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退職オヤジのひとりごと

退職オヤジが直面する新しい日々…感動か困惑か?
カオスの日々を綴ります

検証「地位協定」

2025年04月22日 06時59分02秒 | 本を読みました

琉球新報社・地位協定取材班の『 検証〔地位協定〕日米不平等の源流 』を読みました。


「他策ナカリシヲ・・・」とは違って、腹立たしいことが多く平常心で読むことができないことで、ことのほか時間を使いやっと読み終わりました。

この本の内容は、

はじめに
 Ⅰ 米軍ヘリ墜落事故 「主権なき国家」の実態
 Ⅱ 日米地位協定とは何か
 Ⅲ 米軍優位の「増補版」
  1 検証 日米地位協定の矛盾
  2 解説「日米地位協定の考え方・増補版」のポイント
 Ⅳ 検証 日米不平等の源流
  1 機密
  2 実態
 Ⅴ 識者が読み、語る 機密文書と地位協定
    1 識者が分析する機密文書
  2 焦点インタビュー=地位協定を問う
 Ⅵ 緊急フォーラム「日米地位協定を考える」
日米地位協定関連略年表
あとがき


特に腹立たしかったのは、「Ⅳー2実態」。
機密文書「日米地位協定の考え方」に沿って諸問題の解決にあたっているというのですが、その実態は<米軍に媚びへつらう>そのままのような気がします。

<2実態>では、
〔環境行政の壁〕環境汚染に対し米軍側が配慮しようとしていた「環境に関する協力について」環境庁が公表しなかったので、沖縄県は知るよしもなかった。
〔跡利用の影〕返還が合意された土地の所有者にVRでしか汚染された現状を見せなかった。
〔仮返還の優うつ〕PCB汚染された土地は原状回復されずに返還され、汚染土は島外に出せない。
〔地中のドラム缶〕米軍は使用済みとなったタール状油脂をドラム缶に詰め、地中に埋めた。
〔横須賀基地12号バース〕有害物質を地中に埋め、土をアスファルトで覆っただけで処理。
〔免罪符〕米本国では通用しない有害物質の処理方法で、沖縄は汚染されている。
〔米国の思惑〕あの手この手で「原状回復義務」の回避を狙う。
〔低空飛行〕高度300mの最低高度を無視し小学校上空を高度230mで飛行。(イタリアでは交渉の末実質飛行禁止にした)
〔身柄引き渡し〕米兵強盗事件の犯人は軍が拘束しなかったため、本国に逃げ帰った。
〔都市型戦闘訓練施設〕重さ5㎏の砲弾破片が住宅の屋根床板を貫通した。
〔五分の一の自動車税〕米国人の私有車両にYナンバーが付けられ自動車税が五分の一になる。
〔爆音賠償金未払い〕基地爆音訴訟の賠償金15億4千万円を日本政府が肩代わりしたが、その後地位協定では支払い義務のある米軍は未払いのまま。
〔遺跡破損〕平敷原遺跡を米空軍がレーダー建設のため破壊した。
〔基地従業員〕横田基地で、日本人従業員に人権を無視した異常な労働を強いた。
〔基地従業員ハンドブック〕福利厚生制度などの記載のある小冊子の配布を米軍側は禁止した。
〔思いやり予算〕贅沢な家族住宅で、旅行中も電気代がタダのため冷房を入れ続けろとメイドが指示された。
〔忘れられた島〕「沖縄は大変ですね」と東京・神奈川の米軍基地担当局の職員が発言。同じ基地なのに、その実態は本土と沖縄では大きく違う。

 

いつも思う『国』・・・普通に考えれば私も国の一部なのに、国側の発言と自分の考えとの乖離が甚だしいのは何故だろう・・・と。
『悪法もまた法なり』とも云いますが、法ではなく密約であることに腹が立ちます。


日米安保とアメリカ優位の地位協定を絡めて考えるから矛盾だらけになる気がします。

単純に「兵士の犯罪は国内法で罰せられる」「日本の国土を汚染させることはゆるされない」と考えたら解決への道は開けるのではないだろうか。米本土でダメなことは、日本でもダメだと思うのです。


どうも未だに抜け切れていない「占領下での奉公人根性」と、戦前にあったと思われる「兵隊さんは偉い人」的な感覚を米兵に向けている気がするのです。

 

「日米地位協定の考え方」で運用し続ける「地位協定」です。

日本にとって「安政の五ヶ国条約」にも似たこの協定を見直そうとする岩倉使節団や小村寿太郎のような人が出てきてほしいものです。

この問題を沖縄だけのものにしないためにも、多くの人が読んだ方が良い本だと感じました。