松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

☆公開政策討論会は有効だったのか③候補者に与えた影響

2021-11-16 | 条例に基づく公開政策討論会
 公開政策討論会は、候補者にどのような影響を与えたのか。投票行動のデータが出たら、詳細な分析が必要だろう。だから、現時点での感想である。

 スタート時に、ある候補が、他者に対しては、「公開政策討論会のボイコットのススメ」をしておいて、自分が、「そそくさと出る」という行為があった。これ自体は、市民の投票行動には、影響はなかったろうが、その後の対応も含めて、私自身は、とてもがっかりした。人が変わったのかと思った。
 これは、自らの発言(信条)に忠実になって、スジを通すよりも、討論会に出た方が、選挙に有利だと考えたのだろう。それだけ、公開政策討論会は、選挙に影響を与えるということなのだろう。

 ア.選挙への関心効果
 新城市の市長選挙の投票率は、年々、下がってきているが、今回(2021)は72.62%に上昇した(2017年は69.23%)。公開政策討論会が、投票率低下の歯止めになったとすればうれしいが、今回は衆議院議員選挙の同日実施、天気等の要素もあり、楽観はできないと思う。公開政策討論会を、若者がどれくらい視聴したのか、若者の投票率などがどうなったのか気になるところである。

 イ.候補者に与えた影響は、次の点から分析できる。
 ①候補者選択効果
 動画の場合、ちょっとしたしぐさや、ふるまいに、その人の人となりを垣間見ることができる。政策内容の是非というよりも、政策提案やその実施をめぐって、候補者の考え方や態度といった候補者の人間性が、垣間見れたのではないか(政策は人となりを判断する良い素材)。
 候補者は、1回目から、2回目は、態度や発言を軌道修正してきているように見えたが、これは、視聴した市民等から、たくさんの感想や意見をもらったのだと思う。候補者には、ある程度の影響を与えたのではないか。

 ②公約の現実性効果
 昔のJC型の討論会では、派手な政策を打ち出した方が有利である。これに対して、新城の各回2時間、合計6時間にわたる討論があると、政策の実現可能性が問われてくる。候補者の一人は、相手の目玉政策への質問を実現性の観点に絞り込んで論議しているようにみえた。この点は、選挙のあり方に、かなりの影響を与えることになると思う。公開政策討論会(特に動画配信方式)は、公約をより現実性のあるもの、高いものに変えていく効果はかなりあると思う。

 ③候補者の学習効果
 候補者は、討論会に向けて、かなり準備をしてきたように感じた。ただ、今回は、両名とも、これまで議員としての体験もあり、また勉強を積み重ねているので、公開政策討論会があるから、特に勉強したという訳ではないようだ。ただ、全くの新人が出る場合、合計6時間の議論に耐えるには、きちんと勉強する必要が出てくるだろう。学習効果は、期待できると思う。

 ウ.動画配信型の公開政策討論会と選挙のあり方
 会場に来る方式では、わざわざ来る人は、事実上、誰を押すか、すでに決めている人が多いだろう。その意味で、会場方式は、候補者選択効果は、あまりないだろう。ただ、動画配信方式の場合、まったく、つかみどころがわからない。選挙のプロの人に言わせると、すれ違っただけで、投票してくれるかどうかわかるらしいが、ネットのウェートが高まる選挙では、これまでの経験値が使えず、プロの人たちも、今回は、少し焦ったのではないか。
 今回の動画配信型公開政策討論会では、すぐにやってくるインターネット型選挙の予兆のようなものが見えたと思う。選挙論、投票行動論をやっている人には、今回の公開政策討論会は、興味深い事例だったのではないか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆公開政策討論会は有効だった... | トップ | ☆空き家対策協議会と陸運局 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

条例に基づく公開政策討論会」カテゴリの最新記事