UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力が目覚めた件 432P

2024-04-22 18:48:49 | 日記
 声はおおきくなっていく。大体おかしくなった人と親しかった人というのはきっと近くにいたはずだ。友達同士で道路を歩いてるとしたら、そんなに離れて歩く……なんてしないだろう。家族なら手を取ってたりするだろう。
 だから一人だけ残るなんてそうそうないはず。もしもそんな事になったら……自分の友だちや、大切な家族……そんな人達に自分の声が届かなくなったら……それは一体どんなに辛いことだろうか。
 おかしくなった人をみる……それは他人だとしても目をそらしたくなるほどだろう。最初はそれこそ「なんだなんだ?」という感じで興味半分で見ると思う。でも見続けてるといたたまれなくなる。
 他人でもそうなんだから、知り合いならもっとだろう。だからこそ、草陰草案に泣きついて来るのは仕方ない。なんでその人だけ無事だったのかはわからない。それでも「ラッキー」とは思えないんだろう。
 だから彼らはすがりつく。年端もいかない少女に……それだけ体裁なんて気にしてられないってことだ。
 
「任せてください」
 
 そう草陰草案はいう。けど、草陰草案はちょっと額に汗が……なにせ実際まだわからないからだ。なにがって? それは草陰草案の力がちゃんとこのおかしくなった人たちに効くか……ということである。でもここで「無理かもしれない」とか言えないのも草陰草案であった。
 
 けど困る事は他にはもある。
 
「私、基本的に力を使うときってその人に触れてたんだよね……」
 
 それである。ぼそっといったそれだけど、すがりついてる人たち以外、つまりはちゃんと草陰草案のことを知ってる猩々坊主たちにはそれは分かってることだ。でも近づくのは論外である。
 
「近づくのは危ない。意識を持ってかれる。君だけは失うわけにはいかない」
 
 そういう大川左之助。そしてその言葉に続くように草陰草案の肩に手をおいて朝日倉三がその端正な顔でいう。
 
「君だけが希望かもしれないから……」
 
 そしてそれは勿論だけど彼らのチャンネルで今も放送されてる。真剣な顔でそういう朝日倉三の言葉にコメント欄では「キャーキャー」と女性たちの黄色い声が大量に流れてる。同じ様なことを大川左之助も言ったはずだけど……その時はむしろなんか誂う様なコメントが多かった。
 けど朝日倉三の言葉にはきっと女性が大量に書き込んでる。これが顔面偏差値の違い……仕方ないことだけど、やっぱりネットの向こう側ではどうしても切迫感……みたいなのは薄くなってしまうものだろう。
 
「離れててもどうにか出来るかやってみます!」
 
 そう言って草陰草案は胸元にいつも下げてる石を両手で包み込み、祈るようなポーズを取った。すると次の瞬間、彼女のスカートの裾、髪の毛が、ふわっとなびく。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1071

2024-04-22 18:42:32 | 日記
「G-01殿……」
 
 確かに今のはその声だった。視線を向けると、片膝をついてたG-01殿が立ち上がってる。そしてその手は胸くらいの位置にあり、両手が天を向いてる。何をやってるのか……それはわからないが、空を仰いでる……ようにもみえる。
 
 すると次の瞬間、アズバインバカラが……いや違う。アズバインバカラだけじゃない。ジャルバジャルの方もなんか光だした。2つの街……その場所には光が沸き立つようになってる。
 そしてその光が空に街の紋章を表してる。それは古から使われてる紋章……誰が作ったのかも今やわからないものだと聴いてた。けどずっと受け継がれて使われてたそれ。重要な書類とかにも、街の至るところにもあった。
 
 実際何か重要な何か……とは思わなかった。街のただの印だとおもってたからだ。けど、あんな風に空に浮かび上がるとか……どうやら何もない……ということないらしい。
 
「あれは……」
 
 そして空には別の紋章も浮かび上がる。それは実際何か……はわかない。けど次々と浮かび上がってくる。
 
 それは扉を囲むように現れてる。扉に一番近い場所の紋章はきっと中央であるドリランドのものだろう。そもそもがドリランドの紋章に扉が入ってる。そしてその外側にある紋章があってそれらをつなげて内側の円になってて、さらにその外に更に紋章があって、それがつながって二重の円なってた。
 その数は二十くらいだろうか? きっとそれはもう今はなき街の紋章もあるんだろう。かつてこの世界にあった全ての街の紋章が空に現れて一つの陣を形作ってる。そう見える。
 いや、確実にそうだ。そしてその中央に扉……きっとこれがこの世界の……いやあの扉の完成形なんではないだろうか?
 
「G-01殿……」
 
 これをなしてるのはきっとあの方だ。あの方が、その力と知識をもってして、完璧な扉を完成させようとしてる。きっと世界を解明したから、その術を得ることができたんじゃないだろうか? 
 
「すごい……」
 
 そんな言葉が自ずと出る。だって自分には太刀打ちできない所業だからだ。世界に直接干渉できるその力……それは自分には到底できないことなんだ。紋章と紋章、その間に複雑な何かが絡み合っていって、とても荘厳な魔法陣が組まれていってる。空全体をそれは覆い尽くしていくようだ。
 
 まさに……世界を全て巻き込むほどの大魔法。それが完成しようとしてることがわかる。こんな状況だが、自分の心がワクワクとしてるのが分かった。