じゃあ、行ってくるよ。
いってらっしゃ~い、気を付けてね~
父ちゃんは、気にかけるように上を見上げると、
『そろそろだな…』と言って仕事に出かけた。
母ちゃんも玄関を、出たり入ったりして何度も上を見上げてる。
あたしは、ずーっと寝不足だった
まだ、お外が暗いうちから嫌がらせのように鳴き始めるセミたち…
そして、あのシジュウカラ親子……
あたしは網戸越しに上の方に向かって『キーッ』っと、
にらんでやった。
『ごらーッ!!なんなのよッ!!チーーーーッ!!』
まずいッ!……親鳥が見てた……反対に威嚇された
****************************
小さな訪問者。今回その姿をレンズに納めることは出来ませんでした。
警戒心の強い親鳥を刺激しては、ヒナへの給餌にも影響が出ると思い、
巣立ちまでの数日間を静かに見守る事にしました。
私達どんぐり家族が、その気配を感じたのは何日も経ってからの事でした。
それまでは、けたたましいセミの声にかき消され、誰もその存在に気付きませんでした。
おい、母ちゃん、セミは『チーッチーッ!』って鳴くか?
えッ??
気のせいかな~っと思ってたんだが、明け方近くになると
頭の上の方から『ツイーッ!チーチーッ』って
甲高い声が聞こえるんだよ
ちょっと、部屋の外みて見るか?
母ちゃん、いたぞ!ほら!あれはシジュウカラか?あーッ、逃げた!!
シーッ!父ちゃん、静かにして……この上からヒナの鳴き声が…
ん??…電気メーターボックスの中だ。
口に何か加えてたけど、あれはきっと親鳥だな、給餌の最中だったのか?
おどかして可哀そうな事したな~
***************************
この日から、父ちゃんと母ちゃんは、あたしをそっちのけ……
シジュウカラとやらのヒナの事ばかり気遣っている。
少しはあたしの身にもなってほしい……
朝早くから頭の上で『チーチーッチチーツ!!』って鳴かれたら、
たまったものじゃないッ!!
ヒナ達のエサをねだる声も、日増しに大きくなってきました。
エサを探して回る親鳥も大変です。それぞれのヒナ達にまんべんなく
エサを与えるには、休む間もなく次のエサを探しに行かなくてはいけません。
ヒナの様子を見る事は出来ませんが、声の大きさからして、
かなり大きくなってるようでした。
この頃になると、親鳥もヒナ達に直接エサを与えず近くの枝に止まって、
巣立ちを促すようになりました。
母ちゃんは、巣立ちの瞬間だけでも写真に撮りたかったみたいだけど、
親鳥と目が合った瞬間!!『キーッ!』と睨まれあきらめたようだ。
シジュウカラを、あんなに間近で見たのは初めてよ、
真っ白なほっぺに、黒いネクタイが良く似合って本当に可愛いわね~
アホか!!
同じ鳥に変わりないでしょッ!
『可愛い~可愛い…』って、聞かされるあたしの身にもなって
傷つくじゃないッ…まったく、もッ!
それだったら、スズメちゃん達の茶色いお帽子も、
おしゃれで可愛いと思う。
カラスくん達だって『俺たちは、いつも礼服でビシッと
決めてるからなっ!冠婚葬祭、何があってもこのまま出席できるぞっ!』
って自慢するかも知れない。
あたしだって、ピンクの口紅に真っ白なお洋服。
純白の花嫁さんに見えると思う。
ちょっと行きそびれたけど……ちがうッ!!
まだ間に合うッ! 急げば間に合う かも……
*****************************
チビちゃ~ん、見て見てッ、
お母さん鳥が、ヒナちゃん達にエサを見せて、
『頑張ってここまで飛んで来なさ~い』って言ってるわよ。
そろそろ巣立ちの時ね……寂しくなっちゃうわね
母ちゃんは、網戸にへばりつきながら心配そうにお外を見ている。
上からは、決死の覚悟で飛び立とうとするヒナの切羽詰まった声が聞こえてきた
あたしだって、早起きだけど…あんなに暗い内から起こされたくない
ヒナちゃん達に早く巣立ってもらわないと…
思わず外に向かって『ヒナちゃん、頑張れーッ!』って言ってしまった。
『お~い!お前も早く飛べるようにガンバレよ~ッ』
『………』言わなきゃ良かった…少しだけ後悔した…
そして、その日の昼、ヒナちゃん達は見事、巣立ちに成功した。
最後のコは少し時間がかかったけど、お母さん鳥が
大きなムシを見せたとたん、『チチーッ!!』と鳴いて飛びたった。
体は、ちっちゃいけど人一倍食いしん坊だ……ガンバレ!!
いってらっしゃ~い、気を付けてね~
父ちゃんは、気にかけるように上を見上げると、
『そろそろだな…』と言って仕事に出かけた。
母ちゃんも玄関を、出たり入ったりして何度も上を見上げてる。
あたしは、ずーっと寝不足だった
まだ、お外が暗いうちから嫌がらせのように鳴き始めるセミたち…
そして、あのシジュウカラ親子……
あたしは網戸越しに上の方に向かって『キーッ』っと、
にらんでやった。
『ごらーッ!!なんなのよッ!!チーーーーッ!!』
まずいッ!……親鳥が見てた……反対に威嚇された
****************************
小さな訪問者。今回その姿をレンズに納めることは出来ませんでした。
警戒心の強い親鳥を刺激しては、ヒナへの給餌にも影響が出ると思い、
巣立ちまでの数日間を静かに見守る事にしました。
私達どんぐり家族が、その気配を感じたのは何日も経ってからの事でした。
それまでは、けたたましいセミの声にかき消され、誰もその存在に気付きませんでした。
おい、母ちゃん、セミは『チーッチーッ!』って鳴くか?
えッ??
気のせいかな~っと思ってたんだが、明け方近くになると
頭の上の方から『ツイーッ!チーチーッ』って
甲高い声が聞こえるんだよ
ちょっと、部屋の外みて見るか?
母ちゃん、いたぞ!ほら!あれはシジュウカラか?あーッ、逃げた!!
シーッ!父ちゃん、静かにして……この上からヒナの鳴き声が…
ん??…電気メーターボックスの中だ。
口に何か加えてたけど、あれはきっと親鳥だな、給餌の最中だったのか?
おどかして可哀そうな事したな~
***************************
この日から、父ちゃんと母ちゃんは、あたしをそっちのけ……
シジュウカラとやらのヒナの事ばかり気遣っている。
少しはあたしの身にもなってほしい……
朝早くから頭の上で『チーチーッチチーツ!!』って鳴かれたら、
たまったものじゃないッ!!
ヒナ達のエサをねだる声も、日増しに大きくなってきました。
エサを探して回る親鳥も大変です。それぞれのヒナ達にまんべんなく
エサを与えるには、休む間もなく次のエサを探しに行かなくてはいけません。
ヒナの様子を見る事は出来ませんが、声の大きさからして、
かなり大きくなってるようでした。
この頃になると、親鳥もヒナ達に直接エサを与えず近くの枝に止まって、
巣立ちを促すようになりました。
母ちゃんは、巣立ちの瞬間だけでも写真に撮りたかったみたいだけど、
親鳥と目が合った瞬間!!『キーッ!』と睨まれあきらめたようだ。
シジュウカラを、あんなに間近で見たのは初めてよ、
真っ白なほっぺに、黒いネクタイが良く似合って本当に可愛いわね~
アホか!!
同じ鳥に変わりないでしょッ!
『可愛い~可愛い…』って、聞かされるあたしの身にもなって
傷つくじゃないッ…まったく、もッ!
それだったら、スズメちゃん達の茶色いお帽子も、
おしゃれで可愛いと思う。
カラスくん達だって『俺たちは、いつも礼服でビシッと
決めてるからなっ!冠婚葬祭、何があってもこのまま出席できるぞっ!』
って自慢するかも知れない。
あたしだって、ピンクの口紅に真っ白なお洋服。
純白の花嫁さんに見えると思う。
ちょっと行きそびれたけど……ちがうッ!!
まだ間に合うッ! 急げば間に合う かも……
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チビちゃ~ん、見て見てッ、
お母さん鳥が、ヒナちゃん達にエサを見せて、
『頑張ってここまで飛んで来なさ~い』って言ってるわよ。
そろそろ巣立ちの時ね……寂しくなっちゃうわね
母ちゃんは、網戸にへばりつきながら心配そうにお外を見ている。
上からは、決死の覚悟で飛び立とうとするヒナの切羽詰まった声が聞こえてきた
あたしだって、早起きだけど…あんなに暗い内から起こされたくない
ヒナちゃん達に早く巣立ってもらわないと…
思わず外に向かって『ヒナちゃん、頑張れーッ!』って言ってしまった。
『お~い!お前も早く飛べるようにガンバレよ~ッ』
『………』言わなきゃ良かった…少しだけ後悔した…
そして、その日の昼、ヒナちゃん達は見事、巣立ちに成功した。
最後のコは少し時間がかかったけど、お母さん鳥が
大きなムシを見せたとたん、『チチーッ!!』と鳴いて飛びたった。
体は、ちっちゃいけど人一倍食いしん坊だ……ガンバレ!!