沢さんよりも、ユースケ・サンタマリアや、大泉洋のような、
もっとダメで軽いカンジの方が合ってるようにやっぱり思ってしまいます。
しかし、ケンジを唐沢さんでしたところで、個人的に感慨深いのは、
フジ木曜ドラマ「愛という名のもとに」での仲間の石橋保や洞口依子が出ていたことですかね。
それならば、オッチョは江口洋介にしてほしかった。
まっすぐな正義感の瞳は鈴木保奈美も素敵だと思うし、
あー、「愛という名のもとに」メンバーで、「俺たち仲間だろ?!」とひっかけてほしかったです、ドラマ好きとしては・・・。

血の大晦日の寸前のスクーターの若者(オリエンタルラジオ)のシーン、
「脱がす前に着せること考えんなよ」「前向きにいこうぜ!」が原作でも好きなのですけど、
そこはもっとサラっとスピードあげてほしかったです。
そのシーンが長すぎます。
血まみれの男(遠藤憲一)もなかなか死にません。
血の大晦日もダラダラで飽き飽きします。

言ってみれば、「すべてはこどもが考えたことだから、ちゃっちいことだ」、「こどもの遊び」というところで、
ロボットなんかもしょぼくていいのですけど、
そういうあたりが「漫画」としてはいいバランスがあったのですけど、
実写にすると、しょぼさだけが浮き立って、
ただのB級映画です。60億もかけてバカですよ。
って、そのバカらしさが、こどもらしさ、というなら堤監督に感服です。
しかし、堤ワールドを感じませんでした。
音楽いっぱいかかって、視覚効果もいっぱい使って、伏線で話よじれるのかな、と思ったのですけど。
原作で私は「友達」という言葉の危うさや安心感、疎外感を感じていたのですが、
映画ではそういった深みを感じませんでした。

漫画の展開では、バーチャルランドの嘘、ともだちのねじまげた部分があって、
年号が複雑化したように思えます。
そのためか、テロップでわざわざ年号だして、時制ぐちゃぐちゃにしてるのだと思うのですけど、
そのわりにはそもそもの構成がうまくできてないと思います。
オープニング、中学時代のケンジが放送室乗っ取ってロックかけるところでは、
納得だったのですが、その後、
漫画家・角田(森山未来)とオッチョ(豊川悦司)の独房というのは無意味ではないでしょうか。
回想で展開するなら、スターウォーズみたいに、
第2章からやって、来年第1章をする、とか。

できることなら、8月20日のケンジの誕生日にあわせて公開してほしかったくらいですけど。
第2章は来年1月31日公開です。
あまりのつまらなさに、もう2章は観ない・・絶対観ない・・・と思いながら
第1章観てたのですが、
映画最後に2章の予告があります。
それ観たら、おおっ!?おもしろそう、と思ってしまったのは、さすが予告の仕事!(笑)
ユースケと古田新田と小池栄子観たらそそりますが、
カンナは平愛梨ではない・・・。
北野きいや、谷村美月のような、するどい眼差しの子がよかったです。
深津絵理がずーーーっとずーーーっと若ければぴったり。(しかも、愛という名のもとに、にも出てました。テレクラ東大生の役)
第2章の最後で、血の大晦日のあと行方不明になってたケンジがスーダララの歌うたいながら登場するのでしょうね。
に、しても、ケンジはロックミュージシャンなのに、
映画ラストで流れた「カレーの匂いが~」の歌は、
フォークでは!?

ああ、もし、衆議院解散と新党発足があれば、友民党だったら爆笑なのに・・・・。


はいっ、8月31日、今日でこどもの夏休みは終了です。


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7 コメント

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Unknown (風の旅人)
2008-08-31 20:22:24
私も今日、この映画を見てきました。

原作は未読。

時間の流れと、大人と子役が分かりづらかったですね。


確かにお金かかってることは分かったんですけど。。。
Unknown (ぢもと)
2008-08-31 23:57:29
★風の旅人さんへ
風の旅人さんが鑑賞されるとは意外でした!
三部作が終わるまで、原作読まないというのも手です。
むしろ、読まないほうがいいかもしれませんね。
って、丸丸あと1年も・・。
いや、むしろ三部作がDVD-BOXになってからまとめて観るというのも・・・。
子役がねーー・・・。
『愛という名のもとに』 (えい)
2008-09-01 13:21:24
こんにちは。

ぼくもなぜか江口洋介のイメージでした。
でも唐沢との絡みを考えると
なるほど『愛という名のもとに』となって、
これは不思議なリアル感がありますね。

そうそう、
「スーダララの歌」。
これと唐沢がまた結びつかないです。
Unknown (ぢもと)
2008-09-02 01:05:05
★えいさん
コメントありがとうございます!

オッチョの配役きいたときは、
トヨエツぴったり!と思ったのですが、
あのロン毛が似合わないせでしょうか。
江口洋介の方がしっくりきます。

「スーダララの歌」は、ユースケや大泉洋がうたうと、
かなりしっくりときます、ワタシのイメージでは。
2作目観ないかも (bulz-i)
2009-01-28 17:27:06
配役には色々文句有るけど取敢えず、家内の話ではケンヂは宇崎竜童で、には賛成。それからカンナはヤンキー上がりの八百屋のオカミサンぐらいにしか見えません。もっと、薄化粧で透明感、強さだけでなく脆さも両立させるタイプでないと。
ブログ主さんは原作はOKのようですが、私は駄目ですね。メロドラマ手法の行き当たりばったりのイベント発生で読者を引っ張るだけなので破綻だらけ。高校卒(と思われる)キリコが1年間でフクベエに口説かれ、アフリカで医師資格を取り、ワクチンを開発し、出血熱のアウトブレークを抑え込むなんて一寸酷すぎでしょ。流石に映画では「大学の先生」になるかに修正してますが。
他にも聖母であり、運命の子の母親であり、ある意味最重要キャラであるキリコの扱いが好い加減すぎです。大体「どもだち」に洗脳もされていない彼女がなんで黙って蒸発したり、結婚したのなら戸籍から抜けるので記録が残るはずだし。入籍せずにそのままでも、カンナが生まれた時点で新しい戸籍が出来るので、母親のチヨの戸籍にその記録が残るはずだし、カンナの戸籍見れば誰が父親だか「ともだち」だか判るはずだし(非嫡出子か?)・・・他にも言い出したらきりがないので、別に自分が納得できるキリコの物語を書いて、一人で楽しんでいます。最後には少し暴走して、カンナに種違いの妹が出来たり、カンナにも子供が出来たりで、近未来超能力ヒーロー物に続きそうです。(汗)
Unknown (ぢもと)
2009-01-29 23:46:19
★bulz-iさんへ
「薄化粧でで透明感、・・・」はよーーくわかります!10年くらい前の深津絵里が私のなかでぴったりなのですが他には、またも10年くらい前の常盤貴子とか、今でいうと、北乃きいなんかいいと思っていたのですが、とりあえず映画版のカンナはナシです。猛反対。髪型似せただけやん!と言いたい。むしろ蝶野刑事?が藤木直人ってのも問題でもっと若い設定かと思っていました。私の中では平岡祐太くんだったのですけど。まぁ、原作は、いろいろ破綻があるのでしょうが、しょせんは「漫画」ですから、で片付けてます。
仰せの通りですが肝ですので (bulz-i)
2009-02-03 20:58:36
ぢもとさんへ
確かに仰るとおり、漫画なので一々矛盾に突っ込むのは約束破りの側面があります。黙って楽しむのが大人でしょう。ただ、私が引っ掛かるのは、この物語はジャンルから云って「サーガ」だと思うんですよね。だから、登場人物個々の歴史が織り成す大河物語りだと思います。ですから他の事は兎も角、個々の歴史と全体の時間軸が肝で、これは外しちゃいけない、これだけは大切にするものだと思うのですが、原作は明らかに行き当たりばったりの展開で、矛盾も「ケンヂの記憶喪失」とか「キリコが医師免許を取得」とかのワンフレーズで逃げています。肝だからこそ見逃せないのですよねぇ。他にもこの物語は「謎解き」の側面も持っていますが、伏線が皆放棄されているので謎解きとしても成り立っていません。遣りっ放しがどうしても気になります。私は小人です。スイマセン。