goo blog サービス終了のお知らせ 

松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆公開政策討論会の実施まで(9)JCとの関係

2021-08-11 | 条例に基づく公開政策討論会
 新城市の知り合いが、わざわざ調べてくれた。実行委員会のメンバーとJCのホームページを照合してみたところ、「一般枠2名中2名,経験者枠7名中4名がJC会員」とのことである。実行委員会のメンバーのうち3分の2超が、JCメンバーである。

 JCメンバーは、公開政策討論会について、関心と知見を持っているので、これは当然の結果なのだと思う。市役所も、JCを頼り、JCも自分たちの出番だと、それに応じてくれたのだと思う。

 私も、あちこちのまちで、何人ものJCメンバーを知っているが、それぞれが、公共性をもち、まちのために活動してきている。こうした人たちがいるのは頼もしい限りである。実際、相模原では、JCメンバーと新しい仕事を開発してきた。 

 公開討論会も、JCが切り開いてきたもののひとつである。公職選挙法は、がんじがらめの法律であるが、法制度のすき間を縫うための知恵を絞り、また、公開討論会の実施には、実際、多くのお金も時間も使うが、これを手弁当でやってきた。その奮闘には、大いに敬意を表している。これがあったから、新城市の公開政策討論会条例ができた。

 しかし、こうした活動が天井にぶつかりはじめ、それが新城市の公開政策討論会条例制定の経緯ともなっている。

 前の選挙では、JCメンバーが少数になり、とても、こうした手弁当、負担を担えなくなり、それで、候補者たちによる自営の公開政策討論会が開かれた。たしかに、1回開催すれば、お金もかかる。会場の確保だって、大変だろう(経費の免除などがあるのだろうか)。会場で事故でも起きたら、その責任も大変である。こうしたたくさんの負担を少数のJCメンバーでは担いきれない。今まで通り、JC方式だやるべきだという人もいるが、その場合は、これらの課題を乗り越える対案を出さなければならない。

 JC主催の公開討論会には、もっと構造的な問題がある。率直に言って、JC主催の公開討論会は面白くないのである。面白いとは、笑いがいっぱいということではなく、話が表面的で、靴の上から足を書く感じになってしまっている。

 これは主催がJCだということに由来する。JCは、公共性の高い活動をやっていて実績もあるが、一つの団体にすぎない。常に、「何であんたたちが公開討論会を主催するのだ」という批判にされされているだろう。これに答えるには、公開討論会の内容を公共性が高いものにしていくという対応になる。少しでも「政治的に偏った」と言われないようになるため、候補者に聞くことは、差しさわりのない話になり、そこを突っ込んで聞きたいと思っても、相手を追い詰めるようなことになるような話はできない。

 時には、JCのOBが候補者になることだってある。この時などは、開催をあきらめるか、あるいは最新の注意を払って、中立性、公平性に注力するだろうから、逆に、公開討論会は、ますます表面的で、物足りなく思うことになる。

 議論をもっと深めるには、前回、新城市でやったような候補者のそれぞれが、司会者となって、他の候補者に疑問点を聞いたりする方式などもあるが、こういうやり方をしようという合意・調整をJCがとり切れるのかという課題もある。率直に言って、今のJC方式だから、公開討論会に参加するという候補者もいる。

 主宰しているJCそのものが、一つの団体にすぎないという批判を乗り越え、市民性を獲得するために、JCメンバーのほか、市民も入れた運営組織を作ればいいが、どんな市民が入ってくるかわからないし、どんな方向に議論が進むかもわからないことを考えると、JCにとっては、これはハードルが高いだろう。

 こうした構造的な限界があって、そこから、JC主催の公開討論会の内容が規定されてくる。天井で頭を打つ、理由である。

 新城市の場合は、公設であるし、実行委員会は、みな市民として選ばれる。実質的には、知見があるJCメンバーが数多くいるから、運営における経験も生かせる。市民性があるということは、市民の知りたいことが話される公開政策討論会を、より作りやすくなったということだと思う。

 条件は、だいぶ良くなったが、そうはいっても、大事なのは、これを実践の中で運営することである。初めてのことでもあるし、不確定要素(例えば、立候補予定者は何人になるかも不明。今のところ1名のみ)がある中で、決めていくのは本当に大変だと思うが、それぞれが、知見・経験を活かして、よりよい制度づくりに、奮闘してほしいと思う。市役所にも、この市民の力が存分に発揮されるような後押しを期待している。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 子どもフォーラム、若者フォ... | トップ | ☆若者議会・教科書に載る(新... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

条例に基づく公開政策討論会」カテゴリの最新記事