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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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未定義③キーにあてる別口入力キー候補その5…[さ][み][げ]

2018-04-01 | 別口入力にまつわる諸問題
「でにをは」などの助詞、あるいは形容動詞の活用語尾「だ、な」、そして「でs」やル形動詞の「○R/×r」などの区切りマーカー/機能語配置マーカーとして提案してきた別口入力ですが、
細かい点では文法上も表記上も一種独特のはたらきをする部品もあったりしますのでこの際、新設・別口入力キーの検討候補としてこれらについても考察していきたいかと思います。

今回対象とするのは複数ありまして、ひとつひとつでは採用要件には満たないかもしれないが、アソート(詰め合わせ)的にマルチにふるまう別口入力にすれば使いでもあるかな…ということで3つ要素/語素を選んでみました。
候補に挙がったのはイ形容詞を名詞化する接尾辞「さ」「み」とイ形容詞をナ形容詞化する接尾辞「げ」です。
だいたい名詞化する接尾辞といえば「さ」「み」「け」とでワンセットのように紹介されていることが多いのですが「け」は他の2つに比べると造語力もあまりなさそうですし「茶目っ気」「山っ気」のように「っけ」の形で登場する場合などは誤変換にもさほど惑わされないだろうとの思惑で決め手を欠いたためあきらめ、代わりにより生産力の高そうな「げ」を候補にもってきました。

アソートというのは「さ/み/げ」の選択を入力逐次で登場時にトグルさせるか、変換前文字列が打ち終わって最初の変換キーを押した後提示されるタイミングでその時念頭に置いていた「さ/み/げ」を随意トグルさせていくか、
あるいは変換キーを押したときに文脈を解析して適切な「さ/み/げ」をワイルドカード的にコンピュータが自動選択提示する方式で決めていくスタイルを想定しています。
もちろん一発でユーザーの意に沿った「さ/み/げ」がきちんと当てはめられない場合はさかのぼって修正/選択作業をするという手間がかかりそうですが、
「--(さ)が求められる」「--(さ)を発揮する」「意識の--(さ)がうかがえる」といった場合にはワイルドカードは「さ」を提示するが妥当ですし(語彙的ヒントからの類推)、
「とても--(み)がある」「ほのかに--(み)が感じられる」などのときには「み」を有力候補とするのが良さそうです(先行副詞との係りを考慮)。
さらに「げ」では「--(げ)な少女」「--は--(げ)だ」の形から読み取って「げ」あてるのも、ナ形容詞の前に来る・ナ形容詞あるいは助動詞「だ」の述語文-という文のタイプから導き出すこともできます(配置的・文法的に可能性のある辞を選択)。
こういった具合にうまく処理していくことができれば、あいまいなケースを除いてさらに学習効果なども加味すればいくらかは心外な誤変換に出くわすことも減ってくるかと思います。
最後はやはりトグルで微調整をするという道が残っておりますが、おまかせ気分的なユーザー心理からはトグル選択時の提示はより適切な順序でオーダーされたトグルの方が機械的に(さ→み→げ)と循環するやり方よりもスマートではないかと思います。
選択決定のインターフェイス的な細かな挙動も変換キー連続押しでの変換候補の提示を進行しつつもそれとは別系統で「さ/み/げ」の局所的なチューニングをこの3ウェイ別口入力のキーを押す限りにおいては独立して個別箇所に変換を作用させていく仕組みがあれば流れを邪魔せずにいい具合なのではないでしょうか。
それまでの変換キーでの候補提示には影響を最小限に抑えて別口入力ではあくまでも「さ/み/げ」細部の微調整にとどまるというミクロな調整です。
通常変換各々の分節フォーカスも保存しつつ、別口入力は別口入力で変換文全体に立ち返って「さ/み/げ」の該当部分だけにひと跳びで作用させてそののち再び変換候補連続押しのフェイズに入ったら何事もなかったかのように分節チャンクの適宜提示は依然として継続していく…という形、つまり別口入力も変換キーでの入力も互いに干渉することなく並行していく…
という違和感のない所までインターフェイスを作り込んでいければ何も言うことはありません。

一方、「め」が候補に入らなかったのは同じような機能をもつ「げ」にその座を譲ったためです。この二つは競合するので二つとも入れるわけにはいかないのでより注意深く吟味してより生産力の高そうな「げ」を重く見ました。
単に頻度だけからいえば「め」の方をとる方が合理的かもしれませんが「げ」には「エキサイティングげ」「アレげ」といった語幹カナ+接尾辞「げ」の形のものも表記上では十分あり得ますし、
「げ」よりわずかでも頻度の高い「め」を入力する段においてはより見かけやすいものは特段の配慮なく標準のべた入力の流れで打鍵し、ちょっとマイナーなものは意識して別口入力を伴う入力にするというのが異質な誤変換を生み出さない構えとしても至極自然な考え方だろうかと思いますのでこのような判断になりました。
ただ「げ」はその性質ゆえに同じく別口入力の「な」「だ」と連続してしまう点が地味に煩雑ではありますが、「さ」も「み」も格助詞「が」「を」にはすぐつながりますし多少の違いはあれど別口入力の連続打鍵になってしまうのは致し方ない事だろうと思います。
一応キーボード盤面左辺縁部と離れたところにキーがあるので盤面手前の親指で別口入力のキー群が並ぶ領域でごにょごにょやるわけではないのが救いといったところです。

…以上でアソートとしての別口入力[さ][み][げ]について大まかな見解を述べていきましたが、これで終わりというわけではありません。
「み」には漢字表記の方の「味」もありますし同様に「げ」も漢字表記の「気」が慣用的に適している、あるいはユーザーの指向で漢字の方を使いたい…などの使い分けが求められる場合もあります。
また語意/用法/機能の面からも微妙なニュアンスの違いであったりとか言語観の背景であったりとかの説明もさらに突っ込んで書き加えていく余地も残されています。
これらの課題・補足は追記として次回に記事をいずれ上げようかと思っておりますのでこの稿で言い足りなかった種々の考察点などをまとめていきたいかと思います。

アソートといってもどれもが機能的にも語彙的にもユニークなものですので、こうして一段別に別口入力の検討候補にのぼるにふさわしい価値をもった辞であると思います。
ですのでやはり深く掘り下げていくことが必要でしょう。追記完成までしばらくお待ちください。

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