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冬のバンクーバーは雨また雨。庭仕事も冬眠状態。でもこんな季節だからこそ、育てたい野菜があるのです。それが「もやし」。
もやしという名前は漢字で書くと「萌やし」。生命力にあふれた若い芽が、はつらつとして伸びていくという意味。堅く押し黙ったような豆や種に水をかけるだけで、皮が破け、小さな芽が顔を出す。いつもあたりまえのことなのに「あっ、芽が出た、生きてる!」とその生命力にかすかな感動すら覚えます。
一般にもやしというと、大豆や緑豆から作る豆もやしと、アルファルファやカイワレダイコンなど種子から作る種もやしの2種類に分けられます。豆もやしは双葉が出る前に食べますが、種もやしは緑の双葉が出てから収穫します。
もやしは天候や日照に左右されることなく、ほぼ一年中室内で栽培可能。真夏の猛暑の時期を避ければ、一番作りやすいのは気温が18~23℃の頃。少しの種から一杯できるからとっても経済的で、土も肥料もいらず、誰でも簡単に作れます。
発芽によって、ビタミンC、B群などの栄養価が何十倍にも増えて、しかも吸収されやすい形になり、低カロリーな上に、タンパク質、カルシウム、食物繊維が豊富。肝臓の機能を高め、疲労回復や風邪の予防にも最適。緑野菜が不足しがちな時期には大助かり。
冷え性の人には向かないといわれることもありますが、豆もやしなら10秒ほど蒸したり、さっと熱湯にくぐらせれば大丈夫。とにかく加熱しすぎないことがおいしさを保つコツです。
<もやしに適した代表的な種と豆>
豆・種は、必ずオーガニックのものを使ってください。畑にまく園芸用の種は、発芽抑制剤や防カビ剤などで処理されていることが多く、土の中では毒素が分解されますが、もやしを作る過程では容易に洗い流せません。
豆は自然食料品店で売っているオーガニックのものならなんでも大丈夫。種は自然食料品店のほか、West Coast Seedsでもカタログ販売しています。
☆ アルファルファ Alfalfa
ペルシャ語で「最良の草」の意味。サラブレッド飼育用の牧草だったことから、日本名はムラサキウマゴヤシ。ビタミンA、B1、B2など栄養豊富。あっさりとくせがないので生食に最適。
☆ カイワレダイコン Radish
ぴりっとした辛味のあるさわやかな風味と緑の双葉が食欲をそそる。細く長く作ると見栄えもよい。
☆ アカツメクサ Red Clover
アルファルファの風味に似てあっさりと緑が香るが、もう少し太いので食べごたえがある。サラダやサンドイッチにのせたり、オムレツに混ぜたり、スープの浮き実にしてもおいしい。
☆ ごま Sesame(unhulled)
煎っていない殻つきのものを自然食料品店で購入すること。ほんのりごまの風味が香り食欲をそそる。酢の物、和え物など和食に最適。
☆ ブロッコリ Broccoli
小さいくせにしっかりとブロッコリの濃厚な味がする。活性酸素を抑える酵素が豊富なので、発癌抑制効果があるとのこと。ただし種の値段が他に比べてちょっと高め。
☆ 緑豆 Mung Beans
韓国・中華料理でおなじみの豆もやし。シャキッと堅めにゆでて、ごま油、醤油、白ごまを混ぜてナムルにしたり、スープや炒めものの最後に加えて短時間加熱してもおいしい。
☆ 大豆 Soy Beans
先端に豆がつき、やや太くて堅い。熱を加えたほうが、栄養の吸収を阻害する酵素が分解されるので加熱調理用。タンパク質、カルシウム、カリウムに富む。
☆ ヒヨコ豆 Garbanzo Beans
スープに入れたり、軽く茹でたものをドレッシングで和えて、豆サラダに。こくのある独特の風味がおいしい。
* このほか、粟 Millet、小麦 Wheat、そば Buckwheat、ひまわり Sunflower、かぼちゃ Pumpkin、亜麻 Flex seeds、レンズ豆 French Lentils、小豆 Aduki beans などももやしになります。
<種もやしの作り方>
1. 約1リットルの広口瓶に、大さじ2の種を入れる。
収穫量は約1リットルになる。
瓶にぎっしり詰まると腐りやすくなるので、
最初は少なめで始めて収穫量を確かめ、
次回から増やしていく方がいい。
2. 水をたっぷり入れて6時間浸す。
水道水は塩素殺菌されているので、浄水器の水が望ましい。
特にアルファルファは、水道水だと育ちが悪くなる。
3. 水を捨て、口にガーゼを輪ゴムでとめて、
食器棚やダンボール箱など暗い所に入れる。
4. 日に朝晩最低2~3回取り出して、ガーゼをしたまま水を流し入れ、
やさしく瓶をゆすってから水を捨てる。
水切りかごに逆さまに立てて、完全に水を切ってから、暗い所に戻す。
5. 3~4日で外皮がはずれてくる。外皮は腐りやすいので、
一度全部をボウルにあけて水にさらし、沈んだ外皮をそのままに、
もやしの部分だけを瓶に戻す。
ガーゼを口に戻し、収穫まで水洗いと水切りを繰り返す。
6. 収穫一日前に直射日光のささない明るい窓辺に置いて、
葉を緑に色づかせ、葉緑素を増やす。
7. 5~6日目に収穫。タッパーなどの容器に移し替えて、冷蔵庫で保存。
3~4日で使い切る。
* 自然食料品店の Capers や Choices で、広口瓶に付けるもやし用のプラスチックの蓋 Sprout-Ease Screen が販売されています。赤、緑、黄色の三色で、種の大きさにより網目の大きさを使い分けられるので便利。水の通りがいいので、水切りも簡単です。
<豆もやしの作り方>
1. 大きめのボウルに豆を1/2カップ入れ、
たっぷりの水に12時間以上浸してふやす。
2. 十分ふやけたら、ざるにあけて豆を底に広げ、ボウルを下に重ねて、
段ボール箱の中など暗い所に入れる。
3. 一日2~3回、大豆は特に腐りやすいので
最低4~5回取り出して水をかけ、
同時にボウルも水洗いして、また重ね、箱に戻す。
この作業を3~4日繰り返す。
4. ざるの目から根が出始めたら、ボウルに重ねたまま水をかけ、
また重ねたまま水を捨てる。
伸びた根を傷めないように豆をかき混ぜないこと。
5. 4~5日で収穫。ざるからタッパーに移し、冷蔵庫で保存。
<カイワレダイコンの作り方>
1. 豆腐が入っていたプラスチック容器の底に、
アイスピックなどで内から外へ10個所ほど穴をあけ、
脱脂綿やガーゼなどを厚さ1~2センチに敷き詰める。
2. 穴を開けていない豆腐容器をもうひとつ下に重ね、
綿の表面に水がにじみ出るくらい浄水を入れる。
下の容器に流れ出た水は捨てる。
3. ダイコンの種を少しずつばらまく。種と種はくっついてもいいが、
重なってはいけないので、指で平らにならす。
4. 発芽するまでの間、段ボール箱の中など暗い所に入れる。
5. 芽が出始めたら箱の蓋を取って、上からだけ光を入れる。
収穫までの間、綿の表面に水がにじみ出るくらいの水を補う。
6. 収穫2日ほど前に、箱から取り出し、全体に光をあてる。
7. 根元から切り取って収穫。傷みやすいので早めに食べ切る。
(石川まりこ)
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<私も作っています!>
私が使っているのは Biosta Sprouter。蓋1枚、もやしを作るための円形トレー3段、一番下で水を受ける水はけ用トレーがセットになっています。トレーの大きさは直径約20センチ、高さ約3センチ。豆もやしとアルファルファなど、別の種類を段に分けて一度に作れます。
トレーには穴があいていて、一番上のトレーに水を入れると、順次下に水が流れていき、最後に水はけ用トレーの水を捨てて終わり。1日に1~2回水をやって、3日くらいで食べられます。
うちでは料理の種類によって、芽が出始めてすぐ1日半くらいで食べたり、ちゃんと3日持って普通のもやしっぽくなったのを食べたり、いろいろです。
できあがったらトレーのまま冷蔵庫に入れてもいいし、瓶に入れ替えて、すぐ次のもやしを作り初めてもOK。下にたまった水は植物にいいので、うちではその水を観葉植物にやっています。
(伊藤きょうこ)
オーガニック・ライフ・サークル会報
1999年12月・2000年12月号(No.26)掲載