NHKメルトダウン取材班の『 福島第一原発事故の「真実」ドキュメント編 』を読みました。
3月11日に合わせて読み切ろうと思ったのですが、「他策ナカリシヲ・・・」でことのほか時間を使い、遅れて読み終わりました。
この本の内容は、
プロローグ
第1章 想定外の全電源喪失
第2章 運命のイソコン
第3章 決死隊のベント
第4章 ノーマークの水素爆発
第5章 3号機 水素爆発の恐怖
第6章 加速する連鎖 2号機の危機
第7章 使用済み核燃料の恐怖
第8章 決死への報奨
解説 執筆者一覧
内容は、福島第一原発事故での東電や官邸の対応、現場での仕事ぶりを時系列に事実を挙げたものでした。
印象に残った部分は
『・・・原発事故の際に、国や県が病院の避難を支援する仕組みはなく、県の防災計画では「避難先や搬送方法、連絡手段などは、病院が自ら確保すること」とされていた。・・・』
『日本の原発には、2020年時点で全国で1万6千トンあまりの使用済み核燃料が燃料プールにたまっている。・・・六ヶ所村再処理工場は一度も本格稼働はしていない。・・・』
など、その他多くありました。
解説で、加藤陽子東大教授がふれていましたが、取材班の、今後起こるかもしれない事故に絶えられるような体制作りのために後世に記録を残したい、という意思が感じられました。
逆に、その理由が、東電内の意思決定の過程が解る記録にアクセスできない現実があり、政府中枢の原子力災害対策本部会議の議事録等が公文書として作成保存されていないということに、驚かされました。
行政の「隠蔽」だけではなく、都合の悪いことは記録さえせず、「忘却」の彼方へ追いやる体質に情けなくなりました。
あの不幸な経験を人類の財産として後世に残すことは、被害者への補償同様に大切なことだと思います。
引き続き『検証編』も読んでみようと思いました。