旅先で食べたものについていろいろ書きたいと思っていて、その第一弾として日本全国で食べた麺について「うどん編」「蕎麦編」「ラーメン編」「その他面白い麺編」について以前書いたのだけれど、今度は「めし」について少しまた書いてみたい。「めし」と言ってもいろいろあるけれども、まずはその代表選手である「丼」について。
米をワシワシと食べていると、自分が日本人であることを実感出来る。丼と言えば、一般的には「カツ丼」「天丼」「親子丼」「うな丼」「牛丼」を日本五大丼とし、さほど地方色は無いと思われているがさにあらず、食べるにしたがって個性的な丼がどんどん出てくる。え、この土地にはこんな丼があるの?という驚きは旅をしていると結構多い。麺と比べて丼は「ご当地○○」が成立しにくい分野だとは思うけれども、食べ歩くと案外個性が出るものだと思う。麺ほどツラツラとは書けないけれど、印象に残る各地の丼について並べてみようかと思う。なお、ここに書く食べ物はあくまで僕が食べた経験からであって、もちろん氷山の一角だろう。個人的な記録として見て頂きたい。
<カツ丼>
カツ丼と言えば、一般的にはトンカツを卵でとじて丼にのっけたもの。そう信じていたが、「いやそうじゃない、これがホントのカツ丼だっ」と主張する地方がある。思い込みの不明を恥じる場面もあったりするのだ。
「ソースカツ丼」
(その1)福井編
福井の旅の記事でも触れたが、かの地では「カツ丼」と言えば「ソースカツ丼」である。それだけでなく、このカツ丼は日本カツ丼の元祖という説もあり、実に伝統がある。
丼めしの上に、柔らかなロースを…そうだな、手のひら半分くらい(もう少し大きいか?)の大きさで厚くもなくさりとて薄すぎもせずちょうどいい厚さにカットして、ごく細かいパン粉をまぶして揚げる。ソースを絡めてそれがめしの上に三切れのっている。カツが大きいので折り重なるようになっている。地元の人は、それでは食べにくいのでまず丼の蓋にカツを一切れないし二切れ移して、丼上に余地を作ってから食べる。これが美味いんだな。もはや病みつきである。
(その2)長野駒ヶ根編
かの地でもソースカツ丼が有名。ここは福井と違ってご飯の上にキャベツが敷かれていて、カツも大きく、ロースの分厚いカットをそのまま揚げて一口大に切ってある。トンカツ定食がひとつにまとまった感じだろうか。これもまた美味い。
さて、同じ長野で大町などでもソースカツ丼を食べたことがあるし、信州ではソースが優勢なのかもしれない。話によると桐生や会津若松でもソースカツ丼らしい。まだ食する機会がないのが残念である。
「醤油カツ丼」
新潟では、醤油味のタレにくぐらせたカツを丼にしたカツ丼がある。最初に食べた店の名前は失念したのだが、普通に注文して予期せずこの醤油味カツ丼が出てきたので驚いた。あっさりしていてこれが美味いんだな。「政ちゃん」などの名店もあり、醤油カツ丼文化は定着しているようである。カツの大きさや厚さは福井に似ている。中入れカツ丼もあったりする。美味いのでこれはあちこちにもっと出来てもいいのに。
「味噌カツ丼」
言わずと知れた名古屋名物「みそかつ」を丼にした逸品。八丁味噌を甘めに味付けしてカツに絡めて丼にのっける。癖になる美味さ。独特の名古屋の味覚だろう。僕は「矢場とん」などの有名店で食べるが、隠れた名店も多いらしい。
「ドミカツ丼」
岡山でしか味わえない「ドミカツ丼」。岡山では一般的だとか。カツにドミグラスソースがかかっていて、洋食テイストがあり実に美味いのだ。女房が大ファンで連れてけ連れてけとうるさい。僕は「だて」の卵を落としたドミカツ丼が好きで、岡山に行くとつい寄る。なんでこれが全国的に無いのか。近所にあればもっと通うのに。
(番外)「かつめし」
これは正確には丼ではなくライスものに分類すべきだが、皿にライスを盛り、その上にビーフカツをのせて(トンカツの場合もある)、ドミグラスソースをたっぷりかけて供される。これは本当に地方限定の食べ物で、兵庫県播磨地方東部、もう少し言えば加古川市を中心にした地域でのみ存在して、他では「かつめし」と言っても通用しないが、加古川ではラーメン屋でも喫茶店でも置いてある。地方限定と言えばこれほど限定食もない。美味いよ。
<天丼>
天丼はカツ丼ほどバリエーションはないと思う。しかしながら、心に残ったいくつかの天丼を。
「江戸前天丼」
いわずと知れた天丼の王道。東京に行くと天丼もよく食べる。「土手の伊勢屋」「まさる」などの名代の店。また銀座の天國なども、夜はとても敷居が高いが昼に天丼なら気軽に食べられる。神田のいもやなどは入り易い。
東京の天ぷらは胡麻油でカリッと揚げたものが多く、丼つゆも甘辛くて濃い。関西の天ぷらと比べて少々もたれる感じがどうしてもするが、毎日食べるものではなし良しとするか。
銀座の老舗「橋善」が店を閉めてしばらく経つ。ここは天丼発祥の店という説もあり、巨大なかき揚げ丼は東京名物だったと思うのだが残念。家族に食べさせたかった。
「桜海老かき揚げ丼」
静岡、駿河湾の名産サクラエビ。これをかき揚げにして丼にすると美味いよ。由比町周辺だと食べられるところが多い。サクサク♪
「みそ天丼」
これは信州諏訪の天丼で、具材も地元の山菜や川魚を活用して、味噌ダレをかけていただくというもの。詳しいことは知らないがおそらくは伝統の味ではないようだ。「町おこし」の企画モノか。しかしながら、今後定着して名物になるやもしれず、(偶然でしたが)早めに食べてよかったと思う。
「豚天丼」
どれだけ一般的な食べ物かは知らない。北海道で初めて食べたのだがなかなかいける。帯広には「豚丼(後述したい)」があるので豚天丼があってもおかしくはないのだが。倶知安にもあったと思うのだが一般的なのかどうか?
「とり天丼」
大分には「とり天」という郷土料理がある。下味をつけた鶏肉をてんぷらにしたものだが、明らかにコロモがついていて竜田揚げとは違う。これを丼にしたものだが、美味いですよ。
次回に続く。次はうな丼か?
米をワシワシと食べていると、自分が日本人であることを実感出来る。丼と言えば、一般的には「カツ丼」「天丼」「親子丼」「うな丼」「牛丼」を日本五大丼とし、さほど地方色は無いと思われているがさにあらず、食べるにしたがって個性的な丼がどんどん出てくる。え、この土地にはこんな丼があるの?という驚きは旅をしていると結構多い。麺と比べて丼は「ご当地○○」が成立しにくい分野だとは思うけれども、食べ歩くと案外個性が出るものだと思う。麺ほどツラツラとは書けないけれど、印象に残る各地の丼について並べてみようかと思う。なお、ここに書く食べ物はあくまで僕が食べた経験からであって、もちろん氷山の一角だろう。個人的な記録として見て頂きたい。
<カツ丼>
カツ丼と言えば、一般的にはトンカツを卵でとじて丼にのっけたもの。そう信じていたが、「いやそうじゃない、これがホントのカツ丼だっ」と主張する地方がある。思い込みの不明を恥じる場面もあったりするのだ。
「ソースカツ丼」
(その1)福井編
福井の旅の記事でも触れたが、かの地では「カツ丼」と言えば「ソースカツ丼」である。それだけでなく、このカツ丼は日本カツ丼の元祖という説もあり、実に伝統がある。
丼めしの上に、柔らかなロースを…そうだな、手のひら半分くらい(もう少し大きいか?)の大きさで厚くもなくさりとて薄すぎもせずちょうどいい厚さにカットして、ごく細かいパン粉をまぶして揚げる。ソースを絡めてそれがめしの上に三切れのっている。カツが大きいので折り重なるようになっている。地元の人は、それでは食べにくいのでまず丼の蓋にカツを一切れないし二切れ移して、丼上に余地を作ってから食べる。これが美味いんだな。もはや病みつきである。
(その2)長野駒ヶ根編
かの地でもソースカツ丼が有名。ここは福井と違ってご飯の上にキャベツが敷かれていて、カツも大きく、ロースの分厚いカットをそのまま揚げて一口大に切ってある。トンカツ定食がひとつにまとまった感じだろうか。これもまた美味い。
さて、同じ長野で大町などでもソースカツ丼を食べたことがあるし、信州ではソースが優勢なのかもしれない。話によると桐生や会津若松でもソースカツ丼らしい。まだ食する機会がないのが残念である。
「醤油カツ丼」
新潟では、醤油味のタレにくぐらせたカツを丼にしたカツ丼がある。最初に食べた店の名前は失念したのだが、普通に注文して予期せずこの醤油味カツ丼が出てきたので驚いた。あっさりしていてこれが美味いんだな。「政ちゃん」などの名店もあり、醤油カツ丼文化は定着しているようである。カツの大きさや厚さは福井に似ている。中入れカツ丼もあったりする。美味いのでこれはあちこちにもっと出来てもいいのに。
「味噌カツ丼」
言わずと知れた名古屋名物「みそかつ」を丼にした逸品。八丁味噌を甘めに味付けしてカツに絡めて丼にのっける。癖になる美味さ。独特の名古屋の味覚だろう。僕は「矢場とん」などの有名店で食べるが、隠れた名店も多いらしい。
「ドミカツ丼」
岡山でしか味わえない「ドミカツ丼」。岡山では一般的だとか。カツにドミグラスソースがかかっていて、洋食テイストがあり実に美味いのだ。女房が大ファンで連れてけ連れてけとうるさい。僕は「だて」の卵を落としたドミカツ丼が好きで、岡山に行くとつい寄る。なんでこれが全国的に無いのか。近所にあればもっと通うのに。
(番外)「かつめし」
これは正確には丼ではなくライスものに分類すべきだが、皿にライスを盛り、その上にビーフカツをのせて(トンカツの場合もある)、ドミグラスソースをたっぷりかけて供される。これは本当に地方限定の食べ物で、兵庫県播磨地方東部、もう少し言えば加古川市を中心にした地域でのみ存在して、他では「かつめし」と言っても通用しないが、加古川ではラーメン屋でも喫茶店でも置いてある。地方限定と言えばこれほど限定食もない。美味いよ。
<天丼>
天丼はカツ丼ほどバリエーションはないと思う。しかしながら、心に残ったいくつかの天丼を。
「江戸前天丼」
いわずと知れた天丼の王道。東京に行くと天丼もよく食べる。「土手の伊勢屋」「まさる」などの名代の店。また銀座の天國なども、夜はとても敷居が高いが昼に天丼なら気軽に食べられる。神田のいもやなどは入り易い。
東京の天ぷらは胡麻油でカリッと揚げたものが多く、丼つゆも甘辛くて濃い。関西の天ぷらと比べて少々もたれる感じがどうしてもするが、毎日食べるものではなし良しとするか。
銀座の老舗「橋善」が店を閉めてしばらく経つ。ここは天丼発祥の店という説もあり、巨大なかき揚げ丼は東京名物だったと思うのだが残念。家族に食べさせたかった。
「桜海老かき揚げ丼」
静岡、駿河湾の名産サクラエビ。これをかき揚げにして丼にすると美味いよ。由比町周辺だと食べられるところが多い。サクサク♪
「みそ天丼」
これは信州諏訪の天丼で、具材も地元の山菜や川魚を活用して、味噌ダレをかけていただくというもの。詳しいことは知らないがおそらくは伝統の味ではないようだ。「町おこし」の企画モノか。しかしながら、今後定着して名物になるやもしれず、(偶然でしたが)早めに食べてよかったと思う。
「豚天丼」
どれだけ一般的な食べ物かは知らない。北海道で初めて食べたのだがなかなかいける。帯広には「豚丼(後述したい)」があるので豚天丼があってもおかしくはないのだが。倶知安にもあったと思うのだが一般的なのかどうか?
「とり天丼」
大分には「とり天」という郷土料理がある。下味をつけた鶏肉をてんぷらにしたものだが、明らかにコロモがついていて竜田揚げとは違う。これを丼にしたものだが、美味いですよ。
次回に続く。次はうな丼か?
何で銀座の橋善が店を閉めたって知ってるの?って感じです。
そう言えば以前秋田屋のこともご存知でしたね
今朝のニュースで「フードアナリスト」の試験の話をやっていましたが凛太郎さんなら合格間違いナシですね!!!!
ちなみに私は桜海老かき揚げ丼、大好きです
橋善は、何年前でしたっけねぇ…東京に行ったときに食べようと思って前まで行ったら「休業」の文字が出ていたのです。ショックでしたね。
ところで、岡山ではドミカツ丼の名店がたくさんありますが、倉敷ではどうなんでしょうかね? 同じ県内でも違うのかな?