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退職オヤジのひとりごと

退職オヤジが直面する新しい日々…感動か困惑か?
カオスの日々を綴ります

SNS選挙という罠

2025年08月12日 04時52分08秒 | 本を読みました

物江潤氏の『 SNS選挙という罠 』を読みました。


本屋さんの新書のコーナーでぶらぶらしていた時、ふと目につきました。

最近、選挙が様変わりしていることを感じていたので、思わず買い求めました。


内容は、

はじめに
第一章 SNS選挙の問題点
第二章 兵庫県知事選を振り替える
第三章 ストーリー参加型選挙の危険性
第四章 戦後最大の思想家・吉本隆明
第五章 偽りのストーリーを破壊する
第六章 自立の思想
おわりに


前半は現状の検証。後半は過去の事例との共通項を見いだすことによる考察・・・といった流れでしょうか。


印象に残るフレーズは沢山ありました。
いくつか挙げてみると・・・

迷惑系ユーチューバーのように、金のためであれば手段を選ばない人々がネット上で続出する。

極論であるほど注目を集めて力を持つ。

ネットリテラシーを高めることで真偽を見極めるという作戦は、AIに真っ向から勝負を挑むようなもので無理筋です。

対話的理性道具的理性

敵と味方を峻別する「味方であればどんな悪行をしても善」「敵であればどれほどの善行をしても悪」     愛国無罪・反日無罪もそれでしょうか。

                            
「正義の反対は悪ではない、また別の正義だ」という言葉を思い出しました。

 

膨大な数のポストの中で、思わずスクロールする手を止めて読み始めてしまうのは、読めばすぐ理解でき賛同してしまう刺激的でよりシンプルなもの、つまり極論。

SNSの世界では、対話的理性が発揮され対立する論者間で合意形成が成立することなど無い。

岩盤支持層は自説の正しさを確信していて対話的理性による合意形成は望んでいない。
・・・これって最近の政治家さんたちが陥っている(利用している)現象でしょうか。

一般社団法人はお金を払えばだれでも設立できる。
一般社団法人が発信していること全てを鵜呑みにする事は危険と云うことですね。

保守インフルエンサーが、敵対するインフルエンサーの主張を引用した上で「このままでは日本が終わる、こんな人たちをのさばらせないために、我々は立ち上がらなくてはならない!」といい、「攻撃せよ」とは命じないものの、暗に指示している。
安倍元首相がそんなこと言ってました。トランプさんもこの手法ですかね。

他人が作った二項対立の土俵に乗れば、それは思考停止と同じ。

SNS上のストーリーに乗ることは、「自分の頭で考えること」を放棄するだけでなく、これまで自分が考えてきたことを含む自分の過去を軽んじてしまうこと。


自分に自信を持ちつつ「対話的理性による合意形成」のできる柔軟さが必要だと感じました。


世界のニュースを日本人は何も知らない

2025年08月05日 11時39分36秒 | 本を読みました

谷本真由美氏の『 世界のニュースを日本人は何も知らない 』を読みました。


外国人の目に日本がどう写っているかのTV番組は多くあるのですが、日本文化を賞賛するばかりでホントなのかと思い、購入した本です。

内容は、

はじめに
第 1 章 日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか
第 2 章 世界の「常識」を日本人は何も知らない
第 3 章 世界の「表と裏」を日本人は何も知らない
第 4 章 世界の「国民性」を日本人は何も知らない
第 5 章 世界の「マスク騒動」を日本人は何も知らない
第 6 章 世界の「オリンピック熱」を日本人は何も知らない
第 7 章 日本人は「ロシア」のことを何も知らない
第 8 章 世界の「イスラエル・ハマス戦争」を日本人は何も知らない
第 9 章 世界の「あるもの/ないもの」を日本人は何も知らない
第10章 世界の「日本の人気」を日本人は何も知らない
第11章 世界の「エンタメ事情」を日本人は何も知らない
第12章 世界の重大ニュースを知る方法
おわりに


元国連職員の著者。ご主人がイギリス人でイギリス在住であることを考えると、そちら目線かなとも思います。


最近「ワールドニュース」を見ていて、そこで扱われているニュースと、日本国内で騒がれているそれとの乖離に驚くことが多いです。

そこで、自分なりに情報源を増やす意味でも、この本を手に取ったことは正解だったと思います。


あとは、著者も言っているように、自分自身が情報を選択する眼を持つことで、特に過激な表現に振り回されないようにすることが必要だと、改めて思いました。


無敵の思考

2025年07月25日 03時32分48秒 | 本を読みました

ひろゆき氏の『 無敵の思考 』を読みました。


このところ堅苦しい本ばかりでしたので、リラックスして読めるものを選びました。

内容は、

はじめに
序 章 そもそもの「ルール」論
第1章 これだけで幸せになれる「考え方」のルール
   1何事も最初は「仮説」を立てる 2「年上」の言うことは聞いておく
   3「根拠のない自信」を持つ 4「モノづくり」をする
   5イヤなことは「自己正当化」で消す 6「知的好奇心」をすぐに満たす
   7自分が「寝たいとき」に寝る
第2章 これだけで勝てる「能力と仕事」のルール
   8「記憶力」を気にしない 9仕事の「選び方」を間違えない
   10「好きすぎること」で食わない 11「ストレスマネジメント」を徹底する
   12「長く役に立つ本」を読む 13「努力しないための努力」をする
   14「最悪シミュレーション」をしておく
第3章 これだけで損しない「お金」のルール
   15「金銭感覚」を保っておく 16「プレゼン力」で物を手に入れる
   17お金で「問題解決」をしない 18「払いたくない支出」を明確にする
   19「元を取ること」を考える 20買い物は「思想」と「機能」に分ける
   21「運」について考えておく
終 章 二極化の未来に備えよう
おわりに
文庫のためのあとがき


納得する部分や、自分とは考え方が違うと感じる部分など様々でしたが、氏の目の付け所に感心することが多々ありました。

「地頭の良さは出身大学よりも出身高校で判断する・・・」などの下りは面白かったです。


テクノ封建制

2025年07月09日 10時54分12秒 | 本を読みました

ヤニス・バルファキス氏の『 テクノ封建制 』を読みました。


氏は2015年のギリシャ経済危機の際に財務大臣に就任した方です。

内容は、

はじめに
第一章 ヘシオドスのぼやき
第二章 資本主義のメタモルフォーゼ
第三章 クラウド資本
第四章 クラウド領主の登場と利潤の終焉
第五章 ひとことで言い表すと?
第六章 新たな冷戦
第七章 テクノ封建制からの脱却
附記・謝辞・解説

 

経済学を理解する力が乏しい私にとって、知らない言葉のオンパレードで『難解』そのものでした。

 

一つ解ったことは、GAFAMなどにより、ネットのプラットフォームが独占され、私たちは知らないうちにデジタル・プロレタリアート(プレカリアート?)になっていて、いつの間にか巨大資本に労働力を搾取されている・・・ということらしい。(まだ、実感として解っていない自分がいます)
いわゆる『デジタル植民地』になると云うことでしょうか。
     

「失われた30年」って、こんな処も指しているのだと気づかされました。



初めて知ったのは「仮想通貨ビットコイン」のスタートは、サトシ・ナカモトという人の論文からだと云うこと。(サトシ・ナカモト氏が誰かは解りません。国籍も不明です。)

仮想通貨そのものを理解していないのですが、銀行を介さないことによるメリットがあるとのことでした。

そういえば、自分の預金を引き出すのに手数料がかかったりする事に、モヤモヤしていた自分を思い出し、そんなところから生まれたのかな・・・なんて思ったりしました。

 

心にゆとりが持てる時が来たら、もう一度少しずつ読み返してみようと思います。(付箋を付けたところだけ)

 

今は、この私にとって難解な本から解放されてホットしている自分です。


福島第一原発事故の「真実」検証編

2025年05月23日 03時36分26秒 | 本を読みました

NHKメルトダウン取材班の『 福島第一原発事故の「真実」検証編 』を読みました。


以前「ドキュメント編」を読んだので、続けて読み始めました。が、624頁ということで時間がかかってしまいました。

内容は、

まえがき
第1章 なぜイソコン停止は見過ごされたのか?
第2章 なぜイソコンは40年間動いていなかったのか?
第3章 歴史から学ぶアメリカ、学ばない日本
第4章 ベントはなぜかくも遅れたのか?
第5章 吉田所長が遺した「謎の言葉」 ベントは本当に成功したのか?
第6章 冷却の死角
第7章 1号機 届かなかった海水注入
第8章 検証 東電テレビ会議 AIが解き明かす吉田所長の「極限の疲労」
第9章 巨大津波への備えは本当にできなかったのか?
第10章 緊急時の減圧装置が働かなかったのはなぜか
第11章 吉田たちを追い詰めた「2号機」の原子炉で起きていた“想定外の事態”
第12章 最悪を免れたはずの3号機原子炉で起きていたもうひとつの“想定外の事態”
第13章 残された最大の謎 1号機はなぜ破壊を免れたのか?
エピローグ 途上の「真実」

聞き慣れない用語も多いですが、疑問から検証への流れは素人の私でも入りやすいものでした。


事故後よく云われていた、「官邸」や「本社」の事故対応に対する現場への介入もさることながら、

特に印象的だったのは、
非常用冷却装置(イソコン)を使用しての訓練を一度もしていなかったこと。
もし、格納容器が(水素)爆発して大量の放射性物質が放出されると、半径170㎞圏内が強制移住基準(チェルノブイリ)に達し、250㎞圏内が住民が移住を希望した場合認めるべき汚染地域となること。 (170㎞は古賀・一関辺りまで  250㎞は横浜・盛岡辺りまで)

そして衝撃的だったのは、今回の事故がこの程度で済んだことは、人的作業の結果というよりは、幾つかの偶然が重なった結果であったということ。
例えば2号機の場合、消防車の燃料切れで原子炉に注水できなかったことが「水ージルコニウム反応」を抑制し、メルトダウンの進展が抑えられたことは、とても驚かされた。
 <ジルコニウム

 

まだまだ事故の真相は明らかになっていないし、廃炉作業も10年以上遅れて見通しが立っていません。人類は原子力をコントロールできていないのではないか。

そんな中で、原発を輸出しようとする政府の発想は理解できない。頓挫して当然と思えた。