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pcfx復活ブログ

中山道馬籠宿

2011年07月17日 | ドライブとかりょこうとか
友人TELの気まぐれドライブに付き合い、行き先も定かでないまま本日行ってきたのが「中山道
の馬籠(まごめ)宿」だ。

TELとはもう四半世紀の付き合いになるが、彼の考えていることは常にpcfxの想像の外にある。
今日も午後一時に電話してきて「今向かってる」とのこと。彼の車に乗りとりあえず走りだす。
毎回ここでpcfxは「どこいくの?」と質問するが大抵無駄である。決まってないのだ。


ここでTELについて少し補足説明をしておく。彼は一年中どこかで車を走らせているが、それが
商売上絶対に必要というわけではない。趣味とも言えない。なぜなら食事や睡眠を趣味として
語れないように、彼のドライブはあまりにも恒常的過ぎており、もう趣味の域を逸脱している。

pcfxが知る限り、彼の最長連続運転距離は、名古屋から仙台までの距離を車で日帰りした時だ。
しかしそのくらいなら、普通の人でも高速を往復すればできそうなのだが、実際にはTELは、
名古屋から神奈川まで行き友人を拾い、そこからすぐに仙台まで飛ばし、仙台市から山の中に
突入していった挙句「廃墟探索」をし、そのまま神奈川まで戻って友人を降ろし、その足で
名古屋まで帰ってくるのだ。ほぼ一日中ケロっとして運転している変態である。

*往復1668km


このように息をするように運転をするTELなので、pcfxと行動を共にする場合も、普通だと泊り
になるような行程は日帰りとなる。彼に付き合っていると距離感というものの普遍性が壊れて
いく。「小旅行とはどの程度のものか」という概念を見失っていくのだ。



さらに「走ること自体が目的」なので観光地に行っても温泉旅館に泊まるでも、土地の名物を
食べるわけでもない。泊まらず日帰りであり、食事はファーストフードかコンビニ飯だ。彼が
珍しく「温泉行ってきた」という場合でも、それは温泉旅館や民宿に泊まったという事ではなく、
「その土地のスーパー銭湯に行ってきた」だけだ。


さて、そんなTELとのドライブなので、pcfxはいつしか「ここへ行こうぜ!」とか、「名物食べ
ようぜ!」とか、「温泉旅館に泊まってゆっくりしていってね!」とかは考えなくなった。
否応なしに行き先はTELの気まぐれになり、コンビニでおにぎりを買い、日帰りで深夜に帰宅だ。

今回も同じようにTELの気まぐれで午後出発し、行き先を聞いても答えず、飯はコンビニである。
そんなキチガイドライブをもう何年も繰り返して慣れた。





で、行き着いた先は岐阜県中津川市にある、中山道の木曽11宿の最南端に位置する「馬籠宿
だった。TELが最初からここを目的地にしていたとは考えられない。いつも無計画だからだ。
おそらく適当に国道19号を走っていて思いついたのだろう。いつもそうだからだ。



この「中山道馬籠宿」は作家の「島崎藤村」の縁の地であり、島崎藤村といえば「破戒」が
有名だろうが、pcfxは「新生」が代表作だと思っている。性的な意味で。



道路から頂上の展望台に向かった坂道に和風な建築が立ち並び、そのほとんどが土産屋か飲食店
という商売っ気まるだしな小径だ。特にコレといったものがあるわけではないが、観光客で
賑わっている。小径には水が流れ、ところどころに鯉が飼ってあったりしており、途中途中で
買い食いしたり土産屋を冷やかしたりしながら展望台まで歩く。









展望台の辺りには昔の奉行が書いた定書のフェイクがあったり、この季節に行くと目にも鮮やか
な真っ青の紫陽花があったりして好事家には超ウケる。眺めもいい。思わず手の平に似た葉っぱ
を乾燥させたものに火をつけて口元に持って行きたくなる風景がそこにある。







観光客は大別して「子供連れの家族」「ちょっとアレなカップル」「老夫婦」「やたら長玉の
レンズをつけたカメラマン風の男」「あまりの軽装で年齢が怪しい老人」「湯けむり系OL」など
が多く、我々のような男同士の二人連れは珍しい。だが二人でバシャバシャ写真を撮ったり
ムービーを撮りまくっても怪しまれない。なぜならそのような怪しい男が割と多いからだ。
我々の目的はさておき、彼らはなにが目的でここへ来ているのだろう。撮った写真をどうする
のだろう。謎が多い人物たちである。



とにかくそこらじゅうが茶店でありお食事処なので、時間さえ外さなければ飲食に困ることは
ない。この季節なのでメインの食べ物はソバであり、メインのおやつはかき氷のようだ。今回は
珍しい事に、TELが「その辺で冷たい物でも食べるか」などと言い出した為、今日明日に地震や
天災や戦争が起こる前触れではないかと心配になる。



そこら中にある茶店から「喫茶かっぺ」を名前だけでチョイス。名前の冴えなさとは裏腹に、
ここのかき氷は絶妙な製法で作られておりオススメだ。夏期に馬籠宿にお越しの際、ご休憩は
この「喫茶かっぺ」でかき氷をお試し頂きたい。無論だがこの店に宣伝料などもらっていない。
pcfxは自分でいいと思った店しか紹介しない。







このかき氷は、氷自体の味、削り、食感も一味違う。まるで厳冬期のウラジオストック北部の
ブリザードアイスのような鋭さがあり、それでいて練乳とよく馴染む上、使っているシロップも
市販の安物のようなきつい酸味や嫌味がない。今回は氷イチゴのアイス乗せを選んだのだが、
このアイスも「その辺のアイスクリームを適当に義務感で乗せました」というようなやる気の
なさが微塵もなく、風味豊かな味わいのアイスクリームは、食べ終頃のドロドロに溶けた
かき氷の中にあってもその存在感を色濃く主張するものだ。これで¥550は安い。是非是非の
オススメである。雪女もビックリだ。



半ズボンの社交的な老紳士がカメラを持ってウロウロしてもさほど怪しまれない観光地、それが
「中山道 馬籠宿」であり、二人とも黒づくめの格好をしている我々もさほど怪しまれない。
歩いて次の宿場町まで行くもよし、坂道を歩いて登るのが超カッタりぃ人は展望台まで一気に
脇道を車で登るもよしだ。休日に行き先に迷ったら、ここへ行ってみるといい。