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minority resistance

pcfx復活ブログ

pcfx

2011年02月09日 | そのた
もう長いこと使っているハンドルネームがpcfxだ。

ご存知だとは思うが、「PC-FX」は昔NECが作っていたゲーム機の名前だ。
その当時、SEGAがサターン、SONYがプレステを発売し、ポリゴンでゲームが遊べる
時代を築いたものだった。
PC-FXも、当初はポリゴン機能を搭載する予定だったが、チップ製造を任されていた
ハドソンが納期に間に合わず、ポリゴン無しで発売することになったらしい。
そして価格は予定通り5万円弱。そんな残念極まりないマシンがPC-FXだった。

ハードウェアの決定的な敗北にめげず、「アニメ戦略」という方向性を打ち立てたが、
世の中はポリゴン信仰が多数を占め、パソコンに比べると画質が落ちるというハードが
売れるはずもなかった。

その後、PC-98に接続して使うFX-GAというタイプのPC-FXが発売された。やっと搭載
できたポリゴンチップを使ってゲーム開発もできるという高性能版だったが、やはり
多数の人には需要がなかった。また、PC-FXは専用のSCSIケーブルで繋ぐと、パソコンの
外付けCD-ROMとして利用できたが、読み出しが標準速度だったため、当時既に倍速とか
3倍速のCD-ROMが出始めていた市場では需要がなかった。この失敗の連続から、かつて
PCエンジンで鳴らしたNECホームエレクトロニクスは解散する事になり、
コンシューマ事業から撤退する結果になってしまった。

全てが残念な結果に終わったPC-FXであったが、わたくしpcfxはそんな世間の冷たい反応
をものともせず、発売日にハードを購入、SCSIケーブルも増設メモリも購入、FX-GAも
購入、改造用にもう一台本体も購入し金色に塗装して「ゴールドFX」として悦に入って
いたものだった。

PC-FXは出ていたソフトもすごい。サードパーティが次々と見放していく中、NECはアニメ
や声優を意識した「アニメフリークFX」を発売。当時としては最強にニッチな需要を
開拓していた。内容は「脱力」という一言に集約される。MPが根こそぎ奪われる感覚。
しかし良作もあった。中でも「キューティーハニーFX」は往年のハニーファンだけで
なく、ハニーを知らない世代でも楽しめる作品であり、動画でストーリーが展開していく
様は、ゲームをやってるのかアニメを眺めているのかわからなくなる不思議なソフトで
あった。が、ストーリーを進めるのに必要なゲームがあまりにも稚拙であり、萎える。

「RETURN TO ZORK」というソフトがあった。PCゲームからの移植作で、
不思議な世界のアドベンチャーだ。が、あまりにも不思議すぎて大抵の者が脱落する。
往年のアドベンチャーゲームを踏襲するあまり、謎が謎のままおわるのである。
さらに登場人物のセリフの音質が悪い上クセのある話し方で、字幕が出ない。従って
何を言っているのか聞き取れないので、更に謎が深まっていくのだ。


このように、ハードもソフトも残念なPC-FXであった。FXオーナーならではの密かな
楽しみは、「この世界は日本でも限られた人間しか味わえない」という孤高の満足感
くらいしかないのだった。しかしそれでも、わたくしpcfxは、今でもこのPC-FXという
ハードを愛している。自分で部品交換してメンテしながら今でも電源を入れている。

今にして「PC-FXの魅力とはなんだったのか」と問われれば、それはやはり「ハードの
特殊性からなる異端ソフトを遊べる希少性」だったと答える。もし、PC-FXがもう少し
売れていたら、ポリゴン機能を持っていたとしたら、ここまで愛する事はなかった
だろう。同じようにダメだった3DOには、このあたりの魅力はなかったと思う。

このように少数派かつ異端なものが好きなpcfxは、中世ヨーロッパに産まれていれば、
速攻で異端審問官に引っ張られていっただろう。この時代の日本でよかった。


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