家庭内映画館

ホームシアターやAV機器、映画の感想・映画にまつわる話をだらだらと書き綴っていきます。

「金田一耕助の冒険」・・・(947)

2016-05-28 22:15:08 | 日記
「金田一耕助の冒険」金田一耕助の冒険
監督:大林宣彦
原作:横溝正史
脚本:斎藤耕一、中野顕彰
ダイアローグライター:つかこうへい
タイトルデザイン:和田誠
出演:古谷一行、田中邦衛、仲谷昇、吉田日出子、坂上二郎、樹木希林、熊谷美由紀、江木俊夫、小野ヤスシ、他
1979年・日本・113分<レンタル>

<STORY>
今やTVに映画、それに文庫本ベストセラーにと、押しも押されぬ人気スターとなった名探偵・金田一耕助と、その良き相棒・等々力警部。
そんなとき、10年前に金田一が解決出来なかった「瞳の中の女」事件の鍵を握る石膏像「不二子の首」が、金田一の元に持ち込まれた。
持ち込んだのは、美術品専門の泥棒集団の首領・マリアだった。熱烈な金田一ファンで事件解決を願う彼女の要望に金田一は応えるべく動き出した...

大林宣彦が撮った、古谷一行が映画で金田一を演じた唯一の作品。

この作品について語ると非常に長くなりそうです(笑)ですので、出来る限り完結に...
とりあえず、「久々に観たいなぁ~」と思って観てみたのですが、観終わってから思ったのは「初めて観たかもしれない」ってことでした(笑)
むか~し、テレビでやってたのを観た記憶があるんですけど、覚えてるシーンが1カットも無かったです...

今作は、金田一の未解決事件「瞳の中の女」をモチーフにしたパロディ映画です。
79年の作品ですが、当時の映画・ドラマ・CMなどのパロディをふんだんに盛り込んでいます。
当時金田一耕助と言えば映画は石坂浩二、ドラマは古谷一行って感じで、
私くらいの世代だとまだ小さかったのでテレビの方が馴染みがあって金田一耕助=古谷一行でした。

映画はアメリカンニューシネマから「スターウォーズ」「スーパーマン」の時代へ、
音楽はフォーク・ニューミュージックからパンク・テクノ・ニューウェイヴの時代へ、
ドラマも松田優作の「探偵物語」なんかが出て来た頃です。
これはパロディ映画としておもしろおかしく描いた、古き良き時代との決別の作品なのかな~と思います。
そのモチーフとして、古い日本の因習の中で起こる殺人事件を解決してきた金田一耕助が選ばれたのかな~っと。
『ほんとに ほんとに これで最後だ?』というキャッチコピーがあるように
この作品自体がもう時代遅れになってしまった金田一耕助の「お葬式」であったのかも知れません。
80年代の足音が聞こえてくる頃の、新しい時代を迎えようとしていた日本で
新しいものと古いものが入れ替わる転換期を映像化した感じですね。

だから映画としてはまったく面白くないですよ(笑)
とくに金田一映画・横溝映画として見ればまったくのゴミです。
ただ、このシュールとノスタルジーと哀愁は非常に良いと思います。
金田一と大林はミスマッチだと思いますが「シュール・ノスタルジー・哀愁」とくれば大林のお家芸ですからね(笑)

今作では「金田一は役に立っていない」「結局大勢殺される」という批判とそれに対する金田一からの返答が作中のラストで描かれています。
いわゆるメタフィクションってやつですね。
で、これを観た次の日にネットのニュースで、バラエティ番組の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』の話が載ってました。
以下引用”元格闘家の武蔵が“逃げ腰の戦い方でバカにされちゃった先生”として登場する。1995年にK-1デビュー、09年で引退するまで15年間戦い続けた武蔵だが、戦い方は「逃げ腰」。当時ファンから「逃げ腰でダサい」と言われてきたが、武蔵自信が、なぜ「逃げ腰」だったのかを分析する”
まさにこれですよ!今作は金田一耕助の「しくじり先生」なんですよね~

上で「金田一耕助のお葬式」と書きましたが、実際最後はそういうラストで幕を閉じます。

とりとめない文章になってしまいましたが...
映画としてはダメダメなのに関わらず、何故か嫌いになれないのは
金田一への思い入れからなのか?大林の力量なのか?
まぁとにかくテレビの金田一耕助シリーズのファンで、今作を観てない方がいたらぜひ観てください。
何となく裏切られた感はありますが、これはこれで一つの金田一耕助の終焉だと思うので...

「トランセンデンス」・・・(946)

2016-05-21 07:10:52 | 日記
「トランセンデンス」TRANSCENDENCE
監督:ウォーリー・フィスター
出演:ジョニー・デップ、モーガン・フリーマン、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー、キリアン・マーフィ、他
2014年・アメリカ・119分<レンタル>

<STORY>
人工知能を研究中の天才科学者ウィル。彼は妻エヴリンとともに飢えも貧困もない未来のための研究を続けていた。
ある日、大学で講演中のウィルがテロリストの銃弾に倒れる。エヴリンは彼を失いたくない一心で、息を引き取る前に彼の意識をコンピュータに移し替える実験を開始。
実験は成功するが、コンピュータ上の存在となったウィルは軍事機密を含む世界中の情報によって進化を始め...

う~ん...これは私の脳みその処理能力ではちょっと追いつけない類いの作品ですね(笑)

自我を持つ人工知能を研究する人たちとそれを脅威に感じ、テロ行動を起こす人たち。
そのテロによって余命数ヶ月になってしまった科学者ウィルの意識をコンピューターにインストールすると
インターネット上に蔓延し、凄まじい力を持ってしまう...というお話です。よね?(笑)

こういう理系の話が苦手だということを置いといても、面白くなかったです。
アマゾンなんかには「SFアクション超大作! !」なんて宣伝文句が書いてますが
SFですし、アクションですし、超大作ではあるけども「SFアクション超大作! !」かと言われればちょっと「?」ですね~
まぁ結論としてやっぱりつまらないってことですね(笑)

「凶悪」・・・(945)

2016-05-14 07:23:13 | 日記
「凶悪」凶悪
監督:白石和彌
出演:山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴、他
2013年・日本・132分<レンタル>

<STORY>
ある日、ジャーナリストの藤井は、死刑囚の須藤が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。
須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男の罪を告発する衝撃的なものだった...

新潮45編集部の取材記録を綴ったノンフィクション「凶悪-ある死刑囚の告発-」を映画化した作品。
実話を基にした作品とのことですが、恥ずかしながらこの事件のことも原作のこともまったく知りませんでした。

内容自体は正直言ってそんなに目新しいものではありません。
作中で女性編集長が言うように「不動産屋がヤクザと手を組んで人殺して土地奪うなんて当たり前」と言えばまぁ当たり前の話です。
今作の異常性はやはり殺人犯の2人、ピエール瀧演じる須藤とリリー・フランキー演じる「先生」こと木村です。
自分のやり方の障害になるものは力ずくで取り除く元ヤクザの須藤と金のためでありながらも嬉々として被害者をいたぶる木村。
殺人までやらないとしてもこういう人は確かに少なからず存在します。
ただ、ここまで殺人にも躊躇しない人間が、しかも2人もいて、さらに手を組んでる、で実話、というところがやはり恐ろしいところですね~

で、一方の主人公である山田孝之演じるジャーナリストの藤井も家庭に問題を抱えております。
痴呆の母親の介護で妻との関係も悪化する一方で、この事件の闇を追いかける中で自身も壊れかけてゆく感じですね。
この藤井のエピソードは実話なのかどうかはわかりませんが
犯人側のエピソードと対比させることで、実はあちら側とこちら側は紙一重であるという感じの話になってます。
正直言うと、観てる間はこの藤井側のエピソードは必要なのか?と思いながら観てました。
物語に深みを与えるものではありますが、気持ち的にヘヴィです。
もちろんその辺が狙いではあるのでしょうけど、このエピソードは削って時間も短くして、犯罪エンターテイメントでも良かったかな~?という気はします。

山田孝之は言うに及ばず、ピエール瀧とリリー・フランキーが非常に良いです!
リリー・フランキーは役者は本業では無いですが「狂気を孕んだおっさん」が非常にハマってますね(笑)
ピエール瀧は近年役者としての活躍も多くなってますが、正直ドラマの「64」なんかでは完全にでくの坊でしたので(笑)心配しましたが
今作でのヤクザ役はすごい良かったです。
まぁそういう意味ではキャスティングの勝利ってとこもあったかも知れませんが、何にしてもなかなか良い作品でした。
ただ、同じ実話犯罪を基にしている作品でも「冷たい熱帯魚」の方がエンターテイメントとしては優れているかと思います。

「テロ,ライブ」・・・(944)

2016-05-05 09:55:25 | 日記
「テロ,ライブ」THE TERROR LIVE
監督・脚本:キム・ビョンウ
出演:ハ・ジョンウ、イ・ギョンヨン、チョン・ヘジン、イ・デビッド、キム・ホンパ、キム・ソジン、他
2013年・韓国・98分<レンタル>

<STORY>
ある不祥事のせいでラジオ局に左遷された元人気TVキャスターのヨンファ。ある日、ラジオの生放送中にリスナーからの電話で爆弾テロの犯行予告を受ける。イタズラと思い相手にしなかったが、その直後、実際に漢江にかかる麻甫大橋が爆破される。一大スクープと確信したヨンファは、上司にかけあいTVキャスターへの復帰を条件に、犯人との通話をテレビで独占生中継することに...

韓国製サスペンス。
ラジオに左遷されたテレビのキャスターが爆弾テロからの電話を足がかりに
テレビに返り咲こうとするのですが、そこから話が二転三転して行きます。

真ん中辺りまではメチャメチャ面白いです!
スピード感・緊張感がハンパ無いですし、野心丸出しなキャスター役のハ・ジョンウが良いですね~
ただ、中盤以降失速します。
まぁそれでも作品としてはなかなか面白いと思います。

個人的には復讐のためとは言え、多くの罪の無い人間を巻き込んでしまうことに抵抗を感じました。
ラストのキャスターとテロとのやり取りが生きてこないんじゃないですかね~?
後は放送局の備品に爆弾を仕掛けるとか、ちょっと現実感が無いですね。
1時間くらいは本当に面白いです(笑)後は人それぞれの見方で感想は大きく変わってくると思います。
個人的には本当に惜しい作品でした。