UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 337P

2023-12-10 18:27:55 | 日記
「あっ」
 
 朝、寝不足気味な顔を洗おうと野々野足軽は部屋の扉を開けた。するとちょうど同じタイミングで向かいの扉が開いた。そして視線がかち合う二人。
 向かいの扉からでてきたのは野々野足軽の妹の野々野小頭だ。彼女も眠そうな目を擦ってる。
 
(まさか……こいつも?)
 
 そんな事を一瞬思う。だって完全に動作がシンクロしてたからだ。そこはやっぱり兄妹なんだな……とか思わずに、真っ先に『力』を疑ってしまうのは野々野足軽の頭が『力』に敏感になってる証拠だろう。なんでもかんでも『力』を疑ってしまう。そんな訳はないのに。
 
(そんなわけ無いでしょう。普通にエッチな動画でも見て夜更かししてたのでは?)
(そんな……だって小頭は……)
(今の中学生なら普通らしいですよ)
(まさか……)
 
 なんというか最近の中学生事情をしってショックを受ける野々野足軽だ。確かになんか……そう、注意深く見てみると、なんか野々野小頭の顔は火照ってる様にみえるし、ちょっと呼吸も荒い。
 野々野足軽だってあれをやったあとは心臓の鼓動が早くなって、呼吸も荒くなる。同じである。まあつまりは今の野々野足軽も同じ様に浅い呼吸を繰り返してた。
 でも……野々野足軽は複雑だ。だって妹である野々野小頭の事は今でも子供……だと思ってた。こんな時に「お前もだろ」とかいうのは無粋である。
 だって野々野足軽が言ってる『子供』というのはそれこそ十歳以下の時である。本当に小さな時の印象のままなのだ。確かに最近は生意気である。けどそれでも、野々野足軽にとっては野々野小頭は小さいままの妹なのだ。
 
 それはあたかも親にとって子供がいくつになっても子供なのと同じ感覚だった。
 
「なに?」
 
 ぎろっと睨んでくる野々野小頭。まるで「朝から最悪」といても言ってるかのような目つきである。つい先日なんて「お兄ちゃんお兄ちゃん」と頼ってきたのに……とか野々野足軽は思う。勿論そんな事は野々野小頭は言ってない! というだろう。実際そんなに可愛らしくはいってなかった。
 けど野々野足軽の中では小さな妹がお兄ちゃんである自分を頼ってきた――という美談になってるのである。なにせ脳は記憶を美化するものだからだ。
 
「別に」
 
 野々野足軽も野々野小頭も互いに言葉を交わしても不利益しか産まないと……そんな風に思ってあるき出す。同じ方向に……そして同じ階段を何故か狭いのに横並びで肩で押し合いながら降った。
 勿論その時、文句をお互いにいいあってる。
 
「狭い」とか「うるさい」とかである。お互いにお互いに言ってると言うよりは互いに小さく文句を言ってる感じだ。そしてお互いに同じところにむかった。洗面台である。そして二人で顔を洗って、先に野々野足軽がタオルをつかった。
 それを「ん」とかいって手を差し出されたから、野々野足軽も「ん」といって渡す。そんな様子を見て、頭の中でアースが『兄妹ですね』といってた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 974

2023-12-10 18:23:00 | 日記
「たった一人で来た事、後悔させてやる」
「私は勝てると踏んできた。やってみろ」
 
 俺たちは暗くなった世界でにらみ合う。遠くでガヤガヤとした音が聞こえてる。きっと俺を探してる音だろう。あまり長くやってられない。長くこいつとやりあってると、それだけ増援がくる確率が増してしまう。一瞬だ。一瞬できめて、この女を手に入れてどこかに潜伏する。
 それしかない。本当ならアズバインバカラから逃げ出したいところだが、既にこことジャルバジャル以外にはいくところなんてない。中央に逃げられたら……と思うが、流石に着の身着のままにドリランドは目指せない。それは自殺行為だからだ。一日でつく距離ではない。
 ドリランドに行けるのなら、それが一番いい。なにせ今や敵同士。その中に紛れ込こむことが出来たら、きっと追手だって寄こすことはできないだろう。でも無理だ。現実問題、教会の道具もなしに街の外に行くなんてのはできない。そんなことをしたら、『死ぬ』と言われてる。黄泉の国に落ちていく……とも。つまりは死だ。絶対的な死……ならジャルバジャルやサーザインシャインインラへといった方がいい? いやそれもダメだろう。ジャルバジャルもサーザインシャインインラもここよりも今や圧倒手的に人が少ない。いや、ジャルバジャルはすでにアズバインバカラに組み込まれてる感じなんだ。元から比較的近かった二つの町はその間を埋めるように聖女が木々を生やし、異世界の奴らが何かを作り出し、そしてほかの町の町長たちが持ち込んだ都市核によって、その結界の範囲がジャルバジャルと交わった。
 そして残ってた街の人たちをすべて受け入れて、その人たちの住む場所をどうするのかというと、二つの町の間が一番いい。そうして開発していったら、次第にその境はなくなっていった。
 だから今やジャルバジャルとアズバインバカラは一つになってる。そしてサーザインシャインインラだが、一応あそこはある。なにせ水源だからだ。けどほぼ今や人はいない。最低限の人がいるだけだ。
 そんなところに行ったとしても、よそ者が行って紛れ込む……なんてできない。だから結局ここなんだ。ここで生きていくしかない。一人ではだめでも……男女で番になれれば……きっとどうにか……今や俺の状況は絶望的だ。
 
 でもそんな中の一筋の光……それが今や彼女だった。敵だけど、こんなにうれしいことはない。
 
「来ないのか?」
「あんまり傷つけたくなくてな。どう調理しようか考えてるんだよ」
「ふん、そんな余裕があるのか!」
 
 一気に突っ込んで来た彼女の剣を俺はなんとか受け止める。