菅政権は1日、今夏の電力不足に伴い大停電を避けるため、第1次石油危機の1974年以来となる「電力使用制限令」を発動する方向で最終調整に入った。電気事業法27条に基づく強制措置で、電気の大口需要者である企業に対し、ピーク時間帯の電力の使用制限を求める。
制限令は、ピーク時の最大電力を前年比25%減とする案が有力となっている。対象地域は東電管内に限られ、関西や中部、九州などは除くとみられる。
東京電力は、東日本大震災で福島第一、第二原発や福島県内の火力発電所などが停止。経済産業省によると、今夏の電力需要のピークは昨年並みならば6千万キロワットだが、東電の供給能力は4500万キロワットにとどまる見通しだ。25%は不足分の1500万キロワットに相当する。
74年の制限令は、火力発電所の燃料を節約するため、「使用電力量(キロワット時)」を約15%制限した。今回は真夏の電力使用のピークに、需要が供給を上回った瞬間に起きる大規模停電を避けることが目的で、電気を使う際のピークの「使用最大電力(キロワット)」を制限する。違反すると100万円以下の罰金が科せられる。
発動にあたっては、経済活動への影響が大きいため、政府は経済界と調整中。日本経団連はすでに、業界ごとの自主的な節電計画の策定作業を進めている。自動車業界では、各社の工場を順番に停止する「輪番休業」を検討。制限令は民間の自主的な節電計画の実効性を担保するねらいがある。
ただ、電力需要は、家庭用など小口の電気契約者が4割を占める。500キロワット以上の大口需要者の節電だけでは、夏の計画停電回避は厳しい情勢だ。このため、使用制限令を発動する一方、政府は中小零細企業や家庭に対する節電策を検討。節電に積極的な中小企業を政府が認定するなどの案が浮上している。家庭向けでは、節電の啓発を強化する。菅政権は、4月末までに総合的な電力需給対策をまとめる方針だ。
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