昔の望遠鏡で見ています

黒の赤道儀

 黒い赤道儀は、かっこいいと思う。長焦点の屈折鏡筒を載せると、美しさもより一層引き立って見える。
 鏡筒の色は一般的に白だが、これは昼間には太陽光による無用の温度上昇を防ぎ、夜間には目立たせて位置を把握し易くさせるためであろう。一方、赤道儀が黒であるべき理由は希薄のような気もするが、品も良く見えるし、かっこいいので良しとしよう。




 これは五藤8cmの古い型式の赤道儀で、昭和47年頃まで製作されていたものである。20年くらい前に、一式の形で入手したもので、今では珍しい部類だと思う。極軸の角度調節の方式が独特で、この時期の五藤以外には見られないものだ。微動ハンドルも、コイルと直棒を繋いだ独特の形状である。



 鏡筒バンド部である。取付ネジは、鋳物製の大きなものだ。




 鏡筒バンドの底に3本のボルトがあるが、赤緯軸への取付用であろう。



 極軸望遠鏡は、付いていない。向こう側に赤経軸の固定ネジが隠れているが、その形状は鏡筒バンドと同様に大型のものである。この固定ネジを運搬時に下にしていて、壊したことがある。予備品があると聞いた時は、ほっとしたものだが、いつまでも有る筈もないので、古スコの扱いには十分な注意が必要である。




 極軸の角度調節部である。R面の一部を使ってスライドさせ、角度を調節した後に、左右にある4本のボルトで固定するタイプである。赤経微動のウオーム軸受け部に、小ネジ6本が見られるのも珍しい。この赤道儀の重量は、ウエイト軸と三脚架台抜きで約9.3kgであり、90S赤道儀とほぼ同程度であった。

 五藤の8cm鏡筒は、高橋の8cmと同じ径であるため、庭のピラーに取り付く便利な90S赤道儀に載せて使うことが多い。一方、鏡景写真となると、この黒の赤道儀の出番となる。これからも、時と場所に合わせて使って行きたいと思う。

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