Organic Life Circle

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本みりん

2006年02月26日 | 食 品


毎日の調理ではどちらかといえば脇役だが、本格的な日本料理に挑戦するときには欠かせない。料理の仕上がりに、ほんのりとした甘い香り、後口のよい甘味、食欲をそそる照りつやを求めるときには必須。うちでもここ一番というとき、特にお正月のおせち料理やお雑煮のだしには贅沢なほど、とぽとぽと使う。本みりんの上品な甘みやうま味が素材の持ち味を引き出してくれるので、自分の料理の腕が上がったかのように錯覚させてくれる。鰹だしを使わずに麺つゆを手作りするときも、本みりんを使うと断然味が違ってくる。

伝統的な本みりんは、うるち米の米麹ともち米を焼酎に入れ、40~60日間程度、ものによっては1~3年もかけてゆっくりと発酵・熟成させて作る。原料や製造工程に化学薬品は一切使わない。

みりんの誕生は室町時代。当時好まれた甘い酒を作るため、焼酎の中にもち米と米麹を仕込んだのがみりんの始まり。高級な酒として珍重され、また入手困難だった砂糖に代わる高級甘味料としても使われた。近代になると生産技術が向上して価格も手頃になり、高級料亭だけでなく一般家庭でも調味料として使われるようになった。 だが、戦中・戦後の8年間は、米不足のためみりんは製造禁止に。製造再開後も贅沢品として極端に高い酒税が課せられ、みりん業界では転廃業が相次ぐ。この時期、酒税逃れで誕生したのがみりん類似品。酒販免許なしで扱える「みりん風調味料」は高度経済成長期の大型スーパーの増加とともに急成長し、現在では本みりん出荷量の2倍になっている。

「合成みりん」は本みりんのように熟成したものではなく、醸造用アルコール(酒精)、米以外の穀類、有機酸、アミノ酸、糖類などで速成したもの。また、「みりん風調味料」は水飴や化学調味料を配合して作る。いずれも当然のことながらみりん本来の風味には欠ける。中には「本みりん」と表示されていても、強力な酵素で短時間発酵させただけの速醸品もある。選ぶ決め手はそのままの味。一口飲んでこくのある甘味が美味しければ本物。

日本で求めるなら、愛知県碧南市にある明治43年創業の角谷文治郎商店製造、三州三河味醂がとろっとして濃厚、甘味も香りも抜群にいい。有機農法みりんもあり、明らかに味が違う。醸造に1年以上かける本格製法だ。甘いリキュールとしても楽しめる。

バンクーバーで手に入るおすすめ商品は、埼玉県狭山市にある味の一醸造株式会社の「味の母みりん」。原料は国産米、自家製米麹、国産塩、自家井戸水だけ。まず日本酒のもとであるもろみを作り、それに保存性を高めるための食塩を加えて元液とし、じっくりと糖化熟成させる。酒のふくよかな香りとみりんのうま味がひときわ強く、もちろんそのまま飲んでもとても美味しい。2%の塩分と10%のアルコール分が含まれているので開栓後も常温保存で大丈夫。調理のときに日本酒と併用する必要もない。着色料・防腐剤・香料などを一切使用していない自然食品だが、本来の本みりんの製造法とは異なるため、日本で販売されているこの商品のラベル表示は「みりん風調味料」または「発酵調味料」になっている。画像はアメリカの自然食品卸売会社 Eden Foods 社が輸入販売している「Eden Mirin Rice Cooking Wine」で、中身は味の母みりんとまったく同じ。

(石川まりこ)

〈 購入先 〉
有機食品販売・宅配 Tama Organic Life
自然食品販売    Capers


オーガニック・ライフ・サークル会報
2003年8・9月号(No.53)掲載

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