昔の望遠鏡で見ています

地元の天文講演会

 町内会では毎年、秋に文化祭を催している。従来は、屋内ホールでの住人によるコーラスや楽器演奏、屋外でのボランティアによる焼きそば等の模擬店が主体であった。しかし今年は4年ぶりだし、原点に帰って講演会を行ったらどうだろうかという声がでる。それでは演目は何が良いだろうかと、話合いが持たれたので、星の話を提案してみた。空が澄んで星が綺麗に見える季節になってきたので、時節柄も良いのではと、賛同を頂く。
 講師は、地域にお住いの天文学者にお願いすることにし、地域住民や小中学生向けに講演頂きたいと依頼すると、快く引受けて頂いた。題目も悩んだのだが、「宇宙を巡る - 太陽系から宇宙の果てまで - 」とした。

 この手の行事は、その日の天候が重要になる。大雨でも降ったら、模擬店の食材が無駄になりかねないし、何よりホールに来てくれる人も少なくなる。だいぶ前から天気予報を気にしていたのだが、当初は雨の予想だったのが次に曇りとなり、最後は晴れになった時には、ほっとしたものだ。当日は気持ちの良い秋空が広がり、会場には多くの人が集まった。ホールの最前列には、眼鏡を掛けた理科少年らしき小学生も陣取っている。後で聞くと、会長は多くの子供たちにも是非聞いて欲しいと、地元の学校にもチラシを配ったとのことだった。
 プロジェクターに先生のパソコンを接続し、講演会の準備は完了だ。
 初めは地球の周りを回るスペースシャトルからスタートし、次は月のクレーターの話だ。昔は火山説が優勢だったが、現在は隕石の衝突で出来たと考えられていると説明した後に、老眼鏡を組み合わせた望遠鏡でも良く見えると、自身の経験について話された。その時に映し出されていた光学系を説明する画面の下に、小さな赤文字で「その時、ぼくはガリレオになった。」と書いてあるのに気が付いた。先生は天文学者だが、子供の頃は熱心な天文少年だったというから、自作の望遠鏡で初めて月を見た時の気持ちなのであろう。皆をニコリとさせる、印象的な言葉であった。

 楽しい時間は短く感じると言うが、講演時間は瞬く間に過ぎた。今回は、時間切れで太陽系を出たところまでとなったが、きっと子供たちには、宇宙の不思議や星の魅力を感じてもらえたのではないかと思っている。




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