「きゃー! なんですか一体!」
「変態! 触らないで!!」
悪魔がでたことで二人の女性は目が覚めた。それによってベタベタとしてた仮面の男を力いっぱい押しやって更に叫んでる。そうなると、一気にざわざわとしだす。
「どうしたんだ? ほら、俺だよ。俺を見て。この顔を」
「何言ってんのよこの変態! はなして!!」
「そうよ。そんな気持ち悪い……誰かあああああ!!」
どうやら悪魔とかそんなの全くわかんない仮面の男は自分の顔を見せれば女がイチコロでころっと行く……と本気で思ってるみたいだ。
けどあの男には自分の理想の顔になってるだろうが、第三者からはただ変な仮面をつけた男だからね。そんなの目が覚めたら怖いだけだ。だから余計に女性たちは暴れてる。そんな風に騒いでると当然だが、周囲の人達も――「なんだなんだ?」――となってくる。そうなると駅員だってやってくるのも時間の問題。
「行きましょう。大丈夫。貴方には私がいます」
そう言って何やら美女はやってる。仮面の男は女性たちに未練たらたら……って感じだったが、美女がそれをやると「うへへ」と気持ち悪い顔になった。
何をしたのか……それは簡単だ。なんと美女は仮面の男の手を自身の胸に持って行ってた。そしてそこで自分の胸をモミモミさせたのだ。
二次元のイラストとかと違って、リアルではそれこそ超巨乳とかでも無い限り、そこまで胸は強調されたりしないだろう。実際あの美女だってそうだ。そんなにおっぱいが大きい印象は野々野足軽にはなかった。
けど、満足した仮面の男を見るに、きっと二人を諦めてでも、あのおっぱいを何処か別の場所でもっとじっくりと堪能したい……と仮面の男は思ったんだろう。それだけ巨乳だったのだろう。
顔も良くて身体もいいとは……あの得体の知れなさがなかったら、あの美女は完璧だったかもしれない……と野々野足軽は思った。そのうちに悪魔さえ居なければ……と思わずにはいられない。
おっぱいを揉みながら、仮面の男と美女はそそくさとさっていく。開放された女性たちも開放されてめでたしめでたし……なんだが、野々野足軽は仮面の男たちを放っておく事はできない。
(いや、仮面をつけただけの奴は別にどうでもいいんだが……あの人は危なすぎる)
あの悪魔を宿した女性……あの人を野放しにしておくと、きっと次々と犠牲者が増えるだろう。なにせ……だ。なにせあの美女は仮面の男に女を自らあてがってる。
なんでそんな事をしてるのかは不明だし、あの美女がなんで仮面の男に入れ込んでるのかも謎だ。でもあの二人が揃うことで悪魔の被害は増えると思える。
そうなると……
(放っておく……なんてできないよな)
けどまあ、その日はこれ以上の被害が出ることはなかった。なにせ二人は激しい夜をその日は過ごしてたからだ。
(これは監視、監視だから……)
そんな言い訳を並べて野々野足軽はその行為を盗み見てた。