UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 348P

2023-12-25 17:38:33 | 日記
 野々野足軽はきらめく風についていく。どのくらいたっただろうか? ふと、風の子にこんなことを言われた。
 
『なんか君遅いね』
 
 って。それには流石に「ガーン」って感じでショックを受けた野々野足軽だ。なにせ、なにせそんなのは知ってる。野々野足軽だってこれには満足なんてしてない。だって野々野足軽が想像してた『空を飛ぶ』という行為は、漫画とかで見てたギュイイイン――って奴である。ああいう感じ。もっとすいすい、それこそ鳥とか……いや鳥よりもさらに正確に飛べる、それこそ蜂? とかか? それかトンボとかでもいい。ああいう虫って空中で止まることもできるし、急旋回とかも自由自在で、さらには速い。
 実際これまで野々野足軽が見てきた漫画のキャラはそんな昆虫を参考にしてたのかは正直わかんない。でも考えてみると、まさに自由自在に空を飛ぶって行いは、鳥よりもそっち系なんだと思ってる。
 だって鳥は空中で止まる事は基本出来ないだろう。旋回するのだって、やっぱり大回りしてるように見えるし……そうなると理想はやっぱり虫のように飛ぶこと……
 
(そういうとなんか格好悪いんだが)
 
 鳥のように飛ぶ!! というのと、虫のように飛ぶ!! ってどう考えても前者の方が格好いい。きっと百人中九十人くらいは同じ感想になるんじゃないか? と野々野足軽は思ってる。
 野々野足軽は体を浮かす事が、力の原点だった。ある日、何の前触れもなく野々野足軽の体が浮いた。それによって世界は変わったんだ。だから野々野足軽の飛ぶという行為は、浮くことになってる。つまりは今も浮いてるのだ。飛んでるんじゃない。
 ただ最初は直上に浮くことしかできなかったが、色々とやるうちに全方位に体を自由に移動させることが出来るようになった。そうなると『飛ぶ』といってもいいかな? とか野々野足軽は思ってたけど、どうやら風の子に言われて自覚した。
 いや、わかってたけど、他人に指摘されることで「あ、やっぱりこれ違うんだ」って受け入れることが出来た――と言った方が正しい。そうこれは「浮いてる」んであって、「飛んでる」んではない。
 それがずっと歯がゆかった。だからこそ、心の叫びが野々野足軽から出てきた。
 
「ならどうやったら飛べるのか教えろよおおおおおおお!!」
 
 ――ってね。大丈夫、ここは空だから、周囲には誰もいない。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 986

2023-12-25 17:33:35 | 日記
「やるんだろ? どうする? 一気に突撃するか?」
 
 俺は腰にある剣に手を添えてそういった。けど目の前の女はこんなことをいってきた。
 
「あほを言うな。死ぬ気か?」
 
 ってね。こっちとしては「はあ?」という感じだ。じゃあなんでこんなことしてるんだよってことだよ。俺たちがここに入り込んでる教会の奴らを殺していくことで、手柄にする――ってことじゃないのか? 見たところ、奴らは武器を持ってるようにも見えないし、やれるはずだ。それに向こうはこっちに気づていない。
 不意打ちならもっと簡単。てかそもそもが見える奴らは鍛えてるようにも見えない。武器を持った相手が突然現れたらきっと何もできないだろう。殺すなんて簡単だ。なのに……ただ見てるだけ? そんな事が出来るか? なにせこいつらを放置してたらこっちに不利になる。今更街に愛着があるかとかじゃない。
 こっち側が負けたらそもそも生きることもできなくなるんだ。なら、やりたいかやりたくないかってことじゃなく、やらなきゃいけない。誰かの為じゃない。俺の為だ。ここで奴らを殺す――俺は女の言葉を無視して飛び出した。
 
 声は出さない。音もなるべく静かに……そして出来るだけ速く駆ける。
 
「なんだお前!!」
 
 けどもちろんだけど、気づかれる。なにせそこまで広くもない路地だ。でも既に近い。問題ない。やれる。俺は抜いてた剣を振りかぶった。信頼してる剣だ。斬れない物なんてない。事実、この剣で切れてない物は今の所ないんだ。
 
「ぐっ!?」
 
 何か違和感があったが、傷つけることは出来た。でも運がいいのか、俺が狙ったやつは足を絡ませて後ろに倒れてしまった。斬れたのはわずかだけ。
 
「ちっ」
 
 ――と思わず舌打ちがでる。一瞬の抵抗、あれがなかったら真っ二つにできてたのに……
 
「貴様!!」
 
 そういって前に手を翳すもう一人の奴。すると次の瞬間、不可視の衝撃が俺を吹き飛ばした。
 
「がはっ!?」
 
 壁にぶつかって変な声をだす俺。何が起きた? まるでいきなり何かがぶつかってきたような……俺はそのまま地面に落ちた。同時に、剣を取り落とす。カラン――と空しい音が響く。
 
「大丈夫か?」
「ああ、それよりもそいつは……軍の奴? ではないな」
「ああ、ただのごろつき? いや、それにしては剣は最新型だ。刺客か。なら……」
 
 俺に向けて一人が手を向ける。すると今度はその手に炎が生まれて丸まっていく。あれを受けたら丸焼けになるのだろうか? なんとかしたいが……まださっきのダメージが……
 
「死ね」
 
 そんな言葉を紡がれた直後、俺は目を閉じる。けど攻撃がくることはなかった。逆になんか「がはっ――」とかいう声とザシュ――という音が聞こえた。恐る恐る目を開けると、そこには二人の教会関係者を殺した女が剣の血を拭ってた。